12月31日、大晦日です。
朝からベラルーシ大統領は子ども腫瘍学センター(小児がん専門病院)を訪問し、入院中の子どもたちにプレゼントを渡しました。白血病の子どもも多く入院しているのですが、大統領はマスクをしていませんでした。
また病院近くの団地では、1階の入り口に治安部隊が一人ずつ配置されました。
2021年2月に開かれる国会で、憲法は改正されない、とルカシェンコ大統領は明言しました。
今日付けで、退職あるいは解雇となった反政府支持者もいます。
反政府支持派の子どもにボランティアがお年玉袋のようなプレゼントを50個手渡しました。包装は当然白と赤。中身のお菓子は、おそらく国営企業のお菓子ではないでしょう。
100人以上の反政府派の身柄拘束者、逮捕者、服役中の囚人が刑務所、留置所で新年を迎えることになりました。
多くの野党メンバー、著名な支持者が動画で新年メッセージを発信しています。
午後9時、オシポヴィチ市全域で断水・・・。
午後10時半ごろ、ミンスクの街の中心部には警官、護送車が配置されました。十月広場近くの独立大通りは市バス2台で閉鎖されました。車両は通行止めになっています。十月広場にはクリスマスツリーが立てられているのですが、周囲の道は通行止めになっており、平年と比べると人出は少ないようです。
周りに護送車が配置されているので、コロナ禍であるにもかかわらず外出できるとしても楽しくないですね。
ミンスク市内では道路が通行止めになっている部分はあるものの、地下鉄は年末年始の特別運行が行われます。つまり夜中に市の中心部へ行って、打ち上げ花火を見たりカウントダウンできます。バスも臨時便が出ます。
ミンスク各地の団地ではいつものように反政府デモ集会が行われています。
(私はもちろん自宅におります。もうおせち料理も作ったし、もちもついたし、年越しそばも食べたし、今、紅白歌合戦を見ているという平年どおりの大晦日です。)
恒例の大統領の国民向け新年メッセージと合わせて、野党のチハノフスカヤ氏も国民向け新年メッセージをユーチューブで動画配信しました。
配信が始まったときですが、視聴者数はチハノフスカヤ氏の動画はおよそ5万人、ルカシェンコ氏は1万人でした。
ただし、ルカシェンコ氏のほうはベラルーシ国営テレビでの放映を見ている人が圧倒的に多いです。
チハノフスカヤ氏の新年メッセージは国営テレビで放映しないので、ネット配信だけです。
二人とも、ヤンカ・クパーラの詩を引用した演説の内容だったので、驚きました。正反対の立場にありながら図らずも同じことを考えているということでしょうか。
ヤンカ・クパーラの詩について日本語ではこちらです。(拙訳)
チハノフスカヤ氏の新年メッセージですが、全てベラルーシ語でした。内容は主に2020年に反政府デモ活動に参加し、命を落とした人への哀悼の言葉、そして参加者の勇気を讃えるものでした。
支持者にとっては感動的なメッセージだったと思います。チハノフスカヤ氏は改めて、2021年を新生ベラルーシの年にしましょうと呼びかけました。
それはそれで「よし、がんばるぞ! 来年もデモで声を上げるぞ!」と決意を新たにしたベラルーシ人も多いでしょう。一方で、新生ベラルーシをどのように誕生させるのか具体的な案はチハノフスカヤ氏の口からは全く出ませんでした。
来年2月には国会を開きますよと現政権側はすでに決定し、それはつまり、野党側に政治カードを切ったということです。政治をトランプ遊びに例えるなら、持ち札の一枚を見せて、こんなカードをこっちは持ってるんですよ、さあ、あんたはどうする?と出方を待っている状態です。それに対する反応が野党側は乏しいんですよね。わざとなのかもしれませんが、チハノフスカヤ氏の演説は情に寄り添うものであって、政治的な武器ではありませんでした。
ルカシェンコ氏の新年メッセージも、例年とは趣きがちがっていました。共和国会館ロビーに立てられたクリスマスツリーを遠景に起立した状態での撮影でした。いつもなら、火が燃える暖炉の前に座って、すぐ傍にクリスマスツリー、シャンパングラスを前に置いている・・・つまり、ご自宅からの生中継放映ですか?と勘違いしそうなアットホームな雰囲気の中で、国民に新年のお祝いメッセージや新年のベラルーシ経済が具体的にこのようによくなりますよ、と演説することが多かったのです。
しかし今年は、もうベラルーシは過去に戻れない、よりよい未来を作りましょう、ベラルーシがヨーロッパの中心にある地理的条件を忘れてはいけません、次世代の子どもたちにベラルーシの国土を渡さないといけない、そのためには国民が一つにならないといけない(←反対意見を言うのはやめなさい、ベラルーシ人はみんな同じ一つの考えでないといけませんよと反政府派を牽制しているとも読み取れますね。)そして、ヤンカ・クパーラの詩まで引用し(当然そこだけベラルーシ語)我々ベラルーシ人はみんなちゃんとそうしますよ、と宣言しました。
(ちなみにチハノフスカヤ氏は全身、白と赤のコーデ。クリスマスの飾りも全て白と赤。背景は真っ白のスクリーンでした。)
十月広場では新年コンサートが始まりました。そのバックのスクリーンにルカシェンコ大統領の新年メッセージが投影されました。しかしなぜか映像だけで音声がなかったそうです。なぜ? 放送事故?