星のひとかけ

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マエストロ素敵でした…♪:井上道義指揮 NHK交響楽団 横浜みなとみらいホール 大ホール

2022-11-04 | LIVEにまつわるあれこれ


1年ぶりの横浜みなとみらい。。 
みなとみらいホールで演奏会を聴くのは 2020年のニューイヤーコンサート以来でしょうか。。

本日の指揮者 井上道義さんはずっとずっと観てみたいかたでした。 TVや動画などで指揮するお姿は幾度も拝見していて、 そのエネルギッシュでエレガントな指揮の様子をぜひ実際に、 とずーっと思っていたのですがなかなか機会なく、、 そうしているうちに 24年末での引退宣言・・・ 吃驚でした。。

今回の公演はつい数日前に決めたのです。 席が取れそうだったのでお友だちに(急だけど…)と尋ねたら、、 (わたし達の年になると、機会があったら逃しちゃいけないよ)とOKしてくれたので歓び勇んで、、♪

ところが、、ね。 公演直前になって、 みなとみらいホール改修後の騒動が。。 
バルコニー席の手すり前に落下防止の金網が設置されてしまってステージが見えないと‼ 、、そんなバカな… って思いましたよ、、 だって、指揮者さんや楽団員さんを間近で見たいが為のサイド席なのですもの。。 クラシックコンサートゆえ立ち上がって見る人もいないでしょうし、 なぜこんな網が? と思ったら、 スマホやチラシの落下が今までにあったというのですが、、 それなら丁寧にアナウンスして鞄に仕舞うなどすれば良いこと、、 
片耳失聴の私はバルコニー席が好き。 今回取ったのもバルコニーでした。。

前日になって急遽、 席は振替して下さるとの通知が出たものの (どんな感じか行ってみて決めようね…)と出かけてみて、、 実際すわってみて、、 見えなかったです。。。 手すり下に新たに取り付けられた鉄柵とともに、 なんだか檻に入れられたみたいな存在感。 多少の不自由ならバルコニーにいようと思ったのですが、、仕方なく正面席に振り替えていただきました。。 

 ***

でも、 演奏会はとても素敵でした。 ホール完成お祝いにふさわしい楽曲、 美しいパイプオルガン《ルーシー》を正面に、 ステージに飾られた薔薇が華やか。

シュトラウスⅡ : ワルツ《南国のバラ》
マーラー : リュッケルトの詩による5つの歌曲
サン=サーンス : 交響曲第3番「オルガン付き」

井上道義指揮 NHK交響楽団
カウンターテナー: 藤木大地
オルガン: 近藤岳


マエストロミッチーは登場の瞬間から魅せて下さいました。 台に乗る動作もしなやか、、 客席に振り向いて バレエダンサーのように脚を交差させて礼・・・ そして始まったシュトラウスの指揮ではほんと踊っておられました。。 道義さんの後ろ姿はとてもすらりと脚が長くて 指揮台のうえでバレエを踊っているようで、、 (私が踊れるなら…)駆け寄ってその隣で一緒に踊り出したい感じでした。。 そんな気分に誘われる演奏でした。

じつは私、 N響を生で聴くのが初めて。。 N響さんは安定の、 堅実で重厚な響きの楽団、、というイメージで、 どちらかというと指揮者さんへの反応がはっきり現れる演奏が好みの自分は 今まで観る機会なくきてしまったのですが、、 やはり安定感はさすが、、 弦の音色もとても美しく感じました。

マーラーのリュッケルトの歌曲。 
付け焼き刃の予習では テノールの男性と、 ソプラノの女性の両方の歌唱を聴いていました。 けど、 カウンターテナーの方の歌唱は見つからなかったので想像がつきません。。 どんな感じなんだろう、、と楽しみにしていました。

始まってびっくり・・・ 素晴しいです。 藤木さんのお声はハイトーンなのに厚みと深みがあって とても安心感のあるお声です。 そして感動したのが そのお声が木管楽器の音色とぴったり合うのです。 先に聴いていたテノールやソプラノ歌手のかたの歌唱が、 演奏の前面に、 うまく言えないけど別の存在として際立つのに対して、 藤木さんの歌唱は楽器そのものとなって楽団さんと共に歌っている感じ。 N響の木管さんも美しかった~。

第5曲は演奏がフィナーレへ向けて大音響になっていくので、 テノールの朗々と高らかに歌い上げる迫力にはかなわないかなーーと思う所はありましたが、、 たぶん私の耳と席の関係でしょう。。 もう少しステージに近かったらよく聞こえていた筈。。 
カウンターテナーで歌うこの歌曲、、 私はとても好きになりました。 テノールやソプラノで聴いたよりも 藤木さんの歌唱とN響がひとつの世界になっていたようで、 素晴しかったです。

休憩をはさんでの サン=サーンス 3番
、、席の振り替えのお陰で 正面後方で聴くことができてこれはこれで良かったのかもしれません。 ホール全体で奏でられるパイプオルガン。 ひとつにまとまった重厚な演奏。。 N響さんの一糸乱れぬ弦の響きに 祝祭感あふれる金管の艶、、 

でもほんの少し欲を言えば、、 ミッチーの指揮の動きにもっとビビッドに反応するN響さんの演奏も聴いてみたかったかな。。 あのシンコペーション(と言うのだろうか)のところ、、 ミッチーはかなり溜める感じで指揮なさっているように見えたし、 ちょっと打楽器さんが合ってない部分も? あと、フィナーレ近くの金管さんの和音が…。 でもどれも小さなことです。。 

2年前にこのホールで聴いた秋山先生の東響さんも、 とても柔らかな暖かい音色に響くホールだなと思いましたが、 今回もホール全体がつつまれるようで、 全体的にとても優しいひとつのまとまりを感じました。 心配したような金網や鉄線がパイプオルガンの響きに共振するようなこともなかったように思います。。 それだけにやはり元のステージ近くの席で楽団さんと指揮の姿を見たかったなーー

そんなことを思いつつの終演。。 拍手の後、 井上道義さんは 「今日のN響すばらしかったと思わない? このホールも…いろいろあったけど、 みんなでこのホールを育てていきましょうよ!」 と笑顔で。 その言葉を聞いてなんて大きなかただろうと思いました。。 開幕にケチが付いてしまったなどと私が思ったのに比べて、 ミッチーはこの先ずっとこのホールで音楽が奏でられ、人々に愛されホールが育っていくということを考えていらっしゃる。。 まさに文化は育てていくもの、、 お役所とか誰かに作って貰って与えられるのが当たり前と思ってはいけないのですね。。

 ***

これを書いている間に、 ミッチーがブログを更新していらっしゃいました。 昨日のことを振り返って…
https://www.michiyoshi-inoue.com/2022/11/_nhk_1.html#blog

これを読んでふたたび自分の狭量さを反省します。。 「赦し」という言葉。。 井上さんが来年なさる自伝的オペラのテーマでもありますね。。 そして、、 ミッチーは本当にバレエをなさっていたのですね、、 わぁ牧神だ、、 

昨日の道義さんも大変スタイリッシュでエレガントな動きで どうして引退など… と思うほどで…。 またミッチーの指揮する演奏会、 観に行きたいです。。 行けるといいな。






みなとみらいは早くもクリスマスの輝きにあふれていました。



これから年末への日々、、



やすらぎと



ぬくもりある時間になりますように…





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