昨日、月初のイベント週を抜け今週は目立った経済指標の発表などもなく静かな展開となるとしたが、週明け7日のNY市場はその典型的な日となった。NYコメックスの金価格も中心値1350ドルを境に上下5ドルずつという静かな展開。エジプト情勢は懸念された騒乱の拡大、流血の事態も回避され、政権サイドと野党側の話し合いも伝えられ小康状態に。ただし、拘束されていたグーグルのこの地域の幹部が解放されたとのニュースがあったが、デモを組織したきっかけとなった人物とされており、再び集結を呼び掛けるとの話もある。今回の反政府抗議行動の高まりの中で、軍部が冷静さを保ったのがポイントとなっている。
さて静かで目立ったニュースのない週の初めだったが、実は大きなニュースがあった。大手米銀JPモルガン・チェースが金を金融取引の担保として受け入れる方針を決めたというのがそれ。米国債と同様の信頼度の高い資産としての位置付けを金にしたもの。同行の取引相手の機関投資家に金を保有するところが増え、その要望に応えるということらしい。早い話が米国債や、株式などと同じように担保に取るということだが、その掛け目や具体的な方法は不明。例えば保有する金を売って株に資金を廻さなくとも、金を保有したままで株も買える。難しい表現をするならば、金現物を使った信用創造がより一般化するという流れ。銀行が担保として受け入れるためには、相応の流動性(いつでも売り買いできる市場規模)が確保されている必要があるが、金市場のすそ野の広がりが、それを可能にしつつあるということ。こうした動きが、本格化すると金市場の更なる金融化につながる。これすなわち益々金市場にアクセスしやすくなり、資金流入が増えると思われる。派生商品も広がるだろう。大きな胎動なのだ。