それでいいじゃないか。
*
秋空はそれおんな宮(ぐう) おとこらは鰯雲なり あかあか参り 薬王華蔵
*
天空はみな神の宮どころである。秋空は夕方近く。落日の光が女神のおんな宮を照らし出している。鰯雲のおとこ等が、いやいやこれも男神なのだが、群れをなして近くに馳せ参じている。あかあかの目をして、おんな宮の気に入られようとしている。それで平和が保たれている。だったら、それでいいじゃないか。
*
短歌の字数は31文字。ことさら意味を込める必要はない。感覚で造営して、感覚で観賞すればいい。読んで一瞬そこに、あかあかとした風景が浮かび上がって、ざざざっと快感ホルモンが分泌されたら、もうけものだ。