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『丘の上の本屋さん』(映画メモ)

『丘の上の本屋さん』(2021年、クラウディオ・ロッシ・マッシミ監督)

自然あふれるイタリア郊外にある小さな古本屋さんが舞台。

リベロ(レモ・ジローネ)は、こだわりを持つ筋金入りの古書店主。

本作品は
①隣のカフェの店員二コラ(コッラード・フォルトゥーナ)との交流
②アフリカからの移民の子供エシエン(ディディー・ローレンツ・チュンブ)に対する教育サポート
③ゴミ箱に捨てられていた日記(1957年代の日記)
から構成されている。

なかでも、貧乏なエシエンに、マンガ→子供向け童話→本格的小説を貸してあげて、導いていくプロセスが感動的である。

本に対する「愛」が伝わってきた。

挿入されているピアノ(ときどきギター)も美しい。

トータルな意味で珠玉の作品なので、是非観てほしい。

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『奇跡の教室:受け継ぐ者たちへ』(映画メモ)

『奇跡の教室:受け継ぐ者たちへ』(2014年、マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール監督)

舞台はパリ郊外の高校。

落ちこぼれの問題児が集まるクラスを担当することになった歴史教師ゲゲン先生(アリアンヌ・アスカリッド)。

勉強しようとしない生徒をやる気にさせるために取り組んだことが、全国歴史コンクールへの応募である。

アウシュビッツ」という難しいテーマに挑む生徒たちの活動を描いたのが本作(実話)。

資料館を訪れ、アウシュビッツ生存者の話を聞き、本やWeb資料を読み込むうちに、徐々に「探求の旅」にのめり込んでいく姿がよかった。

なぜ彼らはのめり込んでいけたのか?

それはアウシュビッツで殺された人々に「寄り添い」、自分たちと「重ね合わせた」からではないか。

探求しているテーマが「自分事」になるとき、我々は本気になるのだろうな、と思った。

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『いつか読書する日』(読書メモ)

『いつか読書する日』(2005年、緒方明監督)

しぶい映画だった。

美奈子(田中裕子)と槐多(カイタ)(岸部一徳)は高校時代につきあっていたのだが、美奈子の母親と槐多の父親が不倫しているときに事故死して以来、別々の生活へ。

50歳になっても、美奈子は独身で、朝早くから牛乳配達した後はスーパーのレジ打ちで働き、夜は読書する毎日(まるで苦行僧)。

槐多は、末期がんの妻・容子(仁科亜季子)を看病しながら、市役所で淡々と働いている(ロボットのよう)

しかし、言葉を交わすこともない二人が、今でも愛し合っていることが伝わってくる。はたして二人の恋はどうなるのか?というストーリー。

田中裕子と岸部一徳の地味な演技力に引き込まれた。

見どころは、二人の愛に気づいている末期がんの容子と美奈子のやりとり。

抑えきれない愛、倫理感、嫉妬がせめぎ合う。

ラストはもうちょっと工夫してほしかったが、悪くはなかった。
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『ザ・コントラクター』(映画メモ)

『ザ・コントラクター』(2022年、タリク・サレ監督)

米国陸軍の特殊部隊に所属していたジェームス(クリス・パイン)は、膝の怪我のためにクビになってしまう。

家族を養うために民間軍事会社に入り、ベルリンのミッションに加わるものの、どこからともなく敵が現れ、部隊は壊滅の危機に陥る。果たしてジェームスは生き残れるのか?というストーリー。

ハラハラドキドキ+意外な展開の連続」で、かなり見ごたえがあった。

まず、仕事上の負傷にもかかわらず、ジェームズが除隊させられる場面に驚いた(かなり冷たい)。

印象的なのは、民間軍事会社で働く元軍人の姿である。

家族のために戦う姿が切なすぎる

ただのアクション映画ではない。

この手の映画にしては珍しく、ラストシーンも良かった。
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『アンデス、ふたりぼっち』(映画メモ)

『アンデス、ふたりぼっち』(2017年、オスカル・カタコラ監督)

アンデス(ペルー)の山奥で暮らす老夫婦のパクシ(ローサ・ニーナ)とウィルカ(ビセンテ・カタコラ)。

完全に自給自足である(数頭の羊、リャマ、畑あり)。

都会で働く息子の帰りを待っているが、ここ何年も帰ってこない。

ちなみに、山奥度合いが半端なく、村までマッチを買いに行くのも命がけである。

息子に捨てられたと嘆き、寄り添いながら淡々と生活する二人の様子がまるでドキュメンタリーのよう。

良く考えると、隣近所もなくて、本当に「ふたりぼっち」で生きているのがすごい。

ただ、パートナーがいることの有難さが伝わってきた。

しかし、後半になるとおじいさんのウィルカが病気になり、二人の生活が脅かされることに・・・

ラストシーンも良かった。

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『パリに見い出されたピアニスト』(映画メモ)

『パリに見い出されたピアニスト』(2018年、ルドビク・バーナード監督)

悪い仲間と窃盗などを繰り返すマチュー(ジュール・ベンシェトリ)だが、小さい頃に近所の音楽教室で教わったピアノが得意である。

ある日、パリ音楽院のディレクターであるピエール(ランベール・ウィルソン)が、ストリートピアノを弾くマチューの演奏を聴き、その天才ぶりに驚く。

周囲の反対を押し切って音楽院でマチューを鍛え、コンクールを目指すという物語。

盗みに入った家でついピアノ演奏に夢中になり警察に捕まる場面が印象的である。目の前にピアノがあると弾きたくなる気持ちが伝わってきた。

ただ、音楽院でレッスンを開始するものの、やる気を見せないマチュー。「練習しない天才に何の意味があるのか」というインストラクターの言葉も響いた。

才能、見出す人、訓練する人、練習」これらが合体しないと才能が開花しない、と感じた。
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『希望の灯り』(映画メモ)

『希望の灯り』(2018年、トーマス・ステューバー監督)

しぶい映画だった。

舞台は旧東ドイツのスーパーマーケット

無口でがまじめだけれども、どこか暗い過去のありそうな青年クリスチャン(フランツ・ロゴフスキ )がスーパーで働くことに(身体に刺青あり)。

在庫係の先輩ブルーノ(ペーター・クルト)とのウマも合い、徐々になじんでいくクリスチャンだが、スイーツ担当の既婚女性マリオン(ザンドラ・ヒュラー)に恋をしてしまう。

果たして彼の恋や仕事は?

という物語。

まともに生きようという決意は伝わってくるものの、そうは問屋が卸さないのが人生。

いろいろな困難を乗り越えようとするクリスチャンの姿が見どころである。

絶望と希望が交差するラストも良かった。
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『トレーニングデイ』(映画メモ)


『トレーニングデイ』(2001年、アントワーン・フークア監督)

以前観たことある映画だが、やはりすごい迫力だった。

街のお巡りさんだった若手警官ジェイク(イーサン・ホーク)が、希望に胸を膨らませ、麻薬取締課へ移動した初日、ベテラン刑事アロンソ(デンゼル・ワシントン)に手ほどきを受ける物語。

1回目に観たときには気づかなかったが、ジェイク役がイーサン・ホークであることがわかりビックリ(若い!)。

アロンソは、いわゆる「悪徳刑事」で、「これくらいやらないと麻薬取締役は務まらん!」とジェイクをしごきまくる。いや、後半は「しごき」を超えてしまい、大変なことに・・・

とにかくハラハラドキドキで見ごたえ満点の映画だった。

本作で印象に残ったのは2点。

アロンソは、悪徳弁護士、悪徳検事、悪徳警官とネットワークを作って「もたれあい」の中で仕事をしていたこと。そうした仲間がいると、善悪の区別がつかなくなるのだろう。

それと、ジェイクがギャングに殺されそうになるのだけれど、ある正義の行いによって助かる場面がある。やはり、筋を通すと後から良いことがあるのだ。

警察にかぎらず、「これくらいいいだろ」と思ってルールを破ると、だんだん取り返しのつかないことになる、と感じた。
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『サウスポー』(映画メモ)

『サウスポー』(2015年、アントワン・フークア監督)

期待していなかったが、かなり良かった。

施設出身の世界チャンピオン、ビリー(ジェイク・ギレンホール)は、打たせて勝つスタイルのボクサー。

彼を心配し、サポートしてきた妻モーリーン(レイチェル・マクアダムス)が亡くなると、転落の人生が始まる。

試合で反則→ライセンスはく奪→自宅を失い、薬物中毒→娘も施設に入れられて離れ離れ・・・

そんなどん底状態で、ビリーは、街のボクシングジムを運営する教え上手のトレーナー、ティック(フォレスト・ウィテカー)の指導を受けることに。

ここから彼は、これまでの人生の考え方やボクシングスタイルを変えて、新しい道を歩んでいくのだが、まさにアンラーニング物語なのだ。

途中で観るのを止めようかと思ったが、続けて観てよかった。
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『いま、会いにゆきます』(映画メモ)

『いま、会いにゆきます』(2004年、土井裕泰監督)

この映画はすごい。

妻の澪(竹内結子)を病気で亡くした巧(中村獅童)は、6歳になる佑司(武井証)と二人暮らし。しかし、梅雨のある日、死んだはずの澪が現れ、つかのまの3人暮らしが始まる、という物語。

中村獅童が上手すぎて映画の前半から感涙状態になってしまった。

本人のキャラとはだいぶ違う「おとなしく、自信がなく、不安げな巧」を完璧に演じている。

映像も美しい。

ストーリー的にも、人生における「つながり」のありがたさとたいせつさを感じた。


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