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磁石がものを冷やす「新型冷蔵庫」が開発

2024-03-07 10:33:46 | その他
現在は冷蔵庫が四季を通じて必要な電化製品となっています。冷凍食品の普及や、冬でも暖房によって室温が高くなり、保存には冷蔵庫が必要になっているなどが考えられます。

冷蔵庫も進歩しており、冷凍庫はもちろん各部位によって微妙に温度が異なるような高性能なものになっています。なぜ冷蔵庫が冷えるのかは、気体の「断熱膨張」の原理を使っている程度しかわからず、しっかり説明できるほどには理解できていません。

最近「磁気冷凍」というイノベーションによって、冷蔵庫の歴史が大きく書き換えられようとしているようです。つまり磁石を使って冷やすという技術です。

この必要性は主に環境問題で、20世紀終わりにはそれまで使われていたフロンが、大気に漏洩するとオゾン層を破壊するとされ、生産が中止となりました。そこで代替フロンの開発・利用が進みましたが、それらも地球温暖化の原因となる温室効果が大きいことが分かってきました。

もちろん代替フロンの研究は行われていますが、安価で安定な物質はなかなか見つからないようです。そこで考え出されたのが、「個体冷凍」という方法です。

磁石には「温度が上がると磁力が弱まる」という性質があります。液体がある温度を超えると気体になるのと同じように、磁石がある境界線を越えると磁気が失われます。これは「強磁性体」の温度が上がると「常磁性体」に変化することです。

強磁性体が磁力を持つのは、電子が回転する向きが揃っているからです。マクロな物体ではたくさんの電子のN極とS極がバラバラな方向を向いているため、磁力を打ち消し合い、この状態にあるのが常磁性体です。

物体内の電子の向きが揃うと、その物体全体が強磁性体、いわゆる磁石になります。しかし温度が上がるとそろっていた電子の向きが徐々にバラバラになって磁力が失われ常磁性体になります。常磁性体は磁場を失い、その代り増加したエントロピーを熱として吸収します。

この現象を「磁気熱量効果」と呼んでいます。気化したガスが、周囲の熱を吸収するのと同じです。逆に常磁性体の電子の向きがが揃って磁場を得ると、圧縮されて液化したガスと同じように熱を外に捨てます。この原理を応用して冷蔵庫が作れるわけです。

またこの磁気冷凍サイクルには、フロンガスを使わないことの他にも、蒸気圧縮にはない利点があるとされています。この磁気冷凍サイクルの説明は、難しい部分を除いてしまいましたので、若干説明不足になっているかもしれません。

ここで取り上げた個体冷凍という技術が、コストの面や装置的に現在の冷蔵庫に置き換わるようになるのかは、もう少し様子を見る必要があるようです。