◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

7月11日~20日

2019-07-13 11:57:50 | Weblog

7月20日(4名)

小口泰與
夏嵐白波立つる雨後の河★★★
雨粒の重みに耐ふるねぢれ花★★★
二階より浴衣羽織りて下りて来し★★★

廣田洋一
久々に青空見えてかき氷★★★
海風に幟はためく氷水★★★★
「氷」の幟を立てて、氷水を案内しているが、その幟が海風にはためいている。その光景は夏そのもの。(高橋正子)

向き合ひて二人で崩すかき氷★★★

多田有花
<鎌倉御代川>
それぞれがテーブルにつく夏座敷★★★
<鎌倉大仏二句>
大仏もともに濡れつつ梅の雨★★★★
鎌倉の大仏は、露座仏。梅雨が降れば、梅雨に濡れる。大仏を拝する私も濡れるが、大仏も濡れておられる。「ともに濡れつつ」と仏の心をふと思った。(高橋正子)

夏木立の中に立ちおり晶子歌碑★★★

桑本栄太郎
茅舎忌の失念したり三日のち★★★
梅雨空に”最後の願い”選挙カー★★★
待合いの冷房過ぎて身を竦め★★★

7月19日(4名)

小口泰與
コップ酒ちびちび飲むや立葵★★★
夕顔やネイル広告抽斗へ★★★
早々に赤提灯や立葵★★★

廣田洋一
短夜のバルト海行く船の旅★★★★
北欧のバルト海は地中海で、その船旅を楽しまれた。船で行く旅はゆったりと沿岸の景色が楽しめる。短夜が効いて、つい、白夜を思ってしまった。(高橋正子)

短夜や朝一番の露店湯に★★★
短夜やまたも起きたるこむら返り★★★

桑本栄太郎
夏風邪の咳の頻りに目覚めけり★★★
梅雨冷のバスの車内に身を竦め★★★
梅雨空の境目無しに暮れゆけり★★★

多田有花
<鎌倉・鶴岡八幡宮三句>
さみだれを宿し富士山ナン★★★バープレート★★★
五月雨傘八幡宮の石段を
さみだれや静御前の舞いし跡★★★★

7月18日(4名)

小口泰與
青葉木寃山にちりばむ星の数★★★★
青葉木寃が鳴く山、そのうえには星がちりばめられている。豊かな思いになる夜である。(高橋正子)

滴りや時を隔てし岩の容★★★
傘寿にて高みを目指し夕端居★★★

多田有花
<鎌倉・建長寺三句>
山百合を映す池あり建長寺(原句)
山百合を映して池あり建長寺★★★★(正子添削)
山百合は山などに自生して、自生とは思えぬほどの大きな花を数花つけ、倒れそうな姿である。それがそのまま池に映り、静かさをたたえている。禅寺の池となれば、趣も格別だ。(高橋正子)

禅寺やことに艶やか百合の花★★★
緑濃き嵩山門を通る道★★★★

廣田洋一
電車の中香水の香にむせびけり★★★
香水や誘ひ心を忍ばせて★★★
香水の薔薇の香りとすれ違ふ★★★★

桑本栄太郎
祇園会の明けて朝より雨となる★★★★
祇園会が明けて、安堵の雨であろうか。静かに京を濡らしている。(高橋正子)

降りつづき蛙鳴かざるひと日かな★★★
梅雨冷や夜ともなれば窓を閉む★★★

7月17日(4名)

小口泰與
野良猫も涼風求め居りにける★★★
炎天や球に飛びつく下級生★★★

夕立の棚田の畦を越ゆる波(原句)
夕立や棚田の畦を越ゆる波★★★★(正子添削)

多田有花
<鎌倉・建長寺三句>
梅天の彼方より五爪の龍★★★

蓮開く細かな雨を宿しつつ★★★★
蓮が開くのは、梅雨のころから。雨の蓮、晴れた朝の蓮。それぞれに赴きがあるが、建長寺の蓮は細かな雨を宿して開いていた。禅寺の静かさとも言えようか。(高橋正子)

雨に濡れ山百合匂う参道に★★★

廣田洋一
船旅やジャグジー浴びる水着かな★★★
ヴィーナスが二カ所隠せる水着かな★★★
一人だけ黄色の水着競泳レッスン★★★

桑本栄太郎
白き筋ありて嬉しや甜瓜★★★
目じるしのような高さや曼荼羅華★★★
万緑や松尾大社の赤鳥居★★★

7月16日(4名)

小口泰與
網戸より犬の覗くや夕間暮れ★★★
色違う目高の目玉同じ白★★★
山肌の濃淡ありし夏の山(原句)
山肌に濃淡ありぬ夏の山★★★★(正子添削)

廣田洋一
床下に二本寝てをり梅酒かな★★★
漬け置きて琥珀色なる梅酒かな★★★
健康に良しと言ひつつ梅酒汲む★★★

桑本栄太郎
昼寝子の遠く近くに選挙カー★★★
花びらのうつむき来たり額の花★★★
黒蟻の戸惑いあゆむ日差しかな★★★

多田有花
人工島次々渡る梅雨最中★★★
<鎌倉・建長寺二句>
茅葺の鐘楼静か青梅雨に★★★

地蔵座す仏堂包み梅の雨★★★★
梅雨の長雨にすっぽりと包まれた法堂。幾年の歳月の静かさを思う。(高橋正子)

7月15日(4名)

小口泰與
雲の峰どのレジ台を選びても★★★★
スーパーのレジに並ぶ。どのレジ台を選んでも、そこからは雲の峰が見える。ひろびろとした地方の町の眺めのいいスーパー。日常のここにも詩心を湧かせる景色がある。(高椅正子)

山小屋の飯盒飯の円座かな★★★
網戸より赤城の風の遊びける★★★

廣田洋一
シャワー浴びさっと一振りオーデコロン★★★
お土産の香水買ひしシャンゼリゼ★★★
海の日や雨にたたられ人気なし★★★

桑本栄太郎
早朝の蝉の時雨に目覚めけり★★★
山畑の支柱に縋る胡瓜かな★★★
妻の行く四条通りや宵々山★★★★

多田有花
梅雨の富士頂のみをのぞかせて★★★★
梅雨寒の東京ドームを見下ろせる★★★
東京の夜景さみだれに煙る★★★

7月14日(4名)

小口泰與
昼寝覚め忽と泣き出す園児かな★★★
混浴の露天へかすか河鹿かな★★★
船頭は中学生よ蛍狩★★★★

廣田洋一
風鈴や短冊変へて音新た★★★
縁側の風鈴鳴らす座敷風★★★★
窓開けて風鈴鳴るを待ちにけり★★★

桑本栄太郎
ぽつぽつと夢想い居り明け早し★★★
雨雲の峰駆け昇る梅雨晴間★★★★
雨雲の天王山の青嶺かな★★★

多田有花
夏燕ついと虚空に飛び出しぬ★★★★
夏燕はどこから現れたかと思うほど、ついと空に飛び出してくる。夏空の深さを思う時だ。春の巣作りのころ、梅雨のころと燕はそれぞれの季節、自分の仕事に合わせたような飛び方をするが、夏燕は、飛び方がなんと面白い。(高橋正子)

梅雨曇降られることなく山下りる★★★
錦鯉袋に入り売られおり★★★

7月13日(4名)

多田有花
<おきなわワールド三句>
緑陰をつくり咲きおり鳳凰木★★★★
三段花咲くや紅芋ソフト食ぶ★★★
石亀が見上げる青き夏の花★★★

廣田洋一
梅雨寒や草の葉の伸び止まりぬ★★★
梅雨寒や朝の長湯を楽しめり★★★★
梅雨冷や長袖シャツに着替えたる★★★

小口泰與
にこやかに妻の造りしどぜう鍋★★★
迫りくる赤城の襞や夏座敷★★★★

嬬恋の山家の一夜寝茣蓙かな★★★★
冷房のないころ、夏の寝苦しさを避けるため、寝茣蓙を使った。イ草のふんぷんとした香りに匂いからも涼しさを感じたものだ。嬬恋の山家では、冷房を入れるほどでもないのだろう。寝茣蓙を敷いて寝た一夜が昔懐かしさを呼ぶ。(高橋正子)

桑本栄太郎
梅雨空を見上げ散歩の思案かな★★★
花びらのうつむき裏に額の花★★★
昼寝子の目覚め想うは夢のこと★★★

7月12日(4名)

廣田洋一
日の盛り鳥の鳴き声絶えにけり★★★★
日盛や道路工事は一休み★★★
日盛に動き溌剌球児たち★★★

小口泰與
時鳥山家の夕餉早早と★★★★
山家に泊まる。はやばやと夕餉をとれば、時鳥が鳴く。たっぷりと時間がある山家の夕ベ。(高橋正子)

名にし負う浅間の里の洗鯉★★★
二十年納戸の奥の梅酒かな★★★

桑本栄太郎
晴れ渡る嶺の奥なり雲の峰★★★
見渡せばバスの席より青田波★★★
<京都四条通り>
曳初めの長刀鉾に出会いけり★★★★
祇園祭の始まり。偶然にも曳き初めの長刀鉾に出会った。祇園祭の高揚感がここに始まり湧いたとき。(高橋正子)

多田有花
<沖縄平和祈念公園>
あの夏も海はあくまで美しく★★★
<おきなわワールド二句>
エイサーの踊り手飛び散る玉の汗★★★★
三線を習う人あり夏座敷★★★

7月11日(4名)

(多田有花)
<沖縄平和祈念公園三句>
花束を供える沖縄忌近し★★★
名を刻む石の屏風が立つ夏野★★★

慰霊の日の日の出に向けて歩きけり★★★★
沖縄慰霊の日は6月23日。8月6日の広島原爆忌、8月9日の長崎原爆忌と合わせて、記憶すべき日とされるようになった。日の出に向けて歩くは、特に意味はないだろうが、純真に命を捧げた人たちを思う。(高橋正子)

小口泰與
冷酒や糖質好きの我が髪膚★★★
緑濃き水面や親子ラムネ抜く★★★★
油照裁判所より美魔女かな★★★

廣田洋一
旅人をもてなす宿の岩清水★★★★
旅の渇きをいやしてくれるのは、冷たくおいしい水。岩からしみ出る清水は何よりうれしいもの。(高橋正子)
富士よりの清水掬ひて山道へ★★★
岩場より湧き出る清水手に受けし★★★★

桑本栄太郎
荒梅雨やフロントガラスの玉飛沫★★★
梅雨雲の峰ふところに留まりぬ★★★★
恐ろしき青き灯点る誘蛾灯★★★
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自由な投句箱/7月1日~10日

2019-07-01 22:22:09 | Weblog

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
http://blog.goo.ne.jp/kakan02
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今日の秀句/7月1日~10日

2019-07-01 22:20:42 | Weblog

7月10日(1句)

<沖縄平和祈念公園>
★梅雨晴や広々と海見えるところまで/多田有花
梅雨晴で、心がひろびろと広がる。海が見えるところまで、すっきりと晴れている。梅雨晴の開放感がいい。平和祈念公園ともなれば、思いははるかとなる。(高橋正子)

7月9日(1句)

★青柿の葉影に暗く太りけり/桑本栄太郎
青柿は葉隠れに実を付けて、葉の色に紛れている。実を付けたばかりは頑ななほど堅そうで、緑が暗い。「暗く太り」が発見。(高橋正子)

7月8日(3句)

★水平線に白雲並ぶ夏の朝/廣田洋一
水平線に何もない日もある。今朝は、白い雲が並んび、作者を呼んでいるような感じがする。すっきりとした夏の朝だ。(高橋正子)

★海晴れて夏の青さの戻りけり/多田有花
海が晴れると海の色が変わる。今日は夏の青さだ。記憶にある夏海の青が蘇った。(高橋正子)

★蛇行せる岸辺にひとつ青胡桃/小口泰與
蛇行をする川の岸辺。川上から運ばれてきたのだろう、青胡桃が引っかかっている。青胡桃は風で落ちたのか、落とされたのか、青胡桃の旅を想像する。(高橋正子)

7月7日(1句)

<ぱいかじ島唄ライブ>
★夏の夜は沖縄料理と島唄と/多田有花
沖縄を体験するのには、料理はもっともなのだが、それに島唄を聞くと、島民の心と気持ちが重なるような思いになるのではないだろうか。「島唄」が効いた。(高橋正子)

7月6日

該当句なし

7月5日(2句)

★柔らかき緑溢れるフィヨードル/廣田洋一
フィヨールドの夏は、緑が際立つ。「柔らかき緑」がやさしく夏を彩って旅を和ませてくれるようだ。(高橋正子)

 世界遺産・中城城跡
★夏空や残りし石垣の緻密/多田有花
残りった石垣に思いがある。緻密に積み上げられた石垣に人の歴史が刻まれている。(高橋正子)

7月4日(2句)

★オスロの空赤く光れる桜の実/廣田洋一
「オスロの空」と「桜の実」が北欧のメルヘンを想起させてくれるきれいな句だ。(高橋正子)

★石垣に座れば鳥来る夏の海/多田有花
石垣に座って海を見ていると、つぎつぎ、いろんな鳥がやって来る。見ていて楽しくなる。少年少女にかえれるような世界。(高橋正子)

7月3日(1句)

★雨蛙覚満淵を圧倒す/小口泰與
「覚満淵」は小尾瀬と呼ばれる湿原。雨蛙がその湿原を圧倒し、湧き上がるかのように鳴いている。湿原の夏を謳歌する雨蛙。覚満淵に支えられた句。(高橋正子)

7月2日(2句)

★陽の温み残るピーマン五つ取る/古田敬二
家庭菜園のピーマン。五つがちょうど取りごろ。それをもぐと陽の温みが残っている。夏の日差しに育ったピーマンだ。(高橋正子)

首里城
★海見える石垣に揺れハイビスカス/多田有花
海、石垣、ハイビスカスの取り合わせが夏らしく涼しそうだ。(高橋正子)

7月1日(1句)

★ででっぽと山鳩鳴きぬ梅雨晴間/桑本栄太郎
夏の朝、山鳩の声を聞くとあたりに涼しさが漂う。そんな印象が私にあるせいか、山鳩の声を聞くと夏が来たと思う。梅雨の晴間、のどかに涼しい。(高橋正子)
コメント (8)
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7月1日~10日

2019-07-01 22:11:17 | Weblog

7月10日(4名)
小口泰與
ソーダ―水舟より降るる二人連★★★
兄弟は皆八十路なり雲の峰★★★★
梅雨寒の和紙にぽとりとインクかな★★★

多田有花
<沖縄平和祈念公園三句>
夏の海望みし平和祈念堂★★★
平和祈念公園夏の蝶が舞う★★★
梅雨晴や広々と海見えるところまで★★★★
梅雨晴で、心がひろびろと広がる。海が見えるところまで、すっきりと晴れている。梅雨晴の開放感がいい。平和祈念公園ともなれば、思いははるかとなる。(高橋正子)

廣田洋一
咲ききりて横になりたる百合の花★★★
役終えし百合の頭を切り落とす★★★
俳人か枯れし紫陽花見詰めをり★★★

桑本栄太郎
晴れ居ても又雨雲の梅雨晴間★★★
川べりの地道歩めばきりぎりす★★★★
梔子の甘き香風の夕闇に★★★

7月9日(4名)

小口泰與
雨蛙赤城全山支配せり★★★
冷汁や貨物列車の長き列★★★
冷麦や明治時代のガラス窓★★★

多田有花
太陽の下沖縄のアロハシャツ★★★
<ひめゆりの塔二句>
乙女らの慰霊碑に手向けハイビスカス★★★
夏の花彩るひめゆり資料館★★★

桑本栄太郎
花びらの下向く頃や額の花★★★
青柿の葉影に暗く太りけり★★★★
青柿は葉隠れに実を付けて、葉の色に紛れている。実を付けたばかりは頑ななほど堅そうで、緑が暗い。「暗く太り」が発見。(高橋正子)

校庭のフェンスに沿いぬ夾竹桃★★★

廣田洋一
飯笊の飯を掬ひてお茶漬けとせり★★★
猫飯や海外出張のご馳走なり★★★
お茶漬けや猫飯と言ふ人の有り★★★

7月8日(4名)

廣田洋一
はまなすや河口に近き道の端★★★
水平線に白雲並ぶ夏の朝★★★★
水平線に何もない日もある。今朝は、白い雲が並んび、作者を呼んでいるような感じがする。すっきりとした夏の朝だ。(高橋正子)

川縁の色とりどりに夏の花★★★

多田有花
<ホテルモントレ沖縄>
貝殻を皿に飾りし夏の朝★★★
海晴れて夏の青さの戻りけり★★★★
海が晴れると海の色が変わる。今日は夏の青さだ。記憶にある夏海の青が蘇った。(高橋正子)
リゾートの真白き教会夏の朝★★★★

小口泰與
蛇行せる岸辺にひとつ青胡桃★★★★
蛇行をする川の岸辺。川上から運ばれてきたのだろう、青胡桃が引っかかっている。青胡桃は風で落ちたのか、落とされたのか、青胡桃の旅を想像する。(高橋正子)

登校の列乱れしや蟻の列★★★
鳥声や農夫昼寝の畦十字★★★

桑本栄太郎
煙為すミストシャワーや商店街★★★★
しみじみと裸身横たえ梅雨の風呂★★★
湯上りの夜気心地良き梅雨の宵★★★

7月7日(3名)

多田有花
<ぱいかじ島唄ライブ>
紅芋もシークワーサーもある梅酒★★★
夏の夜は沖縄料理と島唄と★★★★
沖縄を体験するのには、料理はもっともなのだが、それに島唄を聞くと、島民の心と気持ちが重なるような思いになるのではないだろうか。「島唄」が効いた。(高橋正子)

<ホテルモントレ沖縄>
胡蝶蘭飾られ朝のテーブルに★★★

小口泰與
ハンカチを置き忘れたり無言館★★★
真白な和紙かぶせある夏料理★★★★
くちなしの待合室に佳人かな★★★

桑本栄太郎
初蝉のその一声が蝉しぐれ★★★★
心地良き風の窓辺や夕映えに★★★
梔子の甘き香風に日暮れけり★★★

7月6日(4名)

廣田洋一
夏花の屋根を覆へる農家かな★★★
水鏡街を映せる夏の海★★★★
古の王妃を囲む夏の花★★★

多田有花
<琉球村>
水牛やハイビスカス咲くサーターヤー★★★★
(サーターヤーは沖縄言葉で砂糖屋のこと)
<ぱいかじ島唄ライブ二句>
島唄やオリオンビールを飲みながら★★★
海ぶどうたっぷり盛られ夏料理★★★★

小口泰與
一円の噴井に踊る朝かな★★★
滝の前カメラすっぽり水飛沫★★★★
岩を打つ水の切っ先男滝★★★

桑本栄太郎
朝涼の夜気のこりたる未明かな★★★
との曇る空に陰なし溽暑来る★★★
昼寝子に近づき去りぬ選挙カー★★★

7月5日(4名)

廣田洋一
水しぶき真白にはねて滝落ちる★★★

滝を背に跳ね踊りたる「妖精」かな(原句)
妖精の跳ね踊るかな滝を背に★★★★(正子添削例①)
滝を背に青衣の妖精跳ね踊る(正子添削例②)

柔らかき緑溢れるフィヨードル★★★★
フィヨールドの夏は、緑が際立つ。「柔らかき緑」がやさしく夏を彩って旅を和ませてくれるようだ。(高橋正子)

多田有花
<世界遺産・中城城跡>
夏空や残りし石垣の緻密★★★★
残りった石垣に思いがある。緻密に積み上げられた石垣に人の歴史が刻まれている。(高橋正子)

<琉球村二句>
夏服が訪ねる琉球古民家を(原句)
夏服で訪ねる琉球古民家を★★★★(正子添削)
添削句も「で」が問題ですが、お考えいただければと思います。

琉球の踊りを見たり夏座敷★★★

小口泰與
たっぷりの田水に風の植田かな★★★
山裾の噴井に銭の光かな★★★★
鳥声や赤城のすそ野青田風★★★

桑本栄太郎
校庭の金網に沿う夾竹桃★★★

捩花の下草刈られ捩れけり(原句)
捩花の下草刈られ捩じれ立つ★★★★(正子添削)

葉柳の風に凭るる川辺かな(原句)
葉柳の茂りて風に凭るるよ★★★★(正子添削)

7月4日(4名)

廣田洋一
銅像も噴水浴びる花壇かな★★★★
オスロの空赤く光れる桜の実★★★★
「オスロの空」と「桜の実」が北欧のメルヘンを想起させてくれるきれいな句だ。(高橋正子)

フィヨルドの切り立つ崖や夏の川★★★

多田有花
<世界遺産・中城城跡三句>
梅雨曇いくつも石のアーチを潜る★★★
梅雨空を幾度も飛びぬ空軍機★★★★

鳥が来る夏の海見ゆ石垣に(原句)
石垣に座れば鳥来る夏の海★★★★(正子添削)
石垣に座って海を見ていると、つぎつぎ、いろんな鳥がやって来る。見ていて楽しくなる。少年少女にかえれるような世界。(高橋正子)

小口泰與
水槽に寄るや目高の目の光★★★
五月野や衣装ぬれたる二人連★★★
夏畑や動作せわしき人と鶏★★★★

桑本栄太郎
鳩鳴けば”ノアの箱舟”梅雨晴間★★★
蒼き灯の点る夜道や誘蛾燈★★★
どの子等も幼顔なり夜振の火★★★★

7月3日(4名)

小口泰與
雨蛙覚満淵を圧倒す★★★★
「覚満淵」は小尾瀬と呼ばれる湿原。雨蛙がその湿原を圧倒し、湧き上がるかのように鳴いている。湿原の夏を謳歌する雨蛙。覚満淵に支えられた句。(高橋正子)

鳥声や畝間にひょこと雨蛙★★★
梅雨晴や短パン破棄し女の子★★★

多田有花
<那覇市立城西小学校>
南西風にシーサー戴く小学校★★★
<世界遺産・中城城跡二句>
万緑へ護佐丸カートで向かいけり★★★
城跡に蘇鉄の花の咲きにけり★★★★

桑本栄太郎
雨雲の峰ふところに五月闇★★★
との曇る侭に暮れ行く梅雨の山★★★
早風呂の宵の口なり梅雨の闇★★★★

古田敬二
梔子の厨に白く香りけり★★★
法面を紫に染めアガパンサス★★★★
新じゃがを切れば包丁に残る影★★★

7月2日(4名)

古田敬二
二杯目の豆のご飯の塩加減★★★
赤黄色緑紺色夏野菜★★★
陽の温み残るピーマン五つ取る★★★★
家庭菜園のピーマン。五つがちょうど取りごろ。それをもぐと陽の温みが残っている。夏の日差しに育ったピーマンだ。(高橋正子)

多田有花
<首里城三句>
海見える石垣に揺れハイビスカス★★★★
海、石垣、ハイビスカスの取り合わせが夏らしく涼しそうだ。(高橋正子)

守礼門夏の日差しの戻りけり★★★★
沖縄そばにソフトクリームを添えて★★★

小口泰與
梅雨寒や木の長椅子の軋みおり
大沼小沼(おの、この)の赤城七峰梅雨の雷★★★
茶柱の立ちたる朝餉目高の子★★★★

桑本栄太郎
 団地改装工事本日終了
工事終え安堵しきりや玉の汗★★★
涼風の葉擦れの音の並木かな★★★
かしましくすずめ塒へ宵涼し★★★★

7月1日(4名)

多田有花
<首里城三句>
梅雨空や琉球伝統菓子を食ぶ★★★
さみだれの上がりぬ城を巡るうち★★★
龍こそは王の象徴夏盛ん★★★★

小口泰與
三山の見ゆる我家や夏霞★★★
折も折妻の指さす二重虹★★★★
滔滔と田川流るる夏燕★★★

廣田洋一
この道の先に架かれる虹の橋★★★
堰落ちる水のかけたる小さき虹★★★★
高きビルをまたぎて虹の立ちにけり★★★

桑本栄太郎
深梅雨や雨音止みて目覚め居り★★★
ででっぽと山鳩鳴きぬ梅雨晴間★★★★
夏の朝、山鳩の声を聞くとあたりに涼しさが漂う。そんな印象が私にあるせいか、山鳩の声を聞くと夏が来たと思う。梅雨の晴間、のどかに涼しい。(高橋正子)

山梔子の花に夕闇迫りけり★★★
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