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わたしが担い、背負い、救い出す

わたしが担い、背負い、救い出す。
(イザヤ書46章4節)


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『戦場の希望の図書館』(読書メモ)

デルフィーヌ・ミヌーイ(藤田真利子訳)『戦場の希望の図書館』創元ライブラリ

内戦が続くシリアの町ダラヤは、反政府勢力の拠点とみなされ、アサド政権による空爆や兵糧攻めに会う。

平和的な抵抗者や一般市民がたくさんいるにもかかわらず、樽爆弾が毎日降ってきて、町は破壊されていく

そんな中、若者たちが、破壊された建物から書物を拾い集め、地下に「図書館」を作った。ちなみに、この図書館は、反政府軍の兵士も利用しているという。

しかし、なぜ、図書館なのか?

「戦争は悪です。人間を変えてしまう。感情を殺し、苦悩と恐怖を与える。戦争をしていると、世界を違ったふうに見るようになります。読書はそれを紛らわしてくれる。僕たちを生命につなぎ止めてくれるのです。本を読むのは、何よりもまず人間であり続けるためです」(p. 58)

人間であり続けるために本を読む、というところが響いた。

意外だったのは、図書館を作った若者や利用者たちは、戦争前、読書家というわけではなかったという点。内戦が始まってから、読書に目覚めた人が多いのだ。

もう一つ興味深かったのは、『7つの習慣』のような自己啓発本の人気が高いところ。自分の今の生活に対して、示唆を与えてくれるからだろう。

本書を読み、これまで遠かったシリアを近くなると同時に、本のパワーを感じることができた。



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『ウォーキング・アウト』(映画メモ)

『ウォーキング・アウト』(2017年、アレックス・スミス、 アンドリュー・J・スミス監督)

離れて暮らす父カール(マット・ボマー)のもとに来たデイビッド(ジョッシュ・ウィッジンズ)(14、5歳)。

冬の山へ狩りに出かけるのだが、デイビッドはやる気がなく、二人の間にも微妙な距離がある。

カールの父親(デイビッドの祖父)の回想を交えながら、雪山と狩りを軸に、父と子の関係が重層的につながっていく構成が良かった。

モンタナの自然描写も素晴らしい。

そして、熊の襲撃と銃の暴発事故によってカールが歩けなくなり、絶対絶命の状態に。

果たして、父子は雪山から生還できるのか?

父親から息子へと受け継がれる「何か」を感じさせる映画である。


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手引きしてくれる人がなければ、どうして分かりましょう

手引きしてくれる人がなければ、どうして分かりましょう
(使徒言行録8章31節)

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『ピーター・パンの冒険』(映画メモ)

ジェームズ・M・バリー(大久保寛訳)『ピーター・パンの冒険』新潮文庫

この小説は、ディズニーで映画化されたピーター・パンとは全く違う話である。

解説によれば、バリーが書いたピーターパンモノには『ピーター・パンの冒険』と『ピーター・パンとウエンディ』の2冊があり、ディズニー映画となったのは後者の話である。

本書は、生まれて1週間で人間であることを止めたピーター・パンが、家の窓から飛び出し、ロンドンのケンジントン公園の中で冒険を繰り広げる物語。

著者のバリーが描く、鳥と妖精の世界はとてもかわいく、彼の天才的な感性が伝わってくる。

読んでいる途中で、思わず「ふふっ」と笑ってしまう場面が多いのだ。

しかし、最後の方になると、この物語に隠された「思わぬ深さ」が明らかになり、とても悲しい物語であることが判明。

「本を読んで、こんなに感動したことはここ数年ない」というほど感動してしまった。

それだけの名作である。




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『ホテル・ハイビスカス』(映画メモ)

『ホテル・ハイビスカス』(2002年、中江裕司監督)

舞台は沖縄のホテル・ハイビスカス。

ホテルといっても1室だけで、ビリヤード場も併設されているが客はほぼ来ない。

母ちゃん(余貴美子)の夜のバー勤めで食べているのが実情である。

ちなみに、黒人とのハーフの兄ちゃん(ネスミス)、白人とのハーフの姉ちゃん(亀島奈津樹)、そして、現在の父ちゃん(照屋政雄)の子供である小学3年生の美恵子(蔵下穂波)と、かなりインターナショナルな家族である。

物語は、ガキ大将的な美恵子が、森の精霊キジムナーを探す冒険が中心で、ゆっくりと時間が流れる沖縄の雰囲気が伝わってくる。

心に残っているのは、父ちゃんの優しさと強さ

客の来ないビリヤード場でいつも昼寝しているラテン系の人なのだが、血のつながらない子供たちや自由奔放な母ちゃんを大切にする一方、叱るときにはしっかりと叱る。

こんな人と友達になりたいな、と思った。


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主よ、我らを憐れんでください。我々はあなたを待ち望みます。

主よ、我らを憐れんでください。我々はあなたを待ち望みます。
(イザヤ書33章2節)
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『紫式部日記』(読書メモ)

紫式部(山本淳子編)『紫式部日記』角川ソフィア文庫

源氏物語」の作者として注目された紫式部は、藤原道長に見込まれて、娘である中宮彰子の女房(侍女)として宮廷に入る。

本書は、その紫式部による宮廷回顧録である。

印象的だったのは、紫式部の繊細さとネガティブさ

編者の山本先生いわく「初出勤したものの誰も話しかけてくれないからといって自宅に逃げ帰り、そのまま五か月以上もひきこもる始末です」(p. 86)

また、現在では世界的に有名な『源氏物語』だが、当時は漢文や詩歌のほうが高く評価され、小説はサブカルチャー的な扱いだったというから驚きである(しかし、天皇も彰子も読んでいるのだが・・・)。

興味深かったのは、本書の前半では自信なげで超ネガティブな紫式部が、後半になると、自信と気合がみなぎり、彰子を守る女房軍団を叱咤激励するようになるところ。山本先生によれば、本書は紫式部の成長物語としても読めるという。

その原動力の一つは、『枕草子』の作者である清少納言の存在である。当時、小説よりも上とみなされていた随筆で一世を風靡していた清少納言をライバルとみなし、「負けてたまるか」と意気込んでいる様子がうかがえる。

優れた人との切磋琢磨の大切さがわかった。




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『さらば愛しきアウトロー』(映画メモ)

『さらば愛しきアウトロー』(2018年、デビッド・ロウリー監督)

老人だがダンディで優しそうなフォレスト・タッカー(ロバート・レッドフォード)は、60回の銀行強盗と、18回の脱獄を経験した犯罪者。ただし、銀行ではいつも礼儀ただしく、誰も傷つけたことがない(ちなみに、実在の人物)。

ニコニコと銀行のカウンターの係員に話しかけ、友達のような雰囲気で銃を見せて、「このかばんにお金をいれてくれるかな」という手口である。

タッカーいわく「楽に生きたくなんかない。楽しく生きたい」。

彼にとって銀行強盗は金を手に入れる手段というよりも、ゲームのようなものなのだ。

犯罪ではあるものの、タッカーの仕事ぶりのなかに「美学」を感じた。

なお、監督が「ア・ゴースト・ストーリー」のデビッド・ロウリーであることがわかり少しびっくりした(作風が全く違うので)。


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いつも喜んでいなさい

いつも喜んでいなさい
(テサロニケの信徒への手紙Ⅰ 5章16節)
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