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ミステリ感想-『富豪刑事』筒井康隆

2024年04月20日 | ミステリ感想
~あらすじ~
大富豪の父を持つ刑事の神戸大助。悪どい手段で巨万の富を得た父は、事件解決のため財産を浪費してもらうことが贖罪になると信じており、大助は無尽蔵の資金を元に犯人を追い詰める。

1978年文春6位、東西ベスト(1985)66位、本格ベスト67位

~感想~
ドラマはあれ女体化だったんだ!ということを置いとくと、まず驚かされるのがしっかりしたミステリとして仕上がっていること。
ミステリとして評価を受けたのは他に「ロートレック荘事件」のみの作者だが、そこは最後の文豪・筒井康隆。知らないはずのミステリの肝を完全に心得ていて、謎もトリックも真相も十分に固めておいてから、そこへ大富豪ならではの捜査方法やパロディ要素を注ぎ込む。
この無尽蔵の資金源による捜査が40数年を経た今から見ても斬新かつ面白いもので、どこに資金を費やしどうやって犯人を追い詰めるのか意表を突いてくるので、ぜひ予備知識無しで読んでいただきたい。
それに加えてパロディミステリとしても秀逸で、それだけではなく1話目では改行もせず短い時には2行ごとに場面転換していく文豪らしい荒業まで披露。だからといって別に読みやすくも上手くもないが展開がおかげで異常に早まっているのはさすがである。
筒井康隆ってやっぱりすごいんだなあ…。


24.4.20
評価:★★★☆ 7
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