薬屋のおやじのボヤキ

公的健康情報にはあまりにも嘘が多くて、それがためにストレスを抱え、ボヤキながら真の健康情報をつかみ取り、発信しています。

医師・和田秀樹が指摘する「日本の高齢者医療」の深すぎる闇

2023年12月30日 | 医者と患者・医療制度の問題点

医師・和田秀樹が指摘する「日本の高齢者医療」の深すぎる闇

PREIDENT Online 12月30日配信で、「本稿は、和田秀樹『医者という病』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです」との断り付きで、表題の記事が掲載されていましたので、その全文をコピーし、このブログの読者の皆様にお知らせします。
 なお、『
医者という病』という本には、副題として次のとおり掲げられています。
 患者は知らない“医療界の不都合な真実” 
 「80歳の壁」を超えたら病院には行くな!

(以下、ネット配信記事の全文をコピー)

 健康で長生きするにはどうすればいいのか。医師の和田秀樹さんは「医者が無理やり病気をつくり、本来は治療しなくてもよい人を治療するケースが驚くほど多い。医者にかかることで、かえって寿命が短くなるおそれがある」という――。

■日本の医療は、無駄な検査と投薬が多すぎる
 高齢者になると格段に処方される薬の量が増えますし、無駄な検査も増えてしまうので、医療費を増大させる要因になります。ただ、医者が正常値にこだわらず、「少しでも数値がその枠からはずれると、薬を使って数値を戻そうとする」という行為をしなければ、医療費が少しは軽減されるでしょう。
 日本の医療体制の崩壊を防ぐには、何とかしてこの「正常値信仰主義」を正して、無駄な検査や投薬を防ぐ必要があるのです。そのために大切なのは、血圧の高い人が薬をやめたらどうなるのか、逆に薬を飲み続けた人はどうなっているのかを、きちんと大規模調査することです。
 現状、日本の正常値にはまともなエビデンスがありません。それならば、ただの平均値±2標準偏差である正常値に頼らず、調査によって導きだしたエビデンスを元に、日本の医療のベースとなる治療方針を決めるべきではないでしょうか。
 その際には、ぜひ「成人の正常値」だけではなく、「高齢者の正常値」についても調査してもらいたいものです。
 私自身、もし許されるならば、健康状態を改善しつつも医療費を下げる研究などをしたいです。しかし、大学医学部の教授のように研究費がない上に、研究スタッフもいないので、自分では実施できません。現在、研究ができる立場にいる大学の教授は、非常に恵まれています。

■がん検診が広がっても、がんが「死因トップ」のまま
 ところが、彼らは自分たちはろくにこの手の研究をしない上に、この手の研究をする人を選挙で教授にさせません。研究者を名乗るのであれば、研究費稼ぎのための製薬会社にこびへつらうための研究ではなく、少しでも日本の医学に貢献する研究を進めてほしいものです。
 もしまともな研究をしないならば、もっと向学心のある若者に道を譲って、引退していただきたいです。
 各種検査の中で、「これは不要ではないか」と私が強く思うのは高齢者の「がん検診」です。
 日本人の死因の一位となるがんで死ぬ人が増えるほどに、マスコミなどを通じて「がんは怖い病気だから、がん検診を受けよう」と喧伝(けんでん)されがちです。しかし、世界中を見ても日本でがんの死者数が多く増え続けている理由の一つは、「がん検診のしすぎ」だと感じています。
 昨今の日本では、腫瘍マーカーなどの血液で簡単にできる検査をはじめ、がん検診が広く行われるようになりました。しかし、がん検診がどんどん普及しているのに、がん患者の数が増え、がんによる死亡者数も増えています。
 なぜこんな不思議な事態が起こっているのでしょうか?
 それは、検診で見つけなくてもよいがんを発見しては、無理やり治療するからこそ、がん患者やがん死者が増えているという大きな矛盾が存在するからです。

■高齢者にがん検診は必要ない
 そもそもがんは治療せずに放置していても、死の直前までは痛みなどを感じづらく、晩節を穏やかに過ごせるため、「最も幸せな病気」と言う医者もいるほどです。余命があと数年という患者さんのがんを見つけて、それを無理に治療してつらい思いをさせる必要はないと私は思います。
 また、どんなに対策していても、高齢者になるほどにがん患者の割合は増えていきます。そもそもがんという病気は、細胞の老化によって引き起こされる要素があります。私がかつて浴風会病院という高齢者専門の総合病院に勤務していた際、患者さんの遺族の許可を取り、毎年100例ほどの遺体の解剖が行われていました。
 解剖してみたところ、80代後半の方で、体の中にがんのない患者さんはほとんどいませんでした。それでも、がんが死因だった人は三分の一くらいで、残りの方はご自身ががんであることを知らずに亡くなっていきました。  高齢者であれば、がんが体内に発生したとしても、無理やり早期発見をして、治療する必要はないともいえるのです。

■一番怖いのは「がんもどき」を無理やり治療する行為
 「病気は早期発見するほうが良い」と思われるかもしれませんが、検診によって恐ろしいのが、本来は治療しなくてもよい「がんもどき」を発見することです。「がんもどき」を最初に提唱したのは、近藤誠先生です。がんには、ほかの臓器への転移や浸潤(しんじゅん)する能力を持つ危険ながんと、これらの能力を持たない「がんもどき」の2種類があります。
 危険ながんの場合は、手術などで取り除いても再発を繰り返しますし、手術や抗がん剤治療などを行うことで体への負担が強くなり、死期が早まることもあります。
 しかし、がん検診で見つかる早期がんの大半は、「早期治療したほうが良いがん」ではなく、治療する必要のない「がんもどき」だというのが、近藤先生の考え方です。悪さをしない「がんもどき」は、転移はしないので、ご自身が症状を自覚するようになってから治療しても、決して遅くありません。
 「がんもどき」の代表的なものといえば、スキルス性以外の胃がんや前立腺がん、甲状腺がんなどです。これらのがんは、手術や抗がん剤、放射線などで治療しようと試みられがちですが、放置しても問題がないことも多いので、無理に治療してQOLを下げるほうが問題だと私は考えています。
 何が言いたいのかというと、がん検診を受けても、数種類のがんをのぞけば、大半のがんは見つけても助からないか、放置しても問題のないもののどちらかしかないということ。ですから、日本では数多のがん検診が行われているものの、がんの死亡者数がちっとも減らないのです。

■がんと一緒に生きる選択肢もある
 早期発見したとしても、深刻ながんの場合は、寿命を1、2年延ばすことはできても死を防ぐことは難しいのです。
 非常に残念なことですが、転移するタイプのがんは、10年ほどの年月をかけて、1センチほどの大きさへと成長していきます。その頃になってようやくがんを発見できるわけですが、すでにその時点で、がんは体中のいろいろな場所へと転移しています。
 つまり、がんの種類が悪ければ、早く見つけて治療してもうまくいかないですし、がんの種類が悪さをしないものであれば、治療をしなくても長生きできるのです。
 もちろん若い人ならば手術や治療に耐えられる力はあると思うので、早期発見によって治療する選択肢も悪くはないでしょう。ですが、ただでさえ体中の細胞ががん化しやすい上にその進行が遅い高齢者については、早期発見したせいで治療を行うことになり、抗がん剤や手術で体を壊したり、入院によって足腰が弱ったり、体力が大きく落ちてしまったり……との弊害が起こりがちです。
 私自身が見てきた多くの高齢者たちの中には、がん検診を受けず、自分ががんだと知らなかったがゆえに、最後まで人生を楽しみ、穏やかに亡くなった方々が大勢いらっしゃいます。
 どちらを選ぶかは価値観次第ではありますが、検診を通じて無理にがんを見つけて戦おうとするのではなく、もしかしたら体にいるかもしれないがんと一緒に生きるという人生を選ぶことも、一つの手段だと思います。

■過度な医療の介入は健康を損なう
 現在の日本の医療は、事前に病気を防ごうとする予防医療が中心です。ですが、そのやり方はあまり意味がないのではないかと、私は常々思っています。
 そう思う根拠の一つに、1974年から1989年にわたってフィンランドの保険局で行われた大規模な調査研究があります。この調査では、40歳から45歳の循環器系が弱い男性が約1200人参加し、健康管理をされたグループと何も介入しないグループとに分けて、その後15年間にわたって追跡調査を行いました。
 最初の5年間、健康管理が行われたグループは、4カ月ごとに健康診断を行った上で薬剤が処方され、アルコールや砂糖、塩分の管理など食生活に関する指導も行われました。何もしないグループでは、健康調査票への定期的な記入以外は、放置されたのです。
 その後、6年目から12年目については、健康管理は自己管理にしてもらい、15年後に両者の健康状態がどうなっているのかを検査しました。多くの方は、最初に健康管理されたグループのほうが、十五年目の健康状態は良いはずだ……と考えるのではないでしょうか。
 しかし、結果はその予想を大きく覆すもので、がんをはじめとする各種の病気の死亡率や自殺者数、心血管性系の病気の疾病率や死亡率などの数値は、きちんと健康管理が行われていたグループのほうが高かったのです。
 この結果を見て、「過度な医療の介入は健康を損なうのではないか」と感じる人は少なくないでしょう。

■欧米で集団検診が廃止になったワケ
 ただ、私が驚いたのは、このフィンランドの研究が発表された後の日本の医者たちの反応でした。本来ならば、多くの医療関係者たちがこの衝撃的な結果に対して真剣に向き合うべきだと思いますが、日本の多くの医者たちは「調査の仕方が間違っているのでは」といって検証もせず、バカにするだけ。
 医者たちが科学者である以上、調査で自分が納得のできない結果が出たのならば、きちんとその原因を精査すべきではないでしょうか? 調査の仕方が悪いというのであれば、それを修正した上で何がおかしかったのかを具体的に挙げるか、自分たちが同じ実験を行って、「このデータは間違っている」と指摘するべきです。
 科学的なデータには科学的な反論が必要です。ですが、日本の医者の大部分は、こうした作業を怠り、自分たちの常識と違うデータは、検証もせずに排除する。国立大学にしても私立大学にしても、彼らの研究には国からの補助金も出ています。当然ながら、補助金は国民の税金から成り立っているのですから、研究費をもらう以上は公共の利益に還元されるような研究をするべきです。
 ですが、彼らはこれまでの常識を覆す実験や調査結果に文句ばかり言って、自分たちでその結果を調査することはしません。これでは、日本の医学がいつまでたっても進歩しないのは当然です。だからこそ、日本は、アメリカよりも医学の進歩が10年(下手するとそれ以上)遅れてしまうのでしょう。

■集団検診が義務化されているのは、日本と韓国くらい
 また、そもそもの集団検査自体も、国際的には不要論がささやかれています。
 日本では、集団検診をして、血圧や血糖値、コレステロール値を見て、異常値があれば、検査データを正常にするために薬を出すやり方が主流です。ただ、世界的な研究で、集団検診は結果的には患者の寿命をあまり延ばさないということが近年わかってきました。
 欧米ではいち早くこの事実に気が付いたため、集団検診は廃止になっています。現在のように、日本のような集団検診が義務化されているのは、日本と韓国くらいです。
 2019年2月の日経新聞の報道によれば、OECDも日本の集団検診には見直しを求めているほどです。この事実について、もっと多くの日本人は知っておくべきではないかと私は思います。

■医療行為をしないほうが死ぬ人は減る
 日本でも、医者いらずのほうが、寿命が延びた例はあります。その有名な例として挙げられるのが、「夕張パラドックス」でしょう。
 2006年、北海道の夕張市が財政破綻し、市民病院が廃止になり、19床の診療所となったため、夕張市民たちが病院で医療行為を受ける回数が格段に減りました。病院に行けないのであれば死者数は増えるのでは……と思われるところですが、なんと夕張市では、がんで死ぬ人と心臓病で死ぬ人、脳卒中で死ぬ人の数がすべて減り、老衰で死ぬ人の数だけが増えたのです。
 この夕張市の事例は、医療行為をしないほうが死ぬ人は減るし、病気にならずに老衰で死ねるという疫学的な根拠になったといえます。
 コロナ禍でも、医療行為をしなかったゆえに死亡者数が減るという現象がありました。新型コロナウイルス感染症が日本にやってきた最初の年である2020年、実は日本全体の死者数が驚くほどに減りました。2020年は死亡数が約138万人で死亡数は11年ぶりに減少しました。
 本来、少子高齢化が進んでいますから、死者数は毎年増えるはずなのに、2020年は前年より死者数が約9000人も減ったのです。

■医者が無理やり病気を作り出しているのではないか
 多くの方は、コロナ禍には人がバタバタと亡くなっていったと思いがちですが、コロナが流行ったせいで医療機関に行かなくなった患者がものすごく増えました。何しろ熱があったらコロナだとみなされ、病院に拒絶されることが多かったのですから。
 その後、2021年と2022年は史上最大の死者数を更新しました。これは、以前と同じように医者の治療を受けていたら死んでいた人たちが、一年間寿命が延びた結果だと考えれば、医者に行かなければ一年くらい寿命が延びるという大きな推定根拠になったと思います。
 そして、もう一つの特徴は老衰が大幅に増えていることです。これも医者に行かないと、病気で死なないで自然に死ぬことができるということでしょう。
 医者が無理やり病気をつくった結果、本来は治療しなくてもよい人が治療する羽目に陥っているケースが驚くほど多いことが、これらの事例からよくわかるのではないでしょうか。

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和田 秀樹(わだ・ひでき) 精神科医 1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
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(以上、全文をコピー)

 いかがですか。
 後期高齢者ともなれば、片足を棺桶に突っ込んだ身体になっていますから、何も治療しなくていいのですよね。もっとも、痛みがひどくて夜も眠れないとなるような場合は、痛みを取る薬は必要でしょうけど。
 小生の前立腺がんも、きっと、ここで言われている「がんもどき」でしょう。無治療でいくことにしたのは正解というもの。
 先日、小学校の同級生と話をしていたら、無呼吸症候群の治療(これも治療を受けなくていい病で、夜中にポックリ逝ける可能性のある有り難いもの)をしていたら、夜間の呼吸が円滑になり、血圧が少し下がった。よって、血圧の薬は飲まなくてよくなり、昔のような活力が出てきた。よ~し、百姓を頑張るぞ!という気がグーンと湧いてきたという。最初から血圧の薬なんぞ断ればよかったのに、であるが、医者は少しでも血圧の基準値を超すと患者(病人ではないが病人にさせられてしまう)に降圧剤を飲ませるから、脳血流が悪くなって無気力になる傾向が出てくるのである。同級生の場合、結果オーライであるから、めでたし、めでたし、である。ついでに、無呼吸症候群の治療も止めればいいのだが。

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銭で動いた新型コロナワクチン総まとめ

2023年12月27日 | 風邪・インフルエンザ・コロナ

 少々遅くなりましたが、新型コロナワクチンが銭で動いたことを総まとめされた、コラム記事が目に留まりましたので、紹介させていただきます。
 筆者は、このブログでも度々登場いただいた、大阪市立大学医学部名誉教授の井上正康氏(感染症学、分子病態学、分子生理学)で、月刊東洋療法 2023年11月号 掲載記事『遺伝子ワクチンと血塗られたノーベル賞』です。
 ま~ずは銭、銭、銭で何もかも動き、大勢に反する見解を述べた者はパージされるという恐ろしい世の中。儲かりゃ人の健康が害されようが死のうが知ったこっちゃない、という社会になってます。
 それにしても、まだまだワクチンを打つ人は随分といるもの。今日現在の接種者数を下に掲げておきます。
  1回目接種 105百万人
  2回目接種 103百万人
  3回目接種  87百万人
  4回目接種  59百万人
  5回目接種  38百万人
  6回目接種  25百万人 (今年春)
  7回目接種  16百万人 (今年秋~来年春)2023.12.26現在

クリック → 遺伝子ワクチンと血塗られたノーベル賞

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三百年も続くベストセラー「養生訓」(三宅薬品・生涯現役新聞N0.347)

2023年12月25日 | 当店毎月発刊の三宅薬品:生涯現役新聞

当店(三宅薬品)発行の生涯現役新聞N0.347:2024年1月1日発行

表題:三百年も続くベストセラー「養生訓」

副題:貝原益軒83歳で没する前年の著、現代に通用する健康書です

(表面)↓ 画面をクリック。読みにくければもう1回クリック。以下同様です。

   

(裏面)瓦版のボヤキ

    令和6年から当店定休日を土・日・月曜日3連休に

   

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「後期高齢者」の次は「終期高齢者」その次は「末期高齢者」となりゃせんか

2023年12月23日 | やがて訪れる死に備えて

(別立てブログ“一日一楽日記”に昨日投稿した記事をこのブログに再掲しました。)

「後期高齢者」の次は「終期高齢者」その次は「末期高齢者」となりゃせんか

 65歳以降を「高齢者」というが、いつからこのように言われるようになったのかを、Bingチャットに聞いてみたら、次のようであった。
 65歳以上を「高齢者」として区分することは、1956年に国際連合が提出した「人口高齢化とその経済的・社会的意味」という報告書によるものです。
 ついでに「後期高齢者」という言葉についても聞いてみた。
 2008年(平成20年)に施行された「高齢者の医療の確保に関する法律」を根拠法とする日本の医療保険制度である「後期高齢者医療制度」の創設とともに生まれました。

 今度はウイキペディアで「高齢者」を見たら、なんと聞いたことない言葉が出ていた。
 65~74歳を前期高齢者(准高齢者)、75~84歳を中期高齢者と呼ぶこともある。

 となると、狭い意味での「後期高齢者」は85歳以上を言うことになるのか?
 これじゃあ、ややこしい。
 「高齢者」と「後期高齢者」の年齢がいくつなのかは、世間一般に知れ渡っているのだから、年齢階層別の呼び名はすっきりと分かりやすいものにしたい。

 人生100年時代になったのだから、「後期高齢者」は75歳もいれば85歳もおり、95歳だって随分といるという世の中になる。小生のように団塊世代ともなると、あと20年生きて95歳になる輩は今の倍になりゃせんか。
 実に厄介者である団塊世代。今は75歳前後で、まだまだ元気な輩が多く、介護を必要とする御仁は少数派だが、たいていの者は医療費をけっこう使い始める。小生とてそうだ。
 10年後、20年後はどうなるか。考えるだけで末恐ろしいが、少し考えてみた。
 75歳「後期高齢者」ともなれば、たいていは隠居生活となり厄介者となるから、“はよう死ね!”と言われても文句は言えない。
 85歳ともなれば、介護を必要とする者がうんと増えて、“いつまで生きとるんや!”と叱られても文句は言えない。このころからボケ老人がぐーんと増えるから始末が悪い。
 95歳ともなれば、たいていは寝たきりとなり、施設への収容もままならず、“いいかげんに逝け!”と罵声を浴びせられても文句は言えない。

 こうしたことから、年齢階層別の呼び名は次のようにしてはどうだろう。
  75~84歳 後期高齢者
  85~94歳 終期高齢者
  95歳~  末期高齢者

 今75歳前後の団塊世代は長生きせんほうがええ。「後期高齢者」という言葉のイメージは悪い、そう年寄りどもから言われ続けて久しいが、10年後、20年後にはもっと悪いイメージの言葉が誕生せやせんか。それを先取りした呼び名が頭に浮かんだ次第。
 
 人生、経験すべきことは、何事も早いに越したことはない。人より遅れると貧乏くじを引かされるのがおちである。特に団塊世代は人数が多いから、ことごとくそうであった。
 “早いもん勝ち!”なのである。現世からおさらばするのも“早いもん勝ち!”
 あの世行きの便に乗り遅れると…その後を考えるとゾッとする。  

 先日、義弟の葬儀に行ってきたが、彼は76歳であった。親類縁者に悲しまれ、“ありがとう”の言葉もかけてもらえ、彼は幸せだった。これも“早いもん勝ち!”であったからだ。
 小生も85歳になる前に逝きたいものだ。「終期高齢者」になる前に。そうすりゃあ、滑り込みセーフでぎりぎり“早いもん勝ち!”の部類に入りゃせんか。「前立腺がんと共に生き、がんと共に死ぬ」とばかり、無治療でいくと決め込んでいるのだが、前立腺がんは進行がとんと遅いから、どうやら“早いもん勝ち!”となれるのは随分と怪しいものとなりそうだ。弱った!

 今日は、泌尿器科のかかりつけ医へ、まだ小便の出を良くする薬が残っているも、年末は混むだろうからと、早めに行ってきた。また、12月1日にM総合病院の医師に「前立腺がんはなんら治療せず」でお願いしたいと要望し、それが認められ、その旨をかかりつけ医に手紙を書いておくとのことであったから、かかりつけ医にも、それをお願いしたいこともあって、今日、行ってきたところである。話は1分で終わり、「前立腺がんはなんら治療せず」でいくことが決定した。
 これで、一区切りついた。「がんと共に生き、がんと共に死ぬ」という方向性が決まったところで、以上のとおり「終期高齢者」「末期高齢者」という言葉がフッと頭に浮かんできた。年齢階層別の新たな呼び名ができる前に“早いもん勝ち!”したいものである。

 小生の座右の銘は、ガンジーの言葉「明日死ぬと思って生きなさい。(この続きがあるが省略)」であり、日々の心構えは「赤秋(せきしゅう:青春に相対する言葉)時代を坦々と生きる」としている。蓮如上人の御文「白骨の章」で「朝には紅顔ありて、夕には白骨となれる身なり」とあるように、早々にピンピンコロリと逝きたいものであり、“まだ死にとうない”などと決して悪あがきしてはならないのである。
 しかしながら、生老病死は四苦(苦は「苦しみ」という意味ではなくて「自分の思うようにならない」)であるからして、お迎えは遠い遠い未来に先延ばしされるやもしれぬ。如何ともし難いのが死の訪れというものだ。

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24節気の健康と食養:冬至から小寒まで

2023年12月22日 | 24節気の健康と食養

24節気の健康と食養:冬至から小寒まで

24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 冬至 初候 乃東生(なつかくれくさ しょうず)夏枯草が芽を出す
        (乃東とは、冬に芽を出し夏に枯れる「夏枯草(かこそう)」の古名で、
         紫色の花を咲かせる「靫草 (うつぼくさ)」の漢方名です。)

    次候 麋角解(おおしかの つの おつる)大鹿が角を落とす
    末候 雪下出麦(ゆき わたりて むぎ いづる)雪の下で麦が芽を出す

「大雪」の次にやってくる24節気が「冬至」で、毎年12月22日頃(2023年は12月22日)になります。冬至でもって昼の時間が一番短くなり、これからは少しずつ昼の時間が増えてきますから、冬至はお目出度い日でもあるのです。
 しかし、気温はまだまだどんどん下がります。冬至が過ぎても小寒、大寒と気温は下がり続け、最低気温が底を打つのは立春の数日前ですから、気温の上昇は日照時間の転換より1か月ちょっと遅れます。厳しい本格的な寒さはこれからと心得ねばなりません。

 冬至から小寒(12月22日頃~1月5、6日頃)という時期は、忘年会、クリスマスパーティー、大晦日の一家団らん、正月3ガ日の食っちゃ寝、食っちゃ寝、といった不摂生になりがちな日々が続きます。(もっとも今年もコロナがために忘年会などは少ないですが。)
 こうしたことから、体調を崩しやすいですし、何よりも過食になりがちですから、くれぐれもご用心なさってください。特に、1月の定期健診で高血糖になっていて、糖尿病と判定される方が案外多いですから、ご注意なさってください。
 ここで、糖尿病予防にとても効果的な体操を一つ紹介しましょう。
 「かかと落とし」体操です。かかとをストンと落とすだけのことなんですが、これによって骨に衝撃を与えられ、骨から作られる「オステオカルシン(骨ホルモン)」が分泌されて、そのオステオカルシンが膵臓のβ細胞に働きかけてインスリンの分泌を促し、血糖値を下げる働きがあるのです。これは高血圧、骨粗しょう症対策にもなりますし、ダイエット効果もあります。より効果的な「レベルアップ編」も紹介されている下記サイトを参照なさってください。
 私のおすすめする「かかと落とし」です。【解説】鎌田實(諏訪中央病院名誉院長)

 本格的な寒さの訪れにより、食においても体を温めるものがより求められます。
 冬野菜がどれも旬となっており、基本的に体を温める効果があるものばかりですから、毎日の食卓に欠かせません。間違っても時期外れの夏野菜は常食されませんよう、ご注意ください。夏野菜は体の芯を冷やしてしまいますからね。
 前回、前々回の繰り返しになりますが、冬に共通する食養生をまずご説明しましょう。
 冬の食味は「塩味」です。塩っ辛すぎてはいけませんが、おいしいと感ずる程度に塩味をお楽しみください。減塩ブームになって久しいですが、その必要は全くありません。
 詳しくは、次の記事をご覧ください。
 立冬から冬、何を食しますか。まずは塩味が重要です

 冬至の食養生として有名なのが「冬至南京(カボチャ)」です。
 「冬至にカボチャを食べれば風邪を引かぬ」と言われます。カボチャは夏野菜で、夏野菜全般に体を冷やしますが、これだけは例外的に体を温める食材で、かつ、長期保存できます。そして、各種ビタミンも多く含まれ、特に免疫力を高めるカロテンが豊富ですから、いつしかこのように言われるようになったのでしょう。
 しかし、「冬至南京」のいわれは、別のところにありそうです。冬至は、この日を境にして日照時間が長くなる、お目出度い日でして、運も上向こう から、この日に「冬至七種(ななくさ)」を食べると幸運が得られる、という縁起かつぎが、随分と昔からありました。
 その7つの食材は、名前に「ん=運」が1つではなく2つも入ったもので、これを食せば御利益がいっぱい転がり込んでこようというもので、次のものです。
 南京(ナンキン=カボチャ)、人参(ニンジン)、蓮根(レンコン)、銀杏(ギンナン)、金柑(キンカン)、寒天(カンテン)、うどん(ウンドン)
 うどんがウンドンとは少々無理がありますが、語呂合わせのお遊びとしては許されるでしょうね。
 冬至の健康法としてもう一つ語呂合わせがあります。
 冬至に柚子湯に入るという風習が江戸時代にでき、今日まで引き継がれてきています。冬至(とうじ)=「湯治」、柚子(ゆず)=「融通が利く」に引っかけたものです。また、冬が旬の柚子は香りが強く、その強い香りでもって邪気を払うという意味合いもありました。これは、端午の節句の菖蒲湯も同様です。なお、参考までに、菖蒲湯の語呂合わせは、菖蒲は「尚武」に通ずるというものです。
 こうした信仰めいた健康法ではなく、真の健康法として前節でも紹介しました「ひなたぼっこ」がおすすめです。
 ビタミンDは紫外線を浴びることによって容易に生成されます。ビタミンDは骨作りだけでなく、案外知られていませんが、免疫力増強に欠かせません。室内に閉じこもりがちとなる冬の後半にはビタミンDは欠乏しがちとなり、それによってインフルエンザや風邪に罹りやすくもなりますから、ばかにできません。
  参照 → 冬はお日様に当たって健康づくり
 なお、コロナは過去のものとなりましたが、質の悪い風邪対策としてビタミンDは非常に重要なものとなりそうです。
  参照 → 新型コロナこれからの時期の自衛策はビタミンDに頼るしかなさそうです

 冬至から小寒の時期におすすめしたい普段の食事は、味噌煮込みうどんです。味噌は体を温める食材ですし、味噌に含まれる塩も体をグーンと温めてくれます。
 各種冬野菜をたっぷり入れればヘルシーな料理となりましょう。
 名古屋を中心に広く濃尾平野で盛んに食べられている味噌煮込みうどんは、赤味噌を使い、見た目は黒味噌で不気味かもしれませんが、これはとてもうまいです。ゴボウを入れるとよりおいしくなります。なぜか味噌煮込みうどんにはゴボウが合います。
 ついでながら、ゴボウと相性がいいものに鯛のかぶと煮、あら煮があります。鯛を丸ごと買ってきて、肉は鍋で鯛シャブにします。翌日、頭や骨の部分を煮込むのですが、ゴボウをたっぷり入れます。これが実にうまいです。鯛料理はお目出度い時期にいただきたいものですから、この節気にお召し上がりになることをおすすめします。
 また、ゴボウは苦味食品ですから、苦味をあまり取らなくなった今日、食味バランスを整える面でも、重要な食材になります。
 ここで、今が旬真っ盛りのゴボウの薬効について紹介しておきます。
 ゴボウは、便秘を改善して肌を整える美容食ですが、漢方では「余分な水分を排出し、血の巡りを良くし、風邪、咳、歯痛、腫れものを鎮める」とされ、利尿効果があることから、腎臓の機能アップにも役立つものです。なお、「腫れものを鎮める」
とは抗がん作用のことで、特に大腸がんの予防に適しています。
 これら薬効の主な要因となるのは、ゴボウに多く含まれているフラクトオリゴ糖の効果と思われます。その含有量はヤーコン芋(※当店ホームぺージで紹介)にはかないませんが、市場に出回っている食材のうち最もフラクトオリゴ糖が多いのがゴボウで、この糖は腸内善玉菌のかっこうの餌となり、腸内環境をグーンと改善してくれるすぐれものです。
 フラクトオリゴ糖は水溶性ですから、ゴボウを調理するとき、酢水に浸けてアク抜きすることが多いですが、これでは貴重なフラクトオリゴ糖がどれだけか逃げてしまいますので、あまりアク抜きしない方がいいです。なお、アクはポリフェノールですから抗酸化作用があり、こうした面からもアク抜きは少なめにした方がいいです。

 果物は前季、前々季でも書きましたが、今季もそのまま再掲しておきます。
 リンゴが出回っています。“リンゴが赤くなれば、医者が青くなる”という言葉があり、それだけ栄養価が高く、抗酸化力があったり、免疫力を付けたり、ということになりましょう。リンゴは平性の食品に分類されていますが、食べ過ぎるとやはり体を冷やすようですから、ほどほどの分量としたいです。
 そして、みかんが旬となります。こちらは温性の食品に分類され、体を冷やすようなことはなさそうです。みかんは風邪に対する抵抗力を付けてくれましょうし、特に皮は漢方では陳皮(チンピ)と呼ばれ、風邪に薬効ありとなっています。みかんの皮を料理に入れたり、漬物に加えたりしていただきたいものです。なお、陳皮は七味唐辛子にも加えられています。

 次回は、「小寒」(1月5、6日頃)からの健康と食養です。

追記 2018年12月9日)
 先日、何気なく「人民網日本語版」を久し振りに覗いてみたら、12月1日付けで次の記事が載っているのを偶然にも発見しました。
 中国の「二十四節気」ユネスコ無形文化遺産登録へ
 11月30日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産保護条約第11回政府間委員会で、中国が登録申請していた季節の節目を表す「二十四節気」が無形文化遺産に登録された。「二十四節気」とは、中国人が太陽の一年間の運動を観察し、一年の旬、気候、生物気象などの変化の法則を把握するために形成した知識システムと社会の実践だ。世界の気象界では、これを「中国の第五の大発明」と称賛している。新華社が伝えた。
(引用ここまで)
 お隣の中国から日本にも入ってきて定着している24節気です。喜ばしいことですね。

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24節気の健康と食養:大雪から冬至まで

2023年12月06日 | 24節気の健康と食養

24節気の健康と食養:大雪から冬至まで
 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 大雪 初候 閉塞成冬(そら さむく ふゆと なる)天地の気が塞がって冬となる
    次候 熊蟄穴(くま あなに こもる)熊が冬眠のために穴に隠れる
    末候 鱖魚群(さけの うお むらがる)鮭が群がり川を上る

 「小雪」の次にやってくる24節気が「大雪」で、毎年12月7日頃頃(2023年は12月7日)になります。「雪いよいよ降り重ねる折からなれば也」とのことで、「大雪」と言われるのですが、これは「小雪」のときに申しましたように中国大陸中心部でのことでしょう。
 ちなみに中国のとある旅行社の説明では、その昔、中国の中心地であった西安(昔の長安)の気候について「温和な気候と自然環境に恵まれた土地であり、原始先住民族が生活するのに理想的な土地でもあった。」と書かれていますが、
西安の12月の平均最低気温は-3.1℃(東京:3.8℃)ですから、降った雪は根雪になりましょう。
 ちなみに、当地:岐阜と東京の最低気温(平年値)も示しておきます。
  小雪(11月22日頃) 岐阜:6.8度 東京:7.5℃
  大雪(12月 7日頃) 岐阜:4.3度 東京:5.1℃
  冬至(12月22日頃) 岐阜:2.2度 東京:2.9℃
 岐阜より寒いはずの東京のほうが1℃近く高いのは、ヒートアイランド現象なのか、海との距離の関係なのか、両方あいまってのことか、よく分かりませんが、けっこうな差があるものです。(岐阜地方気象台:標高13m 
伊勢湾まで約40km)

 「大雪」の時期ともなると外気温はぐんと下がり、冬型の気圧配置が卓越して濃尾平野では“伊吹おろし”、関東平野では“からっ風”が吹き荒れる日が多くなり、ときに雪が舞うようにもなってきます。本格的な冬の到来を感じさせます。ちなみに岐阜地方気象台での初雪観測は平年で12月14日、「大雪」の7日後となります。
 植物は葉を落とし、すっかり休眠状態になっており、動物も冬眠したり、
あまり体を動かさなくなっています。ヒトも動物ですから冬ごもりの態勢に入り、生体反応は不活発になっています。そして、朝晩は室内暖房が欠かせなくなります。

 こうなりますと、屋外で体を動かすなんてことはおっくうになり、日頃の運動不足に拍車がかかります。ますます生活習慣病を呼びこむ、よろしくない生活態度。
 そこで、屋内でも簡単にできる体操を意識して取り組みたいものです。
 前節で紹介しました「膝(ひざ)屈伸運動」を引き続きやっていただきたいですし、上半身の筋肉のこわばりを解消し、体を温める次の体操(春分から清明の節気で紹介)もおすすめです。40肩、50肩の改善、予防にもなります。
・「8の字書き体操」
 立ったままの状態で、両手の掌を頭の上で合わせます。
 両足を4、50センチ開いて、腰を少し落とします。
 胴体を左右に動かさないようにして、頭の上で左右方向に大きく「8の字」を書きます。
 連続10回、これを繰り返します。
 かなり、きついです。
 少し休んだ後、逆回転で、また1セット。だんだん体が温まってきますよ。

 もう一つ実行していただきたいのは、お昼休みにでも「ひなたぼっこ」をすることです。といいますのは、ビタミンDは紫外線を浴びることによって容易に生成されます。ビタミンDは骨作りだけでなく、免疫力増強に欠かせませんから、特に冬の後半には欠乏しがちで、それによってインフルエンザや風邪に罹りやすくもなりますから、ばかにできません。ビタミンDは体内備蓄ができますから、今の時期から積極的に始められるといいでしょう。
  参照 → 冬はお日様に当たって健康づくり 

 本格的な寒さの訪れとともに、食においても体を温めるものがより求められます。冬野菜がどれも旬となっており、基本的に体を温める効果がありますから、毎日の食卓に欠かせません。間違っても時期外れの夏野菜は常食されませんよう、ご注意ください。夏野菜は体の芯を冷やしてしまいますからね。

 前回、前々回の繰り返しになりますが、冬に共通する食養生をまずご説明しましょう。
 冬の食味は「塩味」です。塩っ辛すぎてはいけませんが、おいしいと感ずる程度に塩味をお楽しみください。減塩ブームになって久しいですが、その必要は全くありません。
 詳しくは、次の記事をご覧ください。
  立冬から冬、何を食しますか。まずは塩味が重要です。

 次に、「大雪」からの節気の食養生について。
 特に留意すべき点は、これは「小雪」のときと同じですが、急激な冷え込みで、体の芯まで冷えきってしまうことがあります。
 
こんなときは、意識して少々塩味をきつくするとよいです。なぜならば、塩ほど体を温めるものはないからです。少し濃い目の味噌汁や豚汁になさるといいでしょう。
 そして、そうした冷え込んだ日の夕食にお勧めなのが鍋物です。外からも中からも体を温めてくれますからね。
 鍋物もいろいろありますが、我が家のトップバッターはキムチ鍋です。
 辛さはお好みに合わせればいいでしょう。鍋にはキムチを控えめに入れ、辛いもの好きであれば、お椀に取ってからキムチを足すなり、一味唐辛子を振ればいいです。
 冬の食味は<主・塩味、従・苦味、添・酸味>この三味の組み合わせが望まれますから、キムチが持っている塩味と酸味の他に苦味が求められ、うちでは苦味食材である「もやし」をふんだんに鍋に入れることにしています。なぜかキムチ鍋には「もやし」がよく合いますが、こうした三味の組み合わせが理にかなっているからかもしれません。苦味が強い春菊も加えるとよいです。
(注:もやしは漢方五味分類で甘味にも分類されることあり。)

 冬は、海の幸があれこれ旬になります。立冬以降、毎季、同じことを言っていますが、何がいいかとなると小生も分かりかねます。ここは、魚屋さんに聞いて買うのが一番。
 小生のお気に入りは何と言ってもズワイガニ。ここらでは「越前がに」のブランドで知られていますが、足が何本か取れてしまっている“わけあり品”で、まだ生きている新鮮なもの(価格は約3分の1)を蟹鍋にしたりして蟹味噌を食べるのが何よりの楽しみです。毎年、これが、比較的近くにある土・
日曜日に開く、北陸からの出張市場で手に入ったのですが、人手不足で3年前に閉場してしまい、残念です。生のアンコウ(冷凍品でないもの)も、これまたいいですが、同様に入手不能になってしまいました。
 いずれにしても、冬季は海の幸でグルメを満喫したいものです。

 果物は前季で書きましたが、今季もそのまま再掲しておきます。
 リンゴが本格的に出回っています。“リンゴが赤くなれば、医者が青くなる”という言葉があり、それだけ栄養価が高く、抗酸化力があったり、免疫力を付けたり、ということになりましょう。リンゴは平性の食品に分類されていますが、食べ過ぎるとやはり体を冷やすようですから、ほどほどの分量としたいです。
 そして、みかんが旬となります。こちらは温性の食品に分類され、体を冷やすようなことはなさそうです。みかんは風邪に対する抵抗力を付けてくれましょうし、特に皮は漢方では陳皮(チンピ)と呼ばれ、風邪に薬効ありとなっています。みかんの皮を料理に入れたり、漬物に加えたりしていただきたいものです。七味唐辛子にも加えられています。

 次回は、「冬至」(12月22日頃)からの健康と食養です。

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