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死亡者数トップ3の「胃ガン」の最新治療

2024-03-04 10:33:30 | 健康・医療
最近はガンに罹る人は増加していますが、死亡率は年々下がり続けているようです。

かみさんの友人が昨年「胃ガン」が見つかり手術しましたが、その後抗ガン剤治療を受けていますので、ステージが進んでいたのかもしれません。ここでは近年大きく変わった胃ガンの治療法について紹介します。

胃ガンの手術が最初に成功裏に行われたのは、乳ガンとほぼ同じ時期の19世紀末でした。始めに成功したのは幽門部胃切除術です。しばらくすると難度がより高い胃全摘術も行われるようになります。

その後胃切除と同時にリンパ節を切除することが再発防止の観点から重要と考えられるようになり、その目的でリンパ節を系統的に切除するリンパ節郭清術が普及しました。胃の周辺にはリンパ節が数多く存在し、早期ガンであってもリンパ節への転移が少なくありません。

どこのリンパ節に転移があるかは、超音波、CT、MRIなどによる術前の検査や術中の目視では正確な判断が難しいのが実情です。そのため転移しそうなリンパ節をある程度広い範囲で予防的に郭清します。

結果的に広い範囲で郭清すれば後遺症のリスクが高くなり、取り残せば転移の恐れがあるというジレンマを抱えることになります。

日本では数多くの経験を背景に、胃の全摘もしくは幽門側3分の2を切除に加えて、胃のすぐそばと胃からやや離れたところのリンパ節も郭清する「D2リンパ節郭清」(D2手術)が1970年代から定型手術として広く行われてきました。

1982年胃粘膜から発見されたヘリコバクター・ピロリ菌が日本人の胃ガンの原因の98%を占めることが判明し、検査と除菌が広く行われるようになりました。それに伴って胃ガンの手術件数も減ってきました。

このほか、傷の小さい腹腔鏡手術やロボット支援手術も患者に負担の少ない低侵襲手術として普及してきました。麻酔下で腹部に1センチ前後の小さい穴を5カ所ほど開け、そこから二酸化炭素ガスを導入して腹部を膨らませたうえで、内視鏡と鉗子を腹腔に入れて手術をする方法です。

切り取った胃は、へそ近くに設けた創口を3〜4センチに広げて引き出します。胃ガンに対する腹腔鏡手術は1,991年世界に先駆けて日本で行われました。現在は早期ガンを対象に、国内でおよそ2万件が実施されています。

また胃以外の臓器やリンパ節転移がなく、ガンが粘膜層にまでしか達していない早期胃がんに対しては、内視鏡によって病巣を切除する方法が行われるようになりました。

最近は早期胃ガンと診断された人の6〜7割が内視鏡切除を受けていると推定され、早期発見例の増加に伴って外科手術を受けるより多くなっている現状があるようです。

このように胃ガンだけではなく、多くのガンがすべてを切除するから、必要な部位のみに変わっているようです。患者の負担を考えると良い傾向と言えるのかもしれません。