ゲゲゲゲゲゲ、ゲゲゲゲゲゲ、ゲゲゲ。ビッキー(この辺りの方言で、蛙のこと)どんが忙しなげに鳴いている。雨の降る気配をいち早く感じているのであろう。クァクァクァ。クァクァクァ、クァクァクァ。傘の用意はいいか、とでも言っているのだろうか。
これはハシブトカラスの鳴き声。隣の家の庭に枇杷の実が熟れている。大木である。大木に集(たか)っている。鳴き声には意味があったのだ。「オーイオーイ、枇杷の実が熟れているぞ。旨そうだぞ」もう片方が、「よし、今行く」と答える。喧しい喧しい。ビッキーどんの方が上品に聞こえる。
昼ご飯がすんだ。縁側の板敷きにごろんとなる。窓から微風が流れ込んで来る。いい気なものだ。後は睡魔に委ねておけばすむ。