「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

LANケーブル → SPケーブル

2017年06月27日 | オーディオ談義

「ほ~ら、私が言ったとおりでしょう。今どき旧いオーディオ雑誌なんて読む人がいるはずないじゃない!」と、家内の勝ち誇ったような高らかな嘲笑が何ともいまいましい。

前回のブログの末尾に「旧いステレオサウンド誌(40冊)を無料で差し上げます」と、記載していたのだが結局、希望者は皆無だった。

かくなるうえは軒先で廃品回収に出すのみで、梱包や運送屋さんへの手間が省けたぶんだけ良かったのかもしれないが、その一方では、昨今の冷えきったオーディオ熱を象徴する出来事ではなかろうかと、ちょっと淋しい思いもした。

「老兵は死なず、只消え去るのみ」・・・・。

さて、話は変わってこのブログに度々登場していただいているメル友の「I」さん(東海地方)。

現在4ウェイ・システムの構築に腐心されており、その調整の苦心談をお聞きする中で次のような一節があった。

クロスオーバーの調整が進むと、歪っぽさが減るとともに艶も減ってきたように感じました。これを救ってくれたのがSPケーブルとして使用しているLANケーブルです。

当初、撚線からLANケーブルにしても大きな変化はありませんでしたが、富士電線のLANケーブル(カテゴリー6)にしたところ、少々オーバーに言うと、音から音楽に変わりました。因みに、JBLのLANケーブル(カテゴリー5)も富士電線です。」

「エッ、あの細いLANケーブルをSPケーブルに使用するなんて!」と奇想天外(?)の発想に大いにオーディオの虫を刺激された(笑)。

すぐに「詳しく教えてください」と、打診すると次のようなコメントの返信があった。

「LANケーブルの件ですが、接続端子が付いている場合はカットして使います。端末処理は、ケーブルの外被をニッパーで8㎝ほど剥いで、中の単線をワイヤーストリッパーで2㎝ほど剥いています。  

0.5㎜単線が2本ずつ撚ってありますので、スタッカート接続(青白緑白の組とオレンジ白紫白の組)あるいは隣同士の平行接続(青白紫白の組と緑白オレンジ白の組)で二組に分けて⊕⊖とします。 
 
スタッカート接続と平行接続の音質面での違いですが、ボロトレーンさんは「スタッカートの方が低音が出るが、スタッカートの理論に矛盾があるので今は平行にしている」とのことです。私は、JBLはスタッカート接続、4ウェイは平行接続にしています。この二つの接続方法による音質の違いは私には判りません。 
 
ところで、LANケーブルのメリットの要因は、「単線」にあるような気がします(根拠はありません)。特徴としては、音の滲みが少なく、艶もあるように感じます。ただ、〇〇様は、すでに単線をお使いですので、効果は導入済みのような気もします。 
 
また、3種類のLANケーブルを使う機会がありましたが、富士電線製にいい印象を持っています。200m買いましたのでとても使いきれません。必要でしたら20mでも30mでもお送りします。いつでも仰ってください。」

以上のとおりだが、我が家にはかって、インターネットラジオの回線を引くためにLANケーブル(カテゴリー6)を購入しその余った分が大量に眠っているので、まさに「猫に鰹節」(笑)。

すぐに実験に取り掛かった。

先日のブログにも搭載したようにSPケーブルを口径「1.2mm」の単線に替えたばかりだし、音質にまったく不満はないが、さらに良くなるのならそれに越したことはない。それに余分におカネがかかることもないし~。

接続方法は低音向きのスタッカート接続にしてみた。

           

作業はあっという間に済んで右チャンネルの方は「LANケーブル」にし、左チャンネルは従来の単線のままで音を出してみた。こうすると音の違いがよく分かる。

すると、明らかに「音の硬さ」が違った!


端的に言えば、左チャンネルは「硬い音=塊りになって聴こえる=分解能が悪い」、その一方、右チャンネルのLANケーブルの方は「柔らかい音=一つ一つの楽器の音がほぐれて聴こえる=分解能がいい」

明らかに「LANケーブル」の方に軍配が上がった。

そういうわけで、迷うことなく3系統のスピーカーケーブルを半日ほどかけてすべてランケーブルに変更したが、大きな図体のウェストミンスターだけは裏蓋を開けての難作業になるので、いずれ機会をみての宿題として残した。

一番手間がかかる作業はLANケーブルの端末処理で、100円ライターであぶって芯出ししたが、随分、荒っぽい所業だ。

ケーブルが安いせいもあって、つい、ぞんざいに扱ってしまったが昔からの価格信奉(高価格=高性能)がいまだに根強く残っているようでこれは自分の悪い癖だなあ~(笑)。

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「音響」と「木の共鳴」

2017年06月24日 | オーディオ談義

前回のブログでつくづく考えさせられたのが音響」と「木の共鳴」との関係

       

ピアノの響板を参考に製作されたという円形のバッフルに強い衝撃を受けてしまった。これまでバッフルをいくつも作ってきたが、これに比べるといずれもチャチなものばかり(笑)。

しかも、ときどきバッフルに開けた穴の寸法が合わないときに2枚重ねにしたことがあったが、木を共鳴させる観点からすると絶対やってはいけないことで今となっては背筋がゾッとする。


SPユニットを取りつけたバッフルはあくまでも1枚板によって木の共鳴音を最大限に引き出さねばいけないというのが痛切な教訓となっている。

さて、「木の共鳴」で思い出すのが以前のブログに登載した「音響は木の共鳴によって左右される」。

この機会に以下のとおり再掲させてもらおう。

日本の女流ヴァイオリニスト「千住真理子(せんじゅ まりこ)」さんに次のような著書がある。

「聞いて、ヴァイオリンの詩」(2000.11.1、時事通信社刊)   

日本でも有数の現役ヴァイオリニストが書いた本ということで興味深く読ませてもらった。

幼少のころ「天才少女」とうたわれ、ヴァイオリンを肌身離さない生活がずっと続いていく中で、母をはじめとした家族との関係や学業との両立など生い立ちからのエピソードがこと細かに綴られている。ヴァイオリニストとしての成長と人間的な成長とが一貫して調和しているところがいかにも千住さんらしい。

さて、本書の59頁~66頁にかけて「謎のストラディヴァリ」という小節がある。

彼女は後年になってあのストラディヴァリの中でも名器とされる「デュランティ」を手に入れることになるのだが、この著作の時点ではまだ手に入れてないが名器に対する憧れを率直に語るとともにその音色の謎ともいえる特徴に言及している。

いまから約300年以上も昔、北イタリアの”ヴァイオリン作りの村”と呼ばれるクレモナにアントニオ・ストラディヴァリという男の子が生まれた。親族同様に物心つくころには自然と楽器を作るようになったが、猛烈な仕事ぶりで次から次へと楽器を作ったが楽器の出来のほうも他とはまるで違っていた。

93年の生涯で約3000台の弦楽器を製作したといわれているが、今日までに戦争や火事、交通事故、虫食いなどによって破壊され、いま世界に残っているのは300~400台といわれている。

当時の人々はみな「まずそのニスの美しさに心を奪われた」という。たしかに「ストラディヴァリの秘密は、そのニスにあり」という説があるほどだ。

(筆者註:かなり前に見たテレビ番組では、「ニスの中に混ぜた防腐剤の独特の成分が時間の経過とともに楽器の木目にしみこんで密度が程よいものとなりいい音が出る、これがストラディヴァリの秘密だ」と実験を積み重ねた科学者が登場して得々としゃべっていたのを憶いだす。)

ともあれ、不思議なことにストラディヴァリが考え出した板の厚み何ミリとか、ネックの長さ何センチ何ミリといった緻密な寸法は、そのままほとんどのヴァイオリン製作者のモデルとなって現代にも定着している。

それに見た目も美しいが何といっても魅惑的なのは音色だ。300年前には考えられなかったはずの現代の2000人にも及ぶ大コンサートホールに持って出ても「極めて小さな音を出しても客席の一番後ろまでピーンと美しく聞こえる」という現象には驚かされる。

ほかの楽器になると”そば鳴り”といって近くでは大きくきれいな音が聞こえるが、大ホールに持って出るととたんに音が貧弱に鳴り、後ろの座席まで音が通らない。ここに、両者の大きな違いがある。

もうひとつ特徴的なこととして、ストラディヴァリほどの名器はある程度長い年月をかけて弾き込まなければ音が出ないという点がある。ギーといったり、かすれたり、大変苦労する期間が最低1~2年、場合によっては10年近くある。

その間、「もしかするとこの楽器はニセモノなのではないか?」という不信が生まれるが、あきらめずに楽器を弾き続けると、あるときを境にカーンと鳴りはじめる。

これはある科学者によると、「一定の振動を与え続けることによって木の細胞がみな一定方向に向きを変え、ある種の振動に対して極めて敏感な反応をするようになるため」ということらしい。

さて、長々とストラディヴァリにかこつけて話を引っ張ってきたが、今回のテーマのねらいはこの箇所にある。

すなわち、「一定の振動を与え・・・・」云々はオーディオ機器の生命線ともいえるスピーカー(SP)の箱やバッフル(木製の場合)にも通じる話ではないだろうか。

スピーカーはユニットよりも箱(エンクロージャー)やバッフルの方が大事とはよく聞くが、時間が経てばたつほど音が程よくこなれてくるのを実感している。

オーディオ仲間での間では”木が枯れてくる”という表現をよくするが、今回「木の細胞が一定方向を向くので音が良くなる」という科学的な見解を知ったのは新発見。

周知のとおりスピーカーはオーディオ機器の中では唯一楽器にたとえられるほどの華のように優美な存在である。まずアンプなどと違って機械くさいところがないのがいい。

スピーカーをヴァイオリンやピアノにたとえると弦と鍵盤の部分がユニット(振動箇所)に該当し、胴体と響板の部分が箱やバッフルに該当するといえる、どちらも木製なのはいうまでもない。さらに人の声ともなると声帯がユニット、肺がボックスみたいなものだ。

結局オーディオも単純化すればSPという「楽器」をいかに鳴らすかということに尽きるわけで、そのためにCDプレーヤーがあり、アンプがあるのであって、スピーカー以外の機器は所詮その程度の存在でしかない。

改めて「音響に果たす木の役割」に関心が向くわけだが、ピアノの音だってあの大きな響板の形状や材質が生命線だから、結局ヴァイオリンとピアノという双璧ともいえる二つの楽器が木の共鳴によって性能を左右されているところがなかなか興味深い。

とまあ、以上のような内容だった。

8年前のブログにしては内容があまり古びていないように思うが、残念なことに書いた内容がすっかり忘却の彼方に過ぎ去ってしまい日頃のオーディオに生かされていないのが困る(笑)。

最後に、上記とはまったく関係のない話ですが、現在オーディオ関連の書籍の整理をしています。

          

旧い「ステレオサウンド誌」が40冊ほどありますので、読みたい方があれば差し上げます。

もちろん無料ですが、送料だけはご負担願います。希望者は自己紹介欄のメルアドあて連絡してください。分厚くて重たいので10冊ぐらいに小分けして配送の予定です。

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「AXIOM80」の低音補強について

2017年06月22日 | オーディオ談義

前回のブログ「裸で鳴らすSPユニット」にご登場していただいた東京都のAさん。

あの複雑怪奇な構造をしているSPユニット「AXIOM80」を分解・修理して再生されるほどの腕前だから、つくづく世間は広いと思ったものだが、そのAさんからお久しぶりにメールをいただいたので紹介させていただこう。(無断転載ですが匿名ということでお許しください。)

「80の低域追加は私の場合、自作のフルレンジで補ってジャンルにより鳴らし分けしております。直径1200mmの全振動板を反発ネオジマグネットで駆動させfoは27Hzぐらいでしょうか。これも箱には装着していません。でかすぎてなんとも・・・。  

ピアノの響板を参考にしてウーファーとして製作したものですが思ったより高域が伸びたので少し改良してフルレンジ仕様に変更しました。とても良いつながりですがなかなか良い録音のソフトに巡り会っていません。 
 
あまりあてにならないデータ添えますが低域の音質は気に入っています。しかし、この80の醍醐味は何といってもアコースティックな楽器のリアル感だと思っています。」

添付写真は次のとおり。

       

        


         

凄いっ!

まず箱を使わないというポリシーに感心し、次に円形のバッフルに感心し、そして低音域のF特の素晴らしさに感心!

すぐに返信メールを打った。
 
「メールありがとうございます。画像拝見しました。私にとっては理想的なウーファーで、直感的にこれだと感じるところがあります。きっと「こもりっ気」のない透き通った低音が出ることでしょう。

出来れば我が家でもトライしてみたいですね。今後ともアドバイスをお願いします。」

日頃から愛用している「AXIOM80」にも弱点があって、(そもそも弱点が無いスピーカーなんて存在しないが)
我が家にお見えになるお客さんたちが、きまったように洩らされるのが「とても繊細な表現力を持っていますが万能とはいきませんね。低音があまり出ないのでオーケストラなどの大編成を聴くのは無理でしょう。」

実際に口にされないまでも、考えられていることは気配でおおよそ分かる(笑)。

これまで「AXIOM80」本体から何とか満足のいく低音を出そうと四苦八苦してきたが、とうとう諦めて他のユニットの手を借らざるを得なかったのが実状だ。むしろ低音を期待してはいけないユニットというのが本当のところだろう。

そういう中で、このAさん方式が一番理想的なもののように思えるが、はたして凄そうなノウハウが自分如きの手に負えるかどうか。

それが問題だ!(笑)

これから沈思黙考して自分なりに消化してみることにしよう。

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裸で鳴らすSPユニット

2017年06月20日 | オーディオ談義

長いことオーディオをやっていると、つい固定観念に囚われがちになるので常識破れの発想に出会うととても新鮮で目を見開かれる思いがする。

          

つい先日のブログ(「彷徨する赤い旅人の終着駅」)の中で、東京都のAさんが「AXIOM80」を(箱に容れることなく)裸で楽しまれていることを紹介したところ、さっそくメル友の「I」さん(東海地方)からメールが舞い込んできた。

さて、東京のAさんのマニアぶりにびっくりです。それに「床の上にゴロッと置いて・・・」とは!!  

そういえば、以前、当方のSPユニットを落札してくださった方も、裸で鳴らしていると仰っていました。その時は考えませんでしたが、置き方はどうだったのか・・・。~以下略~」

我が家でも驚きで、「AXIOM80は箱に容れて背圧を上手に利用しながら鳴らすユニットだ。」と決め込んでいたので、裸で鳴らすなんてまったく及びもつかなかった。

だがしかし、待てよ~(笑)。

「AXIOM80」を3ペア持っているので、うち1ペアはオークションに出すつもりだったが、その前に冒険していいかもしれないなあ。

そうだ、平面バッフルに取りつけてウェストミンスターの上に載せる手がある!

このシステムは現在、オーディオ仲間が自作したチャンデバを使っており、クロス周波数は500ヘルツ前後なので中高音域の500ヘルツ以上を分担させてみるのも面白い。「AXIOM80」を箱に容れるのは低音を得るためであって、(低音域が)不要なら何も箱に容れる必要はない。

こういう使い方は、先年亡くなられた「宇野功芳」氏(音楽評論家)がそうだった。3ウェイシステムのうち中音域にAXIOM80を使っておられたが、「そんな使い方をするなんてまったくの素人だなあ」と、読んだ当時、嘲笑ったのでよく覚えている。

巡り巡って、こうして攻守ところを変えるのだから、いついかなるときでも人を「小ばか」にしてはいけない(笑)。

結局、低音域用のJBLの「D130」(口径38センチ)ユニットとの組み合わせになるが、JBLとグッドマンとくれば背筋がゾクゾクするねえ。おそらく世界中でただ一人だろう(笑)。言い換えると世界中で唯一の音だ。

そもそも「AXIOM80」のスピードに見合う口径38センチのユニットなんて無いに決まっているが、その中ではせいぜいJBLのユニットぐらいがマシといったところ。あのコーン紙が持つ独特の浅い形状のカーブと強力なマグネットがその理由だ。

善は急げとばかりさっそく工作に掛かった。

まず「AXIOM80」を裸で取りつける専用のバッフル作り。

先日掲載したあのウェスタンの本格的なバッフルには及びもつかないが、中高音域専用なのであまり大きくしても意味がない。一心不乱に取りかかって半日ほどで完成。音響上、接着には金属のネジは使わないようにして「強力ボンド」と細い孔を開け木の棒を押し込んで完成。

不器用なので日曜大工は嫌いだが、オーディオに限ってはそんなことを言ってられない(笑)。

   

舞台側と楽屋裏側からパチリ。ちなみに、チョット手間はかかるが「AXIOM80」はいかなる場合も表側からのマウントに心がけている。

後日のためにシステムの流れを記載しておこう。何せクルクルと日替わりメニューみたいに変わるので(笑)。

「CDトラポ」と「DAコンバーター」はdCS(英国) → プリアンプ「真空管式」(RCA「5814」2本、シーメンス「ECC83」2本) → 「チャンネルディヴァイダー」(クロス500ヘルツ前後) → パワーアンプ

パワーアンプの内訳は低音域用(500ヘルツ以下)を「6SN7プッシュプル」(トライアッドの出力トランス使用)、中高音域用は「PX25シングル」(ナス管)

そして肝心のスピーカーは低音域用がJBL「D130」(口径38センチ、箱はウェストミンスター)、中高音域用は「AXIOM80」(復刻版)。

さあ、どんな音が出るか、おそらく世界で唯一の音だ・・・・。ハラハラ、ドキドキ、ワクワク~。

オーディオはこの瞬間がたまらない。

以下、自画自賛は「はしたない」ので割愛させてもらうが、これまで「大男総身に知恵が回りかね」とばかり、持て余し気味だった「ウェストミンスターのシステム」から「我が家における史上最高の音」が出たことを報告しておこう(笑)。

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オーディオ満足度と対数関数

2017年06月18日 | 復刻シリーズ

つい先日のこと、行きつけの図書館の新刊コーナーに次のような本があった。タイトルは「人生を変える数学、そして音楽」。

                           

「数学」と「音楽」とを関連づけて述べるなんて、まことにユニークな視点だと思いつつ、はたしてどんな方が書かれたんだろうかと興味を引かれて末尾にある著者のプロフィールを見ると驚いた。

「中島さち子」さんという方で、1979年生まれの大阪府ご出身で「東京大学理学部数学科卒」。

「学歴」というのはこれまでの経験上あまり当てにならないが(笑)、高校2年生の時に国際数学オリンピック・インド大会で金メダルを獲得という勲章には心から敬服した。しかも日本人女性の受賞は後にも先にも唯一人というからすごい。

現在一児の母として、またジャズ・ピアニストとして活躍されているそうで、こういう方なら「数学」と「音楽」について述べる資格が十分あるに違いないと、いそいそと図書館での借入手続きを済ませた。

余談になるが、人間を文系、理系で大雑把に分けるとすると、音楽好きはどちらかといえば理系に多いというのが、自分の大まかな見立てである。

代表的なのがあの「相対性理論」で有名な物理学者アインシュタインで日頃からヴァイオリンを”たしなみ”つつ「死ぬということはモーツァルトを聴けなくなることだ」という有名な言葉があるほどで、天才が楽しんだ趣味を凡人が同じレベルで味わえるなんて、音楽ぐらいではあるまいか。

ちなみに自分は(文系、理系の)境界線に位置しており、都合によってどちらかに変色するカメレオンみたいな存在である(笑)。

さて、本書をざっとひととおり目を通してみたが、前半は数学の面白さについて、中程は数学と音楽のつながりについて、後半は音楽の楽しさについて述べられている。

正直言ってなかなか高度な内容だった。自分のような冴えない人間が理解するのはたいへんというのが率直な感想。

読後感を書こうにも隔靴掻痒の感があるので、数学にもっと素養のある方が読めばこの本の奥深さを的確に伝えられるだろう。


さて、数学の面白さで印象に残ったのが「オイラーの公式」として紹介されていたもの。(28頁)

「1/1の二乗」+「1/2の二乗」+「1/3の二乗」+「1/4の二乗」・・・・・=π(パイ)の二乗/6

何でもない数式なのに「解」となるとなぜか急に、「円周率π(パイ)」が登場してくるという数学の神秘な世界には恐れ入った。

折しも、先日の深夜放送(NHKーBSハイ)では数学界最大の難問とされる「リーマン予想」(素数の並び方の規則性)についての番組が放映されていた。素数とはこれ以上分解できない数をいう。(2、3、5、7、11・・・・・)

素数だけを使った数式が円周率πと関係しているという興味深い番組だったが、あまりに魅力的な命題のため、深入りし過ぎて精神に異常をきたした幾人もの数学者たちが紹介されていた。


この「リーマン予想」が証明されると宇宙全体の真理の解明に寄与するという。これは素人考えだが、そもそも太陽系の惑星はすべて球体だし、円というものが万物の基本形なのは間違いない。したがって、あらゆる局面に円周率πが顔を出してくるのは当然のことであり、大切なSPユニットだってほとんどが円形だ。ホーンも円形にしなくては~。エッ、ちょっと意味不明(笑)。

さて、前置きが長くなったがいよいよ本題に入ろう。

本書の194頁に次のような話が紹介されていた。以下、引用。

「ウェーバーの法則によると、人はお金持ちになればなるほど金銭感覚が変わってきます。

例えば、所持金100万円の人が所持金200万円になる嬉しさと、所持金1億円の人が1億100万円になる嬉しさは、(同じ100万円増えても)違いますよね。~略~

これは一定の金額が増えたときの嬉しさは所持金に反比例するということです。この”微分不定式”を解けば、
嬉しさは”対数関数”で表されるとわかるのです。対数関数なんて、なんだか難しい関数によって嬉しさが表されるなんて・・・・少し面白いと思いませんか?

音の大きさに驚く感覚も、このように音量に反比例するので対数関数になっています。」

こうして分かりやすく説明してもらうと、オーディオでも思い当たる節が沢山ありますねえ。

たとえば低域用に使っている20センチ口径を複数使うときのエネルギー感覚についても同じことが言える。

つまりウーファー1発のときに比べて2発のときは√2(≒1.414)倍、3発のときは√3(≒1.732)倍、4発のときは√4(=2倍)となるのもそう。

お金で換算すると、1発10万円として、2発(20万円)のときのエネルギー感覚は1.4倍にしかならないし、3発(30万円)のときにしても1.7倍に過ぎない。突っ込むお金に対してけっして倍々ゲームにならない。


そういうわけで、どこまでもキリのない高得点の世界を狙うのがはたして妥当なのかどうか、対数関数に照らし合わせてみるとまったく「非効率の極み」と思うのだが、こればかりは分かっちゃいるけど止められない(笑)。

オーディオは理屈や数式で割り切れないところに究極の面白さがあるようだ。

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