ごっとさんのブログ

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機能性食品は信頼できるのか

2017-05-21 10:41:46 | その他
最近身体にたいする色々な効能をうたった機能性表示食品が増えているようです。

まず機能性食の定義ですが、食品は大きく分けて一般食品と保健機能食品に分けられます。この保険機能食品は特定保健用食品(トクホ)と栄養機能食品だけだったのですが、2年前に機能性表示食品が新しく設置されました。

従来食品に限らず効能を表示して良い商品はトクホだけになっていました。しかしトクホは、企業から安全性や機能性を証明するデータを提出し、これを消費者庁が審査し許可するものです。ですからトクホの審査までには申請に必要なデータを取るのに多額のお金がかかったり、審査に長い時間がかかったりする傾向にありました。

大企業の場合はこれでも問題はないのですが、体力のない中小企業は申請が難しくなってしまいます。消費者の立場としても、もしよい商品があったとしたらその情報が出ないのは残念かもしれません。そこでより簡単に効能を表示できるようにしたものが、機能性表示食品ということになります。

これは国による審査を行わず、安全性や機能性を企業の責任で調べて届け出るだけで良いようになったのです。この制度によりトクホは年間50~100件程度が許可されていた程度でしたが、機能性食品は毎年数百件が届け出され、始まった2年間だけでも900件にもなっています。

この機能性(効能)の科学的根拠として「研究レビュー」という方法が一般的となっています。研究レビューは、研究論文が登録されているデータベースから、関連する文献を抽出するのですが、この時肯定的なものだけではなく、否定的なものも含めないといけないとされています。事業者の都合で機能性があることを示す論文だけを意図的に抽出してはいけないことになっています。

こうやって集めた論文を総合的に判断し、有効かどうかを決めるわけです。これは認められている一つの検証法なのですが、基本的な問題があると私は思っています。

研究者がある物質の効能を調べた場合、例えば中性脂肪を下げる効果が出た場合は、積極的に論文として発表します。しかしあまり良い効果が出なかった場合は、論文としての価値は下がりませんが、注目度は下がってしまうためあまり論文としない場合が多いのです。つまり肯定的なものと否定的な論文は圧倒的に肯定する論文が多くなっているはずです。

ですからそういった論文で検証する場合は、有効という結論が出やすい構造になっているわけです。実際に消費者庁のデータベースにある907件のうち9割以上に当たる856件が研究レビューを根拠としているようです。しかもこの多くのやり方に不備があることが分かってきたようです。

結局機能性食品を信じるかどうかは、消費者の自己責任となるのかもしれません。