goo

『北海道のハンセン病問題を知っていますか?』(読書メモ)

『北海道のハンセン病問題を知っていますか?』(北海道のハンセン病問題に関する協議会)

先日、映画『あん』を観たのは、このパンフレットで紹介されていたからである。

札幌地下道で開かれていたパネル展で渡されたものだが、読んでみて、病気による社会的差別の恐ろしさがわかった。

石山春平さんは、小学校6年のときにハンセン病にかかっていることがわかり、自宅で4年間隔離された後に、療養所に入ることになる。その後、職員と結婚し、退所した石山さんには子供ができる

しかし、子供さんは、授業参観のときにお父さんが学校に来ることを嫌がる。なぜなら、後遺症のため手や顔が曲がっいるため、友達にいじめられるからだ。

そのことを知った石山さんは担任の先生に事情を話し「PTAを辞めたい」と申し出るが、先生は「任せてください」と言い、二日後に結果を聞きにいくことになった。

「二日目の午後2時ごろ行ったら、子どもたちがちょうど学校から下校する時間だったんです。僕の顔を見るなり、みんな寄ってくるんです。駆け寄ってきて、「石山君のお父さん、偉いんだってね。先生に尊敬しなけりゃあ、だめだよって言われた」って言ってね。もう飛びついてくるの。今まで僕が学校行ったって、遠くの方からじっと何か好奇心の目で見つめて、うちの子もいつも下を向いていたんですよ」(p. 52)

この箇所を読み、社会的な偏見や差別に対処する際、「教育の役割」が大きいことがわかった。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

今泣いている人々は、幸いである、あなたがたは笑うようになる

今泣いている人々は、幸いである、あなたがたは笑うようになる
(ルカによる福音書6章21節)


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『世界のすべての朝は』(読書メモ)

パスカル・キニャール(高橋啓訳)『世界のすべての朝は』伽鹿舎

この本は響いた。

舞台は17世紀のフランス。古楽器「ヴィオル」の名手であるサント・コロンブは妻を亡くした後、郊外の家で娘二人と暮らすことに。

音楽家としての名声が響き渡るが、王様の招待も断るコロンブ。

有名になること、自分の作品を遺すこと」を頑なに拒む彼は、何のために音楽を奏でるのか?

金や名誉になびいた弟子との別れと再会を通し、コロンブの純粋な思いが伝わる。

何のために仕事をするのかについて強烈に迫ってくる作品である。

ちなみに、本書は1992年に早川書房から出版された本の再版であるが、なんとその出版社は熊本を本拠地とする伽鹿舎。とてもおしゃれな本に仕上がっている。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『あん』(映画メモ)

『あん』(2015年、河瀬直美監督)

樹木希林が出ている映画をはじめて見たが、引き込まれた

どこか影のある千太郎(永瀬正敏)が一人で切り盛りするどら焼き屋で、バイトするようになった徳江(樹木希林)。彼女がつくる餡(あん)が評判となり、店は大繁盛するものの、徳江が元ハンセン病患者であるという噂が広がり、客が来なくなるというストーリー。

この映画の見どころは、徳江があんを作る場面だろう。小豆の声を聞き、時間をかけて、慈しみながらあんを仕上げる姿が心にしみる。

うらぶれた永瀬正敏の演技もしぶく、河瀬ワールドを堪能した。









コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

男職場に「5時まで編集長」

今日の日経新聞を読んでいたら「男職場に「5時まで編集長」」というタイトルが飛び込んできた。

主婦向け女性誌『VERY』の編集長、今尾朝子さんは、出産後、夕方以降は会食やパーティを全て断り、子供最優先の生活を送っているという。

仕事が仕事だけに、「そんなことできるの?」と思ってしまったが、記事をよく読むと二つのことに気づいた。

第1に、集中して仕事をしていること。会社では「椅子に座る時間もない」という。

第2に、企画力で勝負していること。雑誌のターゲットを、「裕福な専業主婦の奥様」から「かっこいいママ」「働くママ」に変更している。

働く時間は限られていても、「集中し」「戦略を持って」仕事をすれば成果が上がる、といえるだろう。

出所:日本経済新聞2019年4月23日号



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

心の包皮を切り捨てよ

心の包皮を切り捨てよ
(申命記10章16節)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(読書メモ)

最果タヒ『夜空はいつでも最高密度の青色だ』リトルモア

同名映画の原作(題材?)になった詩集。

光と闇、希望と絶望、愛と憎しみが交じり合った不思議な作品である。

冒頭の「青色の詩」を紹介したい。

都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。
塗った爪の色を、きみの体の内側に探したってみつかりやしない。
夜空はいつでも最高密度の青色だ。
きみがかわいそうだと思っているきみ自身を、誰も愛さない間。
きみはきっと世界を嫌いでいい。
そしてだからこそ、この星に、恋愛なんてものはない。

(p. 7)

「花と高熱」という詩の最後の部分も印象に残った。

私は、命ではなくなる。妊娠、出産、種の存続。
産むなら、少し死んでみなくちゃいけないよ。
きみが終わらないと、世界は続かない。

(p. 50)

けっして共感できるわけではないが、心の中にじわりとしみ込んでくる詩である。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『永い言い訳』(映画メモ)

『永い言い訳』(2016年、西川美和監督)

妻(深津絵里)がバス事故で死亡したとき、不倫の最中だった小説家・幸夫(本木雅弘)は、一緒に亡くなった女友達の夫(竹原ピストル)とその子供たちの世話をするようになる。

本木雅弘も良かったが、竹原ピストルの迫力にびっくりした。

大人(妻、編集者、マネージャー)に対しては極めてひねくれた態度をとるが、子供たちにはとてもやさしい幸夫。

そのギャップに違和感があったが、これは幸夫が大人になっていくプロセスでもあることに気づいた。

育てることで育つこともあるのだな、と思った。

ちなみに、子役たちの演技が異常に上手い



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

怠けている者たちを戒めなさい。気落ちしている者たちを励ましなさい。弱い者たちを助けなさい。

怠けている者たちを戒めなさい。気落ちしている者たちを励ましなさい。弱い者たちを助けなさい。
(テサロニケの信徒への手紙Ⅰ5章14節)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『お茶をどうぞ 向田邦子対談集』(読書メモ)

向田邦子『お茶をどうぞ 向田邦子対談集』河出文庫

放送作家・エッセイスト・小説家だった向田邦子さんの対談集である。総勢16名の人たちと対談しているのだが、向田さんが乗っているときと、遠慮しているときの差が大きことに気づいた。

一番ノリノリだったのは、翻訳家・作家の常盤新平さんとの対談

テーマは「男」についてなのだが、向田さんは、「男のしょうもなさ」が好きらしい。

向田 わたし、男が、お金払うところを見るのも好きなんですよ。

常盤 あれで、全部わかっちゃうような感じがしますね。

向田 もう全部でますね。卑しさもステキなところも。もう大好きです、男がお金払っているのをみると。ケチケチ払うのもすごい好きなんですよ(笑)。レストランなんかで、こんなに食べられちゃったとか…。でも、それを見せないように平気な顔しているけど、残ってないなあとかね(笑)。
(P. 269)

こんな感じで、向田さんらしさ全開なのだ。たぶん、常盤さんが聞き上手なんだと思った(雰囲気なんかが)。

なお、この対談が行われたのは1979~1981年くらいなのだが、向田さんは1981年8月に飛行機事故で亡くなっている。黒柳徹子さんとの対談では、自身が書いた『父の詫び状』を「遺言のつもりで書いた」という箇所があり、ぎくりとした。

何かの予感があったのかもしれない。

人の運命のはかなさを感じた。











コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ