福田の雑記帖

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週刊誌の医薬関連記事について(2) 出版界に汚点となる記事連載

2016年10月18日 17時55分10秒 | 医療、医学
 週刊現代の特集記事を読んでみた限り、もちろんいくつか真っ当な指摘もあるものの、私はかなり問題が多い、と思う。

 薬物の効果はそっちのけに、当然伴う副作用に焦点をあげて、過剰に読者に危機感を煽っている。抗がん剤などでは副作用発生率は結構重篤なものも含め10−20%にも達するが、高血圧症、高脂血症などの治療薬は一般的に1%以下で、かつ軽微な副作用が多い。 

 薬物と副作用の関係は重要な問題で常に問題にしなければならない。副作用に焦点を当てた検討などは学会や専門誌を中心に常に検討されている。医療における治療適応に薬物を応用するために科学的証拠を背景にしていることなどは評価されていない。

 この様な記事は、国民に医療情報を提供するという意味はほとんどなく、読者の不安感を利用してた販売促進目的だけであろう。低迷する出版界の事情はあるだろう。しかし、こんな記事の作り方をし続ければ出版界はますます信頼を失っていくだろう。
 シニア世代にとっては健康や病気は切っても切り離せない問題であるが、その多くは既に主治医があり医療下にある方々である。健康な人たちはこの様な記事に興味を示さない。
 不安を抱える高齢化社会をターゲットにした出版社の思惑は明確である。

 週刊誌の「医療叩き」はなぜ起こるのか??
 最近、各週刊誌等で医療に関する特集が多く見られる。健康問題、医療問題を取り上げれば明らかに販売量が増えるとされる。

 雑誌の医療問題の取り上げからには二つの方向があって健康増進に役立つ方向のもの、もう一つは逆の方向の医療バッシングで、その大半が今受けている治療の危険性を強調した内容である。前者の方は罪が少ないが、効果のしれない健康増進法やサプリメントとかが中心で、これも問題はないわけではない。
 このような記事が多く読まれる背景には、相変わらず世間に「医療不信」が根強く残っている証左とも言える。

 こんな医療記事を見ると我が国の医療レベルが劣っているような書き方であるが、私は日本の医療は国際的に優れていると思っている。
 医療のレベルを測るには様々な指標がある。治療実績に関する国際比較と、社会経済的な指標に分けられる。前者は、一般の人にもわかりやすい。後者の指標は、医療制度が深く関係するので、評価は極めて困難である。
 しかし、そんな困難な資料を用いることなく医療レベルを比較できる機会が訪れた。2009年春から秋にかけて短期間に全世界的に新型インフルエンザH1N1が大流行した。H1N1は短期間に蔓延し、年代を問わず、社会的地位にも関係なく、多くの人々に蔓延した。この感染症に寄って多くの患者が死亡したが、その死亡率をWHOが発表したデータで比較すると我が国の死亡率がダントツに低く人口100万人あたりの死亡率は僅か0.2人であった。英国が2.2人、米国が3.3人、オーストラリア8.6人・・・・。これは我が国の医療が総合的に優れていることの指標となる。
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