「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

メラメラと燃え上がる怒りの炎!

2020年10月31日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

さあ、オークションに出品された「AXIOM80」を「H」さんが無事落札されるかどうか、運命の時間(深夜)
が迫ってきた。

他人事ながらハラハラ、ドキドキするものの幸か不幸か睡魔はいつものとおり20時ごろに襲ってきた(笑)。

翌朝の3時ごろにごそごそと布団から這い出して真っ先にメールを開けてみたところ「落札できませんでした」のタイトルが目に踊った。

「〇〇美術館のHです。非常に
 残念ですが予想通り落札出来ませんでした。いろいろお訊きしたのに申し訳ないです。

50万円近くまで粘ってみたのですが、このまま続けても、相手が強力で、どんどん上がるだけだと思ったので止めました。

一度自分の耳で納得するまで聴き、その後に入手しても遅くないと思っています。今回は縁が無かったですが、これがスタートだと思っています。

今後ともよろしくお願いします。
確かに状態は最高であった気がしますが、私には過ぎたレベルだと今は思っています。」

すぐに返信メールを打った。

「おはようございます。早寝早起きなのでこのメールが真っ先に目に入りました(笑)。

結論から言いますと「見送って正解」です。いくら何でも50万円近い金額は無茶です。

落札者はおそらくお金に糸目をつけない〇〇系の業者じゃないでしょうか。

別の機会がきっと訪れますし、「果報は寝て待て」の心境もいいものです。

それに使い込まれた中古品でも十分です。万一故障したときの修理のうまい業者も知ってますよ」。

それから、おいおい状況がはっきりしてきた。落札者は累計で3000件以上にも及ぶ専門業者でやっぱり投機筋の〇〇系のようだし、具体的な落札金額は税込み価格で「48万円」だった。もし最後まで競争をしかけていれば確実に50万円を超えるどころか果てしない金額に上ったことだろう。

これでは「ハイエンド」のちょっとした差を楽しむ「オーディオ文化」どころか、弱肉強食の血に飢えたハイエナ同然じゃないですか!

純粋に音楽芸術を楽しむささやかな趣味の世界に土足で踏み込んでくる「不届き者」がいる!

まるで「夜の女王」(「魔笛」)のコロラツゥーラのようにメラメラと怒りの炎が燃え上がってきた。

すると、Hさんから再びメールが届いた。

「この2日間、AXIOM80を入手すれば封印されるはずだったSABApermadyn19-200とJBLL75(LE8Tユニット)を真剣に試聴することにしました。

〇〇さんが以前のブログで書かれていた美空ひばりオンステージと井筒香奈江ダイレクトカッテイング、荒井由実ミスリム、上田正樹アフターミッドナイト、ビル・エヴァンスのレコードと、唯一のデジタルSACDで中森明菜ベストコレクションという偏った選曲にしました。

2日間で約10時間、SABAが7時間、L75が3時間ほどです。今終わったばかりです。平日は家族が全員仕事に行っているので、私にはこの時しかないのですが。

SABAはオーディオもてぎさんに行って茂木さんとお話ししているうちに大好きになったSPです。

2,3年探していたのですが、何故かヤフオクに引き取り限定で大型エンクロージャー入りの極上ユニットがほぼタダ同然に出ました。(私は拾うことが大好きなので)ほぼタクシー代だけで入手できました。

(車とバイクの趣味は完全封印しています)それでも2カ月ほど改造し、後面開放エンクロージャーに作り替えました。いい音だとは思っていたのですが、TVやCDの音が痩せ細るので、常用していませんでした。仕舞っていました。

私が知る限りEAR912と861は音を美化するトップクラスのアンプです。初めはMCを聴いていたのですが、結局今はシュアーのULTRA500 に戻ってしまいました。この条件で聴くと、レコードは8:2でSABAが勝ちました。物凄く吃驚しました。せめて同点位と思っていたので。

しかしながら、TV、動画サイト、SACD、CD、ハイレゾというデジタルソフトは100:0でL75がいいです。

同じ20㎝アルニコマグネットのフルレンジ、設計は数年違いますが。全然違う音質というわけでなく、どちらもバランス良く人の声が自然に聞えます。

L75が少しウェットではありますが。SABAで聴くデジタルは何とも痩せてか細いのです。一番の違いはコーンの重さ、ユニットの重さだと思います。

レコードあれほどまったりしていて、血が通っていた声がミニコンポみたいになるのです。
電気を最高速で音に変える軽い軽いコーン紙が何か悪さしているのでしょうか?

もともとラジオ用のユニットですからシーメンスとは反対側にいるものです、JBLともAXIOM80とも逆なのだと思います。

何が言いたいかというと、束縛の無いコーン紙≒SABA、重いダイキャストフレーム≒LE8T 〇〇さん宅のデジタルなら問題ないのでしょうが、AXIOM80とは、どんな方向性の音がするのだろうかと、更に興味が沸いたという話でした。

聴かなくては分からないと承知しながら、音を想像する愉しみは何事にも勝ります。ただ、SABAの悪い分以下でないことは望んでいますが(いや寧ろ、反対側が凄ければそれでもいいですね)

L75ならレコードと違うSACDの良さが分かるのですが、SABAは何故なんでしょうかね。周波数特性もSABA50Hzから十分でしたし、上は12000Hzまでしか聴こえませんし、L75も同じ位の周波数特性でした。

SABAもこのまま残して、AXIOM80の箱は別に作ろうかと思った次第です。SABAより軽い(?)コーン紙の音。楽しみです。」

折り返し、返信した。

「とても興味深い話です。たしかに仰る通り、デジタル系の音とアナログ系の音にあったユニットの相性がありますね。


コーン紙が軽いユニットはアナログ系の響きの豊かな音に合うような気がしています。

AXIOM80の初期版のコーン紙の軽さは有名ですが、やはりアナログ系に合っていそうです。我が家ではレコードは無いのですべてDACを通していますが、アナログならさぞかしと思います。

それかといって、デジタルでもあまり不足は感じていませんが、時折り感じる「響き」の少なさがアナログでは解消するかもしれませんね。

私はデジタルで低音域を豊かに鳴らすことに固執しているので
、まやかしですが「AXIOM80」の同一バッフルに「リチャードアレン」(口径20センチ)のサブウーファーを取り付けて2台の真空管アンプで楽しんでます。

今のところ私の駄耳では満足してます。要は工夫次第ということですか。

いや、けっして自画自賛ではないですよ(笑)。


サバとLE8Tは両者ともボーカルを楽しむにはとても合っていると思います。

あえて口径20センチのフルレンジを選択される趣味の良さも大いに感じますし、アンプもあの「パラヴィッツーニ」設計の優れものなので、この組み合わせで十分だと思います。わざわざ「AXIOM80」を求めることもないでしょう。


もちろんそれなりの良さもあるとは思いますが、おそらく「フ~ン、AXIOM80といってもお値段ほどのことはないな」がオチだと思います。

そういえば「聴かぬが花」という言葉を思い出しましたよ(笑)。」

以上、これで「AXIOM80」の入札関連の話はお終いです。読者には長々とお付き合いいただきありがとうございました。

最後にHさん、ネタの提供について感謝の一言です。




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ノーベル賞をもらったオークション理論

2020年10月29日 | オーディオ談義

今年(2020年)のノーベル賞(経済学)は周知のとおり「オークション理論」を唱えた2氏(アメリカ・スタンフォード大学教授)に決まった。

授賞理由は「基礎理論から始め、実社会に応用し、それが世界に広がった。彼らの発見は社会に大きな利益となった」とのこと。

中国には「井戸の水を飲むときは井戸を掘った人の苦労を思い出せ」という意味のことわざがあるが、自分なんぞはこれまでどれだけオークションの恩恵に浴したか分からないほどで、改めて感謝の念を捧げよう。

とはいえ、オークションなんて昔からやってることだし、ことさら理論なんて要るのかという思いもあるのだが、ネット社会特有の産物と見たらいいのかな(笑)。

以下、前回からの「AXIOM80」のオークションに纏わる話の続きです。

さて、関西在住の「H」さんとメールのやり取りが続いている。全国的にも他の方からちょくちょくメールをいただくことがあるが、たいがい1~2回やり取りするとプツンと途切れてしまう。

たぶん、相手側が面倒くさくなるのだろう。自分のような時間に縛られない人間は別として現役の方にはちょっと無理でしょうよ。それに、文章を書いてやり取りするってのはけっこう根気が要りますからね~(笑)。

その点「H」さんはめげずに返信されてくるので感心する。オーディオ愛好家の本質は「根気と、しつこさ」に尽きるのでこれさえあれば大丈夫です。お役に立てることがあれば何度でも応じますよ~。

そして、次のようなメールが届いた。

「急なメールに早速返答いただき恐れ入ります。
具体的な内容で本当にありがとうございます。

〇〇さんの記事などを参考にさせていただいても、このユニットの状態は良いのだと思っておりました。

金額も参考にさせていただきます。税込み40万円までは思っておりましたが、きっと全然違う金額になるのではと予想しています。正直、AXIOMの初心者です、これから苦労していくつもりなので、今回が絶対とは思っておりません。

私は歌謡曲とフォーク等のコレクターです。太田裕美、ちあきなおみ、美空ひばりが色っぽく歌い、ジャズトリオが魅力的ならそれで全く満足です。オールマイティなものは期待していません。

40年前はD130に比べてLE8Tの音を嫌っていたのですが、今は毎日が楽しくてしかたがありません。〇〇さんの音には遠く及びませんが、似た傾向の音が好きなのではと勝手に思っています。アンプ以外は機材似ていますので。EAR86116Ω仕様で、AXIOM80に合う音なのではと選びました。イメージから入るタイプです。

大分県立美術館の〇〇氏は私の同級生だったのですが、今は大学に戻っています。よく大分に遊びに行ってました。

今回は、あまりにも良さそうなので落札は期待薄ですが、何時かは必ずお仲間入りすると思いますので、良き指導宜しくお願いします。実家は若松(北九州)ですので、きっと伺う機会もあると思っております。

なお、画像を添付します。




写真のうち衣装と小物は全部本物です。衣装に合わせ1体ずつマネキンを製作します。700カ所の採寸、原型から型取りを繰り返し、彩色まで約半年掛かります。私の人件費を除いても200万円以上は掛かります。

デパートや店のマネキンを1点ものなら1000万円は掛かります。量産品でも50万円以上です。結構高いものです。

モーツアルト時代の衣装は数十点所蔵しています(マネキンも同数)250年以上前の衣装を毎日触る仕事です。

2018年は佐渡豊さんに頼まれて、フィガロの結婚の衣装解説を芸術劇場のパンプに書かせていただきました。

ご褒美に初日の一番いい席で見せていただきました。楽しい一日でした。
もう1点はスーラ―の「グランドジャット島の日曜日の午後を本物で再現したものです。」

エッ、「マネキン」ってとても緻密な作業が要るし、それに随分高価なんですね~。驚きました!

そして、すぐに返信した。

「指導なんてとんでもないです。私も「AXIOM80」の正解が見出せない「迷える子羊」の一人です。一緒に考えながら前進していければと考えてます。

今回の出品物が40万円以下だといいですね・・。もし手に入ったら、アンプは今のままでいいでしょうから箱をどうするかですね。箱に容れないで裸で鳴らすとこのユニットは確実に壊れます。

私もこれまで4~5回修繕に出してます。

オークションの落札はいよいよ今日(25日)の夜ですが、お節介かもしれませんがくれぐれもご無理をなさらないように。

チャンスはこれからもきっとあります、「短気は損気」「焦りは禁物」といいますからね。


九州に足を伸ばされたときはぜひお立ち寄りください。」

以下、事態は「最終局面」へ刻々と近づいていく。


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オーディオに完璧という言葉は無いのですが・・

2020年10月27日 | オーディオ談義

前回からの続きです。



とても程度のいい「AXIOM80」がオークションに出品されていたのはご承知のとおり。

実は、この件に関して関西在住のある読者からご相談を受けていた。仮に「H」さんとしておこう。

「〇〇美術館で学芸員をしている「H」と申します。

急にメールさせていただく失礼をお許しください。少々聞いていただきたいことができたもので。

5年程前よりこのブログ毎日興味深く拝見させていただいてます。

真空管とAXIOM80に大変興味があったもので直ぐにここにたどり着いてしまいました。私はどちらも素人です。

50年前のFMラジオから始まったオーディオ人生も、直ぐにパイオニアのPE-16、岩崎千明氏の影響でD130の平面バッフルに移行したのですが、折からのオーディオブーム(?)に飲まれ、真空管はダイナコ以外は使わずに40年程経ちました。

それでも、オーディオ少年の夢で、マランツ7、パラゴン、AXIOM80を未だに追っかけています。

私も九大のOBでして、中高時代は北九州無線に入り浸っていたのですが、如何せん、当時はどれも現役で試聴することが出来ませんでした。

高校の修学旅行で吉祥寺にパラゴンを聴きにいったり、京都のやまとやにヴァイタボックスCN191と頑張っていたのですが、東京の西武美術館、その後現在の美術館に就職し、仕事が忙しく、ほどほどの努力で終わっていました。

10年程前に小さな小さな家を建て(私は美術館専門の建築家でもあります)た時から、昔の夢が再燃し始めました。相模原のジュピターオーディオに通ってマランツ7以下いろいろなヴィンテージの音を知りました。後はAXIOM80だけです。

その後、音楽&オーディオの小部屋さんのブログで真空管アンプの世界を知りました。

私は大メーカーの既製品しか知らなかったのでその魅力に驚きの連続でした。小部屋さんの日々の奮闘、本当に楽しく見せていただき、大変参考にさせていただいています。

私の部屋は6畳で、天井にはロフトの入り口のドアがあり、兎に角狭いのが残念です。

仕事の関係で、TVも映像も見続けていますが、オーディオでは主にレコードを聴きます。クラシックは少ないですが購入品だけでも6千枚はあると思います。

90年代末、大型ごみで未使用を含めたレコードが沢山捨てられていたので、コレクションが膨れ上がりました。

現在のメイン機器は、アンプがEAR912とEAR861、スピーカーがJBLのL75メヌエットとSABAのPermadyn19-200の20㎝フルレンジ後面開放型です。他も全部フルレンジです。

最終的に入手予定のSPはAXIOM80です。確かに程度の良いものを聴いたことがありませんが、小部屋さんのブログや他の方のブログから推し量っても私の行きつく先はこのSPだと思っています。間違っているかもしれませんが。

本当は、最後の買い物(?)なので急ぐつもりはなかったのですが、じっくりキャビネットを設計したり(音響ホールの設計が専門なので 建築学科を途中で変更しましたが)、最低でもBOXを購入してユニットを入手するつもりだったのですが、ヤフオクに魅力的なユニット出ていたんで、メールさせていただきました。

小部屋さんの80に関するブログは何度も読ませていただいています。

ずっと付き合うにはいいものかと思ったのです。感想を聞かせていただければ幸いです。」

すぐに返信した。

はじめまして、「音楽&オーディオの小部屋」こと、別府市在住の〇〇と申します。

拙いブログを読んでいただきありがとうございます。これも何かの縁ですからお役に立てれば
幸いです。

メールを拝読させていただきましたが、私以上に音楽好きの方とお見受けしました。

そこで「AXIOM80」の話です。現在オークションに出品中の物は、外見で見る限り、ハイレベルだと思います。(オークションでは)めったに見かけないほど程度いいです。

問題はお値段です。私の場合は「36万円」(初期版)で手に入れました。このユニットはこの額以内であればお買い得でしょう。おそらく上回ると思います。

 
ただ、問題は鳴らし方です。このくらい難しいユニットはないです。まず箱をどうするのか、それからどういうアンプを使うかです。いい箱に巡り会う、あるいは作るにはかなりの時間を覚悟しておいた方がいいでしょう。

それに、どんなにうまく鳴らしたとしても「オーケストラ」の本格的なスケール感は無理なので、結局「セカンドシステム」として位置付けておく方が無難です。

まあ、実際に鳴らしてみないと得心が行かないとは思いますが・・。

結局、いくら「AXIOM80」といえども「過大な期待」は禁物だと言いたいです。まあ、オーディオに完璧という言葉は無いのですが・・。

ただ、このユニットじゃないと出せない音があることもたしかです。むしろ、いろんなお宅の「AXIOM80」を実際に聴いて、気に入ればそっくり箱からアンプまで真似するのが
一番無難ですかね。

アドバイスになったかどうかわかりませんが。ご不審の点があれば再度メールください。」

以下、続く。



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オーディオ文化の水準を決めるもの

2020年10月26日 | 独り言

このところ連日のように日参している県立図書館では学習室ばかりでなく、ときどき「新刊コーナー」にも立ち寄っているがたまたま手に取ったのが「思索紀行」(上)だった。



いきなりの「思索」という言葉にちょっと抵抗感を覚えて「本のタイトルにあからさまにこんな言葉を付けるのはちょっと自意識過剰だな。おそらく村上春樹さんならこんなタイトルをつけないだろうよ」と、思ったが何せ借りて読むのはタダなので一読してみることにした。

すると、これが大当たり(笑)。

立花さんが1970年代以降、外国に行って1か月も2か月も現地で十分な時間を割きながら体験された記録をまとめたもの(再刊:文庫本)だが、読んでみるとまるっきり印象が変わって、さすがに「思索」と銘打つだけのことはあってやっぱり立花さんは「知の巨人」に相応しいとつくづく感じ入った。

おそらくあの噂に聞く「南方熊楠」に匹敵するのではあるまいか。

本書の中ではヨーロッパの奥行きのある文化、とりわけキリスト教や
ワイン、チーズなどに関する蘊蓄が圧巻だが、とても興味を惹かれた箇所があったので以下のとおりちょっと長くなるが紹介させていただこう。(188頁)

「フランス人は驚くほど情熱をこめてワイン文化を育ててきた。ワインに限らずなんでもそうだが、文化の外側にいる人には文化の内側にいる人の価値体系が見えてこない。で、外にいる人には内にいる人の情熱が全くバカげたものに見える。

ワインの味ききにしても、外側から見ている限り、何ともバカげたことを大真面目にやっているとしか思えない。しかし、自分もそれに参加して内側に入ってみると自分がとてつもなく豊饒な世界のまっただ中にいることに気が付き、今度は逆に外側の世界の貧しさが哀れむべきものに思われてくる。

内側に入ると、その中で形成されている価値の体系がわかってくる。外側にいる限り、どんなにうまいワインであろうと、どんなに金があろうと、1本のワインに十万円単位の金を出すなどということは理解を絶する狂気じみた話だろう。

十万円のワインを飲んでも物質的なものは何も残らない。ほんの一刻、味と香りを楽しんで陶然とできるだけである。

焼きものに凝る人が一つの茶碗に何百万円もの金を出す。これまた、その文化の外にいる人にとっては狂気じみたバカげた話である。しかし、この場合は茶わんが資産となりいつの日かそれを売ることもできるという点において、俗物にも多少の理解はできる行為となる。

ところがワインの場合はしばしの間感覚的快楽を楽しんだら、それで終わりである。残るものは快楽の記憶だけだ。そして1本10万円のワインと1本1万円のワインのワインとの間にはさしたる差がない。

1本千円のワインと1本1万円のワインの間にあるほどの差はない。どんな領域でもコスト・パフォーマンスは指数関数的に低下していく。1万円のワインと十万円のワインの間にあるのはほんのちょっとした違いである。ほとんど趣味性の領域に属する違いといっていい。

それでも1万円のワインを10本飲むより、1本十万円のワインを飲んでみたいと願い、実際にそうする人がいるかいないかがワイン文化の水準を決めるのである。

どんな世界でも同じことだ。ハイエンドの部分にほんのちょっとした違いを求めて狂気じみた情熱と資金を投じる人がどれだけいるかで文化の水準が決まるのである。」

以上のとおりだが、すでに気付かれた方が多いと思うが、この話はそっくり「オーディオ」にも当てはまりますね!

たとえば類似点を挙げてみると、

 オーディオの外側にいる人からは内側の価値体系が全く見えてこない

 家庭での10万円のシステムと100万円のシステムとの音質の違いはほんのちょっとした趣味性の違いだけだが、それでも高額のシステムにあえて挑戦し投資する人がいる

 それにシステムといわず、1ペアで100万円もする「真空管」(WE300B:刻印)を購入する狂気じみた人が実際にいる

などだが、こういう人たちが「オーディオ文化の水準」を決めている貴重な存在なのかもしれないですね。

そこで、いよいよ現実的な具体論に入ろう。かねて注目していたオークションの出品物「AXIOM80」がようやく落札された。



グッドマンの「AXIOM80」といえば周知のとおり高級SPユニットの代名詞みたいな存在。

すでにオリジナル品と復刻品を1ペアづつ保有しているので別段求める気はさらさらなくて注目するのはその落札価格である。

この初期のオリジナルの極上品がいったいいくらで落札されるのか。

たとえば、売るつもりは毛頭ないが現在住んでいる自宅の相場を知りたい思いと似たようなものですかね(笑)。

商品のタイトルの中に「未使用に近い状態」とあるが、画像と解説で拝見する限りこれほど程度のいいものが出品されるのは極めて珍しい。

そして、落札当日(25日)がやってきた。落札7時間前の17時現在の入札価格は「24万1千円」だが、その最終落札価格ははたして・・。

続きは次回へ。



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オーディオ秋の陣~JBLからグッドマンへ~

2020年10月24日 | オーディオ談義

前回のブログで「あんなこと」を書いておきながら、その舌の根も乾かないうちに今回はオーディオの話です(笑)。

「すっかりAXIOM80の音が変わりましたね。以前よりもさらに良くなってます。変わったのはRCAケーブルだけですから、(ケーブルの)効果は歴然としてます。私も使ってみたいので製作者に1ペア作成していただくようにお願いできませんか」
と、オーディオ仲間のYさんから依頼されたたのは先日のことだった。

「ハイ、取り次ぐだけなら構いませんよ」と、Tさん(東海地方)にお願いしたところ、快く引き受けていただき「あっという間」に到着した。いつものことながら感謝です!



Yさんによると、DAコンバーター(TAD)とパワーアンプ(マーク・レヴィンソン)との直結用ケーブル(XLR用:70cm)とのこと。

現在使用中のケーブルは8万円相当だからお値段的には1/20程度でコスパからして信じられないが、試聴結果の報告を首を長くしてお待ちしているところ。

去る17日(土)に我が家にお見えになったので、このケーブルをお渡ししたところ(Yさん宅の)SPケーブルのバナナ端子が銀製だったため経年劣化で腐食して音質に曇りが生じたので「Yラグ端子」を注文されており、その交換と一緒に試聴したいとのことで「ちょっと待ってください」とのことだった。

それはさておき、当日は
先日訪問した四国のオーディオ愛好家「S」さん宅の思い出話に花が咲いた。

同じ「AXIOM80」でも箱が違うと音がすっかり変わるようで我が家では意図的にわずか1.5㎝の薄板で作っているので「箱鳴り」を大いに利用しているが、Sさん宅では「厚い板」のがっちりした「バックロードホーン」の箱(80kg)に収納されているので箱鳴りをさせていない分、芯のある音が聴けるので、総合的に見ると「一長一短」、音楽ソースによって評価がまちまちで手前勝手に「引き分け」ということにさせてもらおう~(笑)。

この日は「AXIOM80」でいろんな曲を聴くうちに、「実は気になっていることがあります。ケーブルでこれだけ変われば、現在倉庫に保管しているグッドマンの「トライアクショム」(口径30センチ:同軸3ウェイ)がどういう変化を遂げるか大いに興味を持ってます。」

「それは面白そうですね。私も興味あります。JBLの2ウェイよりはきっといいと思いますよ。」と、両者の意見が珍しく一致した(笑)。

JBLよ、しばらくさようなら~。



「善は急げ」とばかり、翌日の午後に30分ほどかけて入れ換え終了。

RCAコードとSPコードはいずれも「LAN素材」にして、胸をワクワクさせながら試聴したところ、実はそれからがたいへんだった。

久しぶりに鳴らしたせいかどうも歪みっぽい音が左チャンネルからする。高音域用アッテネーターの接触不良の模様で、もう60年以上も前のユニットだから仕方がないかなあ。

いろんなCDをかけながらエージングを続けていると1時間ほどしてからどうやら馴染んできた。

オーディオは比較試聴しないと良さが分かりにくいので、まずRCAケーブルについて既存のケーブルとの聴き比べをしてみると、爽快感というのか曇りの無さが随分違っており、一方的に「LANケーブル」に軍配を上げた。

次に、SPケーブルを「銀の単線」に代えて比較してみた。すると中高音域の抜けとか色艶は「LAN」に優位性があり、その一方中低音域の量感は「銀線」に一日の長があった。こればかりは好き好きでもっと時間をかけて判断することにした。

なお、この同軸3ウェイだと1台のアンプで済むのでアンプもいろいろ代えてみた。

「300B」シングル、「PX25」シングル、「6098」シングル、「2A3」シングル、「171」シングルなど「より取り見取り」だったが、秋の季節に相応しいグッドマン独特の翳りを表現できるとなるとやっぱり「PX25」かな。



言い方は悪いが「同じ穴の貉(むじな)」(英国勢同士)ですかな、これは(笑)。



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ブログなんて止めといた方がいいですよ!

2020年10月22日 | 独り言

数日前に東海地方のMさんという方から次のようなメールをいただいた。匿名ということで無断掲載お許しください。

「初めてお便りいたします。東海地方に住んでおりますMと申します。
 
数か月前に何かを検索している最中に偶然『音楽&オーディオの小部屋』に出会い、それ以来楽しみに読ませていただいております。

ブログの最初のページから始めて、始めは全部の記事を読んでいましたが、途中から『オーディオ談義』に絞って読み進み、本日やっと2020年10月18日までたどり着きました。
 
突然メールを差し上げるのは一言お礼を申し上げたいと思ってのことです。
 
と言いますのも、『音楽&オーディオの小部屋』でモーツアルトの魔笛を知り、この年になって初めて聴くようになりました。

中学生のころから音楽が大好きで、モーツアルトもピアノソナタ、交響曲、弦楽四重奏曲などずっと聴いてきましたが、どういうわけかオペラは食わず嫌いで、魔笛の名前は知っていて数曲は耳にしたこともありましたが、本格的に聴くことなく馬齢を重ねておりました。

貴ブログに出会わなければ魔笛を聴くことなく生涯を終えていたのではないかと思います。
 
魔笛は本当に魅力的な曲ですね。

モーツアルトの代表曲と言われるのもよくわかります。モーツアルトのすべての魅力が凝縮して盛り込まれていて、本当に美しい旋律とハーモニーや人間の声の持つ魅力がそれこそ満載されていると思います。
 
オーディオについては、かつてオーディオ評論家に踊らされた口で、LUXMANのC-05、M-05、MacIntoshのMCD7005、C34V、MC7300、ツィーターが縦にずらりと並んだスピーカー、YAMAHAのNS2000などそれなりにお金をかけてきましたが、使いこなせないうちにスピーカーは手放し、MacIntoshの機器は買ってから30数年を経てすべて故障してしまいました。

C-05とM-05は今でも手元にあって使える状態ですが、どうも響きの少ない音がして未だになじめないものを感じています。
 
しばらくはLUXMANのアンプに中古で買ったTannoyのEyrisという同軸型でないトールボーイ型のスピーカー(3Way)で細々と音楽を聴いていましたが、Yahooオークションでたまたま買ったFostexのフルレンジユニットを聴いて、自分がずっと求めていた音はマルチウェイの大型スピーカーではなく、フルレンジだったんだということにこの年になってようやく気付かされました。
 
Fostex自体は音が硬すぎて今はそのあとオークションで買ったコーラルのフラット6という古いユニットで聴いています。
 
コーラルのユニットで古いスピーカーの魅力を知りましたので、今後はグッドマン、フィリップス、ワーフェデールなどのアルニコタイプのユニットと真空管アンプに進出できればと考えています。先立つもの(¥)との相談になりますけどね(笑)
 
いきなり長いメールで大変失礼いたしました。
今後は貴ブログを参考に、第二のオーディオ人生を楽しめればと思っています。」

以上のとおりだが、「オーディオはフルレンジに始まってフルレンジに終わる」という意味深な言葉がふと浮かんだ


それはさておき、次のように返信した。


「メールありがとうございます。音楽&オーディオの小部屋こと、別府市在住の〇〇と申します。

こういうお便りをいただくと、つくづくブログを続けてよかったと思います。

実を言いますと、このブログの当初の目的は「魔笛」を少しでも多くの方に親しんでいただいて仲間を増やしたいとの些細な思いから始めたところです。

魔笛の素晴らしさ、たとえば澄み切った青空を突き抜けたような透明感、通奏低音のように全編を流れる霊妙ともいえる「悲哀感」は筆舌に尽くせません。

そこで、魔笛について大いに語り合いあらゆる情報交換を行おうと全国的な「魔笛倶楽部」の創立を目論んでいましたが、それがいつのまにかブログが「意図せぬ変な方向」に行ってしまい(笑)、近年はこんなことでいいのかなとやや懐疑的になっておりました。

しかし、こういうメールをいただくと「魔笛」を聴く喜びを分かち合えただけでもうれしくなります。今後ともよろしくお願いします、ぜひときどきメールください。」

とまあ、返信した次第だがちょっと補足しておこう。

「ブログが意図せぬ変な方向に行ってしまい、こんなことでいいのかなと懐疑的になっている」ことについて「どういう意味?」という方がいらっしゃるかもしれない。

実は「音楽&オーディオ」を楽しんではいるのだが、いつも頭の片隅では「ブログではどう表現しようか」なんて「余計な考え」がつい脳裡をよぎってしまうのである。

これって、ほんとうに「音楽&オーディオ」に純粋に没頭し、心から楽しんでいると言えるんでしょうかね。これではまるで二重人格者ですよね(笑)。

ブログの功罪というのか、情報発信をしているおかげで多くの方との交流を通じて得た知識や経験はもちろん貴重な財産になっているのだが、その一方では趣味を拘りなく思う存分に楽しめない、いわば犠牲になっている部分があることについてどう折り合いをつけたらいいんだろう・・・。

とまあ、「もやもやした気分」の中で、こういうメールをいただくと、初心に帰って「魔笛」のファンが一人でも増えたことに純粋な喜びと(ブログを)続ける価値を見出せたというわけ。

とはいえ、芯から「音楽&オーディオ」を楽しみたいと思ったら「ブログなんて止めといた方がいいですよ!」と、アドバイスしたくなるのが本心です。

とはいえ、その一方ではやっぱりブログを続けてよかった。

何故なら、たとえ一人だけにしても「音楽人生」のお役に立てたのだから。

ん、ちょっと気障かな?(笑)



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読書コーナー~「イギリス社会入門」~

2020年10月20日 | 読書コーナー

このところ随分気候が良くなってとても過ごしやすくなった。

珍しくヤル気になってこのところ「ボケ防止用の問題集その2」と「読書」を兼ねて県立図書館(学習室)に日参しているが、面白い本に出くわしたので紹介してみよう。

☆ 「イギリス社会」入門

世界には、いろんな国があるが今のところ自分が一番シンパシーを持っているのは「イギリス」。

結局、オーディオがらみになってしまうのだがイギリス発の製品はスピーカーにしろ真空管にしろ自分の相性に合う機器が一番多い。

その音質の特徴を一言でいえば「決して出しゃばることなく、付き合えば付き合うほどに味が出てくる、まるで”いぶし銀”のような渋い音」。

あの五味康祐さん〔作家:故人)も名著「西方の音」で、「西方」を「イギリス」と位置づけてブリティッシュ・サウンドについて比類なき音楽・オーディオ論を展開されている。

もともと、イギリスは日本と同じ島国国家なので国民気質が似ているのかもしれない。

そこで、知っているようで知らない「イギリス」の最新事情をもっと知りたくなるところ。

「イギリス社会」入門~日本人に伝えたい本当の英国~(NHK出版新書)と題したこの本はそういうイギリスの実情を赤裸々に伝えてくれるものだった。

            

著者のコリン・ジョイス氏は1970年イギリス生まれでオックスフォード大学卒、92年来日し高校の英語教師やジャーナリストを経て10年帰国。

「女王のことをみんなどう思っているの?」「階級社会は今も続いているの?」といったベーシックな話題を中心にイギリス人なら誰もが共有している習慣や感覚をユーモアたっぷりに解説していて、一気に読ませてもらった。

中身のほうは「1 階級」から「6 王室」を経て「19 品格」まで項目ごとに分けてイギリス人の気質が浮き彫りにされているが、ここでは「階級」について取り上げてみよう。


何といってもイギリス人気質を手っ取り早く理解できるのは「階級意識」が一番だと思うから。

「みすぼらしい上流、目立ちたがる労働者」という副題のもと、冒頭に提示されるのが次のテーマ。

「二組の夫婦がクルマに乗り込む。さて、誰がどこに座るだろうか。」

これがイギリス人の階級を見分ける方法の一つだそうだ。

○ 労働者階級

男性二人が前に座ってサッカーの話をし、女性二人が後に座ってショッピングの話をする。

○ 中流階級

それぞれのパートナーを大切にするので一組の夫婦が前に、もう一組の夫婦が後に座る。

○ 上流階級

夫婦がばらばらになる。前の座席には男性のひとりが、別の男性の妻と一緒に座る。後ろにはもうひとりの男性と、別の男性の妻が座る。

つまり、社交の場ではふだん話さない相手と出来るだけ話さないといけないと考えるのが上流階級。

このさりげないエピソードに接しての個人的な感想だが、「社会」を優先させ、「個人」と「家族」の安楽を後回しにするのが上流階級なのだと何となく得心させるところがある。

ただし、著者によるとたしかにイギリス社会で階級は一定の重みを持っているものの、その意味合いは外国人が思っているものとは大きく違う。

どうも階級意識が誇張されて伝わり過ぎているようで、決して上流階級はお上品ぶって威張っているわけではない。

階級意識を鼻にかけることを警戒してか、ことさらにそれを隠したがっており、時代に合わせるのが一番と心得ている。

たとえば上流の気取ったアクセントで話し、卒業した名門校のタイを締めている人などめったにおらず、もし、いたとしたら笑いものになるそうだ。

生活スタイルも質素、倹約を旨としていて、この辺の「自己韜晦(とうかい)」が、わが国の古典「徒然草」〔兼好法師)の精神にもつながってくるところで、あのオーディオ製品に見られるある種の「渋さ」とも共通するところだと思う。

ほかにも王室一族は民族的にいえば「ドイツ系」であり、そのことが国民に与える影響などが記されており、ことイギリスに関しては興味満載の本である。

☆ 「フェルマーの最終定理」

17世紀、ひとりの数学者が謎に満ちた言葉を残した。「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」。

以後、あまりにも有名になったこの数学界最大の超難問「フェルマーの最終定理」への挑戦が始まったが~。

イギリスの天才数学者ワイルズの完全証明に至る波乱のドラマを軸に3世紀に及ぶ数学者たちの苦闘を描く、感動のノンフィクション!

表紙の裏にこう記された解説につられて読んだのが「フェルマーの最終定理」。

ご存知の方も多いと思うが2000年1月に本書の単行本が出版され大きな反響を呼んだが、これはその文庫版である。

            

ちなみに、フェルマーの最終定理とは、

Xn+Yn=Zn

この方程式はnが2より大きい場合には整数解をもたない。(XnとはXのn乗のことで、Yn、Znも同様)

この証明は簡単なように見えて実はたいへん難しく、3世紀もの間、幾多の数学者が挑戦し、なかには精神に異常をきたしたり、数学者としての生涯を台無しにされた者もいる超難問である。

天才数学者アンドリュー・ワイルズ(ここにもイギリス人が出てくる!)が1993年にこの定理の完全証明を行って後世に偉大な足跡を刻んだが、本書はそれにまつわる話である。

一言でいえば、根気とインスピレーション〔閃き)がいかに大切かが延々と語り継がれるわけだが、「万物は数なり」で、数と自然とのつながりが面白かった。

たとえば、次の逸話。

あるとき、鍛冶屋の前を通りかかったピタゴラスはハンマーが一斉に鉄に打ち下ろされる音を耳にした。さまざま調和音が響いてきたが、あるひとつの音が加わったときに限って音が調和しなくなった。

そこでハンマーの重さを調べてみると互いに調和しあう音を出すハンマー同士は重さの比がたとえば1/2や2/3となっていたが、不調和な音を出すハンマーは簡単な重さの比になっていなかったことが判明した。

もうひとつ、自然現象から「π」がひょっこり顔を出す話。

ケンブリッジ大学のステルム教授はいろんな川の曲がりくねった実際の長さと、水源から河口までの直線距離との比を求めてみた。

その比は川ごとに異なっていたけれども、平均すると3よりも少し大きい値になることが分かった。実をいうとこの比はほぼ3.14なのである。

これは、π(パイ)、すなわち円周と直径の比の値〔円周率)に近い。

端的にいえば川は常に曲がろう(カーブ)とする傾向を持っており、カオスと秩序とのせめぎ合いの結果、πの値に近くなるのである。

特に顕著なのはシベリアのツンドラ地帯やブラジルのような非常になだらかな平原を流れる川の場合だという。

これらはほんの一例だが、たとえば「リーマン予想」(素数の並び方の法則性)が明らかにされると宇宙の神秘が解明されると言われており、何だか「数」には不思議な力が込められている気がする。

なお、本書によると「フェルマーの最終定理」の証明は日本の数学者が発表した「谷山~志村予想」が決定的な役割を果たしており、日本人として実に誇らしくなる。



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秋の陣・オーディオ訪問記~四国編その2~

2020年10月18日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

Sさんにご案内されたリスニングルームは2階にある書斎を兼ねた部屋だった。次の画像のとおり、室内の周りは蔵書、レコード、CDで満載だった。





ライフワークと仰る「レオナルド・ダ・ヴィンチ」と「ルネッサンス」に関する研究書が多かった。

とても器用な方で、イギリス製のミシン(5台)の修理もなさるそうだ。1936年製のシンガーミシンがこれ。


「ネジの一つまでばらして磨きながら材質と工作精度の高さに毎回驚嘆します。当時、ひと月に一つの工場で何十万台もこんなものを作っている国、ミシンが作れるということはマシンガンも作れるという事、東条英機がミシン修理を趣味にしていたら・・・」と、仰った。

同感です、それに当時のイギリス製オーディオ機器のハイレベルなツクリにしても納得の一言ですと心から賛同した(笑)。

こういう繊細で緻密な方が毎日聴かれるオーディオシステムって、だいたい想像がつきますよね。



自作のバックロードホーンの箱に入った「AXIOM80」(初期版)。



トーレンスのプレイヤーにカートリッジはオルトフォンのSPUーG(丸形針)



プリアンプはマランツ7。



パワーアンプは300Bシングル。

CDよりもレコードが主体で、夜中に照明をつけずに「ろうそく」の光だけでクラシック音楽に耳を傾けられるそうで、まさに真の音楽愛好家を彷彿とさせる聴き方だ。

「自分だけがこの世で最も贅沢な時間の中にいるという感覚が味わえる」はこの種の趣味では必須でしょう。

そうじゃないと誰がこんな風変わりな趣味に「〇百万円」も突っ込みますかいな(笑)。

Sさんの音楽の聴き方からついイメージが膨らむが、はじめに次のレコードを聴かせていただいた。



「ワーグナー楽劇」には欠かせない「フラグスタート」(ソプラノ)の陰影のある暗めの声がお好きとのことで、この「スークポーヴァ」にも共通点があるとのこと。

この後、持参したCDなどを聴かせていただきながら2時間半ほど試聴させていただいたので、ここでSさん宅の「音」について僭越ながら感想をひとこと述べさせてもらおう。

とはいえ、こういうときにいつも思うのだが「音楽&オーディオ」は直接的な感覚の世界なので基本的に言語表現には適しておらず、何を言っても正鵠を射ていない気がするがその辺をまずお断りしてからあえて蛮勇を奮ってみよう。

エッジレスなど、その独特のツクリから精緻な音質を誇る「AXIOM80」の鳴らし方にも二通りのタイプがあるように思う。

ひとつはこのユニットの能力をギリギリまで引き出して楽しむタイプで、たとえば音楽ソースにうまくハマったときはこの上なく妙なる音を出すが、一つ間違うと高音域がやたらに神経質になるという紙一重の世界に遊ぶタイプ。

もう一つは、(このユニットを)余裕をもって鳴らすタイプで長時間聴いても疲れない、まるで「いぶし銀」のような音、徒に周波数レンジや鮮度を追い求めず音の彫琢というか彫りの深さを求めて、ひたすら「自分独自の音楽の世界に入り込めるかどうか」を基準に置くタイプ。

前者が「オーディオ的」な鳴らし方だとすると後者が「音楽的」な鳴らし方とでもいおうか。

さしずめ、Sさんは後者のタイプだと思ったが、そこはそれ微粒子がいっぱい詰まった音を出す「AXIOM80」だから抜かりはなかった。

こういう音を聴かせていただくと、我が家も「AXIOM80 」だけにして後のSP群はすべて処分しようかなんて気にさせられる(笑)。

事実、訪問日の翌日(13日)から我が家ではずっと「AXIOM80」ばかり聴いている始末。

談論風発のなか、あっという間に時間が過ぎて予定の15時になった。お土産に地域の名産と、Sさん「手づくりの手帳(ネーム入り)」をYさんともどもいただいた。



奥様と一緒に見送られる中、あとは三崎港目指して一目散。

出港が16時半の予定に対して順調に16時10分に着いたので余裕の到着かと思っていたら、予想外にも待機している物流トラックが多くて案内ガイドさんから「予約されてますか?そうでないなら次の便に回ってもらうかもしれませんよ」にギョッ。

結果は辛うじて船の最後尾に滑り込んでギリギリ滑り込みセーフ。実に危なかった。

結局自宅に帰り着いたのは「佐賀関港」から夜間の高速をぶっ飛ばして真っ暗闇の19時頃だった。この日の走行距離は210km。やっぱり日帰りの四国行きは日程的にちょっときつかった。

帰りの車中でYさんともども「ほんとうの音楽好きの方のオーディオって、やっぱり趣が違いますねえ! 四国という風土とけっして無縁ではないでしょうからほかにも凄い愛好家がいそうですね」。

つくづく実り多き一日だと思ったが、今年の「オーディオ秋の陣」は「LANケーブルの導入」をはじめ快調そのものですぞ(笑)。

最後にSさん、どうもお世話になりました!



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秋の陣・オーディオ訪問記~四国編その1~

2020年10月16日 | オーディオ談義

今年(2020年)3月からの懸案事項だった「AXIOM80愛好家の訪問」(四国)が、コロナ禍のせいで延び延びになっていたがようやく、このたび宿願を果たしたのでその顛末を記録しておこう。

本県(大分)では2か月近く「コロナ患者」が発生していないのでぼちぼちよかろうと家内に相談したところ、「相手方の奥様にくれぐれも伝えておいていただくようにね、大分県はコロナ患者が発生していないと念を押しておくのよ」。

ほんとうに神経質でうるさいんだから~(笑)。

相手方のSさん(愛媛県在住:高校の美術教師)に日程を伺ったところ丁度「中間考査」中なので「12日」(月)ならOKとのことだった。土曜と日曜は混雑のせいで危険指数が上昇するのでこちらからあえて外してもらった。

単独行は心細いのでオーディオ仲間のYさんにお願いして同行してもらったが、自宅発午前8時15分、途中でYさんを拾って「高速道経由」で「国道九四フェリー」(大分市佐賀関町)に到着したのは9時30分だった。「国道」と銘打っているとおり、海路が「国道197号線」になっているのだから珍しい。


10時に四国の三崎港に向けての出発(1時間おき)なので十分間に合った。



これが九州と四国を最短時間(1時間10分)で結ぶフェリーの発着所「佐賀関港」である。

佐賀関(さがのせき)は「豊予海峡」の急流で育った高級ブランド「関アジ、関サバ」で有名だが地元民の舌には縁遠く、大概が福岡や関西などの高級料亭行きだ。

画像右端に「大型バイク」の集団が見える。

Yさんがお訊ねしたところ、岡山から陸路福岡に入り、鹿児島を回って北上し「佐賀関港」から海路「四国」へ渡り、「瀬戸内しまなみ海道」(架橋)を通って故郷へ帰途についているのこと。全員、暇を持て余した中高年組でご近所の仲間だという。

皆さん笑顔が見えて実に楽しそうだったが、こういう仲間同士のツーリングを兼ねた長旅もさぞや快適でしょうねえと、Yさんと話したことだった。



釣りの名所「高島」を右側に見て四国の三崎港へ一目散。

1時間ほどすると左側から三崎港が見えてきた。



きっかり計ったように1時間10分で到着。Sさん宅の住所を番地までしっかり打ち込んであとは「カーナビ任せ」で出発。

平日とあって、3か月前に入れ替えたクルマ(新型ハリアー・ハイブリッド)は実にすいすいと快調で一つも道に迷うことなくSさん宅の玄関前に辿り着いた。丁度12時20分だったから三崎港から1時間10分程度かかった計算になる。

Sさんがご親切にも玄関前に佇んでおられたので、「いやあ、どうも初めまして~」。見るからに穏やかで学究肌そのもののようなお方である。

そういえば自分を除いて「AXIOM80愛好家」は皆さん思慮深そうで知的に見えるなあ。「AXIOM80」に限らず、持ち主とスピーカーには相似性があるみたいですね(笑)。



2階建ての大きくて立派なお家だった。さあ、いよいよ待望の「目方が80kgにも及ぶバックロードホーンの箱に入ったAXIOM80」の試聴が始まる~。

以下、続く。



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色男 金と力は 無かりけり

2020年10月14日 | 独り言

今年(2020年)はコロナ禍として、そして日本芸能界にとってもメモリアルな年になるだろう。

「三浦春馬」「竹内結子」と、誰もがうらやむ美男美女の俳優が相次いで亡くなったんですからね。それも病死ならともかく自殺とは・・、いったい何がそうさせたんだろう。

ちなみに、三浦春馬は1年ほど前に録画したミステリードラマ「小さな故意の物語」(原作:東野圭吾)で主役を張っていて、年甲斐もなく「カッコいい奴やなあ、前途洋々だ」といたく感心した俳優だった。

人生には恵まれた容姿だけでは解決できない底知れない闇が(人間の心の中に)横たわっているのでしょうか。

つい「美男美女ってほんとうに得なんだろうか」と思ってしまった。いや、けっしてひがみなんかではなくて~(笑)。


「経済学的思考のセンス」(中公新書刊)
いう本がある。

                  

著者は大竹文雄氏(大阪大学社会経済研究所教授)だが、序文の終わりに身近に
ある”さまざまな格差”を経済学で考えてみることで、経済学的思考のセンスを体得していただければ幸い」だとある。 

さて、その身近にある格差にもいろんなものがあるが、日常で一番意識に上るのは「所得の格差」、つまり「お金持ちか、貧乏人か」という区別だろう。

ただ、これは運、不運もたしかにあるが個人の「才能」や「心がけ」、「努力」などもまったく無視するわけにもいかず、多分に因果応報の面もあって
「まあ、しょうがないか」と思うこと無しとしない。

ところが、人間の努力とは一切関係がない単なる生まれついての
「容姿」
による格差がどの程度人生に得失を生じさせるかというのは不条理な面があってなかなか興味深いテーマである。

ということで、本書の14頁に次の小節があった。

☆ 「美男美女は本当に得か?」

これの正確な解答を得るためには、昔「美男美女」だった該当者に人生の終末になって、「あなたは美男美女だったおかげで人生を得したと思いますか?」と沢山のアンケートをとって、集計するのがいいような気もするが、本書では経済学的な視点から労働市場において「いい就職機会を得るのか」「より高い賃金を受け取るのか」「昇進が早いのか」
といったことに焦点を絞って考察している。

以下、要約してみると、

残念なことに「美男美女は得か」の
実証研究は日本ではまだなされていないが、
アメリカではこのテーマでの事例がある。(テキサス大学ハマメシュ教授)

それによると「美男美女」は「不器量」な人よりも高い賃金を得ていることが明らかになっており、さらに重役の美男美女度が高いほど企業の実績がいいとあって、むしろ業績がいいからその会社に美男美女の重役がいるという逆の因果関係も確認されている。

ここで一つの疑問が出される
「美人」の定義
である。

「たで食う虫も好き好き」という言葉にもあるように、人によって美の尺度はさまざまなのでそのような主観的なものが、厳密な実証分析に耐えられるものだろうかということと、さらに、そもそも
「美人の経済学的研究」
意味があることなのだろうか、ということなのだが、実際には、

 美人が労働市場で得をしているかどうか


〇 得をしているとしたらどういう理由なのか

この2点を明らかにすることは「労働経済学的」にきわめて重要なことだという。

なぜなら、公平かつ機会均等の観点から、生まれつきの容姿の差による所得格差を解消するとしたら、ハーバード大学のバロー教授が提案する「美男美女に税金を課す」「不器量な人間に補助金を交付する」が経済学的に正しい政策となるからだ。

つまり、美男美女は努力なしに生まれつき得をしているので税金を納める必要があるし、不器量な人はもらった補助金で「リクルート整形」をするのも自由だし、うっぷん晴らしに娯楽に使うのも自由となることで社会的な調和が保てるというわけ。

ただし、これは具体的な手段が難しい。たとえば自己申告制にした場合
「美男美女税」「不器量補助金」の申請者数がどの程度になるのか皆目分からないのが難点。「美男美女税負担者証明書」を発行することにすれば大幅税収アップを見込めるかもしれない

かいつまむと以上のような内容で、バロー教授が提案する「美男美女税」には思わず笑ってしまったが、結局「美男美女は本当に得か?」
正しい考察には経済学的視点以外にも遺伝学、社会学、哲学、心理学、芸術などいろんな分野を総動員して「幸せとは何か、そもそも人間とは何か」への奥深い探求が必要ではないかという気がする。

たとえば、ベートーヴェンは醜男だったそうで生涯にわたって女性にまったくモテずずっと独身を通して子供もいなかったが、それが逆にエネルギーとなって内面的に深~い進化を遂げ、跡継ぎになる子供の存在なんかとは比較にならない程の偉大な作品を次々に後世に遺していった。

現代のクラシック音楽界は彼の作品抜きには考えられないので、ベートーヴェンがもし美男だったとしたら私たちは音楽芸術を今のようには享受できなかったかもしれず、音楽産業にしても随分と縮小したことだろう。これは人類にとって大きな損失ではなかろうか。

また、古典「徒然草」(兼好法師)では「素性とか容貌は生まれついてのものだからしようがないけれど、それ以上に大切なのは賢いことであって、学才がないとかえって素性の劣った憎々しい顔の人にやり込められる」という「段」がある。

というわけで、このテーマは「外見よりも内面が大切」という「月並みな結論」で終わりにするのが無難のようだ。

オッと、最後になって色男 金と力は 無かりけり」いう句を思い出した!(笑)



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秋の陣・システム改造の首尾やいかに

2020年10月12日 | オーディオ談義

前々回からの続きです。

いよいよ10月も半ばとなり本格的な秋のシーズン到来です。人の往来も活発になるし、オーディオへの興味や感性もますます高まりますね(笑)。

さて、オーディオシステムを弄るときには、およそ次の2つの理由に集約されるように思っている。

 音質に不満がある

 音質に不満はないがもっと好きな音になる可能性がある。また、同程度の音質にしても、便利になったり安定性が増すのが期待される

つまり、2は欲張りの範疇に入りますかね(笑)。

そして、「とうが立った」オーディオ愛好家ともなると、おそらく2の理由が大半だろう。

今回は、およそ数か月ぶりの「チャンデバ再挑戦」となった。ということは「チャンデバ」を一度廃止したというわけだが、なぜかというと「ヴァイオリンの<艶=濡れたような響き>がTR素子が入るとちょっと物足りない」ことが主な原因だった。

ただし、これは我が家の音楽・システム環境においてはという条件付きだから、TR素子を謗るつもりは毛頭ないのでどうか誤解無きように。TR素子の利点も大いにわかっている積りですよ(笑)。

何しろクラシック音楽は弦がうまく鳴ってくれないと始まりませんからね。

その点、今回はスコーカー部分をチャンデバを通さずフルレンジとして真空管アンプで駆動するので様変わりしているし、しかも接続ケーブルも一新してすべて「LAN素材」にしているので相乗効果が望めそう。

ハラハラドキドキ、一方では舌なめずりしながら結線を済ませて音出ししてみたところ、どうやら「もろ手」を挙げて万歳とまではいかないようだ。

システムの中にフルレンジを噛ましているので安定感はあるのだが、低音域の重量感はずっと目減りした感じで、「6SN7プッシュプル」アンプの非力さが際立つので、急遽「PX25シングル」アンプに交換したほど。

コイル(ムンドルフ)で低音域をハイカットしたときには、まったくパワー不足を感じなかったのに、チャンデバだと急激に非力になるのがちょっと不思議。インピーダンスのマッチングの関係かな。

チャンデバを使うときにはどうやらパワーのあるTRアンプが有利のようですね。残念。

ただし(チャンデバの)メリットもあって、クロスオーバーがスイッチ一つで自由自在に変えられるところ。

たとえば「125Hz、250、500,700,1K」と切り替えられるし「肩落ち」だって「-6db、-12db、-18db」と切り替えられるのでとても便利。

さあ、このままいくか、それとも元に戻すか・・、2~3日間悩みに悩んだがやっぱり元に戻す破目に。

音質と便利さの一騎打ちになったわけだが、やはりコイルやコンデンサーを使ったときの「曖昧だけど聴き慣れた音」の方が合っていそう。

結局、「秋の陣」におけるシステム改造の第2段は中途半端に終わった。第1段は「LANケーブル化」だったが、これは成功だったので今のところ1勝1分けということに。

そして、この「LANケーブル」についてはもうひとつ話題がありますぞ。

この10日(土)にお見えになったオーディオ仲間のYさんが持参されたのがつぎのCD。



オーディオルームに入るなり「ぜひ、このCDはヴァイオリンが得意なAXIOM80で聴かせてください」という、並々ならぬ気迫が伺えたので(笑)、気圧されるようにシステムの結線を繋ぎ変えた。

実は「オールLANケーブル」で「AXIOM80」を聴くのは自分もこれが初めてである。

駆動したアンプは「AXIOM80」を「WE300Bシングル」で、低音域の「リチャードアレン」(口径20センチ)の補強は「PX25シングル」と我が家のベストメンバーを持ってきた。

DACの「エルガー プラス」→「プリアンプ」(マランツ7型)→「上記のパワーアンプ2台」そしてスピーカーケーブルまですべて接続は「LANケーブル」である。

すると、一聴するなりYさんが「AXIOM80のこれほどまでの瑞々しい音はこれまで聴いたことがありません。ヴァイオリンも凄いですがチェンバロの音離れが実に素晴らしい。AXIOM80の魅力全開です」と手放しで絶賛された。

「実を言いますとAXIOM80は自分にはちょっと神経質過ぎるところがあって日常ではあまり聴いてませんけどね。しかし今回ばかりは大いに色気が出て来た感じがしますね」と言ったところ、

「神経質といっても実際にまじかでヴァイオリンを聴くとこんな音ですよ。〇〇さんのお宅ではこれがベストの音でしょう。」と力説されるYさん。

続けて「自分もぜひこのLANケーブルにしてみたいです。製作をお願いできますかね?」と、ついに究極の言葉が飛び出した。さあ、たいへん!

「ハイ、Tさん(東海地方)にお伺いを立ててみないと何とも言えませんが中継ぎはしていいですよ。しかし、この前こそ50万円もする銀線ケーブルを買ったばかりじゃありませんか。もったいないですねえ」と自分。

「いや、それはそれとして活用の方法はいくらでもありますから」

いやはや、凄いことになってきましたよ。

やっぱりオーディオはお値段で決まるものではないようですね~(笑)。



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頭の体操にチャレンジしよう

2020年10月11日 | 独り言

先月(9月)のブログで「連日の図書館通い」を搭載したことをご記憶だろうか。



このドリルの問題を解くために気合を入れて連日の図書館通い(午前中)を始めてからおよそ1か月が経ったが、この程ようやく曲りなりにも終了した。

簡単な問題もあればややこしいものもあったりして紆余曲折だったが、結果として別に頭の回転が良くなったわけではサラサラ無くて、身についたのは「根気と集中力」だけだったように思う。

はじめのうちは、ちょっとひねった問題に当たるとすぐに注意散漫になって気が散っていたのだが、そのうち慣れてくるとじっくり腰を据えて考える「クセ」がついたような気がしている。

ちなみに「手こずった問題」をいくつか挙げてみよう。読者の皆様も頭の体操と思ってぜひチャレンジしてみてください。

解答は末尾に記載しています。

 4つのヒントから共通して連想できる単語をひとつ見つけてください

 「石」「はさみ」「紙」「あいこ」

 「力士」「海」「岩」「調味料」

 「工事」「野球」「アメフト」「安全」

 左端から順に言葉を連想していき右端の言葉につなげてください

 「マフラー」→「  」→ 「  」→ 「  」→「砂漠」

 「ウォーキング」→ 「  」→ 「  」→「  」→「カヌー」

 「コピー機」 →「  」→「  」→「  」→「総理大臣」

 「鏡」→「  」→「  」→「  」→「スマートフォン」

 「インフルエンザ」→「  」→「  」→「  」→「時計」

3 指定された数字を1回ずつ使って計算し、答えが「10」になるようにしてください。

<例題> 「5」「2」「4」「9」「6」

×=36 36-=30 30÷=15 15-10

 「4」「7」「5」「8」「6」

この問題を解くのに実に2日掛かりでした。自宅でも考え続けましたよ(笑)。

<解答編>

 「じゃんけん」「」「ヘルメット

 「マフラー」→「暖かい」→「ドライヤー」→「乾燥」→「砂漠」

「ウォーキング」→「」→「流れる」→「」→「カヌー」

「コピー機」→「印刷」→「紙幣」→「伊藤博文」→「総理大臣」

「鏡」→「反射」→「」→「通信」→「スマートフォン」

「インフルエンザ」→「予防接種」→「注射」→「」→「時計」

 「=1」「1×=5」「5×=40」「40÷=10」

答えは一つとは限りません。たとえば、次のとおり。

=12 12+=20 20-=14 14-=10

いかがでしたか?

もしかして、(このブログを)二度と見るのも嫌という方がいたりして・・。

どうか次の画像でご機嫌を直してくださいな~(笑)。



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一丁、やってみっか!

2020年10月09日 | オーディオ談義

生まれつきとはいえ、それほど「度胸のある人間ではない」と自認しているが、このたびオーディオのレベルアップにもつくづく度胸が必要なことを痛感したので以下、その経緯を述べてみよう。

先日、我が家に試聴にお見えになった近所にお住いのYさん。



先日「T」さん(東海地方)から作っていただいた「XLR → RCA」の変換ケーブルと「RCA → RCA」の普通のケーブルの音質比較のために来ていただいた。

実験内容については、DAC「エルガー プラス」(英国:dCS)からの出力を真空管式「プリアンプ」(マランツ7型)の入力1に前者の変換ケーブルを、入力2には後者のRCAケーブルを挿して、セレクター・スイッチの切り替え一つで瞬時に両者の音質の差が分かるようにしてみた。

ちなみにこのDACは「RCA出力端子」と「XLR出力端子」の同時出力が可能なのでこういう芸当ができる。

テスト・ソースはYさんが持参されたこのCD盤。



「Y」さんが仰るには「逸品館(関西)のオヤジさんがこのところ音質テストによく使っているCD盤ですよ。」

「逸品館」といえばコンシューマーに寄り添った個性的なショップで有名ですね。これはライブ録音だったがボーカルを中心にいろんな楽器が登場して、いかにもテスト向きのご機嫌なサウンドである。

そして、肝心のテスト結果だが「両方のケーブルともまったく音質の違いが分かりませんでした」とYさん。

自分も「そうでしょう、違いがあって当たり前ですが私も分かりませんでした」と、お互いに「耳のレベル」を共有しあったのは同慶の至り(笑)。

「T」さんが作成された変換ケーブル恐るべしの一巻である。

これで1台のDACが同じ音質で2系統のシステムに使えるのだからたまらない。こんなことなら早く作ってもらえば良かった(笑)。

「それにしてもこのウェストミンスターの3ウェイは実に繋がりがいいですねえ」とYさん。

「ハイ、低音専用(口径30センチ:300ヘルツ以下を担当)とフルレンジ(口径25センチ)は両方ともワーフェデールの赤帯マグネット付きですから音色の違和感はないと思いますよ。

ただ、3ウェイチャンデバを持っているので、一度試してみたいとも思ってますが、現状があまりにもうまくいっているもんですからなかなか踏ん切りがつかなくて~。

それに、せっかくオール真空管仕様で鳴らしているのに、チャンデバのTR素子が入るのにちょっと抵抗感もありますしね。TR素子は倍音成分の表現力がちょっと・・。」

「ああ、それなら現行通り口径25センチのユニットをフルレンジで鳴らして、低音域と高音域のルートだけチャンデバを使えばいいじゃないですか」

「あっ、それは面白そうですね!ちょっと想像外のことでまったく思いつきませんでした。」

コイルやコンデンサーをいっさい噛ませないフルレンジを中心に、チャンデバで適当に低音域と高音域を補完するやり方で、いかにも変則的だが音色的には一番違和感がないやり方ともいえる。

おっと、ここでいったん頭の整理をしておくとしよう。(プリアンプからの出力2系統の利用を前提としたやり方。)

1 現行の鳴らし方

ワーフェデールの「スーパー10」(口径25センチ)を「300Bシングルアンプ」でフルレンジとして鳴らし、低音用ユニットと高音用ユニットをそれぞれコイルとコンデンサーで周波数をカットして補完する。真空管アンプ2台で鳴らす。

2 今回チャレンジする鳴らし方

従来通り「スーパー10」をフルレンジで鳴らし、低音域と高音域にチャンデバを使うのがミソで、真空管アンプ3台で鳴らす

3 オーソドックスな鳴らし方

3ウェイチャンデバで低音域、中音域、高音域の各帯域を設定し、3つのユニットを3台の真空管アンプを使ってそれぞれ駆動するというもの

こうやって整理してみたものの現状の音にとても満足しているだけに、いざ変更するとなるとたいへんな度胸が要る!

はたしてこれ以上音が良くなるのかというのも半信半疑だし、無駄な努力に終わる可能性も高いし、第一、気に入った音像のイメージが壊れるのが怖い!

基本的に自分は「保守」なんですよねえ(笑)。

モヤモヤしながら2~3日過ごしてみたものの、そのうちやっぱりやってみる価値はありそうだと段々思えてきた。

な~に、命を取られるわけでもなし、機器が壊れるわけでもなし、拙かったら元に戻すだけだし、「一丁、やってみっか!」と勇気を振り絞った。

実をいうと1週間ほど前に、そういうこともあろうかと念のためにいずれも「LAN素材」のRCAケーブルを2ペア、4mのSPケーブルを1ペア追加して作ってもらったばかりなのだ。

そして、早朝からシステムの再編成に取り掛かった。といっても結線作業が中心だが。

以下続く。



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日本歌曲は「クール・ジャパン」

2020年10月08日 | 音楽談義

「今さら何だ」と言われそうだが、「クール・ジャパン」(Cool Japan)という言葉がありますね。クールとは周知のとおり「カッコイイ」というくらいの意味。

ネットによると、

「日本の文化面でのソフト領域が国際的に評価されている現象やそれらのコンテンツそのもの、又は政府による対外文化宣伝・輸出政策で使用される用語とある。

具体的に挙げると、ゲーム・漫画・アニメやJ-POP・アイドルなどのポップカルチャーを指す場合が多く、さらに自動車・オートバイ・電気機器などの日本製品、料理・武道などの伝統文化など日本に関するあらゆる事物が対象となっている。

経済産業省に「クール・ジャパン室」が設置されており、戦略産業分野である日本の文化・産業の世界輸出促進、国内外への発信などの製作を企画立案し推進している。」
と、ある。

その「伝統文化」とやらで、これからぜひ「日本歌曲」を広めてもらいたいと思うわけ。

もちろんクラシックファンだから西洋歌曲もいいのだけれど、歳を取ればとるほど親しむことが多くなるのが日本歌曲ではないかと思う。

たとえば「花の街」や「芭蕉布」などは島田祐子さんの声で必ず週に2~3回は聴いている。歌詞の意味が分かるので旋律と重なり合ってとても曲趣が深くなり、聴くたびに心が洗われる思いがする。


「こんなに美しくて抒情的で素朴なメロディがあったのか」との驚きとともに世界中で日本ファンがきっと増えるに違いない。何せ音楽は唯一の共通言語みたいなものだから~。

ところで、「花の街」の作曲者は「団 伊久磨」さんだけど、無類の釣り好きと見えて先般紹介した「釣り名著50冊」の中に入っていた。



ちょっと字が小さいが、下から10冊目に「石鯛釣り」団伊久磨とあるのがお分かりだろうか。

もちろん一読したわけだが、その内容はといえば「花の街」のあの純情可憐そのものともいえる曲趣とは違って「艶めいていて、くだけた話」が盛り込まれており曲のイメージとはまったく違うことにいささか驚いた。

神童モーツァルトもあの美しい調べと(書簡などを通じての)人物像との落差にビックリさせられるが、改めて音楽作品とは勝手に独り歩きするもので、作曲家の人間像とは別物であることを痛感した!

これは音楽に限らず全ての芸術作品にも共通のようで、以前、「いい文章とは」の関連で、現役の国語教師の次のような言葉が強く印象に残っている。

「作者に(文章の意味の)正解を聞いてもあまり期待できません。理由は簡単です。作者が自分の思いを正確に表現できているとは限らないからです。

正解は作者の頭の中にあるのではなく表現の中にこそあります。問うべきは書き手はどういうつもりで書いたかではなく、どう読めるかです。

“読み”は文字どおり読み手が主導するものなのです。」
   
                        

これでいくと、音楽のイメージについても同様でリスナーの方で勝手気ままに創造しても一向に構わないようですね。

話はまったく変わって、先日ウォーキングコースの途上で見かけたのが「お靴を履いたワンコちゃん」。


                   

我が家の歴史にはずっとイヌやネコの名前が見当たらない。家内ともども、好きなんだけれども実際の手間を考えると「?」なので、何となく飼いそびれてきたのが実情。

どちらが“言いだしっぺ”になるのか、我慢比べみたいなところがあるが、結局その後の「お世話」に直結するのでうかつな発言は命取り~。

 やっぱり、今のように野良猫の餌やり程度が丁度いいようでして(笑)。



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ああ・・、徒然草の世界が身に沁みます

2020年10月06日 | 独り言

前回のブログ「背後から秘かに忍び寄るもの」に対して、メル友の「I」さん(東海地方)から次のようなメールが届いた。

ちなみに、このところ頻繁にこのブログに登場していただいている「LAN素材」のケーブル製作者「T」さんと「I」さんは同じ東海地方のすこぶるご熱心なオーディ愛好家として懇意にされている間柄であり、今回のケーブル作成を依頼したのも「I」さんを通じてのことだった。

「年のせいか、秋になったせいか、心の中をうすら寒い風が・・・ああ・・徒然草の世界が身に沁みます。

貴邸ではLANケーブル化が着々と進行していますね。

拙宅も3システムのLANケーブル化が終了しました。結果は、昨日のTさんのブログにあるとおりです。うれしいですね、いい音でいつでも聴ける環境になりました。

もう装置のことを考えずに音楽に没頭・・・でなく、何か他に弄りたくなりますね(笑)。

というわけでもないのですが、写真のシステムです。ありあわせのユニットの組み合わせです。

昨日、クラシック5ウェイのケーブルを交換している間、Tさんに聴いていてもらったのですが・・・「意外といいね」の評価でした。「平板ウーファーに違和感がない、クラシックプロのドライバーとヤマハのツイーターが喧嘩していない」 私「だいぶこなれてきました」

クロスは200Hz・1600Hzにヤマハは0.47µFのロウカットの4ウェイです。

量感・切れ味ともになかなかで、マルチウェイの散漫さはありません。スモール4343と呼んでいます(笑)。

自画自賛の巻で失礼しました。」

冒頭の「徒然草」については、ちょっと茶化された感じだが(笑)、自画自賛については大いに結構だと思いますよ~。

「すべての随筆はつまるところ自慢話だ」と喝破したのは、たしか高名なエッセイストの「山本夏彦」
さんでしたっけ。

随筆もブログも似たようなもんです。

このブログだって煎じ詰めると、いつも「自慢話」に終わっているのだが、それを嫌だと感じる方ははじめから読まなきゃいいし、そもそも誰も読んでくれと頼んだ覚えはありませんからね(笑)。

それでは「T」さんが「I」さん宅を訪問されたときのブログをそっくり画像と共に紹介させていただこう。

「朝食後、コーヒーを淹れ、コネクターを出しました。

DSC_4538_convert_20201003215132.jpg

ハンダ付け前です、ハンダが無くても音が出る様に信号線がコネクターの端子に接触しています。

DSC_4541_convert_20201003215206.jpg

RCA端子の信号線だけハンダ付けしました。

DSC_4542_convert_20201003215237.jpg

ケーブルが出来上がったのでオーディオ友達の所にオジャマしました、
JBLの3WAYです、自作の箱に入っています。

ここの特徴はチャンネルデバイダーがMONOです。

DSC_4550_convert_20201003215305.jpg

LPを聴きました、YAMAHAのベリリウムカンチレバーのMCカートリッジです、この時代のYAMAHAのカートリッジは今、聴いても5万円ぐらいのカートリッジより良いです、十分な情報量が有り、切れ込み、クリアーさが有ります。

DSC_4551_convert_20201003215337.jpg

今日、持ち込んだケーブルを交換しました。

DSC_4552_convert_20201003215447.jpg

交換後は音場の広がり、自然さが出て、ベールが2枚取り除かれた様にクリアーになりました、金管も鋭くクリアーで喧しくないです。

DSC_4553_convert_20201003215416.jpg

力作の5WAYが本領発揮です、LANケーブルに交換した部分は4WAYですがサブウーファーが有り、その部分のケーブルは交換していません、地を揺るがす様な重低音が出る様になりました、上が良くなると低音まで強力に明快に良くなります。

DSC_4554_convert_20201003215535.jpg

以上のとおりだが、「地を揺るがすような重低音」をぜひ聴いてみたいです。

東海地方は実に魅力的ですね!(笑)



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