goo

夜明けは近づいている、しかしまだ夜なのだ

夜明けは近づいている、しかしまだ夜なのだ
(イザヤ書21章12節)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『よいひかり』(読書メモ)

三角みづ紀『よいひかり』ナナロク社

ドイツ・ミュンヘンでの一か月。出会いと別れを描いた詩集。

才能に満ち溢れている。

「温度計」という詩の最後の部分がよかった。

あと数日
ひとりの日々で
今日のわたしが
いってきます

(p. 116)

「シンク」という詩の最後の箇所もよい。

流れた水が川にそそいで
海にかえって空から降る

だれしもが
絶え間なく
あっけなく消えて
あたらしくはじまる

(p. 122)

「あとがき」に、どういうときに詩が生まれるかについて書かれていた。

「台所で詩を書くことが多い。急ぎのしめきりがない早朝に、食事をしてから食器を洗う。台所の磨り硝子からさしこむ陽光を眺めつづけて、さみしいくらい感情というものがなくなったときに詩が湧き出る。とびきり心が揺さぶられたときではなく、自分という存在が沈黙したときに詩を書いているのだろう」(p. 126)

「自分という存在が沈黙したとき」に何かが降りてくるのかもしれない。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『マイ・フーリッシュ・ハート』(映画メモ)

『マイ・フーリッシュ・ハート』(2018年、ロルフ・バン・アイク監督)

ジャズ界伝説のトランぺッター、チェット・ベイカーの死を題材に作られた作品。

アムステルダムに滞在中、チェット(スティーブ・ウォール)がホテルから転落死したところからドラマは始まる。

捜査を担当した刑事ルーカス(ハイス・ナバー)とチェットの私生活が同期している粋な設定となっている。

全編に流れるチェットのブルースが心に響く。

神がかった音楽を奏でる一方、ドラッグのために悪魔のようになるチェット。仕事熱心で普段は優しいが、感情的になりやすいルーカス。

誰の心にも天使と悪魔がいて、日々戦っているんだ、というメッセージが伝わってきた。

ラストも良い。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

憐みは裁きに打ち勝つのです

憐みは裁きに打ち勝つのです
(ヤコブの手紙2章13節)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『アクロイド殺し』(読書メモ)

アガサ・クリスティー(羽田詩津子訳)『アクロイド殺し』早川書房

地主のロジャー・アクロイドが屋敷で殺され、ロジャーの義子、秘書、執事、家政婦、友人の少佐が疑われる。そして、おなじみのエルキュール・ポアロが大活躍する物語。

犯人の想定がつかないうちに終盤に入り、最後にどんでん返しが・・・

この「最後のどんでん返し」については、英米の探偵小説界で賛否両論が起こったようだ。

賛成派が「離れ業的」と称賛する一方、否定派は「ルール違反」と手厳しい。

ちなみに、僕は否定派である。「ちょっと待った、それはないだろう」という印象で、少しがっかりした。

この終わり方どこかで読んだことあるなと思ったら、アレックス・マイクリーディーズ(坂本あおい訳)『サイコセラピスト』(早川書房)であった。

アレックスの先生はアガサだったんだ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『トロッコ』(映画メモ)

『トロッコ』(2009年、川口浩史監督)

東京で新聞記者をしていた台湾人の夫が亡くなり、幼い息子二人(敦と凱)を連れて、夫の故郷に帰る夕美子(尾野真千子)。戦中は日本が占領していたせいもあり、義父は日本語を話すことができ、旧日本軍が作った森林鉄道もそのまま残っている。

日本と台湾という文化を超えて、家族が一つになるプロセスを描き出したのが本作。美しい映像と音楽が印象的である。

夕美子役の尾野真千子が上手いのはもちろんだが、敦役の原田賢人の演技が光る。

夫・父親の死に直面し、喪失感の中にいる母と息子が、台湾の自然と人々の優しさの中で癒されていく様子が心にしみる。

ちなみに、本作は芥川龍之介の「トロッコ」をモチーフにして作られたらしい。原作のあらすじを調べたところ、「なるほどな」と思った。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

時と機会はだれにも臨むが 人間がその時を知らないだけだ

時と機会はだれにも臨むが 人間がその時を知らないだけだ
(コヘレトの言葉3章11-12節)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『嵯峨野花譜』(読書メモ)

葉室麟『嵯峨野花譜』文春文庫

『蜩の記』が良かったので読んでみたが、本書のほうがさらに良かった。

主人公の胤舜(15歳くらい)は、大覚寺の花務職(花を生ける職)広甫の弟子。実は、老中水野忠邦の隠し子(側室の子)であるという設定は、どこか一休さんっぽい。

すごいと思ったのは、花を生ける「華道」を題材にしている点である。

師匠の広甫から、毎回、生け花のテーマが与えられ、それをクリアしながら成長していく胤舜。

生け花の持つ精神性が伝わってくる作品である。

本書を読み、自分も花を生けたくなった。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『リザとキツネと恋する死者たち』(映画メモ)

『リザとキツネと恋する死者たち』(2014年、ウッイ・メーサーロシュ・カーロイ監督)

ハンガリーのコメディ映画。

30歳のリザ(モーニカ・バルシャイ)は日本大使館婦人の住み込み看護師。日本の三文小説と、日本の歌手トニー谷(デビッド・サクライ)の歌がお気に入り。

ちなみに、トニー谷は既に死んでいて幽霊(実は悪霊)としてリザにつきまとう(ただし、いつも歌っていて、一見楽しげな様子)。

リザに近づく男たちが次々と死んでいく怪事件が発生するのだが、はたしてリザは幸せになれるのか、というストーリー。

トニー谷の呪いによって死んでいく男たちの中で、死なない男がいる。それは、住み込みで捜査するうちに、リザを愛するようになった素朴で純粋な刑事ゾルタン(サボルチ・ベデ・ファゼカシュ)である(ただし、大けがはする)。

愛の力が、邪悪な力をはねのける様子に少し感動した。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

あなたは他人には教えながら、自分には教えないのですか

あなたは他人には教えながら、自分には教えないのですか
(ローマの信徒への手紙2章21節)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ