仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

みんなのいえ

2017年08月26日 | ムービー
『みんなのいえ』(2001年/三谷幸喜監督)を見た。
物語は、「家を建てることにした放送作家の飯島直介(田中直樹)は、妻・民子(八木亜希子)の大学の後輩であるデザイナー・柳沢英寿(唐沢寿明)に設計を依頼し、施工を妻の父親・大工の棟梁の岩田長一郎(田中邦衛)に依頼した。ところが、内装しかしたことがない柳沢と経験豊富な長一郎が対立し、なかなか建築作業が進まない。ドアを内開きにするのか外開きにするのか。和室を作るのか作らないのか。トイレの位置は。壁の色は。照明器具は。すべてにおいて対立する2人だが・・・」という内容。
直介「どんな家になるのかな?」
民子「お洒落な家にしようね」
という会話から始まるドラマだが、最初から雲行きが怪しい。
そもそも、柳沢は一級建築士ではないので設計はできないし、法律や条例による規制のことをマッタク知らないので、面倒を見ることになる設計会社の須賀(白井晃)も大変だ。
(^_^;)
風水に凝っている直介の母・セツ子(野際陽子)が「あなたたちの良いように設計すればいいのよ」と言いながらも、いろいろとアイディアを出してくることもあって、計画は遅れに遅れていくのだが、優柔不断な直介の性格も災いして、どうにも決定することができない。
挙句の果てには、6畳のはずだった和室が20畳に造られてしまうのだから困ったものだ。
20畳って、どこの宴会場だよ・・・。
(^。^)
「職人である前にアーティストでありたい」と言う柳沢はすっかりヤル気を削がれてしまったのだが、「職人とアーティストは相反するものじゃない。どこで折り合いをつけるかだ」と柳沢をいさめる直介。
大体の場面においては、直介が問題を大きくしているのであるが、ここは彼の唯一の見せ場だ。
直介は自身の仕事でいつもそれを実感しているのだろう。
バーの客(千本のっこ/戸田恵子)に出すソルティードッグの塩の量に妙なこだわりを見せ、「自分の問題ですから」と言っては何度もカクテルを作り直すバーテンダー(真田広之)が登場する場面のあとの柳沢の行動はマッタク予想外だった。
それは、"妥協を許さない"とはいえば聞こえはいいが、彼の姿は、客のことは二の次、なんとも面倒な独りよがりなバーテンダーにしか見えなかったからで、ここのところは直介の意見に賛成だ。
(^_^)
十数年ぶりに再度見た作品だったが、小日向文世(マスター役)、松重豊(喫茶店の客役)、香取慎吾(神主役)といった役者さん達が出演していたことに改めて気がついて「おー!!」と思ったのだった。

天地明察

2017年03月08日 | ムービー
『天地明察』(2012年/滝田洋二郎監督)を見た。
物語は、「江戸時代。第4代将軍・徳川家綱(染谷将太)の頃。本因坊道悦(尾藤イサオ)、安井算知(きたろう)らと共に将軍に囲碁を教える役目の安井算哲(岡田准一)は、星の観測と算術の設問を解くことが好きな男だった。形ばかりの勝負となった囲碁に次第に疑問を抱き、真剣勝負の場に身を置きたいとの願いを持つようになっていた折、家綱の後見人である会津藩主・保科正之(松本幸四郎)から、近年ズレが目立つようになってきた暦を新しいものに正すという一大事業の任につけられ、建部伝内(笹野高史)、伊藤重孝(岸部一徳)と共に国内各地での星の観測に当たるのだが・・・」という内容。
算哲の理解者である水戸光圀(中井貴一)は、「天下泰平の世は、戦う気概を忘れさせ、ぬくぬくと暮らし、羽ばたく意欲を奪う。それは新しい息吹を消すことだ。このままでは大和は滅んでしまうのぅ」(確かそのような台詞)と言う。
かつて唐の国から輸入したという"宣明暦"を800年間も使っていたというのだから、確かにそのままでは滅びの道をまっしぐらだろう。
(^。^)
唐ではその後、"大統暦"を使い、明の時代になってからは、より正しい"授時暦"が使わているということだったが、大和朝廷は、ズレが生じているのを承知しながらも、明の"授時暦"を採用しようとはしなかった。
暦の管理は朝廷の専権事項であり、また、その管理をすることで利権にあずかれる者の策略もあって、幕府といえども口出しができなかったらしい。
庶民にとっては"蝕"が1日~2日ずれようとも、さほどの一大事ではなかったのだろうが、「蝕が始まったので本日の公式行事はすべて中止とする」などという人達にとっては、正確な情報を押さえることができず、行事予定が成り立たなくなってきていたのだろう。
「天を相手に真剣勝負」という算哲には、これ以上ない舞台が与えられたわけで、村瀬えん(宮崎あおい)を何年待たせることになろうとも熱中できたわけだ。
待たされるほうはたまったものではなかっただろうが。
(^_^;)
観測台を襲撃から守ろうとして犠牲になった山崎闇斎(白井晃)と、"授時暦"の第一人者でありながらも改暦の事業に関われなかった関孝和(市川猿之助)の2人が少しばかり残念な登場人物だった。