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ゲノム編集の基礎

2017-07-01 10:42:38 | 健康・医療
最近ゲノム編集について、やさしい(あまり分かりやすくないのですが)解説記事が新聞に出ていました。

こういったところに解説記事が出るということは、それなりに注目されている技術で、少しは一般化してきたのかもしれません。ここでは「ゲノム」とは生命の設計図と呼ばれる本のようなもので、それを編集するように狙った遺伝子を壊したり他の遺伝子を導入する技術が「ゲノム編集」であるとしています。

この遺伝子を人工的に改変する技術は、数十年前遺伝子工学という名前で呼ばれていましたが、目的とする遺伝子を切断することもかなり大変だったようです。このための道具として制限酵素というものが使われてきましたが、これは特定な遺伝子配列を認識して切断するものでした。当時は非常に多くの制限酵素が見つかっていましたが、一つの酵素は一つの配列だけでしたので、なかなか目的とする部位を切断するのは難しかったようです。

ここでなぜ遺伝子を切断したり改変するのかという点に触れておきます。遺伝子は子孫に情報を伝達する役目を持つわけですが、そこに入っている情報は、いわばタンパク質の設計図というべきものです。

遺伝子に書かれていることを基にタンパク質が作られますので、遺伝子を壊すということは、そこに書かれているタンパク質を発現させないようにすることです。

生命はタンパク質によって生存・機能していますので、生命現象を調べるためにはタンパク質の研究が必須となってくるのです。ところがあるタンパク質だけを除くということは、実質的に不可能なことです。

そこで目的とするタンパク質をコードする遺伝子を壊してしまうと、その生体はそのタンパク質を作ることができない、つまり特定のタンパク質を除くことになるわけです。多くの病気は特定な機能性タンパク質の異常発現や、その正常な機能が阻害されることによって生じることが多くなっています。

従ってそういったタンパク質の機能阻害剤や、活性化剤が治療薬になりうるわけです。しかし前述のように特定のタンパク質だけを増やしたり減らしたりすることは、現在の科学技術を使っても非常に難しくなっています。そこで目を付けたのが、こういったタンパク質の設計図である遺伝子となったわけです。

タンパク質は20種類のアミノ酸からできており、非常に複雑な構造ですが、遺伝子はわずか4種の核酸塩基が並んでいるだけですので、解析なども容易になるわけです。遺伝子を壊してなくすだけではなく、そのタンパク質をコードする遺伝子を入れてやれば、それを増やすことも可能となるわけです。そこで遺伝子を切ったり増やしたりという技術が大きく発展してきたわけです。

ゲノム編集の前段階だけで長くなりましたので、次に続きます。

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