「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

番組視聴コーナー~「クラシック音楽喫茶」の名店紹介~

2008年07月26日 | 番組視聴コーナー

以前、「クラシック音楽喫茶」を開店してみたいという夢を書いたことがあるが、現実の存在として東京都内の三店を紹介した番組があった。

好奇心を満たしてくれたので紹介してみよう。

番組名      ハイビジョンのひととき「音楽名店探訪」

チャンネル    BS-i

と    き    2008年7月15日(火) 19時~19時54分

概    要    「名曲への誘い・東京クラシック篇」
           国分寺・吉祥寺・渋谷の名店

ジャズ喫茶は全国各地にあまねくあってそう珍しくもないが、「クラシック音楽喫茶」ともなるとファン層も限られていてそうそう簡単に成り立つ商売ではない。人口が密集した大都会ならではの賜物だろう。

地方に住んでいる自分には、こういう根が張ったクラシック愛好家に支えられた本格的な音楽喫茶があるのはまったくうらやましい限り。

音楽は基本的には自分の内面や過去の記憶と向き合って一人で聴くものだと思うが、ときには違った音質と広い空間で同好の士が集まって同じ曲を一緒に聴くのも捨てがたい味があるようにも思える。

番組の冒頭、
「ときの移ろいに流されることなく生き続けるこだわりの音楽空間」、「音楽文化の伝承者として今なお愛されている安らぎの場所」の見事なナレーションとともに名店紹介が始まった。

まず最初のお店。

 名曲喫茶「でんえん」(国分寺)

      
  外 観          店  内         店  主         実  演

まだ都内でも喫茶店が珍しい時代の50年前にオープン。夫婦二人三脚で始めたが、ご主人が27年前に他界され、現在は新井冨美子さんお一人で30席ほどを切り盛りされている。

バックに「田園」交響曲(ベートーヴェン)が流れる中でのインタビューで国分寺を選んだのは家賃が安かったからで、もともとは米蔵だった建物を改造。借り手がなかったので大家さんから拝み倒されたという。

何といっても売りは音響がいいことで、ソースはもちろんレコード。お客さんでありながら熱心なオーディオ愛好家の手作りのスピーカーが設置されてある。また、当時、美人のウェイトレスを常時3人置いていたことも魅力のひとつだったそう。

お客は一橋大学や津田塾などの学生が多かったそうで当時コーヒー一杯が50円、現在は450円というのがいかにも歴史を感じさせる。

たまに演奏会も催しており、当日は「三上 ヤスヒロ」さんのアコルデオンの生演奏を聴かせてくれた。大変お上手で、これは見事に音楽になっている!

最後に、今後の店の運営についてだが新井さん一代のつもりだが、お客さんの中で後を継ぎたい方がもしあればというコメントだった。自分が近くに居住していれば手を挙げるかも。ただし、現在の装置のままで引き継ぐというのがネックになりそう・・・。

 クラシック音楽鑑賞店「バロック」(吉祥寺)

       
   外 観         店 内           店 主        5台のアンプ

1974年開店。28席ある店内正面には2セットの大型スピーカーが設置され曲目に応じて使い分け。店内は私語厳禁で所蔵レコードはバロック期を中心に6000枚。

店内のアンプ(5台)は「伝説の真空管アンプ製作者」と呼ばれ、17年前に亡くなられたご主人「中村数一」氏が製作されたもので、1台あたり半年から1年かけて心血を注いで作られたそうで以後、妻の中村幸子さんがお一人でこれらの装置を守っておられる。

ご主人は享年53歳と比較的若死で、慣れない喫茶店の営業がストレスとなって命を縮めたのではと気にされていた。一時、お店を閉めたもののお客の熱烈な要望で再開されたという。

たまたまバックに流れている音楽が、コルトー、チボー、カザルスによる伝説の「大公トリオ」(ベートーヴェンop.97)で、この選曲を見てもお店の雰囲気の察しがつこうというもの。

自由帳(ノート)をおいてお客に感想を書いてもらうのも音楽好きだったご主人のアイデアで、レコードコレクションの傾向はバロック、古典派まででロマン派については他所の店で聴いてくれという姿勢。

「常連さん」へのインタビューでは、次のような熱烈な賛辞が贈られている
・貴重なレコードが一杯で最大の宝
・この店は心の支えで魂の癒しの場所
・席がすべてスピーカーに向いていて聴きやすく、来るたびに心が浄化される

中村さんは亡きご主人の製作したアンプが生きている間はこのお店を続けて生きたいとおっしゃっている。

 名曲喫茶ライオン(渋谷道玄坂)

       
  外 観           店 内          店 主          開店当時

開店から80年続く名曲喫茶の殿堂。立体的な音にこだわってレコードプレーヤーを特注し、高さ3mの巨大スピーカーは音の周波数まで技師と相談して決めたという。

店主の石原圭子さんが先代、そして亡きご主人の遺志を継いで運営されてきたが、開店当初はもの珍しさも手伝って大繁盛で地下から3階まで大入り満員だった。

現在はお客の数も随分減って、居住地のドーナツ化現象、しかも高齢化現象が追い討ちをかけている。しかし、熱心な人もいて毎週大阪から泊り込みで聴きに来る人もいるという。

とにかく全国区のお店として、地方から上京された方が「自分のふるさと」「まだあった」と喜んだり、「父がよく来ていたので」と子息が来たりするとのこと。

石原さんは、これからもゆっくり落ち着いてクラシック音楽に浸り、身体に音を浴びてリラックスできる雰囲気のお店にしていきたいとおっしゃっている。

以上、約1時間の番組で三店の紹介だったが、いろいろと符合することが多いのに気付く。

 CDではなくてレコードをソースにしている

 オーディオ装置にこだわりがあり個性的

 いずれも都内にあって長い歴史が刻まれ開店時の伝統が今なお生きている

 店主が年配の女性で、いずれも亡くなられたご主人の遺志を継いで経営している

特には偶然の一致にしては出来すぎている!

クラシック音楽喫茶の店主(男性)はなぜ長生きできないのか?

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