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全世代型社会保障の問題点

2020-01-04 10:23:43 | 時事
人生100年時代(私は現実にはあり得ないと思っています)に備えた全世代型社会保障検討会議の中間報告が公表されました。

この会議の目的は、労働市場や社会保障全般にわたる持続可能な制度への改革の検討としています。1つ目が高齢者に偏った社会保障制度の見直しで、2つ目は高齢者が社会保障の支え手となるための70歳就業の法制化などで、3つ目が医療費制度改革となっています。

人口高齢化に対応するための基本は、年齢にこだわらない社会の構築としています。20歳前後で新卒一括採用され、年齢に応じた賃金で働き、60歳で定年退職という年齢に縛られた日本の働き方は、高齢者の急速な増加の下で機能不全に陥っています。

また過去の経済成長期に、急速に豊かになる勤労世代と比べて「貧しい高齢者」の救済に重点を置いた社会保障制度も、豊かな団塊の世代が70歳代に突入する現在では、むしろ世代間の不公平を助長する要因となっています。

医療制度改革では、75歳以上の患者の窓口負担率や紹介状無しで大病院を受診した場合の患者負担額の引き上げ等、値上げ路線を軸にしたものに留まっています。こういう患者の自発的な受診抑制だけでは、高齢化で増える医療費負に対応できそうにないような気がします。

今回の75歳以上の自己負担率の2割への引き上げは、現行の70~74歳と同じ水準に合わせただけです。もともとなぜ年齢で差をつける必要があったのかが疑問といえます。

「年齢にこだわらない社会」であれば、患者の自己負担は年齢ではなく、その所得水準に応じて減免すべきものといえます。もともと日本社会は、全ての人たちが同じことが「平等」とされていましたが、所得水準という要素も含めて平等を定義するべきと思われます。

日本では患者が自由に医療機関を選べるフリーアクセスが長所とされていますが、これは患者が自らの病気を勝手に判断して、誤った診療科を受診する危険性もあります。

本来はあらかじめ登録した、どのような病気にも対応可能な家庭医を受診し、必要に応じて他の専門医や大病院への紹介を受けるという先進国での標準を取り入れるべきでしょう。

これは私の持論ですが、高齢となり傷んできた臓器は基本的に元には戻りません。ですから高齢者は病気を治すのではなく、症状を軽くする治療を受けるべきと思っています。

高齢で疲弊した臓器でも、大病院に行けば治してくれるというのは単なる夢であり、思い違いと気が付いてほしいものです。

次は年金問題ですが、平均寿命の伸長に比例した年金受給年齢の引き上げなしには、自動的に年金の平均受給期間が延び、財政を圧迫する大きな要因となるはずです。厚生年金の受給年齢が65歳になっても、日本人男性の平均寿命である81歳まで16年間も受給することになります。

これは他の先進国の平均が約10年であることと比べると世界最長となります。これが女性の場合は22年間と極端な長さとなります。世界でトップの平均寿命の日本では、70歳に引き上げることで、ほぼ他の先進国平均の10年強の給付期間となります。

中間報告に関連して勝手なことを書きましたが、これからは高齢者に厳しい社会としても良いような気がします。


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