カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

ある意味奇跡的な作品   ギャラクシー街道

2017-02-15 | 映画

ギャラクシー街道/三谷幸喜監督

 宇宙の飛行船の航路なのだろうか。まあ地球と貿易している星との間の休憩所にハンバーガショップがあって、そこ限定で繰り広げられるドラマである。見始めてすぐに、はて、なんでこれを観ようと思ったのか、という動機を激しく呪うことになる。おそらくそれは僕以外の誰でも同じように悩んだはずで、実は出演している役者たちやこれを撮っていたスタッフだってそう思っていたに違いないと思う。正直に言ってそれくらい凄まじく酷い映画に仕上がっている。それも最初から最後まで徹底してすべて酷い。いったい何が起こってしまったのだろうか?
 出ている俳優たちの演技もひどいと言えばそうだけど、恐らくそれは三谷監督の演出に忠実だったからだろうと思われる。脚本も筋もひどいのに、これではどうにもならない。それは狙ったものだろうということは、深く考えなくても分かる。分かるが、それなら最初からやらないだろうと思うくらいには分かる。しかしそれをやっぱり試してみて、その上で本番でもやってしまったという事実がフィルムに記録として残されている。そうとしか言いようがない悲劇が、延々と展開されているのである。
 恐らくこれを実地にやっていた人たちは悲しかったのではなかろうか。三谷作品ということで多くの注目を集め、それでその証拠として自分はこの現場に出てしまった。なるほど事前に企画を聞かされていたまでは面白そうだと思わないでもなかった。何しろ三谷作品だし、悪ふざけにしても悪くないと思う要素が無いでは無かった。何といってもギャグなんだし極端な設定だし、科白自体は舞台でやっていたものとそう変わるわけではない。まあ、そんな映画だって他にもあるにはあるだろう。しかしこれがスクリーンの前の客がどう受け止めるか、それを考えると、やりながらぼんやりと分かっていたのではないか。でも逃げられない状況であることには変わりない。自分はいったい何をがんばっているのだろう…。俺はここまで追い込まれているが、周りにいる人間は、本当はバカなのではないか。
 勝手な想像だが、まったくご愁傷様でした。
 ひょっとすると三谷監督は大御所になりすぎたのかもしれませんね。誰か、何かは絶対に言ったはずだと思うけど、それを完全に無視できるほど偉いのだろう。おかげで世界でも例を見ないほどひどい作品が生まれることが許された。それはそれで奇跡的なことなのかもしれない。喜ばしいことでは無いのだけれど…。
コメント
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