2021年2月24日、国際オリンピック委員会(IOC)は、ベラルーシに対する制裁を発動する可能性について言及しました。
つまりベラルーシ政府が主導しているベラルーシ・ナショナルチームに所属する(あるいは所属していた)選手や、反政府の意見を表明したスポーツ選手に対して、抑圧、つまり政治的差別をしていたとして、これはオリンピック憲章に反するものだと見なし、ベラルーシ・ナショナルチーム(とりあえず現政権が変わりそうにないので)今年の東京五輪への参加を認められないことにする・・・というIOCの見解です。
IOCが言うには、ベラルーシのナショナルチームのトップ(これに大統領も含まれます)がベラルーシのアスリートを政治的差別から適切に保護していなかったとしています。そのため、ナショナルチーム(のトップ)に制裁を加える、つまり、ベラルーシの選手は東京五輪に参加できない、ということで協議されています。
もし東京五輪の参加国からベラルーシが除名されてしまったら、ベラルーシ政府はIOCに反発するでしょう。もっとも東京五輪が無事今年開催できるかどうか分かりませんが・・・。
ちなみに反政府派アスリートは元水泳銀メダリストがリトアニアに創設したもう一つのベラルーシ・チームに名を連ねているので、どっちみち東京五輪に参加するつもりはないでしょう。次の五輪を目指して練習を始めていますよ。IOCが制裁を発動しようが、もう無関係です。
2月22日にロシアのソチに行って、ロシアの大統領と会談をしたベラルーシ大統領。二人でスノーモービルなども楽しんでいましたが、ベラルーシに帰国した昨日、なぜか電話で再び会談をしました。変でしょ。
ソチで直接会って話し合ったときに喧嘩をしたので、翌日ベラルーシから電話をして仲直りの申し出をしたのでは? という噂があります。実際、口論などになっていたとしても、喧嘩してました、などと大統領が公表するわけないので、真相は分かりません。
ともかく会談の結果、ベラルーシとロシアは経済的にも軍事面でも協力関係であり続けることを再確認したそうです。
3月1日からベラルーシ人にとって不可欠と思われる食品、日用品62品目と、医薬品50種について価格を固定することが発表されました。政府による価格の固定です。昨今、ベラルーシでは食料品や医薬品などの値上げが続いていたので、これ以上それが続くと国民からの不満が出るので、それを未然に防ごうと、価格の値上げを禁止する・・・というのが実態です。
このような政策がベラルーシ経済にとって吉と出るか凶と出るか・・・。
ベラルーシ野党のチハノフスカヤ氏は、ルカシェンコ大統領が辞任した場合その後の生活を安全に送れる小さい住居を提供すると約束しました。このような形で、ノーベル賞作家アレクシエーヴィチが言っていたとことの「美しく去る」ことをうながしているのでしょう。
もっとも、他の野党メンバーの中にはチハノフスカヤ氏の申し出は、100%保証されているものではないとしており、野党メンバーの中にも意見の温度差があるようです。なぜなら、国民の中にはルカシェンコ大統領がしてきたことについて責任を追及すべし(裁判にかけるということです。)という声も上がっているからです。
有罪判決が出たら、ルカシェンコ大統領も刑務所に入れられます。チハノフスカヤ氏が用意する安全な小さい家屋、というのは刑務所のことではないでしょう。
またチハノフスカヤ氏は、自分が次期大統領になったら、選挙のやり直しをして、そのときは出馬せず、すぐ次の大統領に政権を移し、自分はベラルーシ人の人権保護活動を行いたいという将来の人生計画について言及しています。
まだ全然どうなるか分かりませんが、ベラルーシの将来を見据えて、考えを巡らせているベラルーシ人がすでにいる、ということです。
チハノフスカヤ氏はベラルーシで公正な大統領選挙が実施された場合、その後EUからベラルーシは経済支援を受けることについて合意しました。ロシアからではなくEUからの経済支援で、ベラルーシ経済を立て直す可能性があるということです。