<おでいげ>においでおいで

たのしくおしゃべり。そう、おしゃべりは楽しいよ。

大切に思って見落とさないようにする

2017年05月01日 07時08分09秒 | Weblog

夜が明けた。目覚めた。生きている。今日から五月だ。この4箇条を脳裏に列べただけで快感ホルモンが分泌して、痩躯の全身を駆け巡った。布団を離れて障子戸を開けた。日が射している。視界が湖のように澄んでいる。大空が晴れ渡っている。あざやかな庭の木々の若葉。胸に吸いこむ空気がおいしい。「いい日が始まるよ」と直感が耳打ちした。僕はこれにすばやく同意した。

田舎暮らしの老爺の静かな一日が始まる。老い先が短くなって行く分はそれだけ味わいが深くなる。飲み干す人生のスープが、(同じスープに違いないのに)、あっさり度が深くなっているのか、やけにおいしく感じられる。庭の片隅に咲き出したクレマチスが赤い。大切に思って見落とさないようにすると、しみじみ赤い。

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あでやかな貴婦人のように美しい

2017年05月01日 02時42分42秒 | Weblog

五月は柿の若葉が見事だ。美しい。五月の若葉の柿ノ木は美人だ。そこにそうして突っ立てておくのは勿体ない。オレ様が根元から梢までマジマジと眺めてやろう。それでも足りないぞ。野鳩に飛んで来させよう。朝日を静かに浴びせてやろう。夕日にも輝かせてやろう。それでも足りないぞ。どうする。オレ様はてんで美人の扱い方を知らない。せめて文字にして賛美をしてやろう。爽やかな目をした五月の柿の若葉が見事だ。あでやかな貴婦人のように美しい。威厳があって傍に近寄れないほどの君子ぶりだ。そろそろ小さな青い実を無数に付けるころ。

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たっぷり堪能してやるぞ、これから

2017年05月01日 02時13分22秒 | Weblog

今日は5月1日。寝ていた間に日付変更線を跨いでしまっていた。今、真夜中2時半近く。五月かあ。五月にいるのかあ、オレ様は。青葉若葉の五月の、その客人をしていられるのはよほどの果報者。それがオレ様というわけだ。「果報は寝て待て」という。グウグウ鼾を掻いて寝ていたらこうなったのである。オレは五月の果報に招かれている。上等者である。そう思って全身を見渡した。今夜は暑い。鬼のような形相をした大男は下着一枚で寝ている。そして晴れやかな五月のパーティーにいるのである。ちょっとエチケットに反しているようだが、拒否をされていない。善因があって善果となるというのが仏法の教えである。確かに五月にいるのは善果である。では善因があったことになる。わたしはルール違反なのかもしれない。お慈悲に与ったのだ。仏法違反容疑者が爽やかな出で立ちの五月にいる。大鼾を掻いて寝ている。なんという果報か。身の程知らず。五月は大空が美しい。山の緑が美しい。山藤の花が匂う。郭公の鳴く音が美しい。大海の青い凪が美しい。たっぷり堪能してやるぞ、これから。

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堪忍袋の付いていないこの老爺とは大違いだ

2017年05月01日 01時39分59秒 | Weblog

部屋を豆ランプにして間もなくして蚊の飛び回るブーンという音がして跳ね起きた。夕食時にも飛び回っていた。客人が気づいて両手を叩いたが取り逃がしてしまった。それがわたしの寝間に紛れ込んでいたと見える。このままでは寝付けない。灯りを点けて、殺虫剤噴霧器を探したが、見当たらない。去年使っていたのは廊下の押し入れにしまったままだ。急いで取りに行った。古いのはなくで新しいのが見つかった。部屋に戻って天井目がけてシューシューと撒き散らした。これでいい。蚊はあんな小さい形しているから、飛ぶ羽だって小さいに違いない。わたしが寝たとみるや急旋回して急降下したのだろう。それで羽音が高くなったのだ。静かに静かに降りて近付くという方法を採らなかったのには訳があったに違いない。お腹が減っていたのだ、きっと。人間の血はなにしろ栄養に富んでいる。一度これにありつくと三日は生きられる、シメシメ。卵も産み付けられる。そう思って気が逸ったのであろう。しかし、人間は噴霧器という飛び道具とやらを発明して対抗して来た。狡い狡い。あわやという所で一命を落としてしまった蚊は悔しがったことだろう、さぞかし。そんなことを考えた。

蚤虱、野に鳴く秋の虫なれば我が懐は武蔵野の原

良寛様はこう歌われた。殺すなの戒めを守られた。堪忍袋の付いていないこの老爺とは大違いだ。

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