仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

将棋の殿様 / 入船亭扇蔵(四代目)

2021年08月15日 | エンタメ
落語『将棋の殿様入船亭扇蔵(四代目)。
噺は、「ある藩の殿様が将棋に凝り始めたのだが、相手の金銀を飛び越えて飛車を動かしたり、自分の駒を取ってはならぬ、余は二十五万石の大名であるぞ等とやりたい放題で、とても勝負事にならない。誰に負けることもなく、すっかり物足りなくなった殿様は、負けた者は鉄扇で頭を打たれるという決め事を打ち出し・・・」という内容。
規則無視に動く殿様の駒の動きは無茶苦茶で、誰も殿様に勝てるわけがなく、家臣の頭はすぐにこぶだらけだ。
ここで登場するのが御意見番、田中三太夫。
幼い殿様に将棋の手解きをしていたという爺さんなので、傍若無人な殿様も、苦手な三太夫が相手では卑怯な手も使えないのだった。
さて、演者の四代目入船亭扇蔵師匠は、入船亭扇遊師匠の弟子。
二ツ目時代から、「大江戸再発見講座」、「男の着物講座」といった複数のカルチャー教室の講師を務めたり、映画『しゃべれどもしゃべれども』(2007年/平山秀幸監督)」に出演するなど、広く活躍されているようだ。
落語協会には現在200人ほどの真打がおられて、その190番目くらいにいるのが自分だというようなことも話されていたが、落語家さんの世界というのも大変そうだ。

必死剣 鳥刺し

2012年02月11日 | ムービー
『必死剣 鳥刺し』(2010年/平山秀幸監督)を見た。
物語は、「東北にある海坂藩。藩主が藩政をかえりみない贅沢な生活を続けていたことから民衆は疲弊し、百姓一揆が起こるに至った。藩主の従弟・帯屋隼人正(吉川晃司)の活躍によって一揆は収まったが、兼見三左エ門(豊川悦司)は処分覚悟で悪政の元凶である側室の連子(関めぐみ)を城内で刺殺する。妻に先立たれ生きる希望を見失っていたことから、死に場所を求めての覚悟の行動だったのだが、下された処分は、"1年の閉門並びに降格"という誰が見ても軽過ぎるものだった。姪の里尾(池脇千鶴)の世話を受け、1年間の幽閉が終わった兼見は・・・」という内容。
なんとも不条理な物語だが、これが江戸時代。
封建社会とはこういったものだったのだろう。
いや、現代でも政治に家族が口を出すことがあったりするかもしれないな。
「おとうさん、あの問題はこうしてもらわないと困るわ」なんて、いわゆるファーストレディと呼ばれる人が言い出したら、「んー、そうか」なんて話になっちゃったりするかもしれない。
少し想像力が豊か過ぎるか。
(^_^;)
まぁそれにしても、岸部一徳(津田民部役)という俳優はどんな役柄でもぴったりハマって見える人だな。
藤沢周平の原作が良いからかもしれないが、これは面白かった。

しゃべれどもしゃべれども

2010年01月14日 | ムービー
『しゃべれどもしゃべれども』(2007年/平山秀幸監督)を見た。
物語は、「落語家(二つ目)の今昔亭三つ葉(国分太一)は、思うように腕前が上がらず悩んでいたが、そんな三つ葉の所に、美人だけれど無愛想な十河五月(香里奈)、上手な説明が出来ないプロ野球解説者・湯河原太一(松重豊)、転校先の小学校になじめない村林優(森永悠希)が通って来るようになった。話し方教室として落語を教えることになったのだ。通っては来るもののなかなか落語を覚えようとしない3人だったが・・・」という内容。
小生意気な優に落語を教えることになったのは、三つ葉が思いを寄せる郁子(占部房子)の甥だからだが、その郁子が婚約したと聞いてしまっては、三つ葉もがっかりだ。
しかし、郁子手作りの腐った弁当を食べて腹痛を起こしても、「最初で最後の弁当だったんで」と言い切る三つ葉は一本気で憎めない男である。
(^_^)
登場人物は少ないものの、兄の小さな居酒屋を手伝う湯河原や、これぞ"ツンデレ"という感じの五月等、決して順風満帆ではない人生を歩む人達の"不器用で上手くいっていないけれど心の奥底は熱いぜ"という様子が上手に描かれていて良い話だった。
「好きなものから逃げると一生後悔する」
湯河原のこの台詞が印象的だ。
しかし、やはり一番印象に残ったのは、「最初で最後の弁当だったんで」と言いながらベッドで苦しむ三つ葉だな。
この何とも切ない感じは、解り過ぎるほどに解るのだ。
(^^ゞ