映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

瞳の奥の秘密

2010-09-16 | 映画 は行
本年度アカデミー賞最優秀外国語賞受賞を取ったアルゼンチン映画です。
アルゼンチンの映画を初めて見ました。

サスペンスというだけで、どういうストーリーか知らずに見たのですが・・・、
最後までグイグイ引き込まれ、見終わった後ちょっと席を立てないほどの衝撃を受けました。
感動というよりも「胸にど~んと重いものを引き受けた感じ」とでも言いましょうか、
帰りの電車の中でもそんな想いを抱えながら帰りました。



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              の 奥 の   秘密
               EL SECRETO DE SUS OJOS

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 < ストーリー >
刑事裁判所を引退したベンハミンは、25年前にブエノスアイレスで起きた忘れられない事件を
小説に書こうとブエノスアイレスに戻ってくる。
それは銀行員の新妻がレイプの果てに殺されるという凄惨な事件だった。
小説を書き進めるうち、様々な思いや疑問が浮かび・・・。

     

是非見ていただきたい作品です。
これほど話の展開に驚き、どうなるの?と目を見開きドキドキしたのは久しぶりです。
あれもこれも「話したい・書きたい」けれども・・・それをやっちゃあこのドキドキを感じて頂けなくなるので
グッと堪えます
見応えがあるというのは太鼓判です って、配給会社のまわし者ちゃいまっせ。
何でこの映画が単館上映なんやろなぁ~???


25年前、1974年のアルゼンチンって・・・? ちょっとWikipediaをチェック!
なんと、エビータで有名なエバ・ペロンの夫ファン・ペロン大統領の死後、あとを引きを受け、
ファン・ペロンの3番目の妻イザベラ・ペロンが世界初の女性大統領になった年で、
治安・経済共に悪化し政情不安からかなり無茶なことがまかり通った時代だったようですね。


一つの事件が、多くの人の人生を狂わせる。
殺人事件の犯人の、被害者の夫の、捜査官や検事補の、夫々の秘めた想い。
時の流れは解決にならず、事件は25年を経た今も静かに深く続いている。

事件を追うベンハミンは、
被害者のアルバムに写る一人の男の瞳の先に邪悪な心を、
そして妻を殺された銀行員の瞳にその愛の深さを感じ、
見ている観客はベンハミンの瞳の奥に秘められた愛を感じる。
「目は口ほどにものを言い」というけれど、まさに「瞳は語る」んやねぇ。
愛する者と時を共にすることができない二人の男のまったく異なる愛の形。
行き場を失くした愛は憎悪へと姿を変え、出口の無い愛は心の底でくすぶり続ける。
瞳の奥に秘めた想い・・・重いなぁ~。
隠れた思いを悟られないように、皆様お気をつけあそばせ~。

凶悪犯に対する「刑罰」は終身刑が相応しいのか?死刑なのか?についても考えさせられる映画です。


***   ちょっとネタばれかな ? 御注意を ***






何度も出てくる「A」が打てないタイプライター。
何なんだろう?と思っていたら、最後にこの小道具の意味がわかります。
「A」が打てないタイプライターにかんしゃくを起こしながら使っていた彼が、最後に「恐れ TEMO」に
「A」を加えて「愛 TEAMO」に変えるシーンにはへぇ~!
スペイン語ではそんな言葉遊びができるんや~!
っと、全くわからないスペイン語をまたまたチェック すると・・・、
「Te amo」は「愛」だけれど軽々しく使えないような「深い愛」を意味するらしいんです。
普通の愛(ってどんなんや?と思いつつ)は「Te quiero」というそうです。
スペインよりは南米のほうが使用頻度が高いらしいけれど、「Te amo」はとびっきりの想いのこもった愛ですね。
それがわかってストーリーを思い返してみるに、あぁ~「Te amo」。
確かに・・・25年抱え続けた愛がやっと・・・。

この映画はおそらく私の今年ベスト1になると思います。


アルゼンチンはラテンの国、愛情表現も激しいのか?と思ったのに・・・あにはからんや。
口に出すことも、キスすることも、抱きしめることも無く、その思いをそっと胸に、
そして瞳の奥に仕舞い込む。それが「Te quiero」じゃなくて「Te amo」なんでしょうね。
アカデミー賞取ったからって、間違ってもハリウッドリメイクはして欲しくないなぁ~。

主演のベンハミン演じるリカルド・ダリンさんの渋いこと渋いこと
同じラテン系でも、ペネロペの夫ハビエル・バルデムとは違う、ギラギラしていないダンディーさ。
濃い顔に慣れていない日本人は、いえ私は、あの瞳と髭で見つめられたら・・・アカ~ン。



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 ***** 見た 映画 *****

 9月15日 「彼女が消えた浜辺」@ヒューマントラスト有楽町

        「瞳の奥の秘密」@TOHOシネマズシャンテ


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