<おでいげ>においでおいで

たのしくおしゃべり。そう、おしゃべりは楽しいよ。

良寛さまのラブコール

2006年07月06日 18時11分29秒 | Weblog
 またも来よ柴のいほりをいとわずばすすき尾花の露を分け分け   良寛

     *

 もちろん相手は貞心尼。また来てくださいね、わたしの住んでいる国上山の中腹の、粗末な柴の庵がお嫌でないのなら、すすき尾花の茂る山道の、露に濡れぬようにして、草をかき分けかき分けて。

      *

 と良寛さまは歌を贈られたが、さて、それから、しばらく貞心尼の訪れがない。良寛さまはお寂しくなられた。そこでまたもう一首をお作りになった。

 きみや忘る道や隠るるこの頃は待てど暮らせどおとづれのなき   良寛

 あなたはわたしをお忘れになられたのだろうか。それとも来る道をお忘れになられたのだろうか。あなたにお会いするのをしきりに待っているが、ここのところあなたは顔を見せてくれない。

     *

 えええん、えええん。良寛さまの泣き声が聞こえてきそうに直截な、遠慮も羞恥ない、ラブコールである。純情可憐な幼さのまま。七十を越した禅師なのに、まるでこれはやんちゃ坊なみだ。もうすぐ死ぬというのに、死ぬまで、かくもひたむき。





コメント (1)
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