福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

不注意、忘れ物を防ぐ(2)忘れ物回避の工夫 番号で確認

2014年07月15日 03時50分00秒 | コラム、エッセイ
 「老いが身の/あはれを誰に語らまし/杖を忘れて帰る夕暮れ」。
 これは僧侶、歌人である良寛(1758-1831)の句である。老いた身の辛さをしみじみと語っているが、多少の矛盾がある。それほど不自由してなかったから杖を忘れたのだろう。明日また取りに行けば良いじゃないか。良寛はユーモアたっぷりの句を詠う。だから私は好きだ。

 高齢の患者は外来受診の際、老いの哀しみ、苦しみをぐだぐだと5分も10分も話して行く。多分、愚痴る相手も居ないのだろう。私はこれも功徳の一つと、時間が許せば聞いている振りをしているが、結構忍耐力が要る。せめて、良寛の如く、俳句とか短歌に気持ちを込めて伝えて欲しい。そしたら私も一ひねりして返歌するよ。これだと10数秒で済む。余談であるがツイッターには誹謗中傷の言葉が飛び交っているが、三十一文字で表現出来ないのか,と思う。世の中とてもマイルドに,豊かになるに違いない。

 「老い」で感じる事はその立場になってみないとわからない。私は間もなく70の齢を迎えるから、衰えを日々感じている。私にとっては「こんな事も老化によるのか?へー、新発見.そうだったのか・・」と受け止めている。ここまで生きたから味わえる幸せである。「明日は何が起きるのか?」、毎日が楽しみでもある。場合によっては最期となる大事が生じるかもしれないが,それも運である。静かに受け止めよう。

 「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る。」これは作家井上 靖氏(1907-1991)の言葉である。老いの愚痴を並べられるのは煩わしい。「私のご近所においで下さい。すべて解決しますよ・・」と突き放す。私は斎場の近隣に住んでいる。

 良寛の嘆きではないが、私も物忘れが多くなった。出かける時に携行品を忘れる事もしばしであるが,最近はこれらに番号を割り当てた。No1はiPhone、2は歩数計,3はiPod shuffle付きのヘッドホン,4はiPad mini、・・.と続く。出かける前に番号をちょっと口にするだけで芋づる式に頭に浮かんでくるから便利である。これを習慣にしてから忘れ物が殆ど亡くなった。番号を割り振っていない日常的でない物品は予め玄関に,靴の側に置いておくと忘れる事はない。その際,思いついたらすぐに置いておく事である.後回しにすると忘れてしまう。

 年を取ると生活のためにいろいろ工夫も必要であるが、これを考えるのも楽しい。
コメント (2)
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