福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

原爆投下70年(3) 米国における原爆観 P・カズニック教授のインタビューから(2) 

2015年08月08日 14時47分53秒 | 時事問題 社会問題
 P・カズニック教授のインタビューから(1) からの続き。

# 核なき世界を訴えるオバマ自身は広島長崎への原爆投下問題に関心を寄せているはずだ。09年のプラハ演説では核兵器のない世界を訴えた。戦争で原爆を使用した唯一の国である米国には特別な責任がある。ただし、米国は抑止力は必要なので核廃絶は最後の国になる。

# 核軍縮を褐げるオバマ政権の実際の核政策を見ると核廃絶を訴えながら、巨費を投じて近代化を進めるなど正反対の行動をしている。偽善的である。

# 戦後、米政府は神話を正当化したが、米国人は一般的にあまりこの問題を考えていない。教育現場もメディアも、批判的に見ようとはせず深く考えていない。O・スト-ンが私と『語られない米国史』のプロジェクトを始めたのは、彼の娘の高校教科書の広島・長崎についての記述が原爆投下を正当化するものだったことがきっかけ。

# 人々、特に若い人々が関心を持ってくれれば、より効果的に挑戦することができる。ドキュメンタリーや本を携えて、米国内外の学校や高齢者施設を飛ぴ回っている。老若男女、あらゆる年齢層に話している。

# 第二次大戦当時の7人の米軍最高幹部のうちの6人までが原爆投下は不要か非道徳的だったと考えていた、とする内容は退役軍人らにとっては衝撃だった。ソ連の参戦や日本が疲弊し切った状態など、戦争の全体像を示すと、自分たちが信じてきたことと全く違うからである。

# ワシントンの海軍博物館の原爆の展示には「広島・長崎への原爆投下は日本軍にほとんど影響を与えなかった。ソ連の参戦は日本側の考えを変えた」との説明があり、それは正しいが、米国人の一般的認識にはなっていない。

# 米国の若者たちは原爆についてはほとんど知らない。彼らにとって原爆は、70年前の遠い祖父母の時代の出来事になった。

# 関心のある若者は核兵器に批判的で、もっと知りたいと思っている。イラク・アフガニスタンの戦争を経て、米国人の間に厭戦気分が強まっている。原爆展も心を開いて見てくれるものと期待している。

# 広島・長崎の重要な教訓は、原爆が人類を絶滅の淵に置いたこと。トルーマン、ブッシュ、オバマ、プーチン、どんな指導者に対しても生命存続の拒否権を与えるわけにはいかない。

(出典:朝日新聞インタビュー「米国で原爆神話に挑む」6月2日)
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