松尾睦のブログです。個人や組織の学習、書籍、映画ならびに聖書の言葉などについて書いています。
ラーニング・ラボ
『北海道のハンセン病問題を知っていますか?』(読書メモ)
『北海道のハンセン病問題を知っていますか?』(北海道のハンセン病問題に関する協議会)
先日、映画『あん』を観たのは、このパンフレットで紹介されていたからである。
札幌地下道で開かれていたパネル展で渡されたものだが、読んでみて、病気による社会的差別の恐ろしさがわかった。
石山春平さんは、小学校6年のときにハンセン病にかかっていることがわかり、自宅で4年間隔離された後に、療養所に入ることになる。その後、職員と結婚し、退所した石山さんには子供ができる。
しかし、子供さんは、授業参観のときにお父さんが学校に来ることを嫌がる。なぜなら、後遺症のため手や顔が曲がっいるため、友達にいじめられるからだ。
そのことを知った石山さんは担任の先生に事情を話し「PTAを辞めたい」と申し出るが、先生は「任せてください」と言い、二日後に結果を聞きにいくことになった。
「二日目の午後2時ごろ行ったら、子どもたちがちょうど学校から下校する時間だったんです。僕の顔を見るなり、みんな寄ってくるんです。駆け寄ってきて、「石山君のお父さん、偉いんだってね。先生に尊敬しなけりゃあ、だめだよって言われた」って言ってね。もう飛びついてくるの。今まで僕が学校行ったって、遠くの方からじっと何か好奇心の目で見つめて、うちの子もいつも下を向いていたんですよ」(p. 52)
この箇所を読み、社会的な偏見や差別に対処する際、「教育の役割」が大きいことがわかった。
先日、映画『あん』を観たのは、このパンフレットで紹介されていたからである。
札幌地下道で開かれていたパネル展で渡されたものだが、読んでみて、病気による社会的差別の恐ろしさがわかった。
石山春平さんは、小学校6年のときにハンセン病にかかっていることがわかり、自宅で4年間隔離された後に、療養所に入ることになる。その後、職員と結婚し、退所した石山さんには子供ができる。
しかし、子供さんは、授業参観のときにお父さんが学校に来ることを嫌がる。なぜなら、後遺症のため手や顔が曲がっいるため、友達にいじめられるからだ。
そのことを知った石山さんは担任の先生に事情を話し「PTAを辞めたい」と申し出るが、先生は「任せてください」と言い、二日後に結果を聞きにいくことになった。
「二日目の午後2時ごろ行ったら、子どもたちがちょうど学校から下校する時間だったんです。僕の顔を見るなり、みんな寄ってくるんです。駆け寄ってきて、「石山君のお父さん、偉いんだってね。先生に尊敬しなけりゃあ、だめだよって言われた」って言ってね。もう飛びついてくるの。今まで僕が学校行ったって、遠くの方からじっと何か好奇心の目で見つめて、うちの子もいつも下を向いていたんですよ」(p. 52)
この箇所を読み、社会的な偏見や差別に対処する際、「教育の役割」が大きいことがわかった。
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今泣いている人々は、幸いである、あなたがたは笑うようになる
今泣いている人々は、幸いである、あなたがたは笑うようになる
(ルカによる福音書6章21節)
(ルカによる福音書6章21節)
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『世界のすべての朝は』(読書メモ)
パスカル・キニャール(高橋啓訳)『世界のすべての朝は』伽鹿舎
この本は響いた。
舞台は17世紀のフランス。古楽器「ヴィオル」の名手であるサント・コロンブは妻を亡くした後、郊外の家で娘二人と暮らすことに。
音楽家としての名声が響き渡るが、王様の招待も断るコロンブ。
「有名になること、自分の作品を遺すこと」を頑なに拒む彼は、何のために音楽を奏でるのか?
金や名誉になびいた弟子との別れと再会を通し、コロンブの純粋な思いが伝わる。
何のために仕事をするのかについて強烈に迫ってくる作品である。
ちなみに、本書は1992年に早川書房から出版された本の再版であるが、なんとその出版社は熊本を本拠地とする伽鹿舎。とてもおしゃれな本に仕上がっている。
この本は響いた。
舞台は17世紀のフランス。古楽器「ヴィオル」の名手であるサント・コロンブは妻を亡くした後、郊外の家で娘二人と暮らすことに。
音楽家としての名声が響き渡るが、王様の招待も断るコロンブ。
「有名になること、自分の作品を遺すこと」を頑なに拒む彼は、何のために音楽を奏でるのか?
金や名誉になびいた弟子との別れと再会を通し、コロンブの純粋な思いが伝わる。
何のために仕事をするのかについて強烈に迫ってくる作品である。
ちなみに、本書は1992年に早川書房から出版された本の再版であるが、なんとその出版社は熊本を本拠地とする伽鹿舎。とてもおしゃれな本に仕上がっている。
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『あん』(映画メモ)
『あん』(2015年、河瀬直美監督)
樹木希林が出ている映画をはじめて見たが、引き込まれた。
どこか影のある千太郎(永瀬正敏)が一人で切り盛りするどら焼き屋で、バイトするようになった徳江(樹木希林)。彼女がつくる餡(あん)が評判となり、店は大繁盛するものの、徳江が元ハンセン病患者であるという噂が広がり、客が来なくなるというストーリー。
この映画の見どころは、徳江があんを作る場面だろう。小豆の声を聞き、時間をかけて、慈しみながらあんを仕上げる姿が心にしみる。
うらぶれた永瀬正敏の演技もしぶく、河瀬ワールドを堪能した。
樹木希林が出ている映画をはじめて見たが、引き込まれた。
どこか影のある千太郎(永瀬正敏)が一人で切り盛りするどら焼き屋で、バイトするようになった徳江(樹木希林)。彼女がつくる餡(あん)が評判となり、店は大繁盛するものの、徳江が元ハンセン病患者であるという噂が広がり、客が来なくなるというストーリー。
この映画の見どころは、徳江があんを作る場面だろう。小豆の声を聞き、時間をかけて、慈しみながらあんを仕上げる姿が心にしみる。
うらぶれた永瀬正敏の演技もしぶく、河瀬ワールドを堪能した。
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男職場に「5時まで編集長」
今日の日経新聞を読んでいたら「男職場に「5時まで編集長」」というタイトルが飛び込んできた。
主婦向け女性誌『VERY』の編集長、今尾朝子さんは、出産後、夕方以降は会食やパーティを全て断り、子供最優先の生活を送っているという。
仕事が仕事だけに、「そんなことできるの?」と思ってしまったが、記事をよく読むと二つのことに気づいた。
第1に、集中して仕事をしていること。会社では「椅子に座る時間もない」という。
第2に、企画力で勝負していること。雑誌のターゲットを、「裕福な専業主婦の奥様」から「かっこいいママ」「働くママ」に変更している。
働く時間は限られていても、「集中し」「戦略を持って」仕事をすれば成果が上がる、といえるだろう。
出所:日本経済新聞2019年4月23日号
主婦向け女性誌『VERY』の編集長、今尾朝子さんは、出産後、夕方以降は会食やパーティを全て断り、子供最優先の生活を送っているという。
仕事が仕事だけに、「そんなことできるの?」と思ってしまったが、記事をよく読むと二つのことに気づいた。
第1に、集中して仕事をしていること。会社では「椅子に座る時間もない」という。
第2に、企画力で勝負していること。雑誌のターゲットを、「裕福な専業主婦の奥様」から「かっこいいママ」「働くママ」に変更している。
働く時間は限られていても、「集中し」「戦略を持って」仕事をすれば成果が上がる、といえるだろう。
出所:日本経済新聞2019年4月23日号
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『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(読書メモ)
最果タヒ『夜空はいつでも最高密度の青色だ』リトルモア
同名映画の原作(題材?)になった詩集。
光と闇、希望と絶望、愛と憎しみが交じり合った不思議な作品である。
冒頭の「青色の詩」を紹介したい。
都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。
塗った爪の色を、きみの体の内側に探したってみつかりやしない。
夜空はいつでも最高密度の青色だ。
きみがかわいそうだと思っているきみ自身を、誰も愛さない間。
きみはきっと世界を嫌いでいい。
そしてだからこそ、この星に、恋愛なんてものはない。
(p. 7)
「花と高熱」という詩の最後の部分も印象に残った。
私は、命ではなくなる。妊娠、出産、種の存続。
産むなら、少し死んでみなくちゃいけないよ。
きみが終わらないと、世界は続かない。
(p. 50)
けっして共感できるわけではないが、心の中にじわりとしみ込んでくる詩である。
同名映画の原作(題材?)になった詩集。
光と闇、希望と絶望、愛と憎しみが交じり合った不思議な作品である。
冒頭の「青色の詩」を紹介したい。
都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。
塗った爪の色を、きみの体の内側に探したってみつかりやしない。
夜空はいつでも最高密度の青色だ。
きみがかわいそうだと思っているきみ自身を、誰も愛さない間。
きみはきっと世界を嫌いでいい。
そしてだからこそ、この星に、恋愛なんてものはない。
(p. 7)
「花と高熱」という詩の最後の部分も印象に残った。
私は、命ではなくなる。妊娠、出産、種の存続。
産むなら、少し死んでみなくちゃいけないよ。
きみが終わらないと、世界は続かない。
(p. 50)
けっして共感できるわけではないが、心の中にじわりとしみ込んでくる詩である。
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『永い言い訳』(映画メモ)
『永い言い訳』(2016年、西川美和監督)
妻(深津絵里)がバス事故で死亡したとき、不倫の最中だった小説家・幸夫(本木雅弘)は、一緒に亡くなった女友達の夫(竹原ピストル)とその子供たちの世話をするようになる。
本木雅弘も良かったが、竹原ピストルの迫力にびっくりした。
大人(妻、編集者、マネージャー)に対しては極めてひねくれた態度をとるが、子供たちにはとてもやさしい幸夫。
そのギャップに違和感があったが、これは幸夫が大人になっていくプロセスでもあることに気づいた。
育てることで育つこともあるのだな、と思った。
ちなみに、子役たちの演技が異常に上手い。
妻(深津絵里)がバス事故で死亡したとき、不倫の最中だった小説家・幸夫(本木雅弘)は、一緒に亡くなった女友達の夫(竹原ピストル)とその子供たちの世話をするようになる。
本木雅弘も良かったが、竹原ピストルの迫力にびっくりした。
大人(妻、編集者、マネージャー)に対しては極めてひねくれた態度をとるが、子供たちにはとてもやさしい幸夫。
そのギャップに違和感があったが、これは幸夫が大人になっていくプロセスでもあることに気づいた。
育てることで育つこともあるのだな、と思った。
ちなみに、子役たちの演技が異常に上手い。
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怠けている者たちを戒めなさい。気落ちしている者たちを励ましなさい。弱い者たちを助けなさい。
怠けている者たちを戒めなさい。気落ちしている者たちを励ましなさい。弱い者たちを助けなさい。
(テサロニケの信徒への手紙Ⅰ5章14節)
(テサロニケの信徒への手紙Ⅰ5章14節)
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『お茶をどうぞ 向田邦子対談集』(読書メモ)
向田邦子『お茶をどうぞ 向田邦子対談集』河出文庫
放送作家・エッセイスト・小説家だった向田邦子さんの対談集である。総勢16名の人たちと対談しているのだが、向田さんが乗っているときと、遠慮しているときの差が大きことに気づいた。
一番ノリノリだったのは、翻訳家・作家の常盤新平さんとの対談。
テーマは「男」についてなのだが、向田さんは、「男のしょうもなさ」が好きらしい。
向田 わたし、男が、お金払うところを見るのも好きなんですよ。
常盤 あれで、全部わかっちゃうような感じがしますね。
向田 もう全部でますね。卑しさもステキなところも。もう大好きです、男がお金払っているのをみると。ケチケチ払うのもすごい好きなんですよ(笑)。レストランなんかで、こんなに食べられちゃったとか…。でも、それを見せないように平気な顔しているけど、残ってないなあとかね(笑)。
(P. 269)
こんな感じで、向田さんらしさ全開なのだ。たぶん、常盤さんが聞き上手なんだと思った(雰囲気なんかが)。
なお、この対談が行われたのは1979~1981年くらいなのだが、向田さんは1981年8月に飛行機事故で亡くなっている。黒柳徹子さんとの対談では、自身が書いた『父の詫び状』を「遺言のつもりで書いた」という箇所があり、ぎくりとした。
何かの予感があったのかもしれない。
人の運命のはかなさを感じた。
放送作家・エッセイスト・小説家だった向田邦子さんの対談集である。総勢16名の人たちと対談しているのだが、向田さんが乗っているときと、遠慮しているときの差が大きことに気づいた。
一番ノリノリだったのは、翻訳家・作家の常盤新平さんとの対談。
テーマは「男」についてなのだが、向田さんは、「男のしょうもなさ」が好きらしい。
向田 わたし、男が、お金払うところを見るのも好きなんですよ。
常盤 あれで、全部わかっちゃうような感じがしますね。
向田 もう全部でますね。卑しさもステキなところも。もう大好きです、男がお金払っているのをみると。ケチケチ払うのもすごい好きなんですよ(笑)。レストランなんかで、こんなに食べられちゃったとか…。でも、それを見せないように平気な顔しているけど、残ってないなあとかね(笑)。
(P. 269)
こんな感じで、向田さんらしさ全開なのだ。たぶん、常盤さんが聞き上手なんだと思った(雰囲気なんかが)。
なお、この対談が行われたのは1979~1981年くらいなのだが、向田さんは1981年8月に飛行機事故で亡くなっている。黒柳徹子さんとの対談では、自身が書いた『父の詫び状』を「遺言のつもりで書いた」という箇所があり、ぎくりとした。
何かの予感があったのかもしれない。
人の運命のはかなさを感じた。
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