カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

一人で生きるぞ、弁当屋   のんちゃんのり弁

2017-06-24 | 映画

のんちゃんのり弁/緒方明監督

 働かない亭主に愛想を尽かして下町に帰って来た女が、娘を連れて女の自立を図るべく奮闘する。娘の幼稚園の時間と都合の良い仕事は無く、資格も技能も何もない30越えの女には厳しい現実であることを思い知らされる。いよいよ貯金も底をついてくるし、仕方なく時給の良い水商売にいく。小料理屋兼スナックの客は、酔って気持ちよくなるとキスしてくる。思わず突き飛ばして、バイト料も取らずに遁走。そんなこんなで上手くいかない毎日において、ニートの夫はストーカーまがいでやってくるし、幼馴染で初恋らしい写真屋の息子とは良い感じにはなっていく。
 実はひとつだけ特技のようなことがあって、それは娘ののんちゃんの保育園のお弁当作りに情熱を燃やしていた、ということだった。決して順調で無い毎日にありながら、娘が新しく通っている幼稚園のお弁当は、オリジナル重層のり弁が評判になっている。ついでに幼馴染の保母さんや仲間の分まで弁当を作ったりする。そんな中写真屋の息子と一緒に寄った配達先の料理屋のオヤジのサバの味噌煮に感動し、このような美味しい料理をつくって、多くの人に食べてもらいたいという夢に憑りつかれてしまう。そのまま店の手伝いをしながら料理の技能を盗み、弁当屋を開くという夢に邁進していくように見えるのだが…。
 演じている小西真奈美のキャラクターが活きていて、その奔放さと至らなさ、いわゆるイタい感じもよく出ていると思う。それではダメだと分かっていても、なんとなく同情してしまうようなところがあるのかもしれない。非常に都合よく料理屋のオヤジはとんでもなくいい人で、そのおかげで一本道筋が通るような気分にはなるのだが、物語の〆方としては、なんとなく締りが悪いような、残念な印象を受けた。子供がいることは、一番最初から分かっていた問題で、その子供を振り回して生きていくことに躊躇しないから成り立つ物語があって、いいのではないか。子供がいても個人の人生は回る。当たり前のことを、もっと前向きに生きて行っていいと僕は思う。それとやっぱり、誘拐は誘拐として刑事責任をちゃんととってもらうべきだった。殴ったから済むという問題では無い。さらにこの事件で恋人との関係が悪くなったような展開になるが、普通はここで引かないのが愛であろう。性格が大人しいということなんだろうか。僕にはよく分からない問題であった。
コメント
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