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高い者は低くされ、低い者は高くされる

高い者は低くされ、低い者は高くされる
(エゼキエル書21章31節)

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『コッド岬』(読書メモ)

ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(飯田実訳)『コッド岬』工作舎

『森の生活:ウォールデン』で有名なソローの旅行記である。

数年前に購入したのだが、読む気持ちが起きなかった。なぜなら、この本は、マサチューセッツ州にあるコッド岬を旅したときの見聞録のようなもので、あえて言うなら「ブラタモリ」的な書だからである。

しかし、毎朝1時間「コッド岬タイム」をとり、3週間かけて読み終えた。

結論から言うと「読んで良かった」。なぜなら、ソローがコッド岬の自然を味わい、現地の人々の声を聞き、過去の文献からコッド岬の歴史を掘り下げているからである。「博物学って、こんな感じなんだろうな」ということが伝わってきた。

なお、『森の生活』の中でよく出てきた思想的コメントはほとんどなく、「自然と歴史」に集中している点もよかった。

ところで、なぜソローは「コッド岬」を選んだのか?

それはたぶん、①ソローがもともと「森の人」であって、「海の生活」を知りたかったこと、②コッド岬がアメリカ創成に関わっていること、③自分が住んでいるところ(コンコード)から比較的近かったことが関係しているように思う。

冒頭にも書いたように、この本を読んだからといって「そうか、なるほど!」という知見は得られないのだが、どこかで「自分の世界が変わった」ような気がした。


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戦略的なプレイイング業務

ワークス研究所の調査によれば、「あなたは管理職としてプレイング業務を行っていますか?」という問いに対して、87.3%の管理職がYesと答えたらしい。しかも、87.3%のうち31%の人は、プレイイング業務比率が半分以上である。

こうした結果に対する、ワークス研究所の提言は次の3点である。

1)プレイング業務比率は30%未満におさえる
2)マネジャーであることで付加価値が高まる業務を担う
3)プレイング準備業務を戦略的に活用する

2)については、これまでとは異なるやり方が求められる変革的な業務を担い、3)については、新しいアイデアを試すことに活用すべきであるという。

変革型リーダーは、自らがモデルとなって率先垂範していることを考えると、上記のようなプレイイング業務をすることは、変革型のリーダーシップを発揮する上でも必要だといえる。

プレイングマネジャーとして働かざるをえない今、「戦略的なプレイイング業務」をしているかどうかが大事だと思った。

出所:Works Report 2020「プレイングマネジャーの時代」






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『ミスエデュケーション』(映画メモ)

『ミスエデュケーション』(2018年、デジリー・アカヴァン監督)

ホラー映画『モールス』の主演女優クロエ・グレース・モレッツが出ているので、観てみた。

高校生のキャメロン(クロエ・グレース・モレッツ)は、同性愛の現場を見つけられ、キリスト教に基づく矯正施設に送られることに。

この施設では「同性愛=罪」という前提のもと、異性愛者へと自己変革をさせる教育をほどこしている。

今どきこんな考え方があるのか?と不思議に思った。しかし、よく映画の内容をチェックしていると、高校のパーティーで「1993年ホームカミング」と書いてあったので、今から30年前まではLGBTへの理解が低かったのかもしれない。

この施設の責任者の女性(ジェニファー・イーリー)が、ニコニコしながら「同性愛=悪」という考え方を押しつけてくるのが怖かった(というか、演技が上手い)。

自分自身を憎ませるのは精神的虐待では?」というキャメロンの言葉通り、事件が起こってしまう。

改めて、自分の「個性」や「強み」を尊重する教育の大切さを感じた。







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人から出て来るものこそ、人を汚す

人から出て来るものこそ、人を汚す。中から、つまり人間の心から出て来るものこそ、人を汚す。
(マルコによる福音書7章20節)
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『状況に埋め込まれた学習』(読書メモ)

ジーン・レイブ&エティエンヌ・ウェンガー(佐伯胖訳・福島真人解説)『状況に埋め込まれた学習:正統的周辺参加』産業図書

実践共同体論の基本書である。改めて読み直してみたが「人が育つ職場と育たない職場の違い」がよく分かった。

新人が成長する職場では
①限定的な仕事から徐々に複雑な仕事を任せ
②仕事の見通しや全体感が持てるように工夫し
③先輩の仕事を観察させ
④自分自身について語らせると同時に、古参者の語りを聞かせる
という特徴がある。

逆に新人が育たないダメな職場では
①一つの仕事のみをずっと任せ
②仕事の全体像がつかめず
③先輩の仕事を観察するチャンスが少なく
④仕事についての語り合いがない

ダメ事例に当てはまってしまう職場がかなりあるのではないだろうか。日本企業では、特に②と④が弱いような気がした。

なお、大事なことは、職場で培われた知識やスキルを伝承するだけでなく、革新を起こして「知識やスキルを置換」すること。これがないと職場が成長しないのだ。

このときに欠かせないのは「独自の見方を持つ新人(新参者)」の存在である。こういう新人や異動者が入ると職場に緊張感やコンフリクトが生まれるが、これを乗り越えることで、人が育ち職場が成長するのである。

そういう意味では、「ナマイキな新人」「変わった新人」をつぶさずに生かすことが、職場学習のポイントになるといえる。

これも日本企業が弱いところだと思った。

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『ミステリートレイン』(映画メモ)

『ミステリートレイン』(1989年、ジム・ジャームッシュ監督)

舞台は、プレスリーの故郷であるメンフィス。同じホテルに泊まった客たちが織りなす3つの物語から成る映画である。

第1話に登場するのは、英語が話せない日本人観光客のジュン(永瀬正敏)とミツコ(工藤夕貴)。プレスリーのスタジオを見学したりして、ぶらぶら観光し、ホテルに泊まることに。

第2話では、航空チケットの関係でイタリアに帰れなくなったルイーザ(ニコレッタ・ブラスキ)が、たまたま出会ったディディ(エリザベス・ブラッコ)と相部屋となる。

第3話は、酔っぱらったディディの元ボーイフレンドのジョニー(ジョー・ストラマー)が酒屋の店主を銃で撃ってしまい、ティディの兄チャーリー(スティーヴ・ブシェミ)と友人ウィル(リック・アヴィレス)と共にホテルに逃げ込むという劇的な展開となる。

2話と3話はつながているが、1話だけ浮いているのが不思議だった。3話に共通しているのが、プレスリーとホテルだけである。

だが、よく考えると、この映画は能楽における「序・破・急」の構成になっていることに気づいた。

人生における「偶然性」と「共通性」がテーマなのかもしれない。

何が起こるかわからない列車の旅」こそ人の一生。この映画のタイトルにはそんな意味があるような気がした。






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あなたの命令に従う道を見分けさせてください

あなたの命令に従う道を見分けさせてください
(詩編119章27節)

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『シッダールタ』(読書メモ)

ヘルマン・ヘッセ(高橋健二訳)『シッダールタ』新潮文庫

ブッダをモデルとした小説かと思いきや、主人公はたまたま同じ名前の別人である。

裕福なバラモンの家に生まれたシッダールタだが、沙門(修行僧)になる決意をする。しかし、苦行の意味に疑問を持った彼は(ここまではブッダと同じ)、沙門の世界を離れて、遊女を愛人とし、商売を始め、ギャンブルの世界にはまっていく。

最も印象深かったのは、シッダールタが、その俗世を離れようとする場面

「いかなる師も自分を救いえなかったという、隠れた声の正しかったことを、彼は知った。だからこそ彼は俗世へ入って行かねばならなかった。享楽と権勢、女と金にふけらねばならなかった。彼の内の司祭と沙門が死ぬまで、商人となり、ばくち打ちとなり、酒飲みとなり、欲張りにならねばならなかった」(p.128)

「彼の内の司祭と沙門が死ぬまで」というところが大事である。

沙門時代はどこか上から目線で世の中を見ていたのに対し、下から世の中を見ることで、人生の本質を見極めることができたシッダールタ。罪にまみれないと、その罪の恐ろしさがわからないのだ。

今まで、 『車輪の下で』『デミアン』『クヌルプ』『ペーター・カーメンツィント』を読んだが、ヘッセはどの小説でも、結局は自分のことを書いているように感じた。

迫力ある仕事をするには「自分を表現する」ことが大事なのかな、と思った。








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プロフェッショナル作家の流儀

世界的なベストセラー作家であるディーン・クーンツ氏のインタビュー記事を読んだ。僕も以前Strangersという小説を読んだが、面白かったのを覚えている。

彼の家は貧乏で、お父さんはアルコール依存症で酒を飲むと暴力を振るっていたという。そこから逃避するための手段が本だったらしい。

ひどいお父さんだが、彼が作家になるのを助けたともいえる。

なお、クーンツさんの仕事の進め方に感銘を受けた。

「作家の中には、誰の指示も受けたくない人がいることは知っています。ただ私の場合、強迫神経症的なところがあって、1ページにつき20回とか30回ほど書き直しをしないと次のページに進めないのです。それで、編集者に渡す原稿はあまり手直しがないほど仕上がっています。

それでも優秀な編集者は常に、私が気づきもしなかったような問題点を拾って指摘してくれます。問題点がなければ、ほとんど修正は入らないのです。ですから、彼らの意見を素直に聞かない手はありません

このくらい徹底的に原稿を仕上げないといけないのだ。まさにプロフェッショナル

なお、「引退する予定はありますか」という問いに対しては次のように答えている(ちなみに、クーンツさんは現在74歳)。

「執筆を止めたら、何をすればいいかわかりません。書くことは私の一部ですから。才能とは神の恵みであり、生れ付き与えられた贈り物です。だからこそ才能には、それをできるだけうまく使う義務がついてくるのです」

この言葉にもグッときた。

出所:ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー2020年6月号, p. 140-141.


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