映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

大いなる陰謀

2008-05-03 | 映画 あ行
何のために立ち上がり、
何のために戦い、
何のために生き、
何のために死ぬのか?
という何とも勇ましいキャッチフレーズ。
こういうの、アメリカ人は好きやね~。

J・F・ケネディーの有名な言葉を思い出しました。
「祖国があなたのために何ができるかを問うより、
     あなたが祖国のために何を行うことができるか問うてほしい。
Ask not what your country can do for you - ask what you can do for your country.」

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  大いなる陰謀  LIONS FOR LAMBS

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タイトルの「LIONS FOR LAMBS」については、
映画の中で、レッドフォード扮する大学教授が学生たちに話してましたが、
ウィキペディアで調べてみると・・・
第一次世界大戦時フランス北部のソンムの戦いで、
勇敢な兵士たちを無駄に死なせたイギリス軍司令部への嘲笑をこめたドイツ人の詩
「このような愚鈍な羊たちに率いられた勇敢なライオンのような兵士たちを見たことがない」
からきているとありました。

こういう勇敢な兵士を称え、愚鈍な司令官を嘲笑する表現っていろいろあるんですね。
クリミア戦争時は、ロシア人がイギリス軍を
「lions led on by a**e* 愚か者に率いられたライオンだ」と言っているという記事が、
普仏戦争では、フランス軍に対し
「lions led by donkeys ロバに率いられたライオン」という表現が使われたらしいです。

いずれにせよ、愚かな司令官に率いられた兵士たちは哀れです。
常に、前線で戦う勇敢な兵士たちはライオンに例えられるんですね~。

もっとたどればアレキサンダー大王の
「私は羊に率いられたライオンの軍を恐れはしない。
恐れるのはライオンに率いられた羊の群れだ」というのもあるそうです。
司令官がしっかりしている軍は強いということですね、やっぱり。

阪神タイガースの「ベンチがアホやから・・・」発言、な~んてのもありましたねぇ~。


映画は、予想に反してシーン4つの舞台劇のようでした。
ベトナム帰還兵である大学教授の部屋で、教授とやる気を失くしてしまった若い学生の会話。
大学教授と志願兵となるふたりの学生との会話の回想。
上院議員の部屋での野心あふれる議員と、女性ジャーナリストの会話。
それに、アフガニスタンの山岳地帯に取り残されたふたりの若い志願兵士。
    

トム・クルーズ演じる共和党上院議員は、
巻き返しを図るためアフガニスタンでの戦闘を画策し、
世論を味方につけようとマスコミを利用しようとする。
    

まさにタイトルの羊、アホなベンチ?
戦場から遠く離れた安全な場所で画策する彼にとって、戦場で戦い、亡くなる兵士たちは
人格の無い駒でしかない。
織田裕二ならずとも「事件は会議室で起きてるんじゃない!」なんて叫びたくなるよなぁ~。

上院議員に情報をリークされるジャーナリストを演じるのはメリル・ストリープ。
911以降、国策に迎合しイラク戦争の泥沼を阻止できなかった自責の念を引きずり、
M&Aの果て、記事の内容よりも数字がすべての会社の中で、
ジャーナリストとしてのモラルとのジレンマに悩んでいる。
今回の上院議員からの話も、スクープなのか、利用されているだけなのか
が読みきれず葛藤するも、首をちらつかせられ涙を呑む。

  

レッドフォード教授は、ケネディーよろしく国の為に何ができるかを学生に問いかけ、
結果、黒人とヒスパニックの二人の優秀で真っ直ぐな学生が軍に入隊。
今さら止めても遅いよ~、教授。
  

今のアメリカは徴兵しなくても兵士を集めることが出来るそうです。
経済的に追い詰められた貧困層から、
高い給料(命賭けるんだからあたりまえやん)や大学の授業料免除、
グリーンカードが手に入る等々の甘い言葉で軍に送り込まれる。
志願した二人も、帰還すれば大学院の授業料の心配は無いと言ってましたっけ。
帰還すればって・・・。
        

自分の指導で二人を戦場に送り込むことになっちゃったのに、
勉強意欲を無くし遊んでいる白人の学生に対し
「自分に直接関わりが無ければ無関心でいいのか?」と詰め寄る教授。

レッドフォードはこの学生への問いかけを、観客にも問いかけていたのでしょうね。
にっちもさっちもどうしようもないアメリカの現状をあぶり出しておりました。


最後のシーン、
テレビでタレントのおバカなゴシップネタを伝える画面の下に、
アフガンでの作戦成功を伝えるブレイキングニュースの文字が小さく流れる。
ゴシップの方がメインなんだ~。
これまた皮肉で悲しい現実でしょうか?

ここまで現状を描いて映画で問いかけちゃうところに、自由の国アメリカの懐の深さを感じます。

日本のベンチは・・・どないですか?


字幕で内容をすべて理解するには、あまりにもみなさんしゃべりすぎ~。
正直、ついていけてませ~ん。
情報が多すぎて、今ひとつ理解し切れてない感が残ってます。

白人学生を演じているアンドリュー・ガーフィールドが上手いです。




***** 今週 見た 映画 *****

 4月25日 グレイズ・アナトミー シーズン1 ⑥⑦⑧⑨ DVD
 
 4月26日 大いなる陰謀 

 4月28日 グレイズ・アナトミー シーズン2 ①②③④ DVD

 4月29日 グレイズ・アナトミー シーズン2 ⑤⑥⑦ DVD

 5月 1日 グレイズ・アナトミー シーズン2 ⑧⑨⑩ DVD

 5月 2日 グレイズ・アナトミー シーズン2 ⑪⑫⑬ DVD

 
  


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3 コメント

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こんばんは (はらやん)
2008-05-04 20:17:42
ryokoさん、こんばんは!

レッドフォードの名声があるとはいえ、確かにこういう映画を公開できるところはアメリカは懐深いかもしれないですね。
日本は「靖国」でもすったもんだですから。
無関心であることがいいのか?という教授の詰問はそのまま日本人にもあてはまるかもしれないですね。
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Unknown (はらやんさんへ(ryoko))
2008-05-05 13:33:36
こんにちは。コメントありがとうございます。
「豊かで自由の国」のイメージがありますが、実情は行き過ぎた市場主義・民営化の結果貧富の差が激しく、とんでもないことになっているようですね。
こういう映画を公開することは出来るけれど、映画の中のジャーナリストは結局挫折。
二人の優秀な若者は、高額の授業料のために戦場に行くことを選ぶ。
わかっている様でわからない不思議の国アメリカです。
「靖国」は公開して欲しいですね。まず関心を持って、どういう存在なのかを知ってからでなければ、話にもなりませんものね。
「関心を持つ」は大きな一歩ですね。
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トラックバックありがとうございました。 (元・副会長)
2008-05-11 16:21:35
有名俳優が出演してのディスカッション劇でしたが、こういう題材を取り上げ、それにまたメジャーな俳優が主演するという点が、昨今のハリウッドが「政治の季節」を迎えていることの証左でしょうか。

サブプライム問題だけ見ても悪影響は計り知れないみたいですし、アメリカそのものが低迷しているような危機感が、映画人を動かしているのでしょう。

日本だって深刻な問題を多く抱えていながら、大半の映画関係者は見て見ぬふりを決め込んでいるところが情けないです。

それでは、今後とも宜しくお願いします。
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