映画の話でコーヒーブレイク

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別離

2012-05-24 | 映画 は行
アカデミー外国語映画賞、 ベルリン国際映画祭で金熊賞・銀熊賞を受賞
その他、世界中の映画祭で賞を総なめしているイラン映画です。
かなり期待をして見に行きましたが、期待に違わぬ見応えのある作品でした。

緊迫した雰囲気の中、思わぬ展開にスクリーンに釘付け。
少しずつ明らかになる事実。
その度に、驚き、ため息がでました。

イランの女優さんの美しさにもため息ですわ。



      * * * * * * * * * * *

               別   離

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  < ストーリー >
ナデルとシミンは結婚14年。11歳の娘テルメーとナデルの父と共にテヘランで暮らしている。
娘の将来を考えシンミは国外移住の手続きをし許可を得たが、ナデルはアルツハイマー病を患う
父を残して国外に出ることに反対する。そこでシミンは家庭裁判所に離婚を申請するが認められず
一旦家を出て実家に帰る。
そこでナデルは父の介護と家事のためにラジエーという敬虔で貧しい女性を雇う。
ラジエーは無職で短気な夫に無断で、生活のためこの仕事を引き受けていた。
ある日、ナデルとテルメーが帰宅するとラジエーの姿はなく、腕をベッドに縛られ、床に落ち、
意識不明の父をで発見する。激昂したナデルは、帰ってきたラジエーをなじり、アパートの玄関から
押い出すと、ラジエーは階段に倒れ込み、その夜、流産してしまう。
ラジエーと夫はナデルに責任があるとして「殺人罪」で告訴し、裁判が始まる。


以前見たイラン映画と言えば・・・「彼女が消えた浜辺」。これ同じ監督さんなんですね~。
アスガル・ファルハーディー監督は「彼女が消えた浜辺」でもベルリン国際映画祭で銀熊賞受賞
だったのですね

イランって、核開発疑惑や石油をめぐる問題などで話題になる、距離的にも心情的にも遠い国という
イメージが強く、そこで暮らしている人たちの日常がどんなものなのか?がなかなか想像できないのです。
前回「彼女が消えた…」でも書きましたが、ファルハーディー監督が描くイラン人の日常を見ていると
子供の教育や親の介護、夫婦間の意見の食い違いや社会格差など日本人の日常と大して変わらない
気がします。
勿論宗教戒律の厳しい国なので事件に対する対応など理解しがたいこともありますが、
本作で発端になる出来事そのものは、イランでなくても、私たちの身近でも起こりうる不慮の事故。
良かれと思ってしたことが裏目に出たり、
ちょっとした嘘や秘密が取り返しのつかないことになったり、
あんなことさえなかったらと人を責めたり、
なんともやりきれません。

一番かわいそうなのは11歳の娘テルメー。
信じていた父の嘘や母の行動、二人の諍い、裁判での証言、そして父と母のどちらを選ぶかの選択。
11歳の子供にはあまりにも重く辛い。

文化や宗教が違うとそんなことがあるのかと驚きつつも、
自分がナデルだったら…、ラジエーだったら…、テルメーだったら…と思わずにはいられません。

人の運命って、ほんの些細なことで翻弄されてゆく可能性を秘めているんですねぇ~。


寝不足気味だったのですが、最後まで目が離せず2時間が短く感じられました。
最後、テルメーの決断は?  気になる~!

今年一押しの作品です。是非!




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 5月23日 「別離」@川崎チネチッタ
 
       「ザ・マペッツ」@TOHOシネマズ川崎


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2 コメント

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Unknown (セレンディピティ)
2012-05-24 13:43:21
サスペンスのような展開で、どきどきしましたね。
ラジエー夫妻との交渉での最後のどんでんがえしがみごとでした。
イランという国を少し身近に感じることもできて
考えさせられるけれど、見応えのある作品でしたね。

↓ 曇り空でしたが、雲が薄くなるとグラスごしに見ることができましたよ。
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Unknown (セレンさんへ(ryoko))
2012-05-26 01:22:48
やっと川崎で見てきました。
最後までドキドキでした。
いろいろ考えさせられる話でした。
テルメーの決断は?・・・嘘を言った父、偽証を促した父を許し一緒に住むことは難しいんではないでしょうか?
裁判での証言、父と母のどちらかを選ぶという選択を迫られたテルメー、彼女の心の痛みを考えると私まで胸が痛いです。

グラス越しに金環日食見れましたか~
うちの近くはほんの一瞬輝いた時だけグラスを通して見れました
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