映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

さよなら。いつかわかること  Grace is gone

2009-01-11 | 映画 さ行
ジョン・キューザックを始めて見たのは遥か昔。
20数年前の「すてきな片思い Sixteen Candles」
典型的なティーンのスクールラブストーリーで最後はプロム(卒業ダンスパーティー)。
メインの恋話に加え、スクールバスで通う生徒達のキャラが可笑しくって今も記憶に残ってます。
ジョンはメカおたくのチョイ役中学生で、実姉のジョーンも歯の矯正ワイヤーを付けて
主役を取り巻く多くの生徒の中の一人で、笑いを誘う役どころ。
でも、二人とも何だか印象に残ってました。
そうこうするうちに、
カッコよく成長したジョンは数々の映画で主役を、
ジョーンも個性的な準主役を演じるコメディアンヌです。

   
 この写真にジョンは出てません。ちょい役なので・・・
 左端が若き日のアンソニー・マイケル・ホール         

因みに、「すてきな片思い」で強烈な主役を食う個性を発揮していた悪ガキは
TVドラマ「デッド・ゾーン」で主役を演じるアンソニー・マイケル・ホールだったのね


******************************

    さよなら。いつかわかること    GRACE IS GONE

*****************************


 < ストーリー >
シカゴのホームセンターで働くスタンレー(ジョン・キューザック)の妻グレイスは、
陸軍軍曹としてイラクに単身赴任中。
彼は12歳のハイディ(シェラン・オキーフ)、8歳のドーン(グレイシー・ベドナーチク)とともに
妻の帰りを待ちわびながら暮らしていた。
ある日妻の訃報が届き、幼い娘たちに母の死を伝えることができず、
衝動的に二人を連れてフロリダの遊園地まで車で旅に出る。
帰路、スタンレーは覚悟を決め浜辺で二人に話し出す。



「死」を受け入れるのは難しい。
看病の辛い日々は、残される者にとって「死」を受け入れる為に必要な期間なのかもしれない。
突然の死、
いくら兵士として戦場へ送られたにしても、
遥かかなた異国での死亡など、にわかに受け止めることなどできない。
自分が受け入れられないのに、子供たちに伝えることなど到底できるわけがない。

いつもはかっこいいジョン・キューザックですが、本作ではくたびれた中年のオヤジです。
     太った?よね。
 
愛国心から篤い思いで入隊し、ブートキャンプでグレースと出会って結婚。
ところが視力に問題ありということで除隊を余儀なくされ、夢敗れ、
妻を戦地イラクに送り出したことで、男として複雑な思いを抱えている。
でも妻を愛し、娘を愛するいいお父さんなんだなぁ、これが。

2人の娘、12歳半のハイディーと8歳のドーン。
12歳じゃなく、わざわざ半ってところに、背伸びしている感じが現れていて
思春期の女の子って感じ。
この二人がホントにうまい!
父に隠れてTVのニュースで戦況を知ろうとするハイディ。
腕時計のタイマーをセットし、毎日同じ時間にお互いのことを思うという母との約束を守るドーン。
国のために戦う母を案じながら、母がいない寂しさを押さえている。


アメリカでは現役兵士の14.3%を女性が占め、うち40%に子供がいるそうな。
NHKのドキュメンタリーで見たのですが、
母親である多くの帰還兵が、戦場でのトラウマから子供とうまく接することができないという悩みを抱えているそうです。


妻の死亡を娘達に伝えられず、衝動的にフロリダにある遊園地へ旅に出る。
道中、子供たちに知られないようにこっそり自宅に電話して、
妻の残した留守電メッセージを聞き、話しかけるシーンに胸が痛む。

心に思うことがあってもそれを言葉にして伝えるのって難しい・・・。

途中立ち寄った実家で、弟のジョンに会う。
32歳のジョンは大学へ戻るつもりだと言うが、専攻すら決めかねている。
戦争反対派で現政権を非難するが、選挙にも行かないノンポリ。
生き方も戦争に対する意見も異なる兄弟だ。

フラフラしてるように見えるジョンですが、なかなか良いおじちゃんです。
姪っ子ハイディーに
「事実を見据えて自分の意見を持つことは大事だ。
でも自分の意見と異なる「真実」を受け入れる心も持たないとダメだ」と諭す。
こういうことを言ってくれる大人って、子供にとって貴重な存在です。


デパートのおもちゃのおうちに篭るドーンと父スタンレーの会話も泣かされます。
こういう風に子供の寂しさを受け止められるお父ちゃんっていいなぁ。


遊園地で楽しい時を過ごした後、やっと決心し海岸で母の死を告げるシーン。
途中からピアノのメロディーで映像だけになり、話す言葉は聞こえないけれど・・・、
こういうシーンって映像だけで言葉なんかいらないんやねぇ。

 

その後の足取りが映像で流れる中、葬儀でハイディーが母を偲んで読む弔文の声がかぶる。


戦闘シーンもグレイスも登場せず(写真のみ)、声高に戦争の是非を取り上げるのでなく、
日常生活の中に訪れる戦争の影響を、残された家族の死を受け入れるまでの過程を通して
その悲しみをひっそりと伝える静かな胸に響く映画でした。


音楽は、な、なんとクリント・イーストウッドです!
ジョン・キューザックはプロデューサーにも名を連ね、彼のこの映画に対する意気込みが感じられました。



にほんブログ村 映画ブログへ




 ***** 今週 見た 映画 *****

  1月 8日 「アクロス・ザ・ユニバース」DVD ビートルズナンバーが満載


最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
静かでしたが (メル)
2009-01-11 18:57:20
しっかり伝えたいことを伝えてたなぁって思えたし
スタンレーの気持ちがすーーっと心に沁み込んでくるような気がしました。
そうそう、音楽はクリント・イーストウッドなんですよね~!
映画を邪魔しない、さらに良いものにする曲だったなぁと思いました。さすがですね^^
キューザック (kimion20002000)
2009-01-11 19:17:32
TBありがとう。

キューザックは、役作りのために、相当だらしなく太った肉体に改造したようです。
とても、好きな映画でした。
こんばんは! (アイマック)
2009-01-11 21:19:16
しんみりしてしまうけど、家族の再生物語として胸に響いてくる映画でした。
クリント・イーストウッドの音楽がとても効果的でした。
台詞が少なめなところもよかったですね!
Unknown (メルさんへ(ryoko))
2009-01-14 01:17:24
そうですね。
静か~だからこそ、すーーっと彼の気持ちを受け入れられる映画でした。
イーストウッドの音楽も優しいメロディーでピッタリでしたね。
Unknown (kimion20002000さんへ(ryoko))
2009-01-14 01:29:23
コメントありがとうございます。

やはり役作りのために太ったのですね。
歩き方や後姿にも疲れた感じが漂ってましたね。
海岸で子供達に伝えるシーンからエンディングまで、涙が溢れました。
私もこの映画好きです。
Unknown (アイマックさんへ(ryoko))
2009-01-14 01:33:16
ふとしたシーン、細かいエピソードから、ちょっとした台詞まで、3人の気持ちやお互いを思いやるやさしさがあふれ、イーストウッドの音楽も効果的で、いい映画でしたね。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。