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苦難の中から主に助けを求めて叫ぶと 主は彼らを苦しみから導き出された

苦難の中から主に助けを求めて叫ぶと
主は彼らを苦しみから導き出された

(詩編107章28節)

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『これは水です』(読書メモ)

デヴィッド・フォスター・ウォレス(阿部重夫訳)『これは水です』田畑書店

映画「人生はローリングストーン」に感銘を受けたので、ウォレスの「全米第1に選ばれた卒業式スピーチ」を読んでみた。

スピーチの出だしは二匹の魚の話し。年上のサカナが若いサカナに声をかける。

「おはよう、坊や、水はどうだい?」
いったい、水って何のこと?
(p 6-7)

泳いでいるサカナにとって「水」が当たり前であるように、われわれ人間にとって、決まりきった日常は「水」のようなものである。

そうした日常の中でどこに目を向けるか。それが人間の生き方を決める、というメッセージである。

「何に意味があり
何に意味がないかを 
こころして決断しなければなりません

何を崇拝すべきかは
あなたが決めなければならない
(中略)

僕らに唯一できる選択は
何を崇拝すべきか、だけです」

(p. 104-110)

カネ、モノ、からだ、美貌、権力、知性を崇拝しても、ろくなことにはならない、とウォレスは言う。

しかも、こうしたものを「無意識」のうちに崇拝してしまうところが怖いのだ。

では何が大事なのか?

それは、「思いやり」である。

自分が泳いでいる「水」を意識したい、と思った。





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『涙するまで生きる』(映画メモ)

『涙するまで生きる』(2014年、ダビド・オールホッフェン監督)

舞台は、1954年のアフリカのアルジェリア。

フランスからの独立運動が激化している中、現地の子どもたち向けに学校を開いているダリュ(ビゴ・モーテンセン)は、村で殺人を犯したモハメド(レダ・カティブ)を裁判所まで連行するように命じられる。

ちなみに、モハメドは裁判にかけられたら死刑、村にとどまっても村人に殺される可能性が高いのだが、家族のために自ら死刑を選ぼうとしている。

旅の途中、さまざまな出来事に遭遇する二人の距離が縮まり、モハメドの中に「生きる」ことへの希望が芽生えるという物語。

『永遠のジャンゴ』に出ていたモハメド役のレダ・カティブが上手い。

モハメドを助けているうちに、自分自身の生きる力を実感するようになるダリュの姿を見て、「人間の関係は鏡のようだな」と思った。
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金銭の欲は、すべての悪の根です

金銭の欲は、すべての悪の根です
(テモテへの手紙Ⅰ 6章10節)
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『吉田松陰』(読書メモ)

池田諭『吉田松陰』大和書房

1968年に書かれた吉田松陰論であり、「名著復刊」として出版されたもの。松陰の思想や人生が詳細に語られている。

吉田松陰は、日本という国を愛した思想家・実践家である。自らが変革者であり、多くの変革者を育てた。その根底には「兵学者」としての戦略がある、という点が興味深い。

印象に残ったのは、松陰が「弟子の強み」を伸ばそうとしたこと。

例えば、「頑固で強引な性格」を持つ高杉晋作の育て方。先輩である桂小五郎は、晋作の頑質を「そのために他人の言葉をきかなくなるのではないか」と心配していたという(p. 146)。

しかし、松陰は次のように考えていた。

「僕はこれまで高杉の頑質について、高杉の語ることはもちろん、その頑質を矯正しようとしたことはない。その頑質を矯(た)めようとすれば、人間は中途半端になるばかりか、むしろ、後日、大事業をなすにぜひとも必要な意志力を育てないことになる。高杉は、十年後こそ、大をなす人間である」(p. 147)

そして、親しみやすいタイプの久坂玄瑞と切磋琢磨させることで、晋作の頑固さをポジティブな方向へと育てていく。

一流の教育者は、学習者の「強み」を伸ばす、ということがわかった。


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『人生はローリングストーン』(映画メモ)

『人生はローリングストーン』(2015年、ジェームズ・ポンソルト監督)

「米国モダン文学の有名作家デヴィッド・フォスター・ウォレスが自殺した」という電話が、ローリングストーン誌の記者リプスキー(ジェシー・アイゼンバーグ)のところにかかってくる(実話)。

なぜなら、リプスキーは、Infinite Jestの刊行によって注目されたウォレス(ジェイソン・シーゲル)の自宅を訪問し、数日間の密着取材をしたことがあるからだ。ちなみに、取材の回想が、そのまま映画になっている。

過去に鬱を患い、生きることに誠実であるがゆえに傷つきやすいウォレスに対し、実生活の秘密を探り面白い記事を書こうとするリプスキー。二人の間に友情が生まれそうなところで、溝ができる。

一番印象に残ったのは、成功をうらやむリプスキーに対するウォレスの言葉。

悪い評判で傷つくと、自分に向けられた銃の経口は22から45に跳ね上がる

有名人への誹謗中傷問題が実感できた。

なお、この映画のタイトルはThe End of the Tourなのだが、邦題をなんとかしてほしかった。


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欲望が行きすぎるよりも 目の前に見えているものが良い。

欲望が行きすぎるよりも 目の前に見えているものが良い。
(コヘレトの言葉6章9節)
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『ハイジが生まれた日』(読書メモ)

ちばかおり『ハイジが生まれた日:テレビアニメの金字塔を築いた人々』岩波書店

テレビアニメにおける画期的な作品であり、その後のアニメに多大な影響を与えた『アルプスの少女ハイジ』

その舞台裏をプロジェクトX的に描き出したのが本書である。

高橋茂人、高畑勲、宮崎駿、小田部羊一といった俊才が奇跡的に集まって出来上がったハイジであるが、著者のちばさんは次のように言う。

「この演出なら、このレイアウトなら、この美術なら、この音楽なら・・・この人の言うことなら全て信じられる。あのとき現場にみなぎっていたのは、共に働く仲間への絶対的な信頼ではなかったか」(p. 156)

ちなみに、宮崎駿氏は「ただただおもしろがって作っていただけ」(p. 156)とコメントしている。

本書を読むと、関わった人たちが極限の状態に追い込まれながらハイジを作り上げたことが伝わってくるのだが、それを乗り越えられたのは「おもしろがる姿勢」であろう。

ストレッチとエンジョイメントの組み合わせが、良い仕事を生むといえる。


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わたしにつながっていなさい。わたしもあなたがたにつながっている。

わたしにつながっていなさい。わたしもあなたがたにつながっている。
(ヨハネによる福音書15章4節)

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『かもめ食堂』(読書メモ)

群ようこ『かもめ食堂』幻冬舎文庫

映画にしようか、小説にしようか迷ったが、小説にした。

ヘルシンキの街で小さな「かもめ食堂」を開いたサチエ。38歳なのに、フィンランド人から「子供」だと思われてしまうところが面白い。

警戒されて客も来ない食堂に、日本オタクのフィンランド人トンミ、親の介護を終えた中年女性ミドリ、カバンをなくした旅行客マサコが集い、徐々にお客さんも増えてくる。

人生の大通りから少し外れた人たちが寄り添う場。それが「かもめ食堂」なのである。

客が少ない状況の中で語られた、サチエの言葉が印象に残った。

何とかなりますよ。まじめにやっていれば。どんな店だって最初っから、どーんと人が入るわけじゃありません。正直にやっていれば、ちゃんとどうにかなるんです」(p. 90)

そう簡単にはいかないのでは?と思ってしまったが、そうであってほしい、とも感じた。

まじめに、正直に」が基本である。


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