「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

夏が来た!オーディオの衣替えだ!!

2022年06月29日 | オーディオ談義

梅雨が始まったばかりだと思っていたら今年は異常な速さで「店仕舞い」ということで、関東・関東甲信越地方や九州南部(6月27日)に続いて、九州北部も28日に梅雨明け宣言にビックリ、しかも「今年は7月をピークに猛暑になりそう」との情報も飛び交う。

当地、別府でも早くも連日30度の猛暑が押し寄せている

で、オーディオも夏向きへと衣替えだ!

 DAコンバーターの休養

現在の手持ち3台のDAコンバーターのうち、一番古い「エルガー プラス」(dCS)は、室内が30度を超えると短時間の使用でも内部の熱が溜まって天板が異常なほど熱くなる。

となると、コンデンサーなどへの部品への悪影響が心配になるので、7月~9月は「電源スイッチ」を完全に落として使わないことにしている。

とはいえ、残り2台のうちの「A22」(GUSTARD)もかなり熱くなるので、冷凍庫で冷やしていた保冷剤をタオルに巻いて、天板に敷き詰めたヒートシンクの上において4時間ごとに交換している。

    

手がかかるオーディオ機器ほど可愛いものです(笑)。

 パワーアンプの選択

暑いときはエアコンの出番と決まっているが、一日中つけっぱなしというのも不健康だし、電気代もばかにならない。それに「大河の一滴」だろうが「節電」にも協力しなければ。

昨日(28日)の昼のテレビ「ひるおび」で、熱中症防止のため「エアコンは必須です」と言ってたが、都会はそうだろうが地方はそれほどでもない。

我が家の場合、立地に恵まれており海からの爽やかな風が吹いてきて暑さを凌ぎやすいので助かる。

で、夏の日中はなるべく窓を開け放して、ややボリュームを落とし気味にして音楽を聴くことにしている。

となると、「サブウーファー」(100ヘルツ以下)はお呼びではない。

「AXIOM80」をサブウーファーなしで聴くとなると、比較的低音域が豊かなパワーアンプの出番になる。

中高音域の美しさは71A系アンプが抜群で他のアンプの追随を許さないが、低音域の充実度となると話が違ってくる。

候補となるアンプは次の5台。

「WE300Bシングル」「PP5/400シングル」「2A3シングル」「6AR6シングル」「71Aプッシュプル」

で、この中で「見た目」と「音質」から一番涼しそうなのが「6AR6シングル」アンプ。

アメリカ海軍のレーダー用として使用されていた名管「WE350B」を出自とする「6AR6」(5極管)を出力管としたアンプである。



「6AR6」は初期から後期までいろいろあるが、初期の「楕円型プレート」を使用し、「5極管」を「3極管」接続にしている。これで周波数特性の曲線が名管「PX4」(英国)とそっくりになるというから頼もしい。

また、前段管を当初の「6SL7」から変換アダプターを使って「ECC83」(テレフンケン)に代えているが、「μ=増幅度」が増えたせいか瞬間的な大きな入力の時に確実に歪が減る。

さらに、「北国の真空管博士」にお願いして回路を少し手直ししてもらい、ボリュームを「クラロスタット」製に変更している。

「これで少なくとも貴方の手持ちのアンプの中では周波数レンジが一番広いと思いますよ」とのお墨付きを得ている。

ちなみに、「クラロスタット」ボリュームはあの名器とされるプリアンプ「マランツ7」に使用されており、「ヤフー知恵袋」に次のような問答がある。

「マランツ#7は製造年代によってボリュームのメーカーが異なり、それによって、音の大きな違いが生じるというのは本当でしょうか。どなたか詳しい方、教えて下さい。」 

「マランツ7のボリュームは何種類かあります。 クラロスタット製が最高と言われております。 シリアル№11xxxx番迄(12000未満)迄クラロスタットのボリュームが使われておりますが、シリアル№11xxxx番迄(12000未満)迄は音が格別によいと言われており、オークションも含めて高値で取引されております。

但し、名前は控えさせて頂きますが、メンテナンス兼レコード&オーディオ輸入販売されている方より直接聞いた話ですが、№11999以内を輸入したのですが、クラロスタットのボリュームが他社に変更されており、低価格ですぐ売却したとのこと。~以下略 ~」

というわけで、我が家の「6AR6」アンプの音が悪かろうはずがないですよね!(笑)

最終的にこのアンプでモーツァルトを聴きながら、実際に外に出て耳を澄ましてみると想像したほど音が漏れていないし、気になるほどうるさくはない。ましてや、通りすがりの人にとってはまったく意識しない程度のはず。



玄関近くにあるオーディオルームの窓から植木を隔てて道路に面する塀まで4mほどあるが、植木が拡散と吸音の役割を果たしているようだ。

この程度なら気兼ねせずにもっと大きな音で聴くことにしようと自信が持てた(笑)。



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「人生に無駄な経験は一つもない」というけれど

2022年06月28日 | 独り言

およそ2年半にわたって猛威を発揮した「新型コロナ」もどうやら終焉の運びになりつつあるようだ。

人生の歯車を大きく狂わされた方も多いに違いないし、経済的な損失を被ったり不便な生活を強いられたりで「もういい加減にしてくれ」とは誰しもの思いだろう。

で、「人生に無駄な経験は一つもない」という前向きの言葉があるが、あえて「コロナ禍のメリットっていったい何があったんだろう?」と自問自答してみた。

まず、いちいち通勤しないで済む「テレワーク」の普及が思い浮かぶ。コロナ禍が収束しても、その導入が止むことはないだろう。

通信業界の大手「NTT」では「原則テレワーク」に切り替えたと、つい最近の「日経新聞」にあった。



また、外出の自粛が広まったので、外食費、衣装代、旅行費用などの個人的支出が抑えられたことがある。マクロ経済からするとこれはアウトだが。

ほかに何があるかな・・・。

そういえば家に閉じこもりが多くなっただろうから、「家庭で音楽を楽しむ層が増える→オーディオ機器の売れ行き増加」もあったかもしれない。

個人的には「図書館がいつも閑散としていて、面白い新刊が借りやすくなったし、駐車場にもクルマが入れやすくなった」、同じ伝で「運動ジムの利用者が少なくなってストレッチ用機器の順番待ちが少なくなった」

これはかなり助かる(笑)。

そして、マスクの着用による功罪に目を向けてみよう。

まず「功」となると、何よりも目元が涼しいだけで得をする「マスク美人」の増加があるし、「罪」となると人の顔の表情が分かりにくいので話しかけにくいのでコミュニケーションがなかなかとりづらい。

となると、たとえば
男女の出会いが少なくなり出生率にも影響が出てくる可能性が高い。日本が抱える大きな課題の一つは「人口減」なのでこれは罪の方が功を圧倒している。

マスクでつい連想するのが「イスラム教徒」の女性が日常的にスカーフで顔を隠していること。

「人間は欲望に負けやすく弱い存在」なので、人間の理性を狂わせる源を根元から断ち切ろうとするのが「イスラム教」の教えだ。

たとえば、 禁止事項として「偶像崇拝・多神教」「自殺・他殺」「不倫」「利子」「酒」「豚肉」「女性が人前で肌を見せること」などが挙げられる。

余談になるが、「偶像崇拝」においては、中国やロシアはブラックですね(笑)。

で、なぜ女性が人前で肌を見せるのを禁止したか、といえば、男性は女性の性的魅力に弱い、そのため男性を刺激しないよう肌の露出を控え、身体のラインを隠すように命じた、それによって女性も性的被害を受けることが少なくなるというわけ。

つまり、マスクは顔のスカーフともいえ「イスラム教の教え」に沿っているともいえる。

ちなみに、「スカーフ」とは覆うこと、あるいは隠すことを意味するアラビア語である。

スカーフを着けることで、女性たちは、愛、プライド、エンパワーメント、満足感、充実感、抵抗心、さまざまなプラスの感情を表現することができます。でも、悲しいことに、それは憎しみ、困惑、哀れみ、そして軽蔑感などネガティブな感情の引き金にもなります。ある人にとってはスカーフの着用は抑圧であり、またある人にとっては自由な選択です。

アイデンティティの印として身につける人もいれば、精神性の証として身につける人もいます。通常、女の子は親族関係にない男性の前や、結婚者側の家族にいる男性メンバーの前でヒジャーブを着用することを求められます。着用は家の中と外の両方で、周りのアブない男性から、ホコリや有害な紫外線から、その他予想外の害を及ぼすすべてのものから女性を守るためです。


とされているが、どうなんだろう。

ほかにもコロナ禍の功罪について、エピソードがあればどうか気軽にメールください。差支えなければ紹介させていただきます。メルアドは「smcgr544@yahoo.co.jp」です。



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「微妙なズレ」を求めての一工夫

2022年06月26日 | 音楽談義

新刊の「音楽する脳」を読んでいたら、次のような箇所が印象に残った。(176頁)



「基本的に人は常に新しいものに触れ続けると脳がその情報を処理するためのエネルギーをたくさん使ってしまうため疲れてしまいます。一方、常に当たり前すぎるものに触れ続けても脳は飽きてしまい、知的好奇心や感動も生まれません。

このように、あまりにも予測からズレすぎず、当たり前すぎない「微妙なズレ」に、人はなんともいえない感動を覚えると考えられています。ある程度わかるけれど、ちょっとわかりづらい「予測や経験からの微妙なズレ」が、知的好奇心や興味をくすぐるのです。」

著者はこの「微妙なズレ」を「ゆらぎ」とも称している。

大好きなモーツァルトの音楽は微妙な「ゆらぎ」に満ちているが、実はオーディオに対してもその「ゆらぎ」を求めて毎日のように悪戦苦闘しているのではあるまいかに思い至った。

音は空気の振動だがその物理現象を「音楽」に変換するのは「脳」なので、毎日同じ音ばかり聞いていても飽きてしまう、で、ちょっとした変化を求めて何かしら「システム」のどこかを弄りたがるのが我が家では常態化している。

このブログの読者ならお分かりのとおりですね(笑)。

これはけっして自慢できるような話ではなく移り気な自分の性格がなせる業だと、これまでやや否定的に思ってきたのだが、脳の働きからするとごく正常な取り組みなのかもしれないと、どうやら自信らしきものが湧いてきた。

これで「また始まったか」と、他人の目を気にすることなく記事が書けるぞ~(笑)。

というわけで、実践例を一つ。

我が家には7系統のスピーカー(以下「SP」)があるが、それぞれに捨て難くていいところを持っている。

で、理想としては7つの部屋があってそれぞれにSPを置きたいところだが、それは無理なので仕方なく一つの部屋で日ごとに聴きたいSPをリスナー席の正面に移動させることになる。

それぞれのSPはある程度の重量があり、持ち上げて移動させるのはよほどの体力の持ち主でないと無理なのでSPの下に移動滑車を付けて移動しやすいようにしている。

で、かねてからこの「移動滑車」が無ければもっと音が良くなるかもしれないという思いがずっと捨てきれなかった。つまり、床(コンクリート)と直接に接しているこの滑車が大切な「箱」の振動に影響を与えていそうなことは経験上わかっている。

まあ、ほんのちょっとした差なんだろうが、手間を惜しむようでは「気に入った音」は永遠に得られない(笑)。

そこで、「AXIOM80」(オリジナル)の下に3点支持(前方に二つ、後方に一つ)でインシュレーター(木)を噛ませてみることにした。



これで「滑車」が完全に浮いた状態になった。再度移動させるときはこの木を取り外せばいい。

ちなみに真ん中の隙間は「ARU」代わりに開けたユニットの背圧の抜け道である。

箱の中の底部には20cm四方の四角い穴を開けており「ドロンコーン」そして「重し」と「定在波防止」を期待してグッドマン「AXIOM150マークⅡ」を据え付けている。

そして、ワクワクドキドキしながら出てきた音に耳を傾けてみると、なんとまあ、ちょっとした「ズレ」どころか・・・。

自画自賛は「はしたない」ので、この辺で止めておきます(笑)。



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オークション情報~スピーカー・DAC編~

2022年06月24日 | オークション情報

オーディオ人生の締切時間が刻々と迫っているというのに、能天気のまま永遠に時間があると思っているのが傍からみると滑稽かもしれないですね(笑)。

その如実な例が「ネットオークション」でいまさら購入しても「時間切れ」なのにいまだにチェックしてつい触手を伸ばしたがる。

1 タンノイのモニターレッド12(口径30cm)



タンノイのユニットは周知のとおりマグネット部分の色彩によって「ブラック」→「シルバー」→「レッド」→「ゴールド」→「HPD」→「?」と変遷を辿っているが、音質もこの順番で劣化していくと言われている。

いや「劣化」という表現は不適切で「タンノイらしさが失われていく」といった方が正確かな。

我が家では「スピード重点主義」なので口径38cmのユニットは(音声信号に対する反応が遅くなるので)使わない主義だが30cmのレッドとくれば取り付けられる箱もあるしお値段次第では手に入れてもいいかなあ~(笑)。

で、入札の状況を注意深く観察していたらあっという間に許容の範囲を通り越して最終的には「336、000円」へ。

意外の高値に驚いたが、「レッド」でそのくらいだから「シルバー」なら軽く2倍はいくかもしれない。

いまだに「タンノイ古典型ユニットの人気衰えず」といったところですか。

で、興味深いのが現在出品されている「AXIOM80」(オリジナル)で、30万円の開始価格なのに入札者が1名もいなかった。



立派な箱にまで入っているのに人気が無いのはどうして?

少なくとも「モニターレッド」より音質が上だと思うので、このお値段なら飛びつく人がいてもちっともおかしくないと思うけど、うまく鳴らすのが難しいというのが知れ渡っていて、敬遠されているのかな。

たとえば、この箱は板が厚すぎるようで自分なら響きを良くするために「1.2~1.5cm」の箱を自作して入れ替えたくなるし、手間と時間をかければかけるほどうまくいった時の喜びは倍加するのがオーディオだし、それにヴァイオリンの艶やかな響きはどんなユニットにも負けない。

何しろ「20億6千万円」のストラディバリウスに比べればメチャ安いと思うんだけどなあ(笑)。

2 DAC「A22」(GUSTARD)

昨年(2021年)の7月にネットで購入した「A22」はどうやら最後の1台だったようでその後はずっと在庫切れが続いている。

定評のある「旭化成」の半導体「AK4499」がデュアルで使われており、このチップが火事災害によって再生産不能とくればこのDACの希少価値が増すばかり。

で、このA22がこのほどオークションに出品されていた。

もちろん購入するつもりはないが、どのくらいの相場か知りたいので要注目。

売るつもりはまったくないが自宅の相場を知りたい心理とよく似ている(笑)。



で、落札価格といえば「15万1千円」で、自分が購入した時よりもわずかだが値上がりしているのはご愛嬌(笑)。

ところで、つい最近の日経新聞に次のような記事があった。



あと2~3年もすればより高性能のチップを使った「DAC」が出現する可能性が高いようで、まさにデジタルは「日進月歩」ですね。

それにひきかえ、スピーカーと真空管はこれまで技術的進歩がなく古いものほど性能がいい。

芭蕉が唱えた「不易流行」ってこのことかな?


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「ハイレゾ」サウンドの威力

2022年06月22日 | 音楽談義

以前のこと、往年の名指揮者「フルトヴェングラー」に関するブログを投稿したところ、関東にお住まいの方から次のようなメールをいただいたことがある。

「今回メールをしたのはフルトヴェングラーのことです。私はフルトヴェングラーを殆ど聴くことはありません。なぜ聴かないのか考えてみたのですが考えるまでもなく答えが出ました。


一つはフルトヴェングラーにはモーツァルトの録音が殆どないということです。レパートリーの大半がモーツァルトという私にはフルトヴェングラーの出る幕はないのです(ドン・ジョバンニはたまに聴きます)。

二つ目はベートーヴェン

ベートーヴェンは好きな作曲家ですが聴く分野はピアノ・ソナタと弦楽四重奏曲なのでこれまたフルトヴェングラーの出る幕なし(ブライトクランク録音の「英雄」は愛聴盤です)

三つ目、これがもしかすると一番の理由かもしれませんが、フルトヴェングラーにはステレオ録音がないということです
私も一応有名なものは聴いてきましたが音質が悪いものが殆どなので再聴する気にはなりません。

以上三つの理由からフルトヴェングラーは私にとっては疎遠な指揮者となります。

しかし亡くなったのが1954年。あと数年生きていてくれたらステレオ録音のフルトヴェングラーが聴けたかと思うと残念ではあります。」

フルトヴェングラーを聴かない理由の一つとして「ステレオ録音がない」ことを挙げておられるが、当時は「熱烈なフルヴェンの信奉者」だったので「人それぞれだよね」と軽く一蹴した。

で、今さらなぜこんな話題を持ちだしたかというと、このところようやく「ステレオ録音が無い」ことに合点がいくようになったから。

というのも、これまでは「名指揮者による演奏だけど録音が悪い」or「演奏は並みだが録音状態がすこぶるいい」の二者択一を迫られたときに、文句なく前者だったのだが、このところあっさり「宗旨替え」して後者を優先するようになってしまったことにある。

身近に実例をあげてみよう。

我が家で現在「一番いい音」として君臨しているのはパソコンを使ったハイレゾ再生である。



毎朝、パソコンで「AIMP」ソフトを開き「モーツァルト専門チャンネル」を選択してDAC「A22」(GUSTARD)により「384KHz」で聴いているが、音響空間の果てしない透明感と艶やかな楽器の音色にうっとりと聴きほれている。

ちなみにCDのサンプリング周波数は「44.1KHz」であり、「384KHz」は「48KHz×8」となる。

それにスピーカーが「AXIOM80」(オリジナル版)だからなおさらのこと(笑)。

こんな音を聴かせられたら「どんな演奏家でも50歩100歩だなあ」という気にもなろうというもの。

もちろん初心者は論外だが、ある程度商業的な録音に参加できるほどの腕前の持ち主なら誰だっていいという心境になってしまった。

言い換えると演奏の表現力の細かい差なんて、生に近い音質の差の前には些細な問題になってしまうし、結局のところ大作曲家の前ではどんな名指揮者であろうと名演奏家であろうと使い捨ての道具にしか過ぎない。

50年以上にもなるオーディオ歴を通じて、こういう心境になったのは初めてで、やはり「ハイレゾの威力」は凄いですね。

たしかにレコードもいいけれど、ネットから次から次に繰り出される無尽蔵ともいえる「膨大な音楽ソフト」の前にはただひたすら頭を垂れるしかないのだから。



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「素敵なオーデイオ愛好家」の後日談

2022年06月20日 | オーディオ談義

非常にご熱心な「音楽&ーディオ」愛好家でメル友の「W」さん(東京都)からこのほどメールが届いた。

私事ですが、昨年ステレオ誌に掲載された流れで、「音楽とオーディオを愛する人々」(田中伊佐資)に掲載されました。

6/21(月)発売です。



Wさんほどの素晴らしいオーディオ機器の持ち主でしかもご熱心とくれば、専門誌が放っておかないのも道理だと思いますよ。興味のある方はどうかご一読を。

で、「W」さんのご紹介だが、それにはおよそ2年前に搭載したブログ「素敵なオーディオ愛好家」が一番なので再掲しよう。

オーディオ愛好家にとって一つや二つぐらいは「どうしても忘れられない音」がきっとあるはずだと思っている。

そこで、つい先日のブログで広く募集させていただいたところ、東京都青梅市にお住まいの方からメールをいただいた。仮にWさんとしておこう。

この拙いブログを毎回ご愛読されているそうで、もし何がしかのお役に立てているとすれば、筆者にとってもこの上ない喜びです。

で、差支えない範囲でブログ投稿へのご承諾を得たので以下のとおり紹介させていただこう。

「ブログを約2年前の2018年9月ごろから拝見し、楽しく勉強させていただいております。

私はWと申します。東京都青梅市というコロナ禍の新宿区歌舞伎町とはほど遠い、多摩川の比較的上流で、水も空気も電気も澄んできれいな環境で楽しく暮らしております。

現在62才で、仕事は民間を56才定年卒業後⇒民間、国の非常勤職員、市の非常勤職員で週に4日を消費生活相談員をしております。

元々、企業の消費者相談部門の仕事が長く、クレーム対応を
しておりましたので(廻りは嫌がる仕事でしたが)、その延長で何とか仕事を続けることができており、今ではクレーム発生元のいわくつきの業者が多数存在していることに薄謝しております。

ところで、2年前にタンノイモニターシルバー15インチの2個セットを幸運にも手にすることができました。



なじみの悪店主にそそのかされて、サラリーマンでしかない私と十分知っていながら、
マランツ#7の1万4千番やらタンノイの英国オリジナルコーナーヨークなど、良い物だと見て分かる品物を見に来い、見に来いと誘因します。悪い業者ですが店舗注文の場合は、クーリングオフ規定は使えません。

今回のモニターシルバーは、既に同SPユニットをお持ちの千葉のお医者様が、店主を通じて英国からオリジナルオートグラフの愛妻を迎え入れた際に、箱は欲しいが邪魔になった子供は要らぬと、お金持ちは下々の迷惑は顧みず、私に引き取らせた次第です。

その後は、箱を探してもらいましたが良いものがなく、私が半年後にオークションでアメリカタンノイのウインザーGRFを見つけ、店主にSPユニットを入替てもらいました。

ところが、ウインザーGRFinモニターシルバーは高域のある帯域にきついアクセントがあり、ヴァイオリンの高い音域がキーキーと金属音が出てしまい、いわゆるいぶし銀の音かとは思いましたが、納得できませんでした。

当時マークレビンソンと予備のクレルのプリ・パワーでしたので、その帯域をいなすようにしながら、倍音の鮮烈さは残したく、再び球のパワーアンプを探していたところ、ヴィンテージオーディオブログの「音楽&オーディオの小部屋」に辿り着きました。

そこでは8月頃に、テレフンケンRS289が凄いアンプだと紹介されていました。1942年製のナチスドイツの送信用真空管に惹かれて、10月過ぎに板橋商会さんに問合せをし、借りて視聴したところ返せなくなりました。

私の実家は新潟県の魚沼米のコメ作り農家で、次男のため東京さ出てきてつい居ついてしまいました。

製作者は同じ
新潟県六日町のチューブオーディオラボという個人メーカーと聞き、オーナーのKさんにお会いし、人柄にも製品にも惹かれました。

私は単線好きで銀線好きなのですが、ヴィンテージ半田で配線が単線だと聞き、購入をお願いしました。

アナログ盤命で、クラシック6>ボーカル2>ジャズ2を、12畳弱の寝室兼用の洋室で楽しんでいます。 

女性ボーカルは、ジョーンバエズが好きでよく聞きます。

部屋のサイズからベストなSP1台を選び、複数の音楽ジャンルを聞くため、色気+鮮烈+質実剛健+音場感を求めています。

そのためにはオーディオはメカトロニクスの総合力なので、拘りは設置時の防振強化、電源強化、部屋の音響づくりですが、最終的に求める音像と音場感を追求すると、音の良いオリジナルアナログ盤にはどうしてもかなわないので、越えられない壁を感じております。

オーディオは17才のときバイトでプレイヤーなどを1つづつ購入していったのが始まりで、音楽は中学生のころ聞いたカーペンターズのスーパースターやヘドバとダビデのナオミの夢なので、これまでが長いです。

文が少し長くなりすぎましたので、中途ですがまた送ります。

本日メールをお送りしたのは、上記のテレフンケンRS289を知るきっかけが主さまのブログでした。遅くなりましたが、お礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました、やはり良いアンプです。」



これに対し以下のとおり返信。

「メールありがとうございます。また拙いブログに目を通していただき感謝です。

毎日飽きもせず音楽、オーディオ、読書などに明け暮れていますが、こうして見知らぬ方とやり取りができるのも楽しみの一つです。

わたしの記事が参考になれば幸いですが、「RS289」アンプは凄いアンプでしたがお値段が折り合わず涙を呑みました。




スピーカーをはじめ、何から何まで超一流の製品を使われ、さぞやいい音が出ていることでしょう。近隣に在住していればいの一番に駆け付けるのですが残念です。

という内容だった。

どうしても一度は聴いてみたい音があって、それは東海地方の「T」さん、「I」さん、横浜の「K」さん、そして今回の「W」さん。

時間はたっぷりあるんだけど、距離がねえ・・(笑)。



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「沈黙の力に堪える経験」とは

2022年06月19日 | オーディオ談義

遅ればせながら前々回の「我が家のベストサウンド」の続きです。

このところブログ記事の関係もあってスピーカーを「AXIOM80」に固定して聴いていると改めてその繊細な再生ぶりに驚いている。

好きな曲目が終わってCDプレイヤーのストップボタンを押そうとしたら、これまで気づかなかったきわめて繊細で微かな音が余韻を引きながら音響空間の中にす~っと消え去っていくのに驚いた。

え~っ、こんな音が入っていたんだ!!

ほかのスピーカーで「もうこれで十分だ」と思うこともあるが、やはり上には上があることを思い知らされる。

容れる箱や駆動するアンプをメチャ選ぶので、うまく鳴らすのがとても難しいが、やっぱりこのSPは絶対に手放せないですね(笑)。

ちなみに「AXIOM80」の凄さを物語る逸話を紹介すると、

スピーカーを求めに来たご夫婦のうち奥様が、美空ひばりの歌声を聴いて『お父さん、これ(AXIOM80)にしましょうよ!ひばりが此処に居るじゃない!!』 奥さんは(ひばりの)親衛隊だっただけに生の歌声を聴いている訳です。~中略

『スタックスのコンデンサー型イヤースピーカーと変わらない淀み無く澄みきった高域』それと『声を出す時の息の湿り気をも感じる様な生々しさ』に打ちのめされた。この音はこのユニットにしか出せない音なんだな」


で、当日(11日)の試聴会に来ていただいたYさんに聴いていただいたシステムを再掲すると、

パナソニック「DPーUB9000K」 →(デジタルコード)→ GUSTARD「A22(ハイレゾ176.4Hz)」→「安井式プリ」→「071シングルアンプ」(SRPP回路)→「AXIOM80」(復刻版)

既述したとおり、この組み合わせで仲間の「Y」さんから絶賛を受けたわけだが、ここでYさんからご提案があった。

「DACのA22ですが、RCA出力よりもXLR(バランス)出力の方が音が大きくなるそうですよ。変換ケーブルで試してみたらいかがでしょう」

「それは面白そうですね!」

この「A22」は以前にYさんのアドバイスで「黄金ヒューズ」に取り換えてから(音質が)一皮剥けた記憶がある。



幸い「T」さん(静岡県)から作っていただいた「変換ケーブル」(LAN)があったのでさっそく入れ替えた。



異口同音に「あれっ、変わりましたね。音響空間が随分静かになってSN比が向上しました。圧倒的にこちらの方がいいですよ」

「XLR→RCA」の変換ケーブルについてはこれまで市販品を2種類ほど使ったことがありいずれも音が劣化してアウトだったが、このLANケーブルに限っては劣化がまったく感じ取れない。シールドカバー線が無いことも影響しているのかな。

となると、別のDAC「エルガー プラス」(dCS)についてもプリアンプに繋ぐ「変換ケーブル」(1ペア)が欲しくなった。おそらく同様の結果が得られる可能性が極めて高い。

で、厚かましくも「右手親指」付近が炎症中の「T」さんに無理を言ってお願いしたところ、ご快諾していただきさっそく作製していただいてこの程無事到着。ここに誌面を借りて厚くお礼申し上げます。

で、話は戻って今度はスピーカーを「復刻版」から本命の「AXIOM80」(オリジナル版)に代えてみた。

いわば「復刻版」と「オリジナル版」の同士の一騎打ちだ。



「復刻版は元気の良さが目立ちましたが、オリジナル版となると何だか胸に染み入ってくるような切なくて悲しい音になりましたね。こういう哀愁を帯びたヴァイオリンの音色が本来の音なんでしょうか」と、Yさん。

「音楽にはいろんな役割があると思いますが、人を慰め癒してくれるのが一番でしょう・・。AXIOM80とヴァイオリンの組み合わせはまさにそのドツボに嵌る感じですね。こういう音を聴かされると自然に目が潤んできて困ります」


しばし、二人とも無言のまま聴き入った。何だか音を形容する言葉を発したいのだけど、何を言っても嘘になる感じといえばいいのかな。

「美には、人を沈黙させる力があるのです。これが美の持つ根本の力であり、根本の性質です。絵や音楽が本当に解るという事は、こういう沈黙の力に堪える経験をよく味わう事に他なりません。ですから、絵や音楽について沢山の知識を持ち、様々な意見を吐ける人が、必ずしも絵や音楽が解った人とは限りません。」(小林秀雄「美を求める心」)

音楽もオーディオも最終的に求めているのは「美」なんですよね。

というわけで「沈黙の力に堪える経験」を存分に味わったわけだが、ちょっと「気障」で「我田引水」気味だったかな~(笑)。




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日経新聞の最新記事「三題」

2022年06月17日 | 独り言

★ レコード復権 中古品高騰



1週間ほど前に載っていたのがこの記事。

レコード購入層が女性を含めた若い層に移っているそうで、音楽好きが増えるのは豊かな社会に向けていいことには違いないが、「いまさらレコードに人気が出るのはいったいなぜ?」ということに尽きる。

その理由を整理してみると、

1 デジタルからアナログへ向かう鑑賞の流れがある。昔の名曲を当時と同じ形で楽しみたい

2 レコードをプレーヤーに置き、針を落とす一連の動作を新鮮に感じる人も多い。あえて手間をかけるいとおしさやアナログへの憧れがある

3 コロナ禍で音楽フェスの中止が相次ぎ在宅時間に音楽を体験する機会をレコードが提供している

次に、個人的な意見として次の4を付け加えたい。

4 デジタル機器もピン(最高)からキリ(最低)まであるが音質の落差がとても激しい。で、そのキリの近辺でもし同じ価格帯の再生機器があるとしたらレコードの方が音質が上なので選択される可能性が高い

ちなみに、我が家の場合ではレコードの方がデジタルよりも音がいいのはわかっているが、ほんとうに「いい音」を出そうと思ったら、手間とお金がメチャかかるので敬遠しているのが実情だ。

それに「機器」もさることながら肝心のレコード盤も海外のオリジナル版ともなると目の玉が飛び出るほどのお値段になる。

それよりはハイレベルのデジタルサウンドを追い求めた方が効率的だと思うんだけどなあ・・。

2 シューベルトのピアノソナタ「17番」





ご覧のとおりの記事で何も付け足すことはないが、「村上春樹」さんとは悲しいことにどうも音楽的な趣味が合わない。

これまで、ご推奨の曲目に何度もチャレンジするのだがうまくいった試しがないのもご愛嬌(笑)。

他のエッセイで「1万円以上の腕時計は身に着けない主義」と書いてあったが、いかにも村上さんらしい地味な選曲と演奏者だと思う。

それにしても、音楽にしても音質にしても好みが一致する人は稀のようですね。

3 私の履歴書

日経新聞の「私の履歴書」は、「功成り名を遂げた」各界一流の人物が1か月間にわたり自分の生い立ちから現在までの生涯を振り返りながら誌面を飾る人気記事。

毎日必ず目を通しているが、大半の方々がどうしても自分のこととなると意識する、しないにかかわらず「自慢たらたら」の内容になってしまうのは否めない。

いわば「サクセス・ストーリー」なので、仕方がない面もあるし、このブログだってその傾向が「無きしにも非ず」なのであまり大きなことは言えないが(笑)、現在掲載中の「矢野 龍」氏(住友林業最高顧問)に限ってはそういう自慢めいた表現がいっさいないし、飾り気のないエピソードに終始していてとても微笑ましい。



入社時に「そんな大学はどこにあるんだい?」と人事部からツッコミを入れられたほどの二流大学出身だった矢野氏だが「ガッツ」は人一倍で、その後に社長に就任されるのだからおそらく「口八丁手八丁」の「叱られ上手」だったのだろう。

OBはともかく現役の方にはご参考になりそうなのでぜひご一読をお勧めします。



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「安井式プリアンプ」にまつわるお話

2022年06月15日 | オーディオ談義

前回のブログ「我が家のベストサウンド」で「安井式プリアンプ」を取り上げたところ、さっそくメル友のMさん(関西)からお問い合わせがあった。(無断掲載お許しください)

「度々登場する安井式(惜しくも一昨年永眠されてしまいましたね!)プリアンプの件で教えてください。
このプリアンプはCR型イコライザー搭載6球プリアンプと題されたものでしょうか? このフラットアンプ部分だけでしょうか?

掲載は、無線と実験の2001年1月号でしょうか?
○○さんのお気に入りのプリアンプなので、真似したいです。
出来ましたら、内部の写真なども参考にさせていただきたいのです。MJ誌のコピーでなく電源部がかなりこだわって造り込んでいるのではと想像しております。では、よろしくお願いいたします。」

そこで、さっそく「安井式プリアンプ」の製作者Mさん(大分市)に問い合わせてみた。

「はい、確かに参考にしたのは無線と実験の2001年1月号です。まだ持ってますよ。あまりにも素晴らしい音質だったので、今でも愛用しています。あなたにお譲りしたのは(レコード再生部分を除いた)フラットアンプ部分だけを製作したうえで電源部の補強などをしています。

あれは、たしか退職する直前でしたか東京出張の機会があったので安井さんのご自宅に一度お伺いしたことがあります。とても清貧な佇まいでしたが、実に気さくな方で2時間ほど懇切丁寧に応対していただきました。

さすがにアンプ製作者だけあってとても几帳面で緻密な方という印象を受けましたよ。当時の記事の中に、ご訪問を受け付けますとあったので、ダメ元で日程調整のメールを出したところ、意外にもOKの返事がありました。90歳で永眠されましたね。残念です」

で、この件を踏まえてMさん(関西)に送信したところ次のメールが入ってきた。

「安井氏にお会いできたとは良かったですね!安井氏はノウハウを個人がメールしても包み隠さず答えていただいた方でした。」

「安井式プリアンプ」については、半年ほど前にもどなたかからメールで「製作依頼してもらえないでしょうか」と、問い合わせがあったばかり。

どうやらいまだに人気衰えずといったところだが、たしかに我が家のプリアンプ3台のうちでも図抜けた存在で、つい最近手に入れた真空管「13D3」(英国BRIMAR=STC)を「12AU7」(2本)と入れ替えたところ、さらに音に磨きがかかってまったく不満のない状態が続いている。

お人柄がアンプの音質に反映されているのかな(笑)。

で、Mさん(関西)のご要望に応えてプリアンプ内部の写真は次のとおりです。





電源部の補強、さらには絶縁度の向上を図るため「マイカコンデンサー」をパラっており、ボリュームは「東京光音」製に変更しています。

それにしても、真空管アンプの製作者はどちらかといえば細かいノウハウを秘密にしたがる方が多いように見受けられる。

まあ、営業上の秘密ということで「墓場まで持っていく」ということなら仕方がないが、別に商売をしていない方なら気軽にオープンして関係者を喜ばせてあげればいいのにと思ってしまうが「ノウハウなんて簡単に喋ったり文章化できるものではない」というのが本質でしょうかね(笑)。

「肝心なことは目に見えないんだよ!」(「星の王子さま」サン=テグジュベリ)

最後に、遅ればせながらこの機会を通じて真空管オーディオの発展に寄与された「安井」氏のご冥福を心から祈ります。私も貴重な遺産に恵まれて大助かりです。

合掌



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我が家の「ベストサウンド」の決定(2022・6・11)

2022年06月13日 | オーディオ談義

4~5日おきにオーディオ機器をとっかえひっかえしながらいろんな組み合わせで聴いていると、やはりそれぞれに一長一短あって、いったいどれが「ベストの組み合わせ」なのか、一概に決めつけるのがなかなか難しい。

で、このたび「20億6千万円」で落札された「ストラディヴァリウス」に大いに刺激されて、「ヴァイオリンの再生」だけにこだわってどの組み合わせがベストかをオーディオ仲間に来てもらって雌雄を決することにした。

何しろ移り気な性格なので2022年6月11日に限っての限定版ということにしよう(笑)。

ちなみに選択の対象となる機器類を挙げると次のとおり。

<CDトラポ2台> 
CEC「TL3 3.0」(ベルトドライブ)、
パナソニック「DP-UB9000K」(ブルーレイ再生専用)

<DAコンバーター3台> 
DCS「エルガー プラス」、フェーズメーション「HD7A192」、GUSTARD「A22」

<プリアンプ3台>
安井式「13D3×2本、12AU7×2本」、JADIS「12AY7×4本、12AX7×2本」、マランツ7型「13D3×2本、12AX7×2本」

<パワーアンプ9台> 呼称は出力管によるもの
WE300Bシングル、PP5/400シングル、2A3シングル、6AR6(楕円型プレート)シングル、071シングル、71Aシングル、6FQ7(RCAクリアトップ)プッシュプル、371Aプッシュプル、EL34プッシュプル

<スピーカー7系統>
AXIOM80(復刻版)+サブウーファー、AXIOM80(オリジナル版)+サブウーファー
スーパー10+デッカ・リボン型ツィーター、スーパー12(イン・ウェストミンスター)+スーパー3、リチャードアレンG8+サブウーファー、PL100(モニターオーディオ)、トライアクショム(口径30cm:同軸3ウェイ)

以上のとおりだが、「なぜこんなに必要なのか?」という疑問をお持ちの方がきっといらっしゃることだろう。

それには「選択肢が多ければ多いほど質が高まっていく」というのが答えになる。

ほら、心当たりがあるでしょう・・、志望校、就職先、そして結婚相手とくると「身も蓋もない」かな(笑)。

というわけで、ああでもない、こうでもないと毎日がルンルン気分だが、実は組み合わせが無数にあるようで、ある程度限定されてくる。

というのも各機器の個性をおおかた把握しているので、相性の悪そうなのは初めから除外できるし、今回のお客さんの「Y」さんも長いお付き合いなので我が家の機器の個性をほぼ熟知されているので随分と手間が省ける。

とにかくヴァイオリンの再生とくればスピーカーは最初から「AXIOM80」で決まり~。

結局、最初の組み合わせを次のとおり設定して「梅雨空の品定め」を行った。

「DPーUB9000K」 →(デジタルコード)→「A22(ハイレゾ176.4Hz)」→「安井式プリ」→「071シングルアンプ」→「AXIOM80」(復刻版)

するとYさんから次のようなコメントがあった。

「これは今まで聴かせていただいた中で最高の音ですね。超ハイスピードのサウンドです。それに艶と潤いが加わりました。はてしなく透き通った透明感といい、やはりAXIOM80じゃないと出せない音でしょう!」

いつも歯に衣を着せない辛口のYさんだが、のっけからこういう言葉をいただこうとは夢にも思わなかった(笑)。

続く。



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20億6千万円のヴァイオリン

2022年06月11日 | 独り言

昨日(10日)のネットに「ストラディバリウス」(ヴァイオリン)が高額で落札された記事が載っていたことに気が付かれただろうか。

「弦楽器専門の競売会社「タリシオ」は9日、日本から出品されたバイオリンの名器「ストラディバリウス」がニューヨークでの競売で、1534万ドル(約20億6千万円)で落札されたと明らかにした。

 タリシオによると「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋(愛知県一宮市)の創業者、宗次徳二氏が2007年から所有していた。
 イタリアの弦楽器製作者アントニオ・ストラディバリは17~18世紀に約千本のストラディバリウスを作ったとされる。落札されたのは黄金期の1714年に製作し、後に「ダ・ビンチ」と命名された名器。」


およそ20億円という途方もないお値段に思わずため息が出てしまう。

クラシックの場合、楽器の双璧ともいえるのは「ピアノ」と「ヴァイオリン」だが、後者の方がお値段的には一枚上のようだ。

 で、オーディオでいけばヴァイオリンの再生に定評があるのが「AXIOM80」(英国)。

いかにも濡れたようで幽玄な「弦」の響きは他のスピーカーの追随をまったく許さない。

ときどき我が家にお見えになる辛口のオーディオ仲間も、この点に限ってはいつも激賞されるほどだが、こればかりは実際に聴いていただかないとわかってもらえないだろう(笑)。

我が家には二つの「AXIOM80」があり、いずれも薄板の自作の箱に収めている。



左が「復刻版」で、右が「オリジナル版」。

コーン紙の色や軽さが違うのを嚆矢として肝心のマグネットなどの材質が違うという。

で、肝心の音の違いだが結局、最後は「色気」の有無に行き着く。

「色気」といってもこればかりは言葉で表現するのは難しいが、胸にキュンとくる切なさ、あるいはムラムラっと情感を煽ってくるような妖しげな響きとでもいおうか、その辺が違う。

お値段の方はオークション相場でいけば、程度の良し悪しを含めてペアで前者が「20万円台」、後者が「30万円台」となる。

メチャ繊細なつくりなので過大入力などによりすぐに故障しやすくザザッとしたノイズが出てくるので、その都度、専門業者に修繕に出してこれが「2万5千円」ほどかかる。

まあ、20億円もするヴァイオリンに比べればメチャ安いと思いますけどね~(笑)。



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悪戦苦闘するSPユニット

2022年06月10日 | オーディオ談義

このところもっぱらオペラ用として愛用している口径20cmのフルレンジ。



サブウーファーとして100ヘルツ以下(-6db/oct)の低音域をウェストミンスターで補強しているが、どうやらドツボに嵌ったみたいでまったく不満を感じないまま1週間余りが経過した。

「もうこのサウンドで十分だな」と、自分自身に言い聞かせながらもつい変化を求める気持ちというものは恐ろしい(笑)。

久しぶりに「AXIOM80」(復刻版)に変えてみようかな~。

スピーカーを交換するときはだいたい朝の起き抜けの時と決まっている。睡眠時間によってしばしサウンドと決別しているので未練が断ち切りやすいというわけ(笑)。



ものの5分もあれば入れ替え完了。

これもサブウーファーを使って100ヘルツ以下を補強している。

で、ワクワクドキドキしながら聴いてみると、さすが・・、細かい音を再生できる繊細にかけては超一流だろう。

とはいえ、実はいまだにこの「AXIOM80」には、てこずっており理想の音には程遠い段階で、現状は80点くらい。

理想は「ふっくらとした音」なのだが、ときどき高音域に神経質さが垣間見えるのが難点。

おおらかな体育会系の音は論外だが、あまりに痩せ型の神経質な秀才型もよろしくない(笑)。

これまで、このユニットを所有されているお宅の音もいくつか聴かせてもらったが、自分が理想とする音ではなかった。

「耳のいい持ち主」の他家でもそうなんだから、我が家では推して知るべしですよね。

もう悪戦苦闘するのも20年以上になるのでこの頃ではあきらめの境地に入っているが、粘っこい性質なので折に触れてささやかな抵抗を試みている。

で、この超繊細なユニットをうまく鳴らすコツは何といっても「箱」と「アンプ」だろう。

画像でご覧のとおり、自作の「板厚1.2cm」の箱に内蔵しているが、やや小さすぎるかもしれない。「ARU」(背圧調整器)代わりに、下部に1cmほどの隙間をつくっている。

次にアンプだ。

何度でも言うようだが「スピーカーはアンプで生きもすれば死にもする」ので、箱のマイナス部分をできるだけアンプでカバーしたいところ。

その昔、「AXIOM80」の愛好家として知られた「瀬川冬樹」さんというオーディオ評論家がおられたが、この方は「45」アンプで鳴らされていたそうで、小出力の質のいい真空管アンプが理想的なのかな。

アメリカの真空管の系譜は「71A→45→50→2A3」だと聞いているので、このほど新装なった2台の「71A系」アンプで鳴らしてみよう。



二つとも似たようなアンプで「前段管」が違うだけ、左側が「AC/HL」(英国マツダ:初期版)、右側が「ECC83」(英国BRIMAR)。

悪かろうはずがないとは思うが、この興味ある一騎打ちの結果は・・。



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オペラを聴いて豊かな音楽ライフにしよう

2022年06月09日 | 音楽談義

前々回の「ワーグナーのオペラ」を聴きだしてから、このところ「オペラ三昧」の日々へ。

「オペラ」と「シンフォニー」に限っては、豊かな低音域に恵まれないと聴けない音楽のような気がしているが、国内でオペラ・ファンが少ないのもこの辺が理由の一つかな~。


で、ワーグナーをひととおり聴き終えるとモーツァルトのオペラへ回帰。

ここに「オペラの学校」という本がある。


著者はオペラ演出家でケルン音楽大学教授。表題の中に「学校」とあるように、先生(オペラの専門家)が生徒たちに教えるような調子で全編が貫かれている。

何といっても本書で一番印象に残ったのが「モーツァルト礼讃」に終始していることだった。

たとえば68頁。

「多くがモーツァルトからの剽窃(ひょうせつ)だ」と、オペラ“ばらの騎士”を観たある人が作曲家のリヒャルト・シュトラウス(1864~1949)に言いました。シュトラウスは平然と、“そうですよ、もっと良い人がいますか?”と答えました。

事実、モーツァルトは最高のオペラの師匠です。すべてを彼から学ぶことができます。彼に関しては“ごまかし”は利きません。オーディションでは歌手の長所も短所も数小節で分かってしまいます。」

といった調子。

次に、彼のオペラが持つ社会性に注目せよとの指示が72頁に出てくる。

たとえば、モーツァルトのオペラに必ずといっていいほど登場する下層階級の人物。いつも下積みのタダ働き同然なので高貴な人々に対して常に反感を抱いているが、その下層階級と上層階級との間でもたらされる何がしかの緊張感が彼のオペラの中で劇的な効果を生じている、とのこと。

そういえば大好きなオペラ「魔笛」にも、しがない平民の“鳥刺し”のパパゲーノが貴族階級を皮肉る台詞が沢山出てくるが、このオペラは単に美しいメロディに満ち溢れているばかりではなく、こういう鋭い社会風刺の側面も併せ持っていることに気付かされる。

作曲家モーツァルトの下層階級に対する眼差しは実に暖かい。パパゲーノや憎むべき悪漢の奴隷モノスタトスの「アリア」などはコミカルだけではなく、ほのぼのとした優しさ、はかなさが漂ってくるのが不思議。

これは本書には載っていないことだが、モーツァルトが当時の階級制度に対して常に不満を持っていたことはこれまでの彼の言動を記した本から明らかである。

貴族や権力が大嫌いで、芸術家としての自分の才能に対するプライドがあり、大司教や貴族といった権威に対する反発心が人一倍強かった。


たとえば傑作オペラ「フィガロの結婚」に次のような一節がある。

「単に貴族に生まれたというだけで“初夜権”(結婚した花嫁の初夜を領主が奪う権利)を振り回す伯爵に対して、フィガロは「あなたは、それだけの名誉を手に入れるために、そもそも何をされた?この世に領主の息子として生まれてきた、ただそれだけじゃないか!!」

と、辛辣なセリフを投げかける。このオペラが当時、上演禁止になった所以である。

最後にもう一つ。「音が多すぎる・・・・」(94頁)。

「音が多過ぎる、モーツァルト君、音が多過ぎますよ」と、皇帝ヨーゼフ二世は≪後宮からの誘拐≫の初演後にモーツァルトに言った。それに対してモーツァルトは「丁度それだけ必要なのです、閣下」と答えた。

皇帝の言わんとするところは「モーツァルト君、君のやり方はよろしくないですね。君は表現すべき多くの要素をオーケストラに委ねています。性格、状態、気分、表現の微妙な差異、それから無意識のことまでも、それらの要素は本来舞台上のオペラ歌手の役割です」だった。

これはオペラの本質にかかわる事柄でもある。そもそもオペラとは「音楽によって表わされる物語」だが、どんなオペラでも次のような問題点を孕んでいる。

すなわち「大切なのは話の内容か、音楽か?オペラ歌手とオーケストラのどちらが重要か?それらは補完しあうのか?どちらに優先権があり、、片方が完全に黙り込んでしまうのか?」というもの。

この相互関係は作曲家によって、オペラによって、そして場面によってさまざまだし常にその真意が汲み取られなければならない。

で、音符をまるで言葉や文字のように自由自在に操ったモーツァルトのことだから、舞台表現においても音楽重視となったことは想像に難くない。

「オペラにあっては台本は絶対に音楽の忠実な娘でなければならない」という言葉を遺している。

最後に、改めてオペラの魅力に思いを馳せるとモーツァルト、ワーグナー、ヴェルディ、プッチーニ、ヤナーチェクと広大な森が広がっていく。

いつぞやのブログで取り上げたが、とっつきにくいヤナーチェクの「利口な女狐の物語」だが根気勝負で30回ほど聴いたらようやく耳に馴染んできて好きになりましたよ!(笑)



みなさん、もっとオペラを聴いて豊かな「音楽ライフ」にしましょう。



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なぜ100年間で寿命が54年も伸びたのか

2022年06月08日 | 読書コーナー



本書によると、人間の寿命はこの100年間で54年も伸びたそうだ。

とはいえ、日本の場合、男性の平均寿命が現在81歳だが、100年前は27歳だった計算になるので、「54年」なんてちょっと大袈裟じゃないかなと思ったが、統計上においては乳幼児死亡率の飛躍的な向上が理由とのことで、アフリカなどの未開発国を含めての世界的な話とのこと。

で、人間の生きる目的はいろいろあるのだろうが、つまるところ「健康で長生きする」それに付随して「豊かな生活スタイルを送る」ことなので「寿命」は興味のあるテーマであることは疑いない。

本書の296頁に人間の寿命を飛躍的に伸ばした主要なブレークスルーを3段階に区分して挙げてあった。

医学的、生理学的、衛生学的な観点からの選出で「AI」などは考慮していない。

<数百万の命を救ったイノベーション>

エイズ・カクテル療法、麻酔、血管形成術、抗マラリア薬、CPR(心肺蘇生法)、インシュリン、腎臓人工透析、経口補水療法、ペースメーカー、放射線医学、冷蔵、シートベルト

<数億の命を救ったイノベーション>

抗生物質、二又針(ワクチン接種用の注射針)、輸血、塩素消毒、低温殺菌

<数十億の命を救ったイノベーション>

化学肥料、トイレ/下水道、ワクチン

で、解説としてこうある。

「この殿堂を眺めて最も印象に残るのは民間企業で生まれたものがいかに少ないか、である。最初のブレークスルーそのものを見る限り営利企業による特許で守られた進歩としてなされたものはほとんどない。

ひとつ注目すべき例外はボルボのために設計された3点式シートベルトぐらいである。

このリストに並ぶ項目のほとんどは「学術研究」「進取の気性に富む医者」「奮闘するフィールドワーカー」の手になるものだった。

つまり、大企業やスタートアップ企業からは生まれていないので、私たちはつねに公共部門を味方につける必要がある。」

以上のとおりだが、「営利を目的とした出発点」からは「寿命を延ばすブレークスルー」に繋がらないという視点は興味深い。

で、「公共部門を味方につける」からつい連想したのがオーディオ製品だ。

「優秀な民生品」は政府肝いりの「軍事産業」から発展した例が多いが、
「オーディオ製品」を例にとると、英国のスピーカー「AXIOM80」やデジタル機器の「dCS」は潜水艦の「ソナー探知」用として開発されたし、アメリカでは第二次世界大戦前に、国策として大量の資金が「ベル研究所」に投与され、その製造の子会社だった「ウェスタン・エレクトリック」製の緻密な真空管の開発につながった。

真空管の世界ではいまだに「ウェスタン製」、そしてその流れをくむ「STC(ロンドンウェスタン)製」が幅を利かしておりオークション市場でもずっと高値が続いている。

なにしろ開発時にお金に糸目を付けないで政府の資金が投入されたのだから民間が敵うはずがない。まあ、強いていえば太刀打ちできるのは当時のオランダ(フィリップス)、ドイツ(ヴァルボ)あたりの真空管ぐらいかな。

ほかにも現代では「スーパーコンピューター」の開発にあたって国の威信をかけて開発資金が投入されているが、「富岳」はつい最近「計算速度」でアメリカ製に負けたそうだが、ここ2年間は無敵だったことも頷ける。民間資金だけではとてもこうはいかない。

で、これからも有望なブレークスルーが登場したときには、その背景として「政策」的な後押しがあるのか、ないのか、私たちは注視する必要がありそうですね。



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「リヒャルト・ワーグナー」の魅力

2022年06月06日 | 音楽談義

つい先日(6月2日)のこと、NHKの「Eテレ」(昔の教育テレビ)で「クラシックTV~リヒャルト・ワーグナーの魅力~」を放映していた。

録画していたので実際に観たのは一昨日(土曜日)のことだったが、わずか30分の番組にもかかわらず編集が上手くてワーグナーの魅力をしばし堪能できた。

まるで「威風堂々と辺りを睥睨(へいげい)する」かのような独特の音楽である。

平たくいえば、自分がまるで王様になったかのような痛快な気分とでもいおうか、妙に感情を昂ぶらせてくれるところがあって、なるほどと「ワグネリアン」の心境の一端が見える気がした。

そういえば第二次世界大戦のさなか、あの「ヒトラー」が聴衆を鼓舞するのにワーグナーの音楽をよく利用していたことは有名な話。

たとえ一時的にせよ「こういう錯覚」を起こさせてくれるのだからやはり「凄い音楽」であることをこの番組を通じて実感した。

ワーグナーといえば現在の手持ちのCDは次のとおり。

  

日頃「モーツァルト」一辺倒なのでワーグナーは縁の薄い作曲家だが、刺激を受けて久しぶりにこの中から「ワルキューレ」(ショルティ指揮)を聴いてみようと思い立った。

で、現用のシステムで聴いてみたところ、悪くはないんだけど何だか物足りない。本格的にワーグナーを聴こうと思ったら普通の「いい音」では駄目そう~。


そう、地の底から湧き上がってくるようなスケール感を伴った重低音が出てくれないとワーグナーのオペラは鑑賞できないし、それには「大きな箱=ウェストミンスター」が必要なのです(笑)。

そこで、次のように臨時的にシステムを構築した。

★ 低音の補強対策

ウェストミンスターから重低音を出そうとするなら日頃聴いているやり方とは、「オサラバ」しなければならない。

で、ムンドルフ(ドイツ)の2つのコイルを連結させて「15mh(ミリヘンリー)」にしてクロスオーバーをおよそ「100ヘルツ」(-6db/oct)に設定した。つまりサブ・ウーファーとしての活用へ。

これを駆動するパワーアンプは我が家で一番力持ちの「EL34プッシュプル」。100へルツ以下の受け持ちならアラが目立たなくて済むので助かる(笑)。

低音対策はこれで十分だろう。

★ フルレンジ

問題は100ヘルツ以上を担当するフルレンジにどれを選択しようか。

「AXIOM80」だと低音過多になってユニットの故障に繋がりそうだしちょっと怖い。「トライアクショム」(口径30cm)だと低音が出過ぎてウェストミンスターと被り過ぎそう。

で、結局リチャードアレンの「ニューゴールデン8」(以下「G8」)を登場させた。口径20cmの同軸2ウェイだが、イギリス製だけあって中高音域のみずみずしさは流石だと思わせるものがある。



ワクワクドキドキしながら聴いてみると、狙いが見事に的中して弦のファンダメンタルな響きがしっかりと全体のサウンドを支えており雄大な響きが何とも言えない。

両方のSPのつながりも良くてまったく違和感が感じられない。

ワーグナーを聴くならこれに限るなあ~(笑)。

100ヘルツ以下の補強だけで見違えるようなサウンドになるのだから改めて「低音の威力」に驚かされるが、ワーグナーだけではなく、ほかの曲目も十分いけそうなのでしばらくこれで聴いてみるとしよう。

で、もう一つのポイントは「G8」を駆動するアンプの選択だったが、このユニットは能率も高いしどんなアンプを持ってきてもOKだろうが、このところ大のお気に入りの「071」シングルアンプを起用した。

瑞々しくてレンジの広い中高音域はこのアンプの独壇場である。



この「071」(ブルー管)はWE300Bアンプの前段管に起用したときには元気が良すぎて取り換えたが、出力管として起用すると他の真空管(71A)に比べてスピードが速くてメリハリの利いたサウンドへ大変身。



それはもう信じられないくらいで、まるで別のアンプに変えたみたいになるのだから球の選択はゆめゆめおろそかにできない。

というわけで、「ワーグナー」をうまく聴きたいばかりに、あれやこれやの騒動もどうやら一段落をみたが、スピーカー、アンプ、真空管の個性を把握するのには絶好の機会になりました(笑)。



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