六月上旬完成予定の拙作&私家版
『相撲史発掘』第106号は順調に進捗
しており、折込み掲載「名力士の対手
地位つき星取表」は、拙稿「江戸大相
撲熱戦譜」と“連動”させており、江戸
最弱横綱不知火諾右エ門の登場だ。
彦山光三著『橫綱傳』の一節を抜萃。
〔前略〕歌川國貞の描いた八人目の横綱
力士不知火諾右衛門━「不知火型」の創
始者━の手数入すがたがずば抜けた出来
栄えであった。三枚つづきのその錦絵は
人物の配置といい・色といい・線といい、
渾然として美事にまとまっていることは
いうまでもないが、しかも今横綱力士が
どしんと力足を踏もうとしている気あい
の実感は、まさに画面からはみ出して
しまいそうな勢い。私は腹にこたえる力
強い感銘に堪能した。
ここで彦山翁の「自家撞着」を指摘
しないではいられない。不知火型を「権
道」〔「邪道」に非ず〕と決めつけながら
その手数入を描いた錦絵にどうして堪能
できるのか。「正統的」な「雲龍型」の
錦絵に感銘・堪能するならばわかるのだ。
『相撲史発掘』第106号は順調に進捗
しており、折込み掲載「名力士の対手
地位つき星取表」は、拙稿「江戸大相
撲熱戦譜」と“連動”させており、江戸
最弱横綱不知火諾右エ門の登場だ。
彦山光三著『橫綱傳』の一節を抜萃。
〔前略〕歌川國貞の描いた八人目の横綱
力士不知火諾右衛門━「不知火型」の創
始者━の手数入すがたがずば抜けた出来
栄えであった。三枚つづきのその錦絵は
人物の配置といい・色といい・線といい、
渾然として美事にまとまっていることは
いうまでもないが、しかも今横綱力士が
どしんと力足を踏もうとしている気あい
の実感は、まさに画面からはみ出して
しまいそうな勢い。私は腹にこたえる力
強い感銘に堪能した。
ここで彦山翁の「自家撞着」を指摘
しないではいられない。不知火型を「権
道」〔「邪道」に非ず〕と決めつけながら
その手数入を描いた錦絵にどうして堪能
できるのか。「正統的」な「雲龍型」の
錦絵に感銘・堪能するならばわかるのだ。