カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

だいぶ変化した女子高生事情   放課後アングラーライフ

2024-05-18 | 映画

放課後アングラーライフ/城定秀夫監督

 一種のアイドル映画。原作小説があるらしい。いじめにあっておそらく神経症になってしまった女子高生が、父の仕事の関係で田舎の学校に転校する。そこでは友達も作らないようにして、再起をかける気持ちでいたが、クラスメートに声を掛けられ、友達同士だけのアングラ活動と称しての釣り同好会のようなところに入らされてしまう。またいじめ生活が始まるのを恐れながら、気に障るようなことを極力避けて却って不自然なふるまいを繰り返す主人公の女子高生だったが、やはり仲間関係の中に同性愛が混ざりこんでいる複雑さのある人間関係の中に、どっぷり入りこんでいくことになるのだった。
 そこそこいい感じのお話だということは分かるが、主人公の女性は、明らかに化粧の感じも何かのアイドル系だとわかるものだし、周りの配役は悪く無いものの、仲間内で盛り上がるときは練習を積んでいる感じも否めない。よく出来すぎているのである。ファンタジーであるからそれでいいとはいえるかもしれないが、変な感じがあるのなら、自然に変だと伝えあうのが友達というものである。まあいいけどね、という友だち関係があって、いつまでも敬語使ってんじゃねえよ、と言うべきなのである。それをすっ飛ばした大人の関係というのは、すでに子供社会ではないのではあるまいか。田舎の人間だから寛容だというのは、大きな間違いのもとである。
 しかしながら、釣りを通して長い時間を共有したり、あるいはそれは無言の時間も含めてのことだろうから、精神の療養にとっては、それなりに期待できそうな感じもある。そういう治療があるのかどうかまでは知らないけれど、あっても良さそうな感じはある。実際まわりの人間にも、それなりに問題のある家族関係なんかも示唆されており、女生徒たちも、それなりにそういう事と向き合いながら、仲間としてのコミュニティを形成していく必要があるのかもしれない。それは確かに濃密な青春の一コマであり、成長物語なのかもしれない。
 特に素晴らしいというような作品では無いのかもしれないが、アイドル映画としてもいいものがあるかもしれないし、この年頃の関心であるはずの男性を排除した物語のありかたには、それなりに現代性があるということかもしれない。同性愛も示唆されているわけだし、今風なのである。学校の授業風景も、以前とはだいぶ違うなあ、という理想形みたいな感じだし。女子高生の集団というのは、時代の影響を受けやすいものなのかもしれない。
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