福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。


ありがたきかな 土に向かいて感謝のみ ほかに言うことなし

2014年07月21日 17時53分48秒 | コラム、エッセイ
 今期、畠に初めてカブと人参を植えた。数日前からカブが穫れ始めた。
 私が畠に植た初めての根菜である。初体験であったために植え方には問題があった。適当な間隔を開けず、溝を掘ってそのなかに連続的に種をまいた。カブと人参の種は初めて見たが、1mmほどの微小な種で、こんなので発芽するかいな?と思ったほど小さい。

 10日ほどして芽が出た。種の袋には数cmになったら適当に間引きが必要と書いてあったが、私は一本一本の芽が愛おしく間引きを一切したなかった。カブと人参の苗はよくのびた。人参はまだであるが、カブは収穫の時期を迎えた。掘り起こしてみるとカブ同士が土の中で干渉しあって成長出来無かったのであろう、ミニカブになってしまった。


 今になって種まき、間引きの必要性を痛感した。ミニカブは早速漬け物にして食している。これが、なかなか美味い。ピリッとした辛味とコリコリとした歯ごたえが何とも言えない。

 私は、毎年この時期になると、カブ漬けの味が恋しくなっていた。しかし、今年迄漬ける機会が無かった。私が育った岩手の片田舎では、穀物の凶作の兆候が見えてから農家では急ぎカブを植えたものだと教えられて来た。私は子どもの頃から、カブは凶作にとても強い作物であると一目置いてきた食材である。そのために、種苗店でカブの種子を見つけた時に急に思い立って栽培したわけである。

 本日採れたカブは5-6cmと小さい。葉茎迄入れると30cmになる。種と比較すると数千倍に成長している。植物を育て上げ、食物連鎖を通じてあらゆる生物を育む土の持つ威力はすごいものだと思う。

 これほど大事なものなのに、土は大事にされているのだろうか?
 近頃は、水・空気のありがたさ、地球温暖化に関して見直されつつあるが、土への認識はまだまだ低い。
 都市圏に住む人たちにとって、土と言えば植物を育て、いのちを育てる土壌としての認識よりも、地面、地所、一坪いくらの宅地と言うイメージの方が一般的であろう。都会でも小規模な園芸は盛んであるが、その際、土は掘り起こし、耕すのではなく、園芸店から袋で買ってくるものになっている。

 人間一人の命を支えるのに750坪の土壌が必要と言う計算があるようだが、耕作に適する土地は、風、家畜の放牧、宅地化などでむしろ減少していると推定されている。そんな中、農産物も、家畜飼料や工業製品の原料に回されたり、バイオ燃料としての消費も増えている。これで人間の社会が将来的に成り立っていくのか?いささか不安になる。

 人間はあらゆるいのちの源である土をもっと大切にしていかなければならないのでは? カブのを成長見て考えさせられた。
コメント
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