亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

上がりたがっている・・・???

2011年02月09日 22時38分50秒 | 金市場

ドル建て金価格の3週間ぶりの高値への復帰。中国利上げ発表がNYの取引時間帯に重なったことから欧米メディアを中心に、インフレへの警戒感が中国国内での金需要の高まりをもたらすという構図で金を始め貴金属全般に上昇をもたらしたという説明がなされた。確かに言えなくはないし、そうした側面もあろう。それよりも、相場が“上がりたがっている”というふうに見えるが果たしてどうか・・・。

 

年始から1月下旬に掛けて断続的に続いてきた資産比率見直しに伴った大口投資家の売りも一巡し、ファンドなどは買い余力が出ていること。金など年始から下げるなかで、中国を中心とするアジア地域の現物の強烈な買い引き合いが伝えられていたが、下げている時は無視された。ここでもそれをNYコメックス主導の下げで現物の動きに比べレバレッジが利いているので、そちらの動きが勝る・・・というようなことを書いたと思う。いまやファンドの売りが一巡したところで、こうなるとその実需の強さが再認識されるという流れとも説明できよう。価格の上昇時にはそれを妥当化するような材料をヒトは求めるし、下げている時はその背景を引っ張り出してくる。

 

当方は昨夜のNYの上昇の背景に、この中国材料もあろうが、ファンドを動かしたのは昨日取り上げた金現物を投資銀行がファイナンス手段として受け入れる方向が見えて来たという要素が大きいとみている。これからを見据えて金は抱えていたいが、投資効率を考えると比較考量の結果手放すという判断をしてきたわけで、それがそのまま金を手元に資金を引っ張ってきてカバーできるというのは大きい。さらなる金市場のすそ野の拡大となろう。

 

ちと大袈裟だが、ETFの導入がもたらした構造変化から、更に次のステップが始まるくらいの捉え方でいいのではないか。以前から金融的視点で金市場を捉えて来たので、1000ドル乗せの際にバブルとの合唱が起きた時にも、「さにあらず」とした。また価格上昇でスクラップ(リサイクル)が増え、それが上昇の頭を抑えるという意見にも、必ずしも価格上昇に比例して増えるものではないとした。これらの意見は原稿に残してきた。今は金価格はプラチナ価格を抜く可能性があるとも思っている。すべて金融的側面からの分析の結論である。もちろんこの意見は正しいか否かはワカラン、が時間の経過がそれを示す。

 

中国のインフレにしても、高成長国には必ずインフレは付き物で、多少の弊害は成長がそれらのマイナス点を覆い隠すということ。その面で中国は立ち止まることを許されない国だ。来週発表予定のCPI(消費者物価指数)が直近で最高になるという話があり、その前に利上げをして当局の政策スタンスを示すという側面があるとされている。その通りだろう。しかし、ならば後追い的に引き締めているわけで、事前に引き締めて是が非でも抑えつけようというスタンスではないといえる。広く指摘されているように人民に職を提供するためにも一定の成長率は確保する必要があるからだ。ちなみに利上げされたが、2008年秋の金融危機前の中国の1年物貸出金利は7.47%だったので、今回の利上げでもその水準を1.41%下回っていることになる。つまり更なる利上げがあっても不思議はない。

 

本日は2月9日。当方にとって人生の節目となった基点の日でもある。


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