仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

リトル・マエストラ

2018年04月06日 | ムービー
『リトル・マエストラ』(2013年/雑賀俊郎監督)を見た。
物語は、「石川県の寂れた港町。アマチュアオーケストラ・"福浦漁火オーケストラ"の老指揮者・吉川(沼田爆)が急逝したのと同時期に、町役場の課長・谷口博(小倉久寛)から、町補助金の打ち切りを通告された。突然の解散の危機に直面したコンサートミストレスの三村みどり(釈由美子)は、吉川の生前に孫娘の美咲(有村架純)が自分譲りの天才指揮者だと聞かされていたことを思い出し、"天才少女指揮者"を呼び寄せることでこの難局を乗り切ろうとするのだが・・・」という内容。
トロンボーンの荒沢源次(蟹江敬三)、トランペットの大野岩雄(篠井英介)、ティンパニーの湊川辰次(タツ爺/前田吟)など、結構な年配の奏者から高校生の大野正也(上遠野太洸)まで、オーケストラのメンバーは年齢層が広い。
寒そうな漁業協同組合の漁具倉庫に集まって練習している様子はなかなかのやる気を感じさせるのだが、午後10時を過ぎてからの練習は厳禁とのこと。
周囲には民家など無さそうだが、それでもやはり役場から注意が来るようだし、何より、アマチュアオーケストラコンクールを翌月に控えて、突然の補助金打ち切りは残酷だ。
(-_-;)
さらに、せっかく"リトル・マエストラ"を迎えて再出発を図ったものの、その美咲の経歴が嘘っぱちだったというのだから、これはもう八方ふさがりで、「これで終わりなのかなぁ」と嘆く正也の気持ちも分からないでもない。
一番近い鉄道の駅まで数十キロ、町から出るにはトンネルが続き、頻繁にがけ崩れが起きる一本道、という日本海沿岸にありがちな過疎の町が舞台で、定食屋を切り盛りするフルートの井坂洋子(筒井真理子)の娘・沙希(藤井美菜)は、寂れた町に未来の姿を描くことができず、町を出て行くという。
広い定食屋の店内にある大きな温風ヒーターは使われず、小さくて古めかしい石油ファンヒーターが置かれていたり、マッタク観光客がいない大きな施設では、沢山の職員が掃除だけしているというどこかで見たことがあるような様子も描かれていて、どうにも切ない展開なのだった。
「嘘は嘘を呼ぶぞ」と言う荒沢勝(松本利夫)の台詞が暗示的だ。

MISTY

2017年03月20日 | ムービー
『MISTY』(1997年/三枝健起監督)を見た。
物語は、「平安時代。由緒ある家柄の青年・武弘(金城武)の所へ嫁入りすることになった真砂(天海祐希)は、二人で都へと向かっていたのだが、その途中、森の中で野獣のような男・多襄丸(豊川悦司)に襲われる。多襄丸は武弘を縛り上げ、真砂ににじり寄った。夜が明けて、森の中に武弘の死体と切り落とされた男の腕が発見され、調査に当たった検非違使たちは、真砂と多襄丸、そして事件の目撃者である盗賊のミミズ(小西杏奈)という子供から証言を得たものの、3人の証言はそれぞれに食い違っていて・・・」という内容。
これは『藪の中』(芥川龍之介/作)を映画化したもので、同短編小説では武弘が26歳、真砂が19歳と書かれていたのだが、本作品ではもう少し上の年齢に設定されているような配役だった。
現場検証をした白河(小日向文世)、紺野(六平直政)、赤堀(篠井英介)といった検非違使によると、多襄丸は懸賞金が掛けられているほどの悪党なのだそうで、広い森の中でそんな男に出くわしてしまった2人の運の悪さには同情してしまうものの、キッカケは武弘と真砂が盗賊の子供達に荷物を盗まれてしまったこと。
「あの男さえいなければ」という真砂の台詞があったのだが、そもそも、大事な物を置きっぱなしにしてその場を離れるような油断がこの事件を引き寄せてしまったのだから、人のせいにばかりはできないだろうとも思う。
それぞれの証言時には再現映像が同時に写し出されるのだが、その証言によって、土砂降りだったり、雨上がりだったり、風が強いだけだったりと、いろいろと状況を変化させているのが面白かった。
さて、今時の"藪の中"といえば、学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却に関する問題だろう。
同法人が国有地を評価額より大幅に安く取得できたことに関して、国会議員の関与があったのか。
疑惑とされる指摘がどんどんと広がり、現職防衛大臣稲田朋美氏と元理事長籠池泰典氏との接点、現職の内閣総理大臣である安倍晋三氏と同氏の接点、さらには、開設が予定されていた森友学園運営による小学校の名誉校長に一時期就任していたという安倍首相の配偶者・昭恵氏と同氏の接点等についてが、テレビのニュース番組やワイドショー等でほぼ連日取り上げられている昨今だが、3月23日(木)には参議院(午前10時)と衆議院(午後2時50分)の予算委員会において籠池泰典氏の証人喚問が行われることになったようだ。
証人喚問で虚偽発言があれば偽証罪に問われることになるので、その場で何の根拠もない話がでっち上げられることもないだろう。
果たして、つついた"藪の中"から一体何が飛び出してくるのか。
疑惑と言われているものの何かが解消されるのか。
3月17日(金)の東京株式市場で小幅に反落した日経平均株価(前日比68円55銭安の1万9521円59銭)を受け、ついに「森友学園への国有地売却を巡る問題で政局の停滞が懸念され、小口の売りが優勢だった」とも分析され出したようであり、単なる馬鹿げたゴシップでは済まないような状況になってきた。
この証人喚問は、目下、世間の大注目である。

探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点

2016年08月20日 | ムービー
『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』(2013年/橋本一監督)を見た。
物語は、「アジア最北の大歓楽街・札幌ススキノ。探偵の俺(大泉洋)が行きつけのショーパブ・トムボーイズパーティー従業員マサコちゃん(常田鉄之輔/ゴリ)はオカマジックショーで人気を博すようになり、マジックコンテスト出場を促されたが、"もし優勝してしまって有名になると迷惑をかけてしまう人がいるから"と躊躇する。しかし、探偵に"そんなことは優勝してから考えろよ。俺が何とかしてやる"と言われもしたことから出場してみた所、みごと全国優勝を果たしてしまう。その2日後、マサコちゃんはススキノで殺されてしまった。探偵はすぐに犯人は捕まるだろうと予想して遊び呆けていたが、警察の捜査は3か月近く経っても何ら進展していない。それなら自分達の手で犯人を捕まえようと、相棒の高田(松田龍平)に連絡を取る。フローラ(篠井英介)、ヒロミ(佐藤かよ)、源ちゃん(マギー)、モツ(徳井優)らに呼びかける探偵だったが、事件には政治家が関与していて圧力がかかっているらしく、皆に協力を断られてしまい・・・」という内容。
命の危険を感じざるを得ない生活というのはヘビーだ。
心の休まる暇がないだろう。
探偵という職業柄、相田(松重豊)のようなその筋の方々にも拘わる機会が多いのだろうし、望みもしないスキージャンプなどはご免だろう。
(^_^;)
ただ、この作品中で恐怖の存在として描かれているのは、2世代議士・橡脇孝一郎(渡部篤郎)を勝手連として支援する"左寄りの市民"だ。
正義感なのか自己満足心なのかは判然としないが、木製バット等を振り回しての営業妨害や器物破損、傷害事件もいとわない。
肝心なところでは逃げ出そうとするものの、かなり異常な存在だ。
政治家の秘書が既得権益を守るためにマネーの力で極秘裏に問題を闇に葬るというやり方ではなく、あくまでも暴力的に障害物と認定したものを排除しようとする。
法律を作る政治家を支援するために、違法行為をして力を示すだなんてマッタクもって迷惑な存在だ。
基本的にはコミカルな演出になっているので、泥酔した男(池内万作)がピストルを20発以上連射したり、顔面を殴られて気を失った河島弓子(尾野真千子)の顔が綺麗なままだったりというこだわりを捨てたのだろうと思える場面もあるのだが、基本的には面白い。
前作同様、ススキノのバーで酒を飲みつつ依頼の電話を待つというのがこの探偵の方針なのだが、残念ながら原作の内容がすでに時代遅れになっているのか、携帯電話を借りて誰かと連絡を取る場面が結構出てくる。
台詞にもなっていたが、「ケータイ買えよ」と何度も思ったのだった。
(^。^)