9月5日、身柄拘束された国立ミンスク言語学大学の学生の解放を求める学生デモが始まりました。
ミンスク言語学大学前でもデモ集会が始まりましたが、学生だけではなく教職員もいます。白赤白の旗だけではなく、リトアニア、ウクライナ、アメリカ、EU各国の国旗を掲げている人もいます。
今日はベラルーシ大学の学生が国際関係学部前(ミンスク中央駅の近く)でデモ集会を行っています。
またベラルーシ国立技術大学の学生もミンスク言語学大学の学生の解放を求めるデモ行進を始めました。しかし、ヤクプ・コーラス広場の近くまで来たときに、治安部隊が近づいてきました。そして数人の男子学生が拘束されました。
背負っていたリュックサックを引っ張られ、抵抗したら、着ていた服も脱げてしまうのですが、そのまま両手両足を引きずられて護送車に入れられます。
周りの女子学生が叫びながら止めようとすると、治安部隊に押し戻されます。
すでに30人の学生が身柄拘束されたようです。
9月1日に学生デモを取材していて拘束されていたジャーナリストは今日までに全員解放されました。
カマロフスキー市場の近くでも女性によるデモ集会が始まっています。楽しい音楽が流れ、ダンスをしている人も。
警察が数人現れ、拡声器で「この集会は違法です。解散してください。」と呼びかけながら群衆の間を歩いているのですが、みんな無視。警官の前でプラカードを持って踊り続ける女性もいます。
その後女性の行進が始まりました。
そこへ治安部隊が護送車とともに近づいてきて停車。しかし、女性は治安部隊を取り囲み、押し戻しました。
「恥知らず!」「人殺し!」などと叫んでいます。
ミンスク市内の高層マンションで、マンションとマンションの間にロープを張って白赤白の旗を住民が掲げていたところ、すぐにロープを切られてしまいました。
そしてすぐに住民はまた同じように白赤白の旗をロープにつけてマンションの間に渡したのですが、今日は消防からはしご車が出動しました。
住民が集まって消防隊員に文句を言っている間にはしごはぐんぐん上がっていき、旗を外しました。ところがそれを地面のほうに持って行く途中、中層階に住むマンション住民が窓を開けて、手を伸ばし、旗を奪い返し、自分の家に入れてしまいました。
地上や窓から見守っていた住民たちは拍手喝采です。
さらに白赤白の旗が取り外されましたが、風に飛ばされ、近くの低い建物の屋根の上に落ちました。すぐに住民が屋根に登って回収。消防隊員の手には渡りませんでした。
独立広場に集まったデモ参加者は手をつなぎ、大きな輪になってぐるぐる回っています。輪は何重にもなっていて、数千人が回っています。
そこへヘルメットをかぶった警察がやってきました。若い女性が、収容センターで拷問を受けて大怪我をした人の大きい写真を、警察官一人一人に見せながら、
「この人を知りませんか。この傷に見覚えは?」と聞いて回っています。
独立広場に向かって進んでいた助成の行進。歩道からはみ出していた女性二人は、道路交通法違反でしょうか、身柄を拘束され、護送車に押し込まれました。周りの女性は悲鳴を上げ、逃げようとして大混乱となりました。
そこへ道路の交通整理をしている警察のパトカーが来たのですが、デモ集会参加者が、
「さっき女の子二人が誘拐されたわ! ナンバープレートのない車に乗せられて。誘拐事件よ! あなたたち、警察でしょう! 誘拐犯を捕まえてよ! 事件が起きたら警察を呼ぶものでしょ?」
と言っているのに、警察は無視して交通整理をしています。一人がうるさそうに、
「それは警察が連れて行ったんだ。」と説明すると、
「ナンバープレートのない車よ! 警察じゃないかもしれないじゃない! 女の子二人が誘拐されたされたのよ! 捜索願を出すわ! 受理してくださいね!」
と言い返していました。
今のベラルーシでは行方不明になっても、所在不明になっても、誘拐されても警察は捜索してくれないのです。
独立広場に面した通称赤いカトリック教会では、司教が夕べのミサでお説法をしたのですが、
「私たちはみな別の人間になる。もう元に戻る道はない。」と話し、連帯を訴え、拍手喝采を受けていました。
ミサには在ベラルーシ・フランス大使も来ていました。
赤い教会には本当にたくさんのカトリック教徒が集まっていました。
ベラルーシ人の約30%はカトリック教徒です。
独立広場で女性たちがデモ集会をしているときに治安部隊が来たので、デモ参加者は治安部隊員にあれこれ話しかけて、考えを変えるよう訴えていました。そこへスーパーのレジ袋をぶら下げた女性(40歳ぐらい?)が一人近づいてきて、
「あんたたち何歳? 投票用紙が盗まれたとか言ってるけど、本当に投票権のある年齢なの? 自由を自由をって。あんたたちは一体何をしているの? 治安部隊の後ろをついて回ったりして。バカ女の集まりね! あんたたちのことが世界中でニュースになっているわ。恥ずかしい! あんたたちが大勢町の中にいるから怖くてどこにも行けなくなったじゃないの! みんな治安部隊が怖いんじゃない。あんたたちのことを怖がっているのよ!」(←いや、あなた、独立広場まで外出してるし、数千人の参加者が集まっている人の前に自論を堂々と発言しているから、勇気がある女性だと思いますが。何も怖がっていないように見えます。)
言われたほうの女性たち(100人近く)は一斉に反発。
この女性がまた何か言おうとすると、デモ集会参加者は一斉に、
「挑発者! 挑発者! (その手には乗らないわよ!)」
とシュプレヒコールを上げました。すると40歳ぐらいの女性は、みんなに向かって「くるくるパー」のジェスチャーをしましたが「挑発者! 挑発者!」コールをやめなかったので、一番近くにいた若い小柄な女性がしていたマスクを小突きました。若い女性もその40歳ぐらいの女性の手を押し返しました。するとまた手を押し返し・・・
周りにいた大勢の人は「挑発者! 挑発者!」コールをやめませんでした。このようすをもちろんスマホで撮影している人がたくさんいて、動画がネットで流れ、この女性の言動が世界に発信されていきます。
カマロフスキー市場近くでのデモ集会でも、年配のおばあさん(70代ぐらい?)がデモ参加者に「あんたちの主張はまちがっている。」と強い口調でしゃべくりだし、参加者の女性たち(年齢はいろいろ)は一斉に
「警察が市民に暴力行為を行ったんですよ!」
と反発。おばあさんは「無法者を警察が成敗するのは当たり前。」
「けがした子どももいるんですよ! それも無法者なの?」
など言っていますが、おばあさんは全く耳を貸さず(もう耳が遠いのかも。)建設的な対話などには全くなりませんでした。
このようにデモ参加者に対して否定的な意見のベラルーシ人もいます。
しかし、少数派です。
夕方、独立大通りを自転車で通っていた女性が行く手を警官に阻まれ、そのまま自転車ごと護送車に入れられました。
周りにいた人が悲鳴を上げ、抱き合って泣く人もいました。ちょうどそこへベビーカーを押して通りかかっていた夫婦は、警察官にぶつかられそうになりました。
しかも警官が4人横一列に並んでいます。ベビーカーを押していた旦那さんのほうが、
「何で道の真ん中をで、横一列に並んで立ってるんですか!」などと言ったのですが、警官は黙ったままで何も答えません。
「男の恥だ!」
と捨て台詞を残して夫婦はベビーカーを押して行ってしまいました。
日が暮れて、ミンスクや他の町で白赤白の旗の周りで多くの人がスマホのライトをつけて、歌を合唱しています。
消防隊に奪われそうになった白赤白の旗は、再び高層マンションの間に掲げられました。マンション住民は窓から見守り、拍手喝采をしています。
この高層マンションの中にも政府派の住民がいて、本当は白赤白の旗を掲げるのは反対という人もいるかもしれないな、とふと思いました。
この旗のせいでうちのマンションが世界中で有名になって、恥をさらしているというふうに思っている住民もきっといるでしょう。
でも少数派です。
今日は住宅街でのデモ集会が多かったです。近所住民が集まって、白赤白の旗の下、歌ったりダンスをしたりふるまわれた紅茶を飲んだりしています。ゴミもそれぞれ片付けて分別して捨てています。子ども連れが多いです。
町内の夏祭りのような雰囲気です。
夜10時、団地内で住民が集まっているところへ、大勢の治安部隊がやってきました。そして無理やり住民たちを解散させました。
そしてそのようすをスマホで自宅の窓から撮影している住民もいます。
団地中に響く「恥知らず!」と治安部隊に向かって叫ぶ団地住民の声。それも動画になって、10分もしないうちにユーチューブで世界に向けて発信されます。
ミンスク言語大学の学生寮では階段の踊り場に学生が大勢出て、1階から3階は白いライト、4階から6階は赤いライト、7階から9階は白いライトをたくさん灯して、外に向かって照らしました。
身柄拘束された学生のうち、多くはすでに解放されましたが、一部はオクレスチナ収容センターに移送されたそうです。