薬屋のおやじのボヤキ

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筋肉は体内の「くすり箱」(三宅薬品・生涯現役新聞N0.301)

2020年02月25日 | 当店毎月発刊の三宅薬品:生涯現役新聞

当店(三宅薬品)発行の生涯現役新聞N0.301:2020年2月25日発行

表題:筋肉は体内の「くすり箱」

副題:運動すると筋肉から60種類ものホルモンが分泌されるのです

 首都大学東京 藤井宣晴教授のチームが艱苦奮闘5年、培養骨格筋からの分泌物を取り出すことに成功されました。60種類ものホルモンや類似物質が分かり、それらの働きが研究されつつあります。その一端を紹介。

(表面)↓ 画面をクリック。読みにくければもう1回クリック。裏面も同様です。

 

(裏面)瓦版のボヤキ

    介護されずにピンピンコロリと

 

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発酵食品「納豆」は日本人の救世主(ビタミンK2-オステオカルシン・リンクからの考察)

2020年02月16日 | 生活習慣病一般

発酵食品「納豆」は日本人の救世主(ビタミンK2-オステオカルシン・リンクからの考察)

 発酵食品「納豆」の効能については、やや批判的に過去記事で述べたものの、最近になってそれに若干の追記(ワルファリンがビタミンK2の働きを阻害)をしました。
参照:過去記事)発酵食品「納豆」に多く含まれるビタミンKの功罪、そしてナットウキナーゼの話題などなど
 その追記は、2019.9.8 発刊「日本人は絶滅危惧民族 ー誤った脂質栄養が拍車ー 」(編著者:奥山治美)を読んだところ、本書の中に、ワルファリン(血液凝固因子を働かなくし血液をサラサラにする薬)やスタチン(コレステロールを下げる薬)のみならず菜種油など数種類の植物性油脂も同様にして「ビタミンK2-オステオカルシン・リンク*を阻害」し、糖尿病などを発症させる危険性がある、つまり、ビタミンK2の働きを阻害することが判明している、ということが詳細に述べられていましたので、とりあえず簡単に補記したところです。
(備考)*オステオカルシンとは、骨の非コラーゲンタンパク質で、ホルモン様作用を持ち、インスリンの分泌を促進するなど多様な作用を有します。また、ビタミンK2依存反応によりカルシウムやリン酸を保持できることにより、大動脈や腎臓での石灰化を抑えています。そして、ビタミンK2とオステオカルシンは密接にリンク(連携)して働きます。
 我々日本人が毎日のように口にする菜種油などの植物性油脂の大半に、かなりの毒性があるというのにはビックリさせられたのですが、どうやらこれは本当のことのようです。
 このことに関しては、最近、本書の要旨を幾つかに分けて紹介しました。
脂肪摂取基準P/S比は真逆。動物脂肪を増やし、植物油を減らすべし。
水素添加植物油脂はトランス型脂肪酸以外の毒物により食用に不適です
菜種油、水素添加植物油など数種類の植物油脂は有害作用を示す(総論及び用語解説)
菜種油、水素添加植物油など数種類の植物油脂は有害作用を示す(各種研究報告編)
 
  この4本の記事は、いずれも長文で、全部読んでいただくには時間もかかりますし、難解な部分も多いですから、次のとおり当店のお客様向けに分かりやすく簡潔に当店新聞で2回にわたり紹介しましたので、これをお読みいただければと思います。

  

 

 さて、菜種油などの植物性油脂を断つことは不可能な現代の食生活において、我々はどう対処したらいいかというと、通常、十分に足りていると言われているビタミンK2ですが、これをたっぷり摂取するほかないということになりましょう。
 そして、本書にも、ビタミンK2を多く摂っている人は幾つかの疾患に罹りにくいというデータが載っていました。また、ネット検索でも見つかりました。
 それを以下に紹介することとしますが、ビタミンK2の働きが阻害されるとどうなるか、これを図示したものが本書にありますので、まずそれをご覧ください。

 このようにビタミンK2はとても重要な働きを担っているのでして、それが阻害される食生活をしているのですから、ビタミンK2の積極的な摂取により(これでもってジヒドロVK1や未知微量因子の毒性から十分に逃れられるものではありませんが)、どれだけかは(あるいは、かなりの)毒消しが期待され、本来のビタミンK2の働きをけっこう発揮させて様々な生活習慣病の予防や改善に効果が出ようというものです。

 まず、オランダで行われたコホート研究(特定の要因と疾患の発生の関連を長期にわたり観察する研究のこと)での、ビタミンK1・K2摂取量と総死亡率・心疾患死亡率の相関(下図)です。ここでは、ビタミンK1・K2摂取量を3群に分けています。ビタミンK総量(K1+K2)では、(低)221μg/日未満、(中)221~311μg/日、(高)311μg/日超となります。オランダ人は、日本人のビタミンKの摂取量(男:平均227μg/日、女:平均213μg/日:平成25年国民健康・栄養調査)に比べると20%ほと多いですが、これは体格差による食事量の差であって、日蘭大差なしと捉えていいでしょう。
 なお、ビタミンK1は植物性食品から、K2は動物性と発酵食品から摂取され、その比率は下図からして9:1といったところでしょう。ビタミンK2の摂取は、オランダ人は主としてチーズと卵黄から、日本人は主として納豆と卵黄から、ということでイーブンではなかろうかと思われます。なお、腸内細菌もビタミンK2を作ってくれますが、その量は調べても分かりませんでした(一説には必要量の半分とありますが、多分さほど多くはないでしょう)
(備考)日本人のビタミンK1・K2に区分した摂取量データが見つかりませんでしたので、食品別消費量からの推測で、日蘭大差なしと解釈しました。また、生理学上、体内でビタミンK1はK2に一部変換されるとのことですが、他のコホート研究の結果らしても、たいして変換されない感がします。
 ついでながら、厚労省が発表している
日本人の食事摂取基準(2015年版)では、ビタミンKの摂取目安量は150μg/日とされていますが、これでは不足し、500μg/日(納豆1パック相当)摂るべきという学者もいらっしゃいます。
 随分と前置きが長くなりましたが、下図をご覧ください。

 ここで注目されるのは、ビタミンK2摂取と心疾患死亡率(右図:冠疾患)の相関が、統計学的にはっきりと有意性を示す形(p=0.005)で現われ、ビタミンK2摂取が低い群に対して高い群は、心疾患死亡率の相対危険度は0.4(つまり6割も死亡率が落ちる)と出ていることです。これが、総死亡率の相対危険度0.75に大きく寄与していると思われます。
 なお、高低両群のビタミンK2平均摂取量はたぶん倍半分といった差でしょう。
 この他にネット検索して分かったのですが、岐阜大学のチームが1992年に開始したコホート研究「高山スタディ」(対象者:高山市民 男性1万3,355人、女性1万5,724人)のなかで、納豆の摂取と血管性疾患の相関を調査し、2016年に発表しています。
 聞き取り調査により、納豆の摂取量を4群に分けて、両端の高摂取群と低摂取群を比較したところ、次の結果が得られたとのことです。
 心血管疾患:納豆の高摂取群は低摂取群より25%死亡リスクが低い。
 脳卒中:納豆の高摂取群は低摂取群より32%死亡リスクが低い。
 (前者:p=0.0004、後者:p=0.0004で、ともに統計学的にはっきりと有意性を示す)
 これらの調査結果からして、少々オーバーな表現にはなりますが、日本人は“毎日納豆を食べていれば血管性疾患は逃げていく”ということになりましょうか。
 参考までにビタミンK2の多い食品を本書から引用し、紹介します。


 次に、
ビタミンKの摂取が、がんにどの程度効果があるかを調べたドイツがん研究センターのコホート研究があります。その結果の主だったものは下図のとおりですが、がん全般にビタミンK1は全く効果がなかったものの、K2が効果を発揮するがんとして、肺がんと前立腺がんの2種類があることが判明しています。(なお、効果なしと判明した一例として大腸がんが図示されています。)
 特に注目されるのは、肺がん死亡率が統計学的に有意性を示す形(p=0.02)で現われ、ビタミンK2摂取が低い群に対して高い群は、肺がん死亡率の相対危険度(ハザード比)は0.4(つまり6割も死亡率が落ちる)と出ていることです。ドイツで第1位の肺がんですから、これが全がん死亡率の低下(約3割)に大きく貢献していると思われます。



 3つ目が、糖尿病に関するもので、ビタミンK2を大量摂取させた場合に、インスリン指標とオステオカルシン活性がどう変化するかをみたものです。標本数は少ないですが、統計学的有意性を示しています。
(注1)インスリン感受性(SI):インスリンの働きの強弱
(注2)カルボキシル化オステオカルシン(cOC)は正常に働くことができるオステオカルシン(OC)のことで、骨ホルモンとも呼ばれ、様々な働きがあり、インスリン分泌促進作用もあります。それに対して、低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)は正常な機能を持たず、ビタミンK2欠乏によって生じます。

 左図:ビタミンK2大量摂取により、インスリン感受性(SI)が大きく向上し、また、インスリン感受性とインスリン分泌能の積(DI)も向上する。
 右図:ビタミンK2大量摂取により、正常に働くオステオカルシン(cOC)が大きく増え、正常な機能を持たないオステオカルシン(ucOC)が減ずる。

 4つ目が、骨密度に及ぼす影響を調べたもので、骨粗鬆症と診断された閉経後の女性を4群に分け、ビタミンD3摂取群、ビタミンK2摂取群、ビタミンD3+K2摂取群、乳酸カルシウム摂取群を2年間追跡した結果が次のように出ています。なお、ビタミンD3、K2ともに骨粗鬆症の治療薬であり、併用により相乗効果が認められます。

 

 いかがでしょうか。ここまで、血管性疾患、がん、糖尿病、骨粗鬆症の4項目についてビタミンK2高摂取の効果について紹介しました。
 摂取量は十分に足りていると言われているビタミンKですし、また、ビタミンKは体内においてK1→K2変換でき、腸内細菌もK2を作ってくれるとも言いますが、そうであったとしても、ビタミンK2を十分に摂取すると血管性疾患に罹りにくい、肺がんと前立腺がんに罹りにくい、糖尿病に罹りにくい、骨密度が上がる、という統計学的有意性を持つ研究報告が、このように数多く出ています。
 どうやら、これは、不足するはずがないビタミンK2が必要量体内に存在していても、菜種油など数種類の植物性油脂が「ビタミンK2-オステオカルシン・リンクを阻害」し、結果的にビタミンK2不足を招いている、と捉えていいのではないでしょうか。
 そうしたことから、日本人は納豆を積極的に食べるべし、ということになりましょう。
 発酵食品「納豆」は日本人の救世主、そう言っても過言ではないでしょう。

 さて、我が家では、夫婦で本書を読んで以来、納豆が食卓に乗ることが多くなりました。女房も、納豆は、らしい調理が不要で、1品おかずを少なくできると喜んでいます。
 なお、納豆の臭いと糸引きが苦手という方は、刻みネギなどの薬味の他に、大根おろしを少し加えてかき混ぜれば、より臭いが減じますし、糸引きは完全消滅します。さらに、これにビタミンK2がけっこう多い生卵を混ぜてはどうでしょうか。
 皆さんのご家庭でも今日から積極的に納豆をお召し上がりになってください。

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発酵食品「納豆」に多く含まれるビタミンKの功罪、そしてナットウキナーゼの話題などなど

2020年02月16日 | 正しい栄養学

発酵食品「納豆」に多く含まれるビタミンKの功罪、そしてナットウキナーゼの話題などなど
2020.2.16 最新更新)

 先日(12月15日)「酵素は誇大広告、でも発酵生成物は体にいい」と題して記事にしました。その中で、納豆については一例として品名を上げただけでしたから、本稿で少し詳しく説明したいと思います。
 岐阜で生まれ育った小生が子供の頃は、納豆といえば甘納豆のことで、糸引き納豆なるものの存在を知ったのは、中学か高校のときだったことでしょう。でも、当地ではそうした食文化は全くなく、見たこともありませんでした。納豆とは、糸を引く煮豆の発酵物で、関東では朝食のおかずの定番になっている、という知識があっただけです。
 その納豆なるものを小生が最初に口にしたのは、上京して大学の寮で朝食に出されたときです。大豆の煮物かと思いきや、箸を付けると糸を引く。“ああ、これが関東で言うところの納豆というものか。” そのまま一口。 “まずー! こんなもん食えんわ。”
 すると、隣に座っていたのが関東の出身者であろう、“醤油とカラシを入れてかき混ぜるのだ。”と教えられ、そうしたところ何とか食べられましたが、“こんな臭くてまずいものを関東の連中は毎朝よくも食べているものだ。”と感心させられました。
 今ではこの納豆は小生の好物になっていますが、刻みネギをたっぷり入れないことにはうまくないですし、できることなら鶉の卵を1個落とし込みたいものです。そして、時折変化を付けるために、たまにはシラス干しなり青海苔をたっぷり加えたいです。
 また、かき混ぜるのも面倒ですし、糸引きが煩わしいものになりますから、大根おろしがあればそれを少し加えます。これで糸は引かなくなり、臭いも弱まり、食べやすくなりますから、納豆嫌いの方におすすめの方法です。

 さて、納豆が体にいいと言われて久しいです。
 
「納豆を食べると骨が丈夫になる」と言います。これは、納豆にビタミンKが多く含まれ、造骨に必須の補酵素として働くから、そう言われるのでしょうが、足りていればスムーズに造骨は進み、ビタミンKを多く摂ったからといって造骨が増進するものではありません。
 ちなみに、納豆に含まれるビタミンKはダントツに多く、グラム当たりで比較すると、これを多く含む青物野菜である春菊、小松菜、ホウレンソウの2、3倍になっています。
 でも、通常の食生活であればビタミンKは充足しており、あえて納豆を毎日食べて補給するまでの必要性はありません。
(2010.2.16挿入追記)
 ここで上記(ビタミンKは足りている)を訂正します。ビタミンKはK1とK2からなり、摂取量はK1が圧倒的に多く、体内でK1→K2変換され、腸内細菌もK2を作ってくれるとされていますが、現実には「菜種油など数種類の植物性油脂によりビタミンK2の働きが阻害される」ことにより、ビタミンK2不足になっています。
 ビタミンK2不足は骨づくりに支障が生ずるのみならず、動脈の石灰化(動脈硬化)、インスリンの出を悪くし、またインスリンの活性を落とす、肺の組織をがん化させる、など様々な障害を引き起こすのです。
 よって、積極的なビタミンK2の補給、つまり納豆を頻繁に食べることがたいへん重要なこととなります。これについては下記ページで書きました。
 発酵食品「納豆」は日本人の救世主(ビタミンK2-オステオカルシン・リンクからの考察) 
(挿入追記ここまで)
 なお、大豆にはカルシウムが多いから骨が丈夫になるとも言いますが、これはピント外れです。そもそもカルシウムは通常の食で十分事足りている(厚労省が言っていることは間違い)のですし、骨に関してミネラルを持ち出すのであれば、不足しがちなマグネシウムの方が重要です。その点、大豆にはマグネシウムも十分含まれていますから、骨へのミネラル補給としては理想的でしょう。
 参考までに、骨を丈夫にするのはミネラルではなく、たんぱく質のコラーゲンです。
 骨は鉄筋コンクリートに例えられ、鉄筋に相当するのがコラーゲン、コンクリートに相当するのがミネラル(カルシウム、マグネシウム、リン)ですからね。コンクリートだけだと硬くて折れやすいですが、鉄筋が十分に入れば、しなうようになって簡単には折れません。
 そこで、コラーゲンの生成が重要なものになり、その点、大豆はたんぱく質が多いですから、コラーゲン生成の原料に事欠かないことになります。
 こうしたことを総合的に勘案すると、「納豆を食べると骨が丈夫になる」と言えますが、どちらかというと「大豆を食べると骨が丈夫になる」でしょうね。

 ここで、ビタミンKに関して補足しておきましょう。
 「ビタミンKを摂りすぎると血液が固まってしまう」と言って、脳梗塞や心筋梗塞が心配な方は納豆を食べるのを控えておられることが多いです。
 そのように指導されるお医者さんや栄養士さんもあります。でも、これは間違い。
 もし、これが正しいようであれば、春菊、小松菜、ホウレンソウといった青物野菜も食べてはいけないことになります。でも、そうした指導は聞いたことがありません。
 間違いの発生源は、ワルファリン(商品名の一つがワーファリン)の投与です。
 血液が固まりやすくなっては血管が詰まってしまう恐れがあるという重大な疾患を持っている方にワルファリンが投与されます。なお、これの長期投与は問題がありそうです。なんせワルファリンは殺鼠剤の主要成分でネズミを殺す毒薬ですから、人体に良いわけがありません。
 ビタミンKは血液凝固因子を作るための補酵素として働き、出血を防いでくれます。その働きを阻害するのがワルファリンですから、ビタミンKが大量に摂取されると、ワルファリンのビタミンK阻害効果が減少してしまうのです。ですから、ワルファリンを効かせるには、体内のビタミンKが少ないほうがよく、これを多く含む納豆を食うな、ということになるのです。併せて青物野菜も控えなさい、というのが正しい指導でしょうね。
 でも、ワルファリンの投与を受けていない方には無関係です。造骨の場合と同様に、ビタミンKが多くても血液凝固因子がたくさん作られるということにはならないからです。
 人体には生体維持機能がちゃんと働いていて、適正な造骨なり適正な血液凝固がなされるよう、うまくバランスされているのです。ただし、そのバランスが保てないほどにビタミンKが不足したときには、破骨が進み、血液が凝固しにくくなるというだけのことです。
(2019.12.20挿入追記)
 「ワルファリンは殺鼠剤の主要成分でネズミを殺す毒薬ですから、人体に良いわけがありません。」と上に書きましたが、人体においては、ワルファリンは「ビタミンK2-オステオカルシン・リンクを阻害」し、糖尿病などを発症させる危険性があることが判明しています。つまり、ビタミンK2の働きを阻害するというものです。
 詳細については、次の記事の中で解説しています。
 水素添加植物油脂はトランス型脂肪酸以外の毒物により食用に不適です
(挿入追記ここまで)

 今度は真逆の話を紹介しましょう。
 「納豆を食べると血液がサラサラになり、血栓を溶かす」というものです。
 これは動物実験で確かめられ、さも正しいように言われていますが、これも間違い。
 たしかに、納豆菌が吐き出す酵素「ナットウキナーゼ」を実験動物に静脈注射すると、血液をサラサラにし、血栓を溶かすという効果が生ずるようです。これと類似したものにウロキナーゼがあり、これは医療現場で人に対して静脈注射の方法で使われています。
 もし、ナットウキナーゼにウロキナーゼ以上の効果があれば、ウロキナーゼに代わって医療現場で使われることになりますが、いまだ使われていませんから、どれほどの効果があるのかは疑問です。
 さて、ナットウキナーゼを経口摂取した場合、つまり納豆を食べたときにどうなるかというと、ナットウキナーゼはたんぱく質ですから、まず強い酸性を示す胃酸で変性し、その機能を失う恐れがあります。次に、胃や腸で分泌されるたんぱく質消化酵素によって分解される恐れもあります。ウロキナーゼはこうして分解されてしまうことが分かっていますから、経口摂取ではなく静脈注射するのです。
 さらに、それらを免れたとしても、たんぱく質がどうやって腸壁をすり抜けられるかです。腸壁が荒れていれば、これはアレルギー体質の方がそうですが、その一部はすり抜けます(これがアレルゲンになり、アレルギー反応を起こす)が、大半がすり抜けるなんてことはとても考えられません。
 現実には、ウロキナーゼと同様に胃酸でかなりやられてしまうのではないでしょうか。
 ですから、「納豆を食べると、ナットウキナーゼで血液がサラサラになり、血栓を溶かす」というのはインチキです。
 血液サラサラは容易に血流実験できることでして、梅肉エキスなどについては経口摂取で実証済みですから、納豆でやってみて、その結果を公表していただきたいものです。
 なお、その類の実験が一部で公表されており、どれだけかの効果があるように思われるものの、梅肉エキスの足元にも及びつかない感がしますし、どうせ実験をするなら、被験者の血中のナットウキナーゼ濃度を測定し、その濃度と血液サラサラ度合いの違いを見せてほしいものです。

 ここまで納豆について悪口ばかりを紹介してきましたが、良いこともたくさんあります。
 まず、
「納豆食う人 色白美人」と言われます。
 たしかに納豆にはビタミンB1(疲労回復)、ビタミンB2(皮膚の健全化)が多く含まれますが、これで直接的に色白になるものではありません。
 またまた悪口で始まってしまいましたが、
これは総合的な食生活の違いによるもの、として考えれば、随分と遠回りになりますが、そのとおりだということになりましょう。
 特に朝食で大きな違いが出てきます。納豆を食べない人は、たいていは食パン、マーガリン、ハム、牛乳といった洋食になり、これらは体に悪いものばかりです。それに比べて納豆を食べる人は、納豆に良く合うご飯に味噌汁と漬物という和食になり、これらは体にいいものばかりで、そうした方は昼食や夕食も和食が多くなる傾向にありますからね。
 やはり日本人は日本人に合った食生活の毎日でなきゃ色白にはなれません。食生活を洋風にして動物性食品を多食すれば、まずは腸内環境が悪くなって毒素が発生しますし、高タンパク食は全身の細胞に知らず知らず炎症を起こしてしまうなど、体に悪いことばかりで、結果的に肌がどす黒くなりますからね。

 次に「納豆は天然の酵素食」というのがあります。納豆菌が吐き出すナットウキナーゼはじめ各種消化酵素など様々な酵素がたっぷり入っているというものです。
 しかし、ここでもまた悪口で始まってしまいますが、酵素自体は先に説明したナットウキナーゼと同様に、口に入れれば胃酸や消化酵素で、多くは変性し、分解されてしまい、摂取した酵素が人の体の中でそのまま働いてくれることは期待できそうにありません。
 肝腎なのは、先日、発酵食品に関して記事にしましたとおり、発酵によって生産された発酵生成物の数々です。様々な栄養素の中で人の体が一番に求め、かつ、体に最もやさしいのが発酵生成物であるからです。
 そして、発酵生成物は、麹菌(酵母菌)が主体となる味噌、乳酸菌など発酵細菌が主体として加わる漬物、発酵細菌の1種ではあるものの一風変わった枯草菌である納豆菌が主体となる納豆、と大きく3分類されましょう。
 よって、発酵生成物も、発酵にかかわる菌種によって、どれだけか違ったものになり、特定の菌でしか作れないものも数多くできることでしょう。
 こうしたことを鑑みると、納豆には様々な発酵生成物がけっこう含まれている上に、納豆にしかない発酵生成物もどれだけかは含まれていると思われます。
 発酵生成物については未解明な部分が多いですから、何とも言えない面がありますが、異なった種類の発酵食品を幅広く毎日摂取するのが、人の体に一番いいことであり、また、最も体にやさしいものであることは、はっきり言えます。

 こうしたことから、日本人の1日の食生活は、先ほど述べましたように、先ずは納豆を乗せたご飯、味噌汁、漬物の朝食から始め、ここでまたまた悪口になりますが、1日3食は体を害しますから朝食はお預けにして、これをお昼に軽く食べ、夕食は例えば塩辛を乗せたご飯、味噌鍋、キムチといった発酵食品をふんだんに取り入れたメニューで食卓を飾っていただきたいものです。そして、デザートとして少量ならかまいませんからヨーグルトを食べるのもいいでしょうね。
 なお、これでは塩分過多になると心配される向きもありましょうが、これも前に「減塩は大間違い!塩味を楽しんでイキイキ元気!」の記事で申しましたとおり、塩分は塩味を楽しむ程度に摂って全く支障はないですし、逆に減塩は体を壊しかねません。どの程度に塩分を摂っていいかの基準は、食後に喉が渇いてお茶を飲みたくなる、これは塩分過多、これを目安にしていただければいいです。
 1日1食生活の小生、晩酌が終ったら、仕上げは、納豆に塩辛とキムチを加えてかき混ぜ、これを熱々のご飯に乗せて食べる、これにはまっています。
 もっとも、毎日これが食べられることはなく、今は、お歳暮でいただいた大量の佃煮を片付けるしかなくて、食後にお茶が飲みたくなることがないような程度に抑え、ご飯のおかずに
少量ずつの佃煮と漬物で我慢しています。

 ところで、漢方では、冬は腎の季節。腎は精気を養い、塩を欲す。
 また、温冷食品表では、塩は強い温。
 よって、特に冬場は塩分を気にすることなく、日本古来の発酵食品、佃煮、そして梅干をお召し上がりください。
 1日1食の小生ではありますが、精気を養い、体を温めんがために、朝は1粒の梅干しを白湯でいただくようにしております。
 なお、梅干はクエン酸を多く含んでおり、エネルギー回路を円滑に回してくれる効果に優れ、鎌倉武士が出陣に当たっての兵糧(梅干以外は食べず)でした。
 小生の朝食抜き・1粒の梅干は、鎌倉武士に倣ったものでして、これによって一日活動的に動き回ることができるようになりました。
 皆さんにもぜひおすすめしたい「朝は、朝食抜き・1粒の梅干」の食生活です。
 参考までに、朝食を抜いたほうがいいことは、「朝食有害論の歴史的推移」で詳述していますので、よろしかったらご覧ください。   

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あなたの体も「耐震補強」を(三宅薬品・生涯現役新聞バックナンバーN0.216)

2020年02月10日 | 当店発刊の生涯現役新聞バックナンバー

 毎月25日に発刊しています当店の「生涯現役新聞」ですが、これをブログアップしたのは2014年陽春号からです。それ以前の新聞についても、このブログ読者の方々に少しでも参考になればと、バックナンバーを基本的に毎月10日頃に投稿することにした次第です。ご愛読いただければ幸いです。

当店(三宅薬品)生涯現役新聞バックナンバーN0.:2013年1月25日発行
表題:あなたの体も「耐震補強」を
副題:世は国土強靭化、屋台骨がゆらいできた体は骨太の方針で

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