七月大歌舞伎 昼の部 21(金)
泉鏡花作品4連発上演~ ラストを飾るのはこれ!
作:T6(1917)年 雑誌「新小説」
初演:S26(1951)年 新派 新橋演舞場
玉三郎初演:S52(1977)年 日生劇場
発表されたのは、ロシア革命の前夜。
戦前日の目を見なかった理由は、作品中の台詞にある。
上演されるその時代によって、人々の受け止め方は変わる。
今ここにいる私は何を思い、何を見るのか…。
き、き、来た~!!
『天守物語 』再びー。
玉三郎&海老蔵カップル、再びー。
演目発表で色めきだってから指折り数えて…。
大枚叩いて1階席…。
あ…でも2等なの…。通路を越して向こうは1等。
もうすぐそこだっちゅうのにねぇ。遠い~
”泉鏡花を体現する”
それは、たとえ骨格(戯曲)が揺るぎないものであっても、
肉付け(上演)するのはスーパーE難度!!
7年前は、そのハードルをヒョイと跳び越えていた玉三郎。
さまざまなジャンルの演者や劇場、映像で創造してきたこの物語。
歌舞伎座への凱旋は華々しいものだった~
今回は澤瀉屋一門と、どんな世界を創っているのだろう…。
時 不詳。ただし封建時代ー晩秋。日没前より深更にいたる
所 播州姫路。白鷺城の天守、第五重。
正面には大きな獅子頭。手前で侍女五人。
桔梗、女郎花、萩、葛、撫子、苧環の糸を垂らして秋草を釣っている。
ユラユラと舞う差し金の蝶達。
女童―合唱―
♪ここはどこの細道じゃ、天神様の細道じゃ、細道じゃ、♪
あの、釣を見ましょうね。
そうね。
いたいけに頷きあいつつ、侍女等の中に、はらはらと袖交う。
私も入れて~。
女童が4人になっちゃダメかしらん(年齢制限あるだろ~)
奥女中・薄(吉弥)も加わって楽しそ~。
吉弥はほんにイイの~。ステキだの~。
獅子頭も立派だの~。
…
あの音楽。あのメロディー。
来るゾ、来る来るー、来ましたー!
時に閃電す(略)階子の上より、まず水色の衣の褄、裳を引く。
すぐに蓑を被ぎたつ姿見ゆ。
長なす黒髪、片手に竹笠、半ば面を蔽いたる美しく気高き貴女、
天守夫人、富姫。
(その姿に舞い縋る蝶々の三つ二つを、蓑を開いて片袖に受く)
「出迎えかい、御苦労だね。(蝶に云う)」
玉さまの御声は“琥珀”。
静かに美しい。
御姿は華やか。だけど媚びてない。
滑るように歩く富姫…。
いつブレスしてるか解らんリズムで喋ってるし…。
ああ、人間じゃないぃぃぃ。
今日は、猪苗代から妹の亀姫が遊びにやって来る。
御一行を乗せた雲はCGじゃ~。新演出じゃ~。
亀姫は春猿…。ガンバッテるんだけど…。
ああ…。
私にとっての亀姫はやっぱり菊之助だ~
妖しかったもの。そして可憐だったもの。
夫人 よく、それで、手毬をつきに、わざわざここまでおいでだね。
亀姫 でございますから、お姉様は、私がお可愛うございましょう。
夫人 いいえ、お憎らしい。
亀姫 御勝手。(扇子を落とす。)
夫人 やっぱりお可愛い。
玉さまの“妖艶”に対して、亀姫役は“妖美”。
「人の首もペロッと食べちゃうんだろうな」っていう雰囲気が…ないと。
そういう不気味さが…ないと。
富姫へのお土産は生首!
ホレホレ、これじゃ、これが藤浪小道具の!
詳細はこちら → 現代歌舞伎と生人形
舌長姥(門之助)もいるぞい。
生首、ズルズル舐めてます、汁すすってます~。
朱の盆坊は右近。
♪ぼろぼん、ぼろぼん♪に節付いてんのが牧場!(OK)
こんな世界、解る人にはとことん
そうじゃない人には、とことん
楽しい時は瞬く間に過ぎ、別れの刻限
富姫から亀姫への贈り物は…美しい白鷹。
その夜。
図書之助(海老蔵)という若侍が、鷹を探しにやってきた。
その暗転の、スッポンの、なるほど、あそこから上がってくると、
まさに舞台は”お天守”なのでありました。
嗚呼、図書様~お久しぶりでございます~
相変わらず凛々しぃぃぃ。
御声が丸くなりましたね。
世間の泥沼で蠢くこの身には、眩し過ぎぃぃぃ。
”俺を見てヘロヘロになれビーム”だ!その目で私を見ないでぇぇぇ。
あ、見詰め合ってるのは富姫か…。
3階中壇で化け物が現れて、燈が消えた…。
そうして図書様は再び五重に…。
図書 お咎めをもって生命をめさりょうとも、男といたし、
階子から落ちて怪我をするよりはと存じ、
御戒をもはばからず推参いたしてございます。
夫人 (蝋燭を手にしたるまま)帰したくなくなった、
もう帰すまいと私は思う。
(略)
夫人 まあ、お勇ましい、凛々しい。あの、獅子に似た若いお方、
お名が聞きたい。
図書 夢のような仰せなれば、名のありなしも覚えませぬが、
姫川図書之助と申します。
夫人 可懐い、優しいお名、忘れません。
地上に降りた図書様は”賊”になってしまった!
この実況中継~。
大勢が抜連れた。あれ危ない。豪(えら)い。図書様抜合わせた。
…一人腕が落ちた。あら、胴切。あら、可哀相に、首が飛びます。
吉弥~。本当にイイっっ。
三度天守に上がる図書様。
惹かれあう2人に危機が!
武士達が天守にやってきて大暴れー!
獅子の目を潰してしまう。同時に、2人の目の前も真っ暗に…。
生首を放り投げ、人間どもを追い散らしたものの…。
夫人 …千歳百歳にただ一度、たった一度の恋だのに。
(略)
図書 せめて、その、ものをおっしゃる、貴方の、
ほのかな、口許だけでも、見えたならば。」
夫人 貴方の睫毛一筋なりと。」(声を立ててともに泣く。)
―待て、泣くな泣くな。―
桃六 美しい人たち泣くな。
彫り師(猿弥)が出てきて獅子の眼を直してくれるので、
2人の瞳も開いた。あ~めでたし。めでたし。
降り注ぐ言葉の星が、心の底のパンドラの箱を照らし出す。
手を触れれば暗闇へ…。
その勇気。今の私には無い…。
玉三郎、力の入った!入魂のひと作品!
しかし、まあ、なんと、色んな台詞で笑いを取ったことでしょ~。
「すずしい言葉だね」
「留守でなければ、いつでも居るから」
「帰したくなくなった」
何で?何で?何がオカシイの??
ギョギョギョの連続
「見ておいで、それは姫路の富だもの」
新幹線の窓から姫路城を見る度に、あのテッペンに富姫様が…。
白昼夢にふけって早何年…?
自分で思っていた以上に、
1999年版が心の奥深く潜水してるんだって痛感~。
感覚や記憶は曖昧になって行くものだけど、
”初めて”の感触は永遠のものだというから。
泉鏡花にジャックされた歌舞伎座っ!
作品2本で、45分間の休憩が1回きり!
終演も早い!肩も腰も疲れ知らず!HAPPY~
市川海老蔵主演 映画『出口のない海』
ネタバレなしっ!のレポ → 試写会
ワイドショーでも「竹内まりあの歌が完成」と題して予告編が!
またまた胸キュン…。
こちらのレポもどうぞ
7/7/~31
昼の部 「夜叉ヶ池」 「海神別荘」
夜の部 「山吹」 「天守物語」
ランキング参加中、あなたの清き一票を(笑)
でも「ずしょのすけ」って優しいお名前なのかなー
玉三郎さんのお声は”琥珀”ですか。そうですね。静かにそこに、周りがどうであろうと、存在する。。。言い得ていますね。
私にとって天守は初で、亀姫は春猿さんでしかないので、、、過去の写真で菊之助さんとか宮沢りえさんをみると、嫉妬してしまうのです^^。
あの天守の世界は、きっと今でも存在しているんですよ♪
泉鏡花の文章はもはや字幕必要な時代なのかもしれません。
でも、「今の歌舞伎座」があるうちにこの公演ができたのは金字塔だと思います。
このページを開けたとたんに富姫様のお顔、心臓に悪いです・・・ドキドキ。
>「ずしょのすけ」って優しいお名前なのかなー
ハッハッハ。「としょのすけ」って読みそうだし。入力する時「としょ」だし、私…。
あやめ様、まいど!
>嫉妬してしまうのです
フフン~。超×1000000くらい菊ちゃんヨカッタです。と嫉妬心をあおろうとする、私…。冗談です(笑)
>あの天守の世界は、きっと今でも存在しているんですよ
ですよね!
>富姫様のお顔、心臓に悪いです・・・ドキドキ。
ドキドキして頂いて光栄です!(笑)
本当は「打ち掛け」の図。にするべきところなのでしょうが、大好きな御顔なのでつい。
urasimaru様、まいど!
うん…たぶん照れ笑い?
歌舞伎座も「古い」雰囲気っていうのがイイですもんね。
あ、新館になったら「字幕付き」上演って事で…。(苦笑)
玉さまが登場された瞬間は、ツイ呼吸を止めて見詰めてしまいました。
(><)
美し過ぎる……。
(*ーー*)
あのような方に見初められたら、そりゃあもうもう恋に落ちるしか
あるまい!と納得してしまいました。
(^^;
笑い>
私も、どうにも気になって仕方ありませんでした。
先に観た華崎さんの感想にも、笑いが起き過ぎてと書いてあって、
自分が観た時もそうで、なんだか集中力を欠いてしまうような気が
してしまいました。
照れ隠しなんでしょうか???
ドップリ浸り切って堪能してこその楽しみを求めていた私には、
最後までどうもシックリきませんでした。
でも、物語には、充分に引き込まれてはいましたけれど。
(*^^*)
私、吉弥さんのことを書くのをすっかり忘れておりましたよ(汗/好きな女方さんなのに~)
それだけ玉さまにヤラレたってことでしょうか
皆様おっしゃってますが、「この台詞で何故笑う?」というのは私もすごく感じました。
「帰したくなくなった」なんて、「うんうん、その気持ちわかるよー」って思いっきり富姫の心に同化できるとこなのにーーーー。
菊之助の亀姫観たいですーーー
あやめさん同様、嫉妬心が湧きあがっております(笑)
>玉さまの御声は“琥珀”
さすがかしまし娘さん、ナイスです
こちらからもTBさせて頂きました。
玉三郎様&海老蔵様のカップルは、本当に素敵でした。玉三郎様の歩き方、台詞もどこで息継ぎをしているのか?分からないくらい妖しげな所作とリズム、私まで異世界へ行ったような気分になりました。仰るとおり「人間じゃぁない」と言うのがピッタリです。海老蔵様は凛々しく、お声が素敵でしたね。
一月脳が活性化しました。ブロガーの皆さんも確実にボキャブラリー増えています。公演は終了しましたが,子々孫々まで語り継ぐ責務ございますので皆様の総括を楽しませて頂きながら余韻を楽しみたいと思います。
TB&コメントありがとうございます。
ほんとに美しいお二人でしたね~。
富姫の口調がかっこよくてステキ
私もお姉様と呼びたいっす(笑)
菊之助さんの亀姫見たいな~(前に歌舞チャの放送では見ました)。
玉さん&菊之助さんだと富姫と亀姫の間に流れるちょっと怪しい雰囲気がもっと出るんじゃないかな~??