ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

拘束されていたポーランド人

2020-09-05 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 8月9日夜、3人のポーランド人男性がミンスク市内のレストランで食事を終えて、外に出たところ、ベラルーシの警察に身柄拘束されてしまいました。

 3人はどこかへ連行され、収容されたのは体育館のような広い地下室。そこに300人ほどのベラルーシ人といっしょに拘束されていました。

 そこに15時間拘束された後、ジョージノ市にある留置所に移送されました。そこで取り調べを受けた際に、暴力を受け、心身共に傷を負ったそうです。

 このポーランド人3人は反政府派デモ集会に参加していたわけでもないので、無実を訴えましたが、顔を壁に向けたまま長時間立たされたり、手錠を後ろでにはめられた状態で、膝をつき顔を床につけた格好で何時間も同じ姿勢でいることを強要されたりしました。水が飲みたいと訴えると、暴言を吐かれたそうです。6人用の檻房に24人収容されて数日を過ごしました。

 ポーランド政府が再三、ベラルーシ政府にポーランドの国籍を持っているこの3人を解放するよう訴えても、なかなか出してもらえず、ようやく8月13日に留置所から出ることができました。

 そして8月14日に飛行機でポーランドへ帰国。ワルシャワの空港ではマスコミが押しかけましたが、インタビューに答えることに同意した二人のうち一人には目の周りに殴られたあざがありました。この3人は今、心理カウンセラーにもかかっているそうです。

 ポーランド国内でこれは拷問を受けた跡であるという鑑定も出て、3人の証言も裏付けられたので、ポーランド検察庁は事件として調査を開始すると発表しました。

 ベラルーシの政府や警察がポーランド側の調査を受け入れるかどうか分かりません。しかし将来的に国際的な機関にポーランド政府が支援や第三者機関調査を求める可能性はあります。

 

 ポーランド政府がこんなにポーランド人の解放を訴えても、ベラルーシ政府はなかなか耳を貸さないということはよく分かりました。

 他にも日本国籍の男性(逮捕、起訴)、アメリカ国籍の男性(身柄拘束)が留置所や収容センターにいます。それぞれの政府が強く解放を要請しても、ベラルーシ政府は自分たちの方針を変えようとはしないようです。

 拘束された日本人男性の場合、逮捕の理由が理由だけに、日本政府も強くは解放を要請できないのがもどかしいですね・・・。

 

 それにしても在ベラルーシ・ポーランド大使館は、自国民保護のために事前にベラルーシにいるポーランド人に「大統領選挙のときには不要不急の外出や夜間外出は控えましょう。(ベラルーシ大統領選挙の前後はいつも一波乱あるから。)」と通達してなかったのでしょうか? 

 ベラルーシにいる日本人には事前にできるだけ家にいるよう、注意喚起メールが投票日数日前には日本大使館から届いていましたが。

 ポーランド大使館もそうしていたけれど、この3人は気にせずレストランへ食事をしに行ってしまったのかもしれませんね。

   


ブレストの校長が退職したのを保護者が取り消しを求める

2020-09-05 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 これはブレスト市立の学校の話です。

 ブレスト市立にある学校が投票所の指定されていました。投票の集計結果はチハノフスカヤ候補の圧勝。票数を一覧表にして投票所、つまり学校に掲示しました。

 

 集計作業に関わっていた校長先生と二人の副校長が、

「退職します。」と自ら願い出て、新学年スタート早々やめてしまいました。

 保護者が集まり、校長先生の退職願いを取り消してもらおうと教育委員会に掛け合うことが今日決まりました。

 実際、保護者の要望が聞き入れられるかどうかは分かりません。


9月5日、女性の行進、学生デモ

2020-09-05 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 9月5日、身柄拘束された国立ミンスク言語学大学の学生の解放を求める学生デモが始まりました。

 ミンスク言語学大学前でもデモ集会が始まりましたが、学生だけではなく教職員もいます。白赤白の旗だけではなく、リトアニア、ウクライナ、アメリカ、EU各国の国旗を掲げている人もいます。

 今日はベラルーシ大学の学生が国際関係学部前(ミンスク中央駅の近く)でデモ集会を行っています。

   またベラルーシ国立技術大学の学生もミンスク言語学大学の学生の解放を求めるデモ行進を始めました。しかし、ヤクプ・コーラス広場の近くまで来たときに、治安部隊が近づいてきました。そして数人の男子学生が拘束されました。

 背負っていたリュックサックを引っ張られ、抵抗したら、着ていた服も脱げてしまうのですが、そのまま両手両足を引きずられて護送車に入れられます。

 周りの女子学生が叫びながら止めようとすると、治安部隊に押し戻されます。

 すでに30人の学生が身柄拘束されたようです。

 

 9月1日に学生デモを取材していて拘束されていたジャーナリストは今日までに全員解放されました。

 

 カマロフスキー市場の近くでも女性によるデモ集会が始まっています。楽しい音楽が流れ、ダンスをしている人も。 

 警察が数人現れ、拡声器で「この集会は違法です。解散してください。」と呼びかけながら群衆の間を歩いているのですが、みんな無視。警官の前でプラカードを持って踊り続ける女性もいます。

 その後女性の行進が始まりました。

 そこへ治安部隊が護送車とともに近づいてきて停車。しかし、女性は治安部隊を取り囲み、押し戻しました。

「恥知らず!」「人殺し!」などと叫んでいます。

 

 ミンスク市内の高層マンションで、マンションとマンションの間にロープを張って白赤白の旗を住民が掲げていたところ、すぐにロープを切られてしまいました。

 そしてすぐに住民はまた同じように白赤白の旗をロープにつけてマンションの間に渡したのですが、今日は消防からはしご車が出動しました。

 住民が集まって消防隊員に文句を言っている間にはしごはぐんぐん上がっていき、旗を外しました。ところがそれを地面のほうに持って行く途中、中層階に住むマンション住民が窓を開けて、手を伸ばし、旗を奪い返し、自分の家に入れてしまいました。

 地上や窓から見守っていた住民たちは拍手喝采です。

 さらに白赤白の旗が取り外されましたが、風に飛ばされ、近くの低い建物の屋根の上に落ちました。すぐに住民が屋根に登って回収。消防隊員の手には渡りませんでした。

 

 独立広場に集まったデモ参加者は手をつなぎ、大きな輪になってぐるぐる回っています。輪は何重にもなっていて、数千人が回っています。

 そこへヘルメットをかぶった警察がやってきました。若い女性が、収容センターで拷問を受けて大怪我をした人の大きい写真を、警察官一人一人に見せながら、

「この人を知りませんか。この傷に見覚えは?」と聞いて回っています。

 

 独立広場に向かって進んでいた助成の行進。歩道からはみ出していた女性二人は、道路交通法違反でしょうか、身柄を拘束され、護送車に押し込まれました。周りの女性は悲鳴を上げ、逃げようとして大混乱となりました。

 そこへ道路の交通整理をしている警察のパトカーが来たのですが、デモ集会参加者が、

「さっき女の子二人が誘拐されたわ! ナンバープレートのない車に乗せられて。誘拐事件よ! あなたたち、警察でしょう! 誘拐犯を捕まえてよ! 事件が起きたら警察を呼ぶものでしょ?」

と言っているのに、警察は無視して交通整理をしています。一人がうるさそうに、

「それは警察が連れて行ったんだ。」と説明すると、

「ナンバープレートのない車よ! 警察じゃないかもしれないじゃない! 女の子二人が誘拐されたされたのよ! 捜索願を出すわ! 受理してくださいね!」 

と言い返していました。

 今のベラルーシでは行方不明になっても、所在不明になっても、誘拐されても警察は捜索してくれないのです。

 

 独立広場に面した通称赤いカトリック教会では、司教が夕べのミサでお説法をしたのですが、

「私たちはみな別の人間になる。もう元に戻る道はない。」と話し、連帯を訴え、拍手喝采を受けていました。

 ミサには在ベラルーシ・フランス大使も来ていました。

 赤い教会には本当にたくさんのカトリック教徒が集まっていました。

 ベラルーシ人の約30%はカトリック教徒です。

 

 独立広場で女性たちがデモ集会をしているときに治安部隊が来たので、デモ参加者は治安部隊員にあれこれ話しかけて、考えを変えるよう訴えていました。そこへスーパーのレジ袋をぶら下げた女性(40歳ぐらい?)が一人近づいてきて、

「あんたたち何歳? 投票用紙が盗まれたとか言ってるけど、本当に投票権のある年齢なの? 自由を自由をって。あんたたちは一体何をしているの? 治安部隊の後ろをついて回ったりして。バカ女の集まりね! あんたたちのことが世界中でニュースになっているわ。恥ずかしい! あんたたちが大勢町の中にいるから怖くてどこにも行けなくなったじゃないの! みんな治安部隊が怖いんじゃない。あんたたちのことを怖がっているのよ!」(←いや、あなた、独立広場まで外出してるし、数千人の参加者が集まっている人の前に自論を堂々と発言しているから、勇気がある女性だと思いますが。何も怖がっていないように見えます。)

 言われたほうの女性たち(100人近く)は一斉に反発。

 この女性がまた何か言おうとすると、デモ集会参加者は一斉に、

「挑発者! 挑発者! (その手には乗らないわよ!)」

とシュプレヒコールを上げました。すると40歳ぐらいの女性は、みんなに向かって「くるくるパー」のジェスチャーをしましたが「挑発者! 挑発者!」コールをやめなかったので、一番近くにいた若い小柄な女性がしていたマスクを小突きました。若い女性もその40歳ぐらいの女性の手を押し返しました。するとまた手を押し返し・・・

 周りにいた大勢の人は「挑発者! 挑発者!」コールをやめませんでした。このようすをもちろんスマホで撮影している人がたくさんいて、動画がネットで流れ、この女性の言動が世界に発信されていきます。

 

 カマロフスキー市場近くでのデモ集会でも、年配のおばあさん(70代ぐらい?)がデモ参加者に「あんたちの主張はまちがっている。」と強い口調でしゃべくりだし、参加者の女性たち(年齢はいろいろ)は一斉に

「警察が市民に暴力行為を行ったんですよ!」

と反発。おばあさんは「無法者を警察が成敗するのは当たり前。」

「けがした子どももいるんですよ! それも無法者なの?」

など言っていますが、おばあさんは全く耳を貸さず(もう耳が遠いのかも。)建設的な対話などには全くなりませんでした。

 このようにデモ参加者に対して否定的な意見のベラルーシ人もいます。

 しかし、少数派です。 

 

 夕方、独立大通りを自転車で通っていた女性が行く手を警官に阻まれ、そのまま自転車ごと護送車に入れられました。

 周りにいた人が悲鳴を上げ、抱き合って泣く人もいました。ちょうどそこへベビーカーを押して通りかかっていた夫婦は、警察官にぶつかられそうになりました。

 しかも警官が4人横一列に並んでいます。ベビーカーを押していた旦那さんのほうが、

「何で道の真ん中をで、横一列に並んで立ってるんですか!」などと言ったのですが、警官は黙ったままで何も答えません。

「男の恥だ!」

と捨て台詞を残して夫婦はベビーカーを押して行ってしまいました。

 

 日が暮れて、ミンスクや他の町で白赤白の旗の周りで多くの人がスマホのライトをつけて、歌を合唱しています。

 消防隊に奪われそうになった白赤白の旗は、再び高層マンションの間に掲げられました。マンション住民は窓から見守り、拍手喝采をしています。

 この高層マンションの中にも政府派の住民がいて、本当は白赤白の旗を掲げるのは反対という人もいるかもしれないな、とふと思いました。

 この旗のせいでうちのマンションが世界中で有名になって、恥をさらしているというふうに思っている住民もきっといるでしょう。

 でも少数派です。

 

 今日は住宅街でのデモ集会が多かったです。近所住民が集まって、白赤白の旗の下、歌ったりダンスをしたりふるまわれた紅茶を飲んだりしています。ゴミもそれぞれ片付けて分別して捨てています。子ども連れが多いです。

 町内の夏祭りのような雰囲気です。

 夜10時、団地内で住民が集まっているところへ、大勢の治安部隊がやってきました。そして無理やり住民たちを解散させました。

 そしてそのようすをスマホで自宅の窓から撮影している住民もいます。

 団地中に響く「恥知らず!」と治安部隊に向かって叫ぶ団地住民の声。それも動画になって、10分もしないうちにユーチューブで世界に向けて発信されます。

 

 ミンスク言語大学の学生寮では階段の踊り場に学生が大勢出て、1階から3階は白いライト、4階から6階は赤いライト、7階から9階は白いライトをたくさん灯して、外に向かって照らしました。

 

 身柄拘束された学生のうち、多くはすでに解放されましたが、一部はオクレスチナ収容センターに移送されたそうです。


ベラルーシのコロナウイルス感染者72663人。死者数705人

2020-09-05 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 8月5日の書き込みです。

 ベラルーシのコロナウイルス感染者数は72663人になりました。1日の新規感染者数は178人です。

 死者数は705人になりました。

 71843人が回復しました。

 157万件の検査数となりました。

 

 ベラルーシ大統領は、ベラルーシ国内のコロナウイルスの流行が終わるのは、反政府派のデモ集会が終わってからだ、デモ参加者はソーシャル・ディスタンスを全く守っていないから、と述べました。

 7月2日にベラルーシではコロナウイルスへの勝利宣言を大統領が出しています。

 また、選挙後、ベラルーシ各地で政府派もデモ集会を行っていますが、参加者は密集しているし、マスクをしている人もほとんどいません。リスクの高い高齢者が占める割合が多いです。しかし政府派デモ集会への参加者にはマスク着用は政府は義務付けていません。

 

 

 

 

 


ミンスク市立の学校の校長が警察を褒め称える

2020-09-05 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 ミンスク市立196番学校(小学校・中学校・高校が一つの学校になっています。)の校長(女性)が、ビデオメッセージを作成し、その中で、治安部隊に感謝の言葉を述べ、褒め称えました。

 この学校も投票所に指定されていたのですが、

「投票期間中、警察がすばらしい働きをして、治安維持に努め、学校内、学区内に問題が起きないようにしてくれたので感謝する。ベラルーシ内務省で務める人々は人間としての質の高さを見せてくれた。ベラルーシ社会で起きた意見対立による紛争に対し、最適な方法で解決してくれた。(治安部隊は)道徳的で、礼儀正しさを示し、我が校の訪問者全員を尊重してくれた。内務省にも感謝します。内務省(治安部隊や警察)のプロ意識と勇気、職に対する献身、母国に対する献身が、人間の価値、国の平和、人々の優しさ、尊厳、愛を守っていることを、私は確信しています。」

とこの校長先生はビデオメッセージで語りました。

 警察に感謝したいのなら、感謝状を書いて内務省に手紙で送ればいいだけです。その中身を公表するかしないかは内務省の判断によります。

 それなのにわざわざビデオメッセージを作って、ネット上に流すのはどうしてなのでしょう?

 内容についても、教育者の発言としてどうでしょうか?

 警察や内務省は投票当日、見守ってくれたことに対して感謝するのは分かります。(たまに酔っ払って投票所に来て、他の人の迷惑になる人もいつので、投票所に警官が配備されるのはふつう。)

 しかしベラルーシ社会で起きた意見対立による紛争というのは、選挙後に起きた反政府デモ集会のことです。強制的、暴力的な身柄拘束、拷問を伴う取り調べで、大怪我をして入院した人が大勢おり、解放されたけれど心身ともに傷を負った未成年者もいます。

 それに対して、「適切な方法で解決した」「プロ意識と勇気、職に対する献身」「人間の価値や尊厳を守っている」と表現するのは、教育者としてどうなのでしょう。

 

 この学校では、教師が生徒に体罰を加えるのはいいということでしょうか。教師の言うことを聞かない生徒に、暴言を浴びせてもよいということですか。

 たった5分の遅刻に対して、過剰な罰を与えるのもいいということですか。それが教師としてのプロ意識の表れですか。

 校舎の裏でタバコを吸っていた生徒の横を偶然通っただけで、同類と見なし、同じように棒で殴ってもいいということですか。

 「校長先生の考えはまちがっている。」と言うだけで、「だったら退学、あるいは転校してください。」と生徒や保護者に言うつもりなのですか。

 それで学校内の平穏が保たれ、安全な環境下での効果的な学力向上につながると思っているのでしょうか。

 

・・・私の子どもが今この学校に通っていなくて本当によかったです。

 今は週末で登校日ではありませんが、月曜日からこの学校が大荒れにならないことを祈ります。

(この196番学校は私の職場である児童図書館の近くにある学校で、その生徒ほぼ全員が、うちの図書館に本を借りに来ています。)