東アジア歴史文化研究会

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トランプ次期米大統領に顔色を失った中国(阿比留瑠比)

2016-12-08 | 日本の安全保障
産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】
2016.12.8

先月の米大統領選で、ドナルド・トランプ氏が勝利した際にはおおむね歓迎ムードだった中国だが、どうやらあてが外れたようだ。中国は当初、経営者であるトランプ氏は安全保障上の対立を回避して経済利益確保を重視するとみていたフシがあるが、その見通しを裏切る事態が続いている。

次々と批判 

トランプ氏は今月2日、台湾の蔡英文総統と電話協議し、米台の緊密な結びつきを確認した。次期大統領が台湾の総統と接触したのは、1979年の米台断交以来初めてのことである。

当然、中国側は「『一つの中国』政策が中米関係の基盤だ」と反発して米側に抗議したが、トランプ氏側は意に介さない。米CNNによると、ト ランプ氏の経済顧問、スティーブン・ムーア氏は5日、ラジオ局のインタ ビューに対し、こう言い放った。

「中国に失礼でも私の知ったことではない」

「われわれは同盟国を支援しなければならない。中国が嫌がっても、無視すればいい」

また、トランプ氏自身も4日、ツイッターにこう書き込み、中国の痛いところを突いた。

「中国は南シナ海の真ん中に巨大な軍事施設を建設していいかと尋ねたか。私はそうは思わない!」

「中国が、米企業の競争を困難にする通貨の切り下げや、中国向けの米国製品に重い課税をしていいかと尋ねたか」

さらに、トランプ氏の政権移行チームの一員で、米シンクタンク「ヘリテージ財団」フェローのスティーブン・イエーツ氏は6日、台湾を訪問して記者会見し、次のように中国を批判したのである。

「民主的に選ばれた指導者(蔡総統)からの祝賀の電話を受けることが挑発とは思わない。挑発と批判するのは侵略者だ」

選挙で指導者が選ばれるわけではない中国を当てこすり、侵略者扱いしたともとれる発言である。安倍晋三首相の米ハワイ・真珠湾訪問により、日米蜜月ムードが高まる中でのトランプ陣営の一連の対中批判は、習近平国家主席の顔色を失わせたことだろう。

対中認識は?

こうした動きだけで、次期トランプ政権の対中政策をこうだと断じることはできないが、ヒントぐらいは得たい。そこで、トランプ氏のアジア政策の顧問で、政権移行チームにも入っているカリフォルニア大のピーター・ナヴァロ教授の著書『米中もし戦わば』(文芸春秋)を手に取った。

防衛省・自衛隊でよく読まれているというこの本で示されている対中認識を抜粋して紹介する。

「歴史を振り返って分かることは、中国共産党が政権獲得以来六○年以上にわたって武力侵略と暴力行為を繰り返してきたという事実である」

「頭の痛い問題がある。中国には、公然と条約を破る傾向があるのである」

「新孤立主義を採用してアメリカ軍をアジアから撤退させれば、紛争と不安定な状態は緩和されるどころか悪化するばかり」

「アジアの平和と繁栄を持続させるためには、台頭する中国の力を相殺してバランスを取るための強力な同盟が必要だし、そのためには、アメリカがアジアの諸問題にもっと積極的に関与することが不可欠」

 トランプ氏が、ナヴァロ氏と同様か近い考え方であるのならば、日本にとって悪い話ではないだろう。中国がいかに厄介な国かが、これでもかと示された本である。

(論説委員兼政治部編集委員)

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