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科学論文再現性の危機か?

2016-09-06 10:43:20 | 自然
学術雑誌の「ネイチャー」が科学者に論文の再現性についてのアンケートを実施しました。

オンライン調査ですが研究者1576人からの回答を分析した結果、衝撃的事実が明らかになったと発表しました。70%以上の研究者が他の科学者の実験結果を再現しようとして失敗した経験を持っており、自分自身の実験結果の再現に失敗した経験がある研究者も半数以上に上ることが分かったとしています。

しかし私にとっては、特に驚くような結果ではありません。以前STAP細胞問題をいろいろ取り上げたときにも書きましたが、科学の分野では論文に書いてある通りに実験し、うまくいかないということは珍しいことではないと思っています。

またこの調査結果では、科学者たちは、論文の再現性に関して、時に矛盾した態度を見せたと述べています。科学論文の再現性は大いに危機的な状況にあると答えた人が52%もいたのに対して、発表された論文の結果を再現できないならその結果は間違っているのだろうと考える人は31%未満で、ほとんどの研究者は発表された論文を依然として信頼しているということが、矛盾点として挙げられています。

しかしこれも当然のことで、論文に書かれた実験をやって、再現性が出ない場合は自分の腕が未熟だと考えるか、書かれていないノウハウがあるのだろうと思うことが普通です。大体他人の論文が間違っていることを証明するような、ある意味ばかげたことに時間を使う余裕もありません。

またこの報告では、次のような調査結果を引用しています。発表された科学文献の中で再現性のあるものがどれだけあるかを調べた調査は少ないが、うすら寒くなるような結果が多く、有名なのは心理学とガン生物学の分野で行われた調査で、それぞれ約40%と10%という結果が出ているようです。

再現性のある論文が10%というのは、あまりにも低すぎる気がしますが、半数程度あればよいというのが私の考えです。但し再現性が出ないからといって、その論文が間違っているというわけではありません。ある実験の再現性を出すということが、分野によっては非常に難しいということだと思っています。

この報告では現状を「再現性の危機」としており、これをいかに解決するかの提言などしていますが、国際的な一流科学雑誌である「ネイチャー」が、再現性に対して素人のような捉え方をしている方が不思議な気がしました。

しかしこの論文掲載とその再現性については、私のような考え方は少数派だと思っていましたが、今回のアンケート結果では、多くの研究者が似た様な考え方であることが分かり、少しほっとしています。

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