「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

魅惑の「オーディオ実験」~ツィーターの乱戦~

2018年11月30日 | オーディオ談義

前々回からの続きです。

今回の「オーディオ実験」は予告どおり高音域を担当するツィーターの聴き比べ。

これまでお付き合いさせていただいたオーディオ愛好家さんたちを振り返ってみると、やはり一つの傾向が見受けられるようだ。

たとえば、音の入り口にあたるレコードプレイヤーにやたらに拘るタイプ、あるいは増幅系統の真空管アンプに無暗に入れ込むタイプ、そして鳴り物にメチャ拘るスピーカー派といった具合。

大概の愛好家が特徴的に上記のどれかに分類されるのだが、我が家ではまんべんなく拘る派に属している。いわば「欲張り派」とでもいうのかな(笑)。

その一環として、現在我が家には10種類以上のツィーターがあるが、今回はその中から4種類を俎上に載せてみた。


なお、周知のとおり人間の可聴帯域周波数は「20~2万ヘルツ」とされているが、いろんな説があって最高音域は耳よりもむしろ肌で直接感じるというのがあったりして、人間の感覚に関する事象を定型化するのは無理があると思っている。

そういう前提のもと可聴帯域の範囲で一喜一憂しているのがオーディオ愛好家という生き物だが、せっかくの機会なので「周波数帯域と聴感覚」(某オーディオショップの資料)について受け売りさせてもらおう。ただし、信じる、信じないはあなたの自由です。単位はヘルツ。

最低音域「30~60」、低音域「60~100」、中音低域「100~200」、中音域「200~500」、中音高域「500~1000」、高音低域「1000~2000」、高音域「2000~4000」、高音高域「4000~8000」、最高音域「8000~16000」

これをさらに大雑把に分類すると低音域が「30~100ヘルツ」、中音域が「100~1000ヘルツ」、高音域が「1000~16000ヘルツ」となる。

この中で、どの帯域が一番重要かと問われても答えに窮するが、個人ごとの好き好きはたしかにある。大別すると低音域に拘るタイプと高音域に拘るタイプで自分は確実に後者に分類される。

倍音成分こそがオーディオの命だと思っているし、それが真空管アンプを愛好する理由でもある。

あの懐かしいオーディオ評論家の「瀬川冬樹」さんによると、「80~8000ヘルツ」がしっかり出ていると「いい音」に聴こえると著作の中で仰っていた。

このくらいの帯域なら小口径のフルレンジでも十分対応可能なので、これ以上の帯域を欲張るのはコスト面からいくと賢い対応ではないことがわかるが、わかっちゃいるけど止められない~(笑)。

なお、今回テーマにしている「4000ヘルツ以上」の周波数が強調されると、聴覚的に「硬い音 → 尖った音」になり、逆に弱まると「柔らかい音 → 丸い音」になるとある。

いつものように前置きが長くなったが実験に移ろう。前述した4種類のツィーターは次のとおり。

   

左側奥からウッドホーン付きのワーフェデールの「スーパー3」(コーン型)、右がデッカのリボン型、手前左がJBLの175ドライバー(小型ハチの巣ホーン付き)、同じくJBLの「075」(ステンレス削り出しホーン付き)

ちなみに「スーパー3」は次のユニットになる。

          

この大型マグネットで悪い音の出ようはずがない(笑)。

それでは個別の試聴結果を仲間との総合評価のもとに記録しておこう。

試聴上のポイントとしては4000ヘルツを境にツィーターとウーファーとの繋がり部分において音色やスピード感に違和感があるかないかということに尽きる。

JBL「075」ツィーター

流石に華やかさにかけてはこれが一番だった。シンバルの煌びやかな輝きはこのツィーターじゃないと得られないと感心した。しかし、4000ヘルツから受け持たせるとなるとウーファーとの繋がりが「木に竹を接いだ」感じがする。ジャズファンならいいかもしれないがクラシックファンなのでこれはアウト。

JBL「175」ドライバー

ウーファーとのつながりもGOODで、出てくる音が可聴帯域の中でビッシリと充満している印象を受けた。これも十分いけるが、惜しいことに最高音域の伸びがあとひとつ物足りない。小型のハチの巣ホーン部分の功罪だと思う。

デッカのリボン型ツィーター

四者の中では一番お値段が張るし、何しろデッカ・ブランドなので期待度が一番だったがいかんせんリボン型とあって能率が低すぎた。チャンデバを使って独立したアンプで鳴らすのならいいのだが、LCネットワークの場合はちょっと無理で中高音域がやたらに「か細かった」。これはアウト。別の生かす道を何とか見つけてやらねばならぬ(笑)。

ワーフェデールのスーパー3

2ウェイなのにまるでフルレンジが鳴っているような印象を受けた。ウーファーもツィーターもワーフェデール・ブランドだから当然至極。オーケストラを聴くのならこれで十分だが、惜しむらくはボーカルの際に歌手の口元が膨らんで大きめになるのがちょっぴり難点。しかし、総合的にはこれが一番無難といったところだろう。

と、テストが一段落したところで仲間から意外な提案があった。

「175ドライバーの最高音域不足を075ツィーターを追加して補ってやればいいんじゃない。」

「エッ、それもそうだねえ・・・。」

今さら変則3ウェイなんてと思ったが、試してみる価値は十分ありそうだ。

「0.075μF」のマイカ・コンデンサーを使い「075」をローカットして載せてみた。

   

075と175の両者の間にあるダイアルみたいなのは「アッテネーター」(パイオニア)である。

これで改めてファリャのバレエ「三角帽子」を聴いてみると、なかなかいいじゃないか!

「これが一番ですよ!」と太鼓判を押す仲間。

「・・・。」

まあ、
当分の間これで行ってみよっか(笑)。

結局、まったく夢想だにしない結末を迎えたが、実は最後にオチがあって、175ドライバーはJBLファンならご承知のとおり周波数帯域の1000ヘルツあたりから使える優れものである。

となると、当然別のネットワーク(クロス1200ヘルツ)を使って再編成してみたくなるのが人情というものだろう。

翌日になってさっそく実験したところ実に興味深い結果が得られた。いわばネットワーク同士の対決で「クロス1200ヘルツ VS クロス4000ヘルツ」。

もう実験に次ぐ実験でまさにオーディオの泥沼地獄の様相を呈しているが、奇妙な快感を伴うのが不思議~(笑)。

そして、疾風怒涛(シュトルム・ウント・ドラング)のように流されていった結果、最後に思いもよらぬ結末が待ち構えていた!!

詳細は次回以降で~。

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人生と音楽の楽しみ方はいろいろですねえ

2018年11月28日 | 復刻シリーズ

このところオーディオ関連の記事が連続しているせいか全般的にブログへのアクセス数が下降気味になっている。

「どうも専門過ぎてよう分からん!」という読者の悲鳴が聞こえてくるようだ(笑)。

別に読者に媚びる必要もないのだが、たまにはオーディオ以外の記事をと考えていたところ、過去記事の中で「人生と音楽の楽しみ方はいろいろ」という記事がたまたまランクインしていた。

およそ5年前の記事だったので内容の方はサッパリ忘却の彼方だったが、一読してみると「そうだよねえ。」と思ったので、この機会に同記事を再編して登載させてもらうことにした。

なお、文中に登場していただく「老先生」は福岡県のご出身で黒田藩の藩校の流れを汲む名門「修猷館高校」から「九大~三菱重工業(飛行機部門)~定年退職後に大学教授」という華麗な経歴をお持ちの方である。

それでは、以下のとおり。

先日、初めて我が家に試聴に来ていただいた地元別府市にお住いの老先生のご招待に応じて今度はこちらから訪問させていただくことにした。

老先生のご自宅は団地の中でかなり入り組んでいる場所だそうで、近くのスーパーの2階の駐車場で13時頃を目安にいったん落ち合ってから行くことになった。
 

初めて他家を訪問するときはいつもワクワクドキドキで、心が弾む。定刻通りピタリと落ち合って、10分ほど車で追尾して海を望む高台の邸宅に到着。

老先生に続いて家の中に入った途端に、かなり大きなワンコちゃんがワンワン。それも2匹!

「初めての方には吠えるのが仕事と思ってます。じきに収まりますから」。そのとおりだった。
 

初めにリヴィングルームに案内されると、天井近くの壁にイートン(タンノイ)がかけてあった。テレビをご覧になるときにイートンで聴かれるというわけで、もちろんCDも聴けるようになっている。 

            

いかにもタンノイさんらしいまとまった音で聴きやすかった。このイートンと言えばタンノイの創始者G.R・ファウンテン(G.R.F)氏が愛用していたことでも有名。同社のフラッグシップモデルの「オートグラフ」ではなくて、一番小さなミニスピーカーを気に入っていたというのが非常に面白くてずっと記憶に残っている。

ちなみに、この挿話の出典だが「TANNOY~世界のオーディオ~」(ステレオサウンド別冊)の78頁に「わがタンノイを語る」の章で懐かしい瀬川冬樹さんのインタビュー記事の中に出てくる。
 

実は個人的にもタンノイのユニットは口径25センチクラスが一番バランスがいいように思っている。 

さて、ひとしきり聴かせていただいて、今度は2階に移動した。

ここでは部屋が二つあって、片方の部屋にはナショナルのフルレンジ「8PWX1(通称ゲンコツ」が置いてあった。遠方から娘さんたちが帰省されたときにお休みされる部屋とのこと。
 

そして、あまり席を暖めることなく、今度は隣の部屋に移動。 

この部屋がどうやらYAさんの本丸みたいで、いろんなユニットやアンプがズラリ。おまけに絵画もご趣味だそうで自分で描かれた玄人はだしの絵が飾ってあった!

         

左がダイアトーンのP610B(8Ω)で、右がJBLのLE8T。老先生はほんとうに小口径のフルレンジがお好きな方である。

ソースのメインはパソコンに取り込んだ「iTunes」で、ほかにもCDやレコードまで聴けるようになっている。老先生はかなりお年を召されているのにパソコンを自由自在に駆使されていることに驚いた。

現用中のアンプ「マランツ1150」が次の画像。

          

老先生は木工がご趣味だそうで収められているラック類やエンクロージャーはすべて手作り!実にプロ顔負けの仕上がりだった。

最後にご案内されたのが地下室に設けられた、その木工作業の専用室。

          

画像中央部分の右上にアンプ類が置いてあるのがお分かりだと思うが、この作業部屋でも音楽が聴けるようになっている。設計の方もパソコンを利用されているとのことで、ここでもiTunesが活躍。

あれやこれやで、あっという間に3時間以上経過してそろそろ夕食時が近くなったので辞去した。

その日のうちにお礼のメールを差し上げたところ、次のような返信メールが届いた。

「今日はお疲れさまでした。こんなスタイルの生活をしています。音楽を楽しむ方法は邪道を含めて色々あります。人生を楽しむ方法も色々あります。音楽が聴けないのは浴室と寝室です。いかに好きでも隙間は必要です。新スピーカーの構想ができたらお知らせ下さい。出来る範囲の支援をします。新しいPre-Ampの組合せにも興味があります。又連絡させて下さい。」

多彩な趣味を自然体で謳歌されている老先生は、当方が思うに理想的な老後の過ごし方を実践されているようだ。

ほんとうに、人生と音楽の楽しみ方はいろいろですねえ!

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魅惑の「オーディオ実験」~直熱三極管の両雄~

2018年11月26日 | オーディオ談義

魅惑の「オーディオ実験」シリーズの第二回目は前回の予告どおり真空管アンプの聴き比べといこう。

我が家には現在真空管式のパワーアンプが8台あって、うち1台は知人に貸し出し中である。

ざっと挙げてみると、

WE300B(1988年製)シングル、PP5/400シングル(PX25兼用)、2A3シングル(貸し出し中)、6A3シングル(300B 兼用)、171シングル1号機、2号機、171Aプッシュプル、6SN7シングル

こうやって何の気なしに書いてはみるものの、はたしてどれだけの読者がピ~ンと来られているんだろうかと思うと冷ややかな秋風が身に沁みてくるような気がする(笑)。

とにかく真空管アンプは圧倒的な少数派に属している。ましてや今から90年も前の1930年代前後の古典管を使っているとなると、もうあまりの少数ぶりに「ため息」が出そうだ。

まさに多勢に無勢で古典管の魅力は使った人しか分からないのがとても残念。要らん世話だがその魅力をもっと声を大にして叫びたいほどだ。

それにしてもレコードプレイヤーとかスピーカーとかには、やたらに熱心な愛好家が目につくが、これが真空管アンプとなるとサッパリ話題にも上らず、その重要性があまりにも「なおざり」にされているケースが多いように見受けるのはどうしてだろう


スピーカーとアンプは相互に依存しあう運命共同体であり、セットを前提にしないと何にも物が言えないのに~。

本題に戻って、「どうしてお前はそんなにアンプが必要なのか?」と、ご不審の方も多いと思うが、それぞれの真空管には独特の個性があってスピーカーとの相性も加わり捨てがたい持ち味があるとだけ言っておこう。

ただし、持ち主の嗜好の枠を抜け出て他人に自信を持って聴かせるとなると、やはり定評のあるWE300BとPX25の両アンプに落ち着くのは仕方がない。

ぐだぐだと、身勝手でくだらない前置きが長くなったが(笑)、いよいよ本題に移ろう。

日変わりで来ていただいた二組のお客さんたちを前にして、さあ、どちらがウェストミンスターをうまく鳴らしてくれるのだろうかということで、

実験その2 <WE300BアンプとPX25アンプの聴き比べ>

北国の真空管博士によると「直熱型三極管の両雄である「WE300B」(アメリカ)と「PX25」(イギリス)との両方を鳴らしている方はなかなかいませんよ。」とのことだが、それが九州の片田舎にいるんですよねえ(笑)。

         

左側がPX25シングルアンプ、右側がWE300Bシングルアンプで久しぶりの
一騎打ちである。ちなみに「真空管アンプのカギはインターステージトランスにあり」と、されているが両者ともに使っているのは「UTC」ブランドである。

これまでにもたびたび両者の実験をやってきたが今回は試聴環境がガラッと変わっている。前述したLCネットワーク方式への転換をはじめ、ウーファーの交換、プリアンプ自体も変わっている。

しかもつい最近「PX25アンプ」は北国の真空管博士によって以前よりもはるかにブラッシュ・アップされているのでお客さんたちの反応が興味津々。前段管の「SX-112」(トリタンフィラメント)はたいへんな希少管で、出力管PX25とのコンビで鳴らしているケースはおそらく世界中で我が家だけだと思う。

出力管と前段管もこれまた運命共同体で、両者をセット
にしないと物が言えない。 

そして、もったいぶらずに両者の死闘の結果を結論から先に言えば、周波数レンジ、奥行き感、力感、スケール感いずれをとっても「甲乙つけがたし」で、さすがに直熱三極管の両雄だったがわずかなところで「WE300B 」アンプに軍配が上がった。

音がふと鳴りやんだ時の音響空間における余韻の漂い方に一日の長があったのである。これは真空管の差というよりも、ツクリの差で、たとえば「各真空管のヒーター回路が別になっている」「銅板シャーシの恩恵=磁界の追放」といったところに原因を求めるべきだろう。

ここでPX25の親分筋にあたる「PP5/400」(英国マツダ:最初期版)に換えるとどうかなとも思ったが、ずっと鳴らしていないのでエージングが必要であり今回のテストでは諦めた。

何しろ自分ごときが日頃使うのにはもったいなくて、お盆と正月しか使わないようにしているので(笑)。

いずれにしても、この種のスピーカーで本格的な低音を出そうと思えば「KT88プッシュプル」アンプあたりじゃないと無理だと思っていたが、僅か数ワットのシングルアンプでこれだけの低音が出るとなるともう毎日が楽しくて笑いが止まりませ~ん(笑)。

さて、次回の実験ではウェストミンスターの上に載せるツィーター(4000ヘルツ~)の聴き比べといきましょうかね。

JBLの「075」と「175」、デッカの「リボン型ツィーター」、ワーフェデールの「スーパー3」(ウッドホーン付き)の四者に亘る死闘が繰り広げられた結果、実に意外な結末を迎えた。

詳細は次回で。

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魅惑の「オーディオ実験」~SPユニットの対決~

2018年11月24日 | オーディオ談義

我が家の近くにゴルフが好きで好きでたまらない方が住んでいる。何しろ出かける前日は胸がわくわくして眠られないそうだから「病膏肓(やまいこうこう)に入る」という表現がピッタリの方。

当方はゴルフはまったくやらず関心がないので、「ふ~ん、そんなに面白いのかな?」という程度の冷めた印象しかないが、それと同じで、いかにオーディオに熱心に取り組もうと他人の目からするとおそらく「ふ~ん」という感じで映っているに違いない。

これまで50年近くやってきたがいまだに飽きないオーディオの魅力っていったい何だろうと、ときどき考えることがある。

煎じ詰めると、まず「音楽が大好き」という大前提条件があり、その音楽がオーディオによってガラッと印象が変わり様々な表情を見せてくれるということに尽きるのではあるまいか。

したがってオーディオの一番の愉しみといえばいろんな機器を入れ替えての「聴き比べ」にあるといっても過言ではあるまい。

最近、日を変えてお客様が二組お見えになったので、これはいい機会とばかりいろいろと「聴き比べ」をやってみた。

と、ここまで書いたところで、この機会にこの種の実験を「シリーズ化」(別枠としてカテゴリーに追加)してみてはどうかと思い立った。

いつも日替わりメニューのようにころころ変わる我が家のシステムの現状のもと、改めて自分で確認しておきたいことばかりなので一連の流れとしてぜひ記録に残しておこうというのが第一の理由だ。

何しろネタは山ほどある(笑)。

自分で言うのも何だが集めも集めたり、ウーファーからツィーターまで10種類以上のSPユニット、10台以上の真空管アンプ、豊富なブランドの真空管群、2台のCDトラポとDAコンバーターなど枚挙にいとまがないほどだ。しかもかなり名の知れたブランドばかり(気に障る方がいたらゴメンなさい~笑~)。

それでは実験に移ろう。記念すべき第1号は、


実験その1 SPユニット<口径38センチと口径30センチの聴き比べ>

つい先日のブログ「またもやピンチはチャンス」(2018.11.15)に記載したように「チャンデバ方式」から「LCネットワーク方式」に切り換えたばかりのウェストミンスター。

                

その内蔵のユニットは申し訳ないが「盲目蛇におじず」で、これまでいろいろ変遷してきた。タンノイさんのオリジナルユニットに始まり、そのうち物足りなくなってこれを廃嫡し、思い切った内部改造のもとに長いこと使ってきたのが「D130」(JBL:口径38センチ)だった。

しかし、最近思うところあって「ブリティッシュ・サウンド」一辺倒へと舵を切り替えたので、このたび良かれと思って入れ替えたのがつい最近のブログにも記載したようにワーフェデールの「スーパー12」(赤帯マグネット付き)(口径30センチ)だった。補助バッフル付きの画像がこれ。

             

我が家のオーディオの歴史の中でも振り返ってみると、おそらく「あれが大きな転換点」といえるほどの「エポックメーキング」的な事柄にきっとなることだろう。

これまで何回もお見えになっているお客さんたちはJBL「D130」の音にすっかりお馴染みだったが、今回のワーフェデールを聴かれるのは初めてなので興味深く注視したところ、二組のお客さんともども一斉に驚かれたご様子(笑)。

とにかく物凄い低音が出るのである。「これが口径30センチのユニットから出る音ですか!?」

「そうです。やっぱりスピーカーは最後は箱で決まりですよ。」と、ついニヤついてしまった(笑)。

おまけに制動力も利いており、音の立ち上がり、立ち下がりが素早いのでスピード感が抜群である。質感と量感が見事に伴ったこの音を聴くと、「もう口径38センチなんて要らないよ」という気にイヤでもさせられるから不思議。


ちなみに試聴盤はファリャのバレエ「三角帽子」で、ボーカル(ベルガンサ)や弦のユニゾン、カスタネット、大太鼓、ピッコロなどを駆使したメチャ色彩感豊かな演奏である。

原盤は音質に定評のあるデッカ(イギリス)で指揮者はエルネスト・アンセルメ。当時のスイス・ロマンド管弦楽団の実力は「もの凄かった!」と唸らざるを得ない一枚である。

         

以上のとおり、今回の実験結果の結論として我が家の試聴環境では「口径30センチのユニットが口径38センチのユニットを凌駕する」一方的な勝利となった。

「敗軍の将、兵を語らず」で用済みのJBL「D130」はオークションに出すことにしよう。

以前のブログであれほど絶賛しておきながらまるで臆面もなく手の平を返したような薄情な仕打ちになるのでちょっと気が引けるが、「過ちては改むるにはばかることなかれ」(論語)とあるように、体裁や体面にこだわっていては「いい音」は手に入らない(笑)。

次に「実験その2」に移ろう。

我が家の真空管アンプ群のうちの両雄とでもいうべき「WE300Bシングル」と「PX25シングル」のどちらが「ウェストミンスター」をうまく鳴らしてくれるかの「聴き比べ」である。

詳細は次回以降で。

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一度は聴いてみたい真空管

2018年11月22日 | オーディオ談義

ずっと以前に購入したオーディオ機器のうち、もはや使う見込みがなくなったものがいろいろある。なにしろ50年近いキャリアとなると試行錯誤の連続で、大いに活躍してくれた挙句現在の糧の一部になってくれたのは言うまでもない。

そういうものの中からまだ使えそうなものを選んで数年前から知人に頼んでコツコツとオークションに出品してもらっているが、このたびかなりお値段の張る機器が9月以降ずっと店晒しになっていたものの、11月に入ってめでたく落札の運びとなった。

やっぱり時候のよろしい秋ともなると「芸術の秋 → 音楽の秋 → オーディオの秋」とみえて、愛好家の意欲がとみに亢進されるようでうれしい限りだった。どうか嫁入り先でもうひと頑張りしてほしいと祈るのみ。

いずれにしても「まあまあの額」になったのでこの軍資金を使って憧れのオーディオ機器を購入したいところだが、よく考えてみると欲しいものがサッパリ思い浮かんでこない。

欲しい機器がないというのもこれまた困ったことで、夢がないとオーディオもあまり面白味がなくなるのはオーディオ愛好家ならよくお分かりのはず。

もちろんdCS(イギリス)の最新のCDトラポとDACが欲しいことは欲しいが、あまりにも(お値段が)現実離れしているので諦めが先に立って切実感が湧かない。

そこで、しつこく考えていたら小物類ならあるのでこの機会に挙げてみよう。

それは、過去記事「真空管オーディオの愉しみ」(2018.2.14)で取り上げた「エルログのER300B」である。当時の関連記事を抜粋してみよう。

「WE300真空管」(1951年製)と「ヨーロッパ管300B」との比較試聴だが、本家本元のWE300Bを上回ることはあり得ないものの大善戦だった。

我が家でもこれまで中国製やロシア製の300Bをいくつも使ってきたが、その特徴は押しなべてやや音が上ずり気味で、腰高の音になるのが普通だが、今回のヨーロッパ管300Bはそれが無く、雰囲気感の醸成もなかなかのもので、(オリジナルとの)お値段の差ほどの開きはないと感じた。

「これはとてもいい球ですねえ、お値段からすると私も欲しいくらいです。」という言葉が思わず出たが、実はそれ以上の実力を秘めた球の可能性があるドイツ製の300Bが販売されていることを仲間から聞いて気持ちが揺らいでしまった。

ドイツの真空管といえばテレフンケンの「RE-604」が有名で、上達者になるほど「ウェスタンよりも好き」というケースをよく見聞するが、総じてドイツ製はツクリが良くて信頼度は抜群という背景の中で登場したのが「ER300B」という球。もうすでにご存じの方がいるかもしれない。

     

ネットから画像を引っ張り出したが、専門家によると諸元を見る限り評価も高いようで「見事に現代に甦った300Bでしょう。フィラメントの光具合からしてトリタンフィラメントではないでしょうか」と、ずいぶん期待の持てるコメント。トリタンフィラメントとなると情報量やスピードが半端ではない。

ちなみに我が家の「PX25」アンプと「WE300B」アンプとも前段管はトリタンフィラメントである。この機会をとらえてさりげなくPRしておこう(笑)。

お値段はペアで「134、000円」(2018.2.14現在)と、ちょっと値が張るがオリジナルに比べればそれほどでもない。ぜひ一度聴いてみたい気がするが、まだ市中にあまり出回っておらず今後要注目の真空管である。」

と、以上のような記事だった。

あれからすぐに国内で唯一の取り扱い専門店に登録して入荷時期を通知してもらうようになっているが、2月以降ずっと音沙汰無しである。

世界中に引っ張りだこのため日本国内に上陸できないのか、それともいかに「Made in Germany」といえども製造上困難が生じたのか皆目見当がつかない。

製造上の問題でつい思い出すのが「WE300B」の再生産である。1988年にいったん生産中止となったものの、1990年代半ばから再生産と聞いて大喜びしたがそれは過去の300Bとは「似て非なるもの」だった。

やたらに不良品が多かったそうで、いまだに300B愛好家の間では「鼻つまみ者」になっているが、昔と今とでは技術者をはじめ製造環境が違うので現代の科学技術をもってしても無理だったのだろう。

この「鼻つまみ者」がときどき結構な「お値段」でオークションに出品されているが、もし上記の事情をご存知ない方は心して対処された方がいいですよ~。

それにしても、オーディオへの情熱が辛うじて灯っている間に「ER300B」をぜひ聴いてみたいものだが、はてさてどうなることやら(笑)。

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落ちた偶像

2018年11月20日 | 独り言

昨日(19日)パソコンの画面をチェックしていたら目に飛び込んできたのが「カルロス・ゴーン氏逮捕」。

ゴーンさんといえば、かって瀕死の状態だった日産自動車を見事に立て直した名経営者である。罪状は報酬額を意図的に過小申告していたとのことで、内部通報によって発覚したとのこと。

夕食のときに「これだけ沢山もらっておいて、まだ欲しいのかしら。」と、家内が言うので「お金は魔物だぞ。持てば持つほど欲しくなるときまっているんだ。我が家くらいが丁度いいぞ。」と言い聞かせておいた(笑)。

本日(20日)の朝刊がこれで第一面にデカデカ。

         

朝一でブログをチェックしていたら過去記事の中でさっそく上位を占めていたのが昨年(2017年)の1月に搭載した「カルロス・ゴーン氏の私の履歴書」だった。おそらく検索にひっかかったのだろう。

せっかくなので同記事を以下のとおり再掲しておこう。

日本経済新聞に掲載されている「私の履歴書」は、政治、経済、スポーツ、芸能など各界で「功成り名を遂げた」一流の方々が登場することで知られている人気シリーズで、いわば有名人の「自伝」みたいなもの。

この歳になっても向上心は失いたくないので、何か啓発されることはないものかといつも興味深く読ませてもらっているが、こういう言い方をすると不遜だが、ときどき中には首を傾げたくなる方もいたりしてやっぱり登場人物にも「当たりハズレ」があるようだ。今のところ「この人は凄い!」と唸る確率は3割程度といったところかな(笑)。

こういう自伝につきものの「自慢話」が少々鼻につくのは致し方ないことかもしれない。

それで思い出すのが「バラク・オバマ自伝」である。ずっと昔に(2008.2.10)このブログで取り上げたことがあるが、この本の冒頭に著者による次のような断り書きがある。

「どの自伝も危険をはらんでいるものだ。筆者にとって都合がいいように色付けし、個人の貢献を誇張し、都合が悪いことは伏せておきたいと思うのが人情である。自伝の主人公が虚栄心を持つ未熟者であればなおさらだ。本書にそのようなことは一切ない、とは言い切れない」
 

ほんの些細なことだが、以上のことからもオバマさんの「繊細さとたくまざる知性」が垣間見えるようだ。そのオバマさんも、いよいよ本日(1月21日:日本時間)ホワイトハウスを去って行った。

さて、今年(2017年)に入って1月1日から「私の履歴書」に登場しているのは「カルロス・ゴーン」氏だった。

              
 

「エッ、日本人じゃなくていいの?」と思ったが、「国内企業(日産自動車)の社長なら国籍を問わず」というのがその理由だろう。

ゴーン氏といえば目の玉が飛び出るような高給取りの社長として有名だが、そういうこともあって、どうせ「出稼ぎ根性の持ち主」だろうとあまりいい印象を持ってなかったが、この連載を読んでいくうちに久しぶりに「当たり~」。

至る箇所で「人間という摩訶不思議で複雑な生き物」を組織の中でどうやって活用していくのか、鋭い洞察力と目標に向けての迸るような熱気が全編を通奏低音のように流れているのだ。
 

たいへんな共感を覚えたので、まだ連載中なのだが初回からすべてコピーし、保存している。

その中から自分用として印象に残った言葉を抜き書きしてみた。いわば「ゴーン語録」だ。

1月3日 第2回
 

よくあることだが、嫌いだった人には「ああ、こんなに重要な人だったのだ」と後で気付かされることが多い。嫌いということの背景には何か重要なことが隠されている。それは後になって分かる。

1月4日 第3回
 

ものごとを複雑にしてしまうのはそれが何も理解できていないからだ。

1月15日 第14回

ビジョンを社員に浸透させるのに重要なのは共通の言語だ。私はそれが数字だと思っている。~中略~数字は多様な言語、文化の中で育った私が考え抜いた共通の言語なのだ。


1月17日(火) 第16回

1日は短い。だが、時間が足りないと感じるのはまだまだ時間を有効活用しきれていないということでもあると思う。

1月18日(水) 第17回

人間のモチベーションを左右する最も重要なものは「帰属意識(belonging)」だと思う。

以上のとおりで、結局「出稼ぎ根性の持ち主」が当たっていたことになるが、どんなに名経営者であろうとウソついて私腹を肥やすようではすべて説得力を失い、もはや”台無し”だ。

ずっと昔のこと、あの名作「第三の男」で
知られる名匠「キャロル・リード」監督の作品に「落ちた偶像」という映画があったが、そのタイトルをゴーンさんにそっくり進呈しよう。

まさに「Gone with the wind」(「風と共に去りぬ」)だ(笑)。

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パソコン・オーディオへ二歩前進

2018年11月19日 | オーディオ談義

ごくたまに、悪夢のような受験生時代のことを思い出すことがある。

たとえば、誰もが得意科目と不得意科目とを抱えていると思うが、総合点を上げようとした場合に得意科目ばかりをもっと勉強して点数を伸ばした方がよかったのか、それとも不得意科目を無くすことに力点を置いて勉強した方がよかったのか、という愚(ぐ)にもつかないようなこと(笑)。

どちらが、より効果的だったのかは出来がイマイチだったので知る由もないが、自分は明らかに後者のタイプだった。つまり長所を伸ばすよりも弱点の方が気になるタイプでいまだにずっとその傾向を引きずっている。

そこで我が家のオーディオ・システムの話に移ろう(笑)。

4系統のスピーカー、3台の真空管式プリアンプ、6台の真空管式パワーアンプのそれぞれの弱点はどれかといつも気になっているが、最近新たに「CDの音」と「パソコン経由の音」が加わった。

両者を比較すると、今のところ「パソコン経由の音」の方が劣勢なのでどうしても弱点を重点的に攻めたくなってしまう。おまけにSSDメモリ内蔵のライブラリ(CD1500枚分)が「宝の山」ときているのでとてもおざなりにはできない。

           

今回は去る5日に投稿した「パソコン・オーディオへ一歩前進」に続いて(累計で)「二歩前進」したことを記録しておこう。

つい先日、オーディオ仲間のYさんから教えてもらったパソコン・オーディオ用ソフトのうち、一番ポピュラーなソフトが「フーバー2000」(無料)だった。

ちょっと旧式のようだが入門編としてはこんなところだろうと思い、先日我が家のパソコン専門医Mさん(大分市)に来てもらって無事インストールしてもらった。

これまで使っていたのは「Power DVD」というソフトだったが、ご覧のとおりとても曲目の検索が便利だった。

     

それが、今回インストールした「フーバー2000」のソフトを使うとこういう画面になる。

      

ちょっと「しょぼい」なあ(笑)。

音質はどちらかといえば「フーバー2000」の方がいいような気もするが、そもそもソフト次第で音質が変わるのだろうか? 今後の確認事項にしたい。

ちなみに、Yさんによると現在もっとも音が良いとされている最新型のソフトは「Jプレイ Feteom」(有料)だそうだ。

この「フーバー2000」でもいろんな曲目を取り込んだり、ほかにもいろいろ出来そうだが我が家では「SSDメモリ」の音を聴くだけで精一杯。

現在、「96KMz」再生が可能だがこれを一段とハイサンプリングの「192KHz」再生に持っていくのが次へのステップである。

これによって音質がアップすることは確実だろうが、どの程度良くなるかにはいささか興味がある。所詮は響きが乏しい世界での「コップの中の争い」になるのだろうと推察している。

ただし、そもそも前期高齢者の耳で判断できるのかどうかチョッピリ心配(笑)。

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反響を呼んだ「村上春樹」さんの記事

2018年11月17日 | 独り言

前々回の記事「村上春樹さん レコードを母校へ寄贈」(2018.11.13)は、珍しく興味を惹かれた方が多かったようで、初めてという方からもいろいろメールをいただいた。

当方としてもとてもありがたいことで、(ブログの内容を)補強する意味でここに2件ほどご紹介させていただこう。

まず時系列で福岡県在住のMさんから。

「現在アシダボックスの励磁スピーカー(AMPは自作6B4G-PP)と「AT-7700のツイーター(AMPは2A3シングル)の2WAYを使用しております。

村上春樹さんの記事ですが、ジャズ喫茶時代は「1619のPP」を使われていたという記事を見た覚えがあります。(学生時代は村上春樹好きでした)

村上春樹さんも昔は真空管もお好きだったのかもしれません。」

以上のとおりだが、村上さんが真空管アンプを使っておられたとは初耳だった。しかも「1619」とは・・・。おっと、「知ったかぶり」はいけませんね(笑)。

               

こういうときは古典管の泰山北斗「北国の真空管博士」の出番である。問い合わせると
次のような回答が返ってきた。

「ああ1619ですか。4桁ナンバーですね。軍の無線機の通信用真空管です。直熱型のビーム管で、戦闘中にもすぐに使えるようにクィック・スタートが特徴です。私自身は使ったことがありませんが、当時の「無線と実験」誌では製作例がいくつか載せてありました。評判は悪くなかったようですよ。」

こういう答えが即座に返ってくるのだから凄い!古典管の世界ではもはや「神」に近づいた方である。

いずれにしても、村上さんが有名どころの真空管ではなく「ひっそりと野に咲くレンゲ草」のような真空管を選択されるなんて、いかにも(村上さんらしい)反権威主義的な傾向が如実に現れているではないかと、ある意味で感心した。

それにしてもメールの送り主のMさんが使っておられる貴重な「アシダボックス」の励磁型スピーカーは自分の好みに合った音が出ていそうで一度聴いてみたい気がする。

そして、次のメールは中部地方にお住いのMさんからだった。

なぜかオーディオ愛好家はイニシャルの「M」さんがやたらに多いが(笑)、次のような内容だった(抜粋)。
 
「私は88歳のオールドクラシックファンです。70年以上クラシック音楽を聴いてきました。村上春樹さんの記事について思うこと。メル友のMさん(奈良県)のご意見に賛成です。音楽に興味を持たれなくなったということは考えられません。 

また、オーディオに関心を持つことが長続きすると思われているようですが、私は70歳過ぎのオーディオ・ファンが高齢のため機器を扱えなくなった時、多くの方が興味を失い、音楽からも遠のいた、と嘆かれた方を知っています。音楽を聴くことが先ず先にある方が長続きするのではないでしょうか。

私はオーディオにも興味を持ち、装置も変えてきました。モーツアルトのピアノ協奏曲が好きで、その再生が好ましく聞こえるようにと考えています。 

始めは管球式でしたが、時代とともにデジタルに移行しました。スピーカーの音を聞くよりも、音楽の空間が聞こえるようにと考えました。小音量で楽しめるようにと思って現在のシステムを組んでから15年が経過してしまいました。

現在のスピーカーはスイス・アンサンブルのレファレンス・シルバーという小型のシステムです。スピーカーから少し離れると、スピーカーの音が聞こえず空間全体から音が聞こえます。音色的にもバロック音楽を聴くに適しているといわれ、少し特殊でしょうか。ゴールドムンドのシステムで鳴らしています。~中略~

説明が長くなりました。何時も貴兄のスピーカー、真空管アンプのシステムで、どんな素晴らしい音が聞けるのだろうか、想像しながら楽しんでいます。

DAコンバーター「エルガープラス」(dCS)なら、さぞかし素晴らしい音が聞けるのだろう と羨ましく拝見しています。

スピーカーやアンプ、真空管たちも大切に、熱心に使ってもらって幸せですね。」

以上のとおりだが、オーディオの、ひいては人生の大先輩からご丁寧なメールをいただき、まことに恐縮の至り、どうもありがとうございました。

文中に「スピーカーの音を聴くよりも音楽の空間が聴けるように」とありますが、これはまさに「仙人の境地」ではないかと深く感じ入った次第。

それにしても、話の行き掛かり上、仕方なく「血祭り」にあげた「アキュフェーズ」を使っておられてなくてほんとうによかった(笑)。

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またもや「ピンチはチャンス」!

2018年11月15日 | オーディオ談義

長年オーディオ機器を扱っていると故障はつきものだが、不思議なことにその故障が我が家では逆に「いい結果」をもたらすことが非常に多い。今回もそうだった。

いわば「ピンチ(故障)はチャンス」。
経緯を追ってみよう。

つい先日の12日(月)のことだった。


早朝の起き抜けに日頃から愛用している真空管アンプ「171シングル」のスイッチをオンしたところ、電源が入ったことを示す小さなパイロットアンプが点かない!

    

このアンプの概要は、左から前段管の「AC/HL」(英国マツダ:ナス管最初期版)、出力管は「171」(トリタンフィラメント)、整流管は「80S」(STC)、インターステージトランスと出力トランスは国産。この組み合わせで悪い音が出ようはずがない(笑)。

それはともかく、なぜ電源が入らないんだろうか・・。目視で電源プラグの接続箇所異常なし、次にアンプ付属のヒューズを点検したが異常なし~。

明らかに故障である。驚きはしないがやっぱり気分が落ち込む。

まったくの素人ながら、裏蓋の10本ほどのネジを外して点検したところさしたる異常は見受けられず、どうやらスイッチそのものが故障したようだ。

長年オーディオ機器を使い回してきたが、スイッチ部分の故障は初めてでたいへん「珍しくて単純な故障」といえる。

さっそく、真空管アンプ工房を開かれているベテランのKさん(大分市)宅に駆け込んで診てもらうと、「やはりスイッチ部分の故障ですね。予備品がありますので取り換えてあげましょう。」

「いやあ、助かります。何ら前触れもなくいきなりですから困りましたよ。」

10分もしないうちに取り換え完了。お値段はといえばクロネコさんを利用するときの輸送代金(九州→関西)ぐらいだった。

他の業者に修繕してもらうと、日数はかかるし輸送代金を含めて福沢諭吉さんが1枚以上確実に飛んでいくのでほんとうにありがたいことである。

自宅に持って帰るとさっそく試聴に移った。スイッチの取り換えなんて音質に何ら関わるところではないが、やはり実際に音出しして確認してみたくなる悲しい性(さが)の持ち主である(笑)。

たかだか1ワットにも満たない小出力アンプなので、いつもウェストミンスターの上に載っけている高能率のツィーター専用に使っているが、今回は全帯域にわたる周波数のテストをやってみた。

スピーカーはフルレンジの「AXIOM80」である。

すると、「これは!」っと、驚いた。

一番心配していたパワー感の欠如をまったく感じさせず、古典管独特の艶やかな音色、奥深い表現力は「WE300B」や「PX25」にも匹敵するほどで何ら遜色がない。むしろ回路や部品がシンプルなだけに抜けの良さは上回るかもしれない。

このアンプの真価に気づくのが遅かった(笑)。小出力という先入観が正しい判断をずっと曇らせてきたのに相違ない。

こうなると、ツィーター専用に使うなんてもったいない、グッドマンの「AXIOM80」や「トライアクショム」用にしようと決心したのは必然の成り行きだった。

そうすると「ツィーター専用のアンプはどうしよう?」 → 「いっそのことマルチアンプをやめて1台のアンプで鳴らそっか」

というわけで、パイオニアのネットワーク「DN-6」(クロスオーバー:4000ヘルツ)を使ってシステムを再構築してみた。作業は簡単なので30分もあれば十分。

            

4000へルツ(12db/oct)を境に、下はワ-フェデールの赤帯マグネット(口径30センチ)、上はデッカの「リボン型ツィーター」と、同じイギリス勢である。

ちなみに、口径38センチのユニットと30センチのユニットでは、プラス、マイナスいろいろあるが、我が家では30センチの方によりメリットを感じている。

また、アンプは1台で済むので「より取り見取り」となり「WE300B(1988年製)シングル」、「PX25シングル」、「171Aプッシュプル」、「6A3シングル」と目白押し。

試しに「WE300Bシングル」で鳴らしてみると、もうこれで十分と言えるほどの出来栄えだった!能率の低いデッカの「リボン型ツィーター」が想像以上にうまく鳴ってくれたのはとてもありがたい。

    

ほんのちょっとした些細なスイッチの故障がこういう風にまったく思いもよらぬ方向に進展するのだからまったく「ピンチはチャンス!」だった。

ただし、肝心の持ち主が移り気なので我が家では至る所にチャンスが転がっているのかもしれない(笑)。

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「村上春樹さんレコード 母校に寄贈」に思う

2018年11月13日 | 独り言

1週間ほど前の日経新聞に記載されていた記事がずっと気になっている。

    

毎年ノーベル賞「文学部門」の候補に挙げられているほどの世界的な作家「村上春樹」さん。

こういうことを「断捨離」と言っていいのかどうかよくわからないが、2万点に近い膨大なレコードを寄贈するとはたいへん思い切ったご決断だと感じ入った。

だが、しかし・・・。

美談には違いないが、村上さんの年齢(69歳)からすると音楽愛好家にとって命とでもいうべきレコードを手放すとなると、ちょっと早すぎるような気がするのは自分だけだろうか。

男性の平均寿命までにはまだ10年以上もあるのでもっと音楽を楽しめる時間的余裕が十分あると思うし、しかも村上さんのマラソン好きは有名で午後9時就寝~午前4時起床の規則正しい生活を送られるなど、健康管理は万全そうなので不摂生による体調不良なんて縁がないはず~。

そこで、「もう音楽に興味を失われたのかな?」なんて、つい思ってしまった。

周知のとおり、村上さんは作家になる前は国分寺でジャズ喫茶を経営されていたほどのジャズ好きで知られている。システムの概要はスピーカーがJBLの3ウェイ、アンプはアキュフェーズだった。

「オーディオに興味はありません。そりゃあ、いい音で聴くのに越したことはありませんが、ずっと抱いている曲目のイメージを大切にしたいので機器類は変えないようにしています。」といった趣旨のことを、オーディオ専門誌「ステレオ・サウンド」のインタビューに答えられていたことを覚えている。

自分のような、まるで日替わりメニューのように機器を弄り回す人間にとっては「頂門の一針」として耳の痛いご意見であり、それはそれでたいへんご立派な見識である。

とはいえ、第三者の無責任な発言ということを前提にして言わせてもらえれば、村上さんの音楽の興味への喪失がもしあったとすれば、オーディオに関心を持たれなかったことにも一因があるような気がしてならない。

長年同じシステムで音楽を聴いているとワクワク感が無くなり飽きてくるのは必然のような気もするのだ。

音楽だって所詮は記憶の産物なのでどんな名曲だって何回も聴けば飽きてくるのは誰もが経験すること。そのため手を変え品を変え、システムを変遷させながら音楽の違った味わいを引き出すのがオーディオを愛好する一番の理由である。少なくとも自分はそうだ。

しかも、村上さんの使用されているアンプがあのアキュフェーズときている。

真空管愛好家に言わせると、口を揃えて「無機的で冷たい音を出すブランドの代表選手だね。タダでくれるといっても要らないよ」。ご使用中の方はまことにごめんなさいね(笑)。

もし村上さんが真空管(古典管)アンプやイギリスのスピーカーに換えたりしてオーディオをもっと楽しんでいれば、少なくとも今回の69歳での2万点近いレコードの寄贈は無かったようについ思ってしまった。

ただし、これは憶測に終始した勝手な話である。たとえば近年ではレコードの情報をUSBあたりにコンパクトに収納出来る便利な機器もあるようなので、そういう機器を利用されてライブラリーとして保存されている可能性も十分ある。すると上記のような話はまったく成り立たない(笑)。

それと、気になる点がもう一つ。

寄贈の理由として「子供がいないので僕がいなくなった後、資料が散逸すると困る。」
と、あった。

この理由は切実ですねえ。我が家もオーディオにまったく興味を示さない一人娘がいるが、これは子供がいないのと同じ~。このままだと自分が昇天した後はきっとオーデイオ機器や古典管が散逸することだろう。

せめて機器類の価値が分かり喜んで使ってくれる方に行き着けばいいのだが、海を渡って東南アジア系だけは絶対イヤだなあ!

いつ頃から「断捨離」に入るか、早すぎても拙いし、遅すぎても拙いし、使用している機器類を必要最小限に絞り込むベストのタイミングに向けて、これからは常に思案のしどころなんですよねえ(笑)。

村上さんの記事を読んでつい妄想が膨らんでしまった。

追伸(2018年11月13日8時10分)

このブログの搭載直後にメル友のMさん(奈良県)から次のようなメールをいただきましたので以下のとおり、ご紹介させていただきます。

ブログ拝読いたしますと、まるで村上氏が音楽を聴く意欲もなく断捨離を決断されたかの印象を持ってしまいましたが、産経新聞の電子版には以下のとおり表現されていました。

「資料は作品に影響を与えた2万点近いレコード類の一部や海外で翻訳出版された自著、初期作品
の生原稿などで、今後選定作業を進める。」

ですから、愛聴盤までは手放さない可能性がありますよ。こちらの勝手な推察ですが。


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パソコン・オーディオ用への模様替え

2018年11月11日 | オーディオ談義

「お預かりしているSSDメモリがパソコンで再生できるようになりましたよ。どういう音か興味がありませんか?」と、近隣のオーディオ仲間Yさんをお誘いしたのは秋の好天に恵まれた昨日(土)の午後のことだった。

実はもうひとつ目的があって、お見えになる直前にシステムの大幅な模様替えを行ったのでどういう反応を示されるかもあった。

なぜ爽やかなこの時期に不粋な模様替えをしたかの理由はただ一つ。

「パソコン経由で聴くSSDメモリの音をもっと良くしたいから」に尽きる。

我が家のオーディオ環境ではという条件付きだが、いい音なんだけどCDと比較するとどうも響きが物足りない。とりわけ低音域の沈み込みがちょっと寂しい。

そこで、「どこをどうすれりゃいいのさ思案橋」だが、無い知恵を必死で振り絞ったところ次のアイデアが浮かんだ。

今のところ我が家の本流になれないパソコン・オーディオなので「鶏肉を裂くのに牛刀を用いる」感じになるが性格上黙って見逃すことができないので仕方がない(笑)。

 まずプリアンプの交換に走った。「クリスキットのカスタムマークⅥ」は低音域のブーストが2段階(100Hz & 150Hz)設けられているのでこれを使わない手はない。

 次にスピーカーをグッドマンの単発から、より響きの豊かな「ワーフェデール」(イン ウェストミンスター)にする。

 駆動するアンプも我が家で一番パワー感に恵まれた「WE300Bシングル」にした。もうブリティッシュで機器を統一なんて「悠長なこと」は言ってられない(笑)。

この3点セットにより
システムの内容はガラッと変身した。例によって自己満足に過ぎないのだが以前よりずっと良くなった気がする。

具体的な組み合わせの内容を紹介したいところだが、「くどいぞ!」と耳に囁くものがあるので
止めておこう(笑)。

このシステムで「SSDメモリ」の音をYさんに聴いていただいたところ、一言でいえば「なかなかいけるじゃないですか!」だった。日頃から辛口の意見に終始されるYさんにしては非常に珍しい。

チャンデバからLCネットワークへの交代、ウーファーを口径38センチから30センチへ交換したことによるレスポンスの速さなどの相乗効果もきっとあったに違いない。

ただし、「USB用のソフトはいろいろありますから試されたらどうですか」とのご指摘があって今後の課題として残された。

たとえば「フーバー2000」「HQプレイヤー」「Jリバー」「Jプレイ」などを挙げられていた。

後日、このうちのどれかを仲間に頼んでインストールしてもらうことにしよう。

ここでパソコン・オーディオは一段落。

次に、グッドマンの単発スピーカー用となった「PX25シングルアンプ」と「6A3シングル」(モノ×2台)の聴き比べに移った。

    

上段右側が「PX25シングル」、下段の2台が「6A3シングル」(300B兼用)。

ポイントはどちらのアンプがグッドマンの「AXIOM80」をうまく鳴らしてくれるかに尽きるが、試聴テストでは実力伯仲というところで一方的に軍配を上げるわけにはいかなかった。

強いて言えば「PX25アンプはオーディオの存在を忘れて音楽に没入させてくれますね。柔らかく包み込んでくれるような音です。」とは、Yさんがポツリと洩らされた言葉だった。

「音楽が王様、オーディオは召使い」なので、これは「日陰役が宿命となっているオーディオ機器」としての最高の誉め言葉かもしれませんね(笑)。

もっと欲が出たので、ここでかねて気になっているテストをやってみた。それはPX25アンプの前段管の交換である。

           

真空管アンプはこういう実験ができるので実に楽しい。

左側が1920年代製造の「Xー112」(アメリカ:トリタンフィラメント)、右側が「3A/110B」(イギリス:STC)でどちらも定評のある古典管である。

両者ともそれぞれピンの位置が違うが、アンプ側で2種類のソケットが準備され差し換えができるようになっているので非常に便利。

試聴結果は簡単に白黒が付けられるようなものではなかったが、周波数レンジの広さからいったら「3A/110B」に、原音への忠実性となると「X112」に軍配が上がった。

とはいえ、島田祐子さんのCDをテスト盤に用いたところ、歌手の口元の大きさの違いに二人とも驚いた。「X112」の方が見事に等身大の引き締まった口元になったのである。むやみに音を拡散させず焦点をきっちりと絞ってくる鳴り方といえよう。

「トリタンフィラメントの球って凄いですね!」とYさん。

「現在4台のアンプの前段管や出力管にトリタンを使っていますが、このフィラメントの球を1度でも使うともう止められませんよ。スピードと情報量に雲泥の違いがありますからね。」

前段管、出力管、整流管など真空管アンプの「球転がし」の愉しみは尽きない(笑)。

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読書の秋はミステリーで~読書コーナー~

2018年11月10日 | 読書コーナー

「東野圭吾の本はどうしてこんなに面白いんだろう。」と、読後につくづく感じ入ったのが最新刊「沈黙のパレード」。

                       


こういう人気作家の最新刊をすぐに借りられるのが田舎の図書館のいいところで、都会ではこうもスンナリとうまくはいかないでしょうなあ(笑)。
          

あらすじはこうである。

「突然行方不明になった町の人気娘が、数年後に遺体となって発見された。容疑者は、かつて草薙(警視庁の刑事)が担当した少女殺害事件で頑強な黙秘権を行使して無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。さらにその男が堂々と遺族たちの前に現れたことで、町全体を憎悪と義憤の空気が覆う。

そして恒例の秋祭りのパレード当日、その容疑者が殺害される。復讐劇はいかにして成し遂げられたのか。殺害方法は?アリバイトリックは?超難問に突き当たった草薙は、アメリカ帰りの湯川(物理学者にして探偵)に助けを求める。」

ガリレオシリーズの中でも特に評価の高かった「容疑者Xの献身」を思わせるような丁寧な人物描写だった。いったん解決したかに見えた事件の裏の裏に隠された真実を知るにいたり、まあこんなものだろうなというつもりで読んでいたところ、残り数ページに入ってから、まだ何かあるんだと思わせながらそこで想像だにしない真犯人が示される。

まさに練りに練られた構成の妙に流石は東野さんと感心するばかり。ただし、「容疑者Xの献身」の方は真犯人に哀切の情が残ったため、読後の余韻があったのに対し、こちらは殺人の動機にやや薄弱さが感じられるので少し劣るように思うが、それでもやはり傑作といっていい出来栄えだった。

     

東野さんの本がまだ3冊も残っているが、この作家はハズレがないのでメチャ、愉しみ~。

秋の夜長に音楽を聴きながらミステリーを読むってのは最高ですよ~(笑)。

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「素人」さんの耳は侮れない!

2018年11月09日 | オーディオ談義

「今日の10時半ごろ主人がお伺いして音楽をお聞かせ願いたいと言ってますが、いかがでしょうか?」と、電話があったのは秋の好天に恵まれた6日(火)の午前9時半ごろのことだった。

「ハイ、いいですよ~。お待ちしてます。」

新しいお客様のご来訪である。以下、経緯を記してみよう。

我が家の猫の額ほどの玄関先の庭に塀沿いにバラの花を這わせていたのは下手の横好きの家内だった。そして、子犬の散歩がてら、毎日このバラの生育状況をつぶさに観察されていたのが我が家から歩いて5分ほどのNさん宅の奥様だった。その正体はといえばバラ育成の専門家!

バラの生育方法について家内が伝授を受けるのにさほど時間はかからなかった。

だんだんと親しくなり、話のついでに「我が家のオーデイオルーム拝見」となるのは当然の成り行きだったろうか(笑)。

「凄いですねえ!とても主人の興味を惹きそうです。凝り性なのでちょっと心配ですが一度聴かせていただけませんか。」

「ハイ、いつでも結構ですよ。」

ということで、冒頭のような成り行きとなった。

もともと、毎日のように雨にも雪にも負けず朝食後に25分のウォーキングを続けているが、そのコース沿いにNさん宅があり、お会いするたびに「おはようございま~す。」と、ご挨拶しているのでその程度の顔見知りではあった。

さてと、「素人さん」(言い方が悪いが許してほしい~笑)にどういうシステムで、どういう曲をお聞かせしようかな~と、しばし腹案を練った。

音像定位と奥行き感に優れた「AXIOM80」はどちらかといえば高級者向きだ。その一方、低音や高音がどうとか周波数レンジに注意を向けるのは素人さん向きなので、大型スピーカー(ウェストミンスター)のゆったりした雰囲気から入ることにした。見てくれも大切だしね~(笑)。

音楽ソースの方はNさんのご年齢が75歳前後と踏んだので木村好夫さんのムードギター、それから島田祐子さんの歌曲に移り、あとは状況に応じて臨機応変にと目論んだ。

きっかり定刻にお見えになったNさんは顔見知りということもあってか初めから気を許していただき、オーディオルームに入られるなり、音楽への憧憬を語られた。

ご親戚に音楽教師がおられて憧れの的だったそうで、娘さんを音楽教師にするのが夢だった。そこで東京の音楽学校に通わせ、そして海外へ留学させたものの予想外の展開(国際結婚)になってあえなく夢が挫折したことをいかにも無念そうに語られた。

高い入学料や学費に見合うほど音楽家は儲かる商売ではないので、よほど音楽への理解がないと子供を音楽教師にさせようなんて発想は浮かばない。

何が言いたいかといえば、それほどNさんは音楽を身近に感じられていたというわけ。

ウェストミンスターを30分ほど聴いていただいたが、次第に興味は島田祐子さんに絞られた。

        

「とても美しい声ですね。どういう素性の方ですか?」

「東京芸術大学の大学院卒業ですから、発声法とかのきちんとした声楽を学ばれた方ですよ。」

「東京芸大なんて娘が夢のまた夢と言ってました。そうですか~。BS放送でよく昔の歌手が出演して歌っていますが声が伸びないのでいつもガッカリしています。」

ひとしきりしてから「AXIOM80」へ移行した。

すると「スピーカーを変えるだけでこんなに変わるものですか!島田祐子さんがいきなり10歳ほど若返りましたよ。」

ウッ、素人さんでも分かるんだ!(笑)

「両方聴いていただきましたが、どちらのスピーカーがお好きですか?」と単刀直入にお伺いしたところ「ウ~ン、・・・」。

それぞれいいところがあるので、即答は困難ということだった。そう、それが「まっとうな答え」というものでしょう(笑)。

途中で「これだけのシステムに至るまでには何年ほどかかったのですか? 真空管はどうやって手に入れているのですか? 好きな作曲家は誰ですか? 音楽を聴いて心から感動したことがありますか?」と、矢継ぎ早の質問攻めにあった。

「ハイ、オーディオを始めてから50年ほどになりますかね。必要な真空管は主に青森県の専門家にお願いしています。好きな作曲家はモーツァルトです。オペラ魔笛の収集と研究にかけてはおそらく日本一だろうと自負しています。

音楽が好きじゃないとこんなに長くは続きませんよ。いい音楽をいい音で聴くことを人生の価値観の中で最上位に置いています。涙を流すほど感動するのはしょっちゅうですよ。

アッ、そうそう、娘さんの結婚相手となられたファゴット奏者で思い出しましたが、モーツァルトのファゴット協奏曲第2楽章を聴いて心が打ち震えたことがあります。想い出はあまり良くないかもしれませんが聴いてみましょうか。」


         

二人して「Bassoon(=ファゴット) Concerto」に静かに耳を傾けながらそれぞれの想い出に耽った。

そのうち、あっという間に時間がたってお昼時になった。

「想像以上のシステムと音でした。家内がビートルズファンなので次回は一緒に試聴させてください。」
と辞去されたので、ハイ、いつでもどうぞ~。

いつの間にか「我が家で余ったシステムをどれか貸し出せないかな~」と、思案する自分がいた(笑)。

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署名入りの「書評」は当てにならない

2018年11月07日 | 独り言

図書館から借りてきた「外山 滋比古」(とやま しげひこ:お茶の水大学名誉教授)氏のエッセイ「新聞大学」(2018年)を読んでいたら、次のような箇所があった。(84頁)

    

「新聞はそろって日曜に読書のページ、書評のページをこしらえている。読書好きの人への手引きとして新聞はユニークである。3ページから4ページがそれに当てられるが、取り上げられるのは専門書が多い。

そうでなくても堅い本ばかりが取り上げられているから読者には今一つ物足りないのである。面白い、というような書評にはあまりお目にかからない。書評に署名があるからである。かっては、無署名が普通であったが今は肩書付きの名前が出る。

署名が有る無しなど、呑気な人は問題にしないようだが大違いである。匿名の方がいい書評ができる。身分を明かした原稿にはいろいろのシガラミがまつわりやすい。著者への気兼ねもある。出版社への配慮もある。縁のある出版社の本を悪く書けば面白くないことになる。

というのが、普通の人の思惑だろう。著者との関係もデリケート。本当のことを書けば社交上おもしろくないことになるという心配をしないほどの人物は書評などしない。」

以上のような内容だが、つまり「署名がある書評はいろんなシガラミがあるので本当のことを書いていない。あまり当てにはできない。」というわけ。

ネット情報に象徴されるように「署名がない無責任な記事」の悪口はこれまで散々耳にタコができるほど聞かされてきたが、これが「書評」ともなるとすっかり攻守ところを変えるらしい(笑)。

実はなんでこんなことを話題にしたかといえば、やっぱりオーディオがらみなのである。

これを読んで真っ先に脳裡に浮かんだのがオーディオ評論家の存在だった。オーディオ機器に対する評価のケースとまったく似ている!

以下、我が経験に照らして遠慮なく言わせてもらおう。署名無しだからほんとうのことが言える(笑)。

今でもオーディオ愛好家の間で語り継がれているように1970年代はオーディオの全盛期だった。我がオーディオの黎明期と丁度重なっていた時代である。

国内では「トリオ、サンスイ、パイオニア」がオーディオ御三家として君臨していた夢のような時代だった。今となってはこの御三家は影も形もない。パイオニアも社名だけは残っているがオーディオからは撤退している。

いずれにしろ当時は夢中になって
、それこそ鵜の目鷹の目でいろんなオーディオ雑誌を読み漁ったものだったが前述のようにたいへんな活況を呈していたオーディオ業界において評論家といえばメーカーや販売店にとってまさに神様のような存在だった。

何といってもその発言次第でオーディオ機器の売れ行きが左右されるのだからどうしようもない。

一読者としても当時のお気に入りだったタンノイさんに関する記事などは活字に穴が開くほど何回も読み耽ったものである(笑)。

当然のごとくオーディオ評論家の発言も一喜一憂しながらまともに受け止めていたので、つい甘言に釣られてしまい、いろんなオーディオ機器を買い漁ってはガッカリして二束三文で下取りしてもらい、また新たな機器を購入するというアリ地獄に陥ってしまった。

素直に記事を信用してしまった自分が愚かだったのだろう。評論家だっていろんなシガラミの中で記事を書いていたであろうことは今となっては容易に想像できる。

さすがにオーディオ専門誌側も反省したのだろうか、「ブラインドテスト」(機器のメーカー名を伏しての試聴テスト)なるものを実施したケースもときどき見受けたが、名もしれぬ三流メーカーが評価が良かったりして”ちぐはぐ”さが目立ちこの種のテストは自然に立ち消えとなった。

むしろ評論家がブランドの先入観に左右されることが証明され、かえっておかしな結果になったことは想像に難くない(笑)。

しかし、いたずらに評論家を謗るわけにはいかない。私たちだってある程度ブランド名に気分的に左右されていることは、きっと身に覚えがあるはずだ。

いずれにしても、こういう失敗は前向きに考えて現在に至るまでの授業料だと割り切ればいいのだろうが、あまりにも高くつきすぎた感がして悔しだけが募っている(笑)。

大いに懲りたのでここ20年ほどはオーディオ雑誌はあまり読まないし、読む機会があったとしても半信半疑のまま活字を追っている。

当時の評論家諸氏は大半が鬼籍に入られているかあるいは引退されており、現代のオーディオ評論家の実状がどうかは知らないが、いろんなシガラミのもとでホンネが吐けない状況が昔と現在とそれほど変わりがないことは十分推察できる。

したがって、オーディオ雑誌の内容をむやみに信用しない方がいいですよ~。

むしろ無記名のネット情報の方が信用できると思いませんかね。おっと、これは手前味噌かな(笑)。

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パソコン・オーディオへ一歩前進

2018年11月05日 | オーディオ談義

新たなDAコンバーター「HDー7A192」(Phasemation)がやってきたのが先月(10月)の25日だからもう10日余りになるが、意外と言ってはおかしいが予想した以上に楽しめる道具だった。

          

「OPT(光入力)」や「COAX(同軸デジタル入力)」のときのアップサンプリング「176.4KMHz or 
192KHz」の機能に感心しつつも、さらに入力にUSB端子が付いているのでパソコンオーディオにも発展できるのが頼もしい。

「今さらパソコンオーディオか、遅きに失するぞ。」と一笑にふされそうだが、中枢機能であるDAコンバーターにアナログ機能が付いている限り、素性のいいCDトラポとDAコンバーターを使ったときのCD再生には(パソコンオーディオは)及ばない。

したがってパソコンオーディオは我が家では付録みたいな存在ですな(笑)。

とはいいながら、オーディオ仲間のYさんからお預かりしている「SSDメモリ」の活用は楽しみである。何しろCD1500枚ほどが内蔵されているソフト(WAVで記録)だから、我が家の音楽環境が豊かになるのは確実だ。

         


ただし、パソコンの理解力と操作はサッパリなので(パソコンが)得意なオーディオ仲間のMさん(大分市)に来てもらってセッティングをしてもらった。我が家にはパソコンが3台あって、自分用は2台あるのでそのうちの1台(Windows8.1)を専用に振り向けることにした。

パソコンとDAコンバーターとのUSB接続ケーブルはずっと以前に、こういうこともあろうかと評判の良かった電源付きのものを購入していた。このケーブル次第で音がずいぶん変わるそうですよ~。

      

「とにかくこのメモリから音楽が聴けるようにしてくれませんか。」という、実に単純なお願いに対して見事に処理してくれたMさんだった。

    

独自のソフトを使って瞬く間にパソコンに曲目の一覧表を表示してくれた。これなら使いやすい!無事接続を終えてからパソコン画面の曲目をポチッ。

ところがシステムから音が出ない。そうは簡単に問屋が卸さなかった(笑)。

パソコンは返事をしてくれないのでどこがどう悪いのかサッパリわからない~。

Mさんともども、おかしいなあと接続ケーブルの接触不良などを疑ってみたがダメ。そこで、もう一度「HD-7A192」の説明書を読んでみると次のような箇所があった。

「USB Audio Class動作モードの切り替えについて」

要はUSBモードの場合、上限が96Kまでの「Class1」と192Kまでの「Class2」の2系統になっているので、状況に応じて切り替えてくれという内容だった。

192KHz再生ともなるとパソコンにPhasemationのソフトをインストールしなければいけないので、これは後日の宿題として残しておくことにして当面は96KHzでの再生を目指した。

説明書のとおり、該当ボタンを押しながら電源スイッチをオンすると96K表示部分に緑色のLEDが点灯してようやくシステムから音が流れ出した。

ああ、よかった!

それも、dCSのコンビによるCD再生ほどではないが、なかなか聴ける音ではあった(笑)。

また、近年は聴き慣れた音楽にやや食傷気味だったが、CD1500枚の未知の音楽に触れる期待感はいやがうえにも高まってくる。すべて音楽誌やオーディオ専門誌での優秀録音推薦盤である。

音楽愛好家であればたびたび経験されるように、いろんなシーンで予期せぬ時にふと聴かされた音楽に心を奪われるケースがよくあるが、それと似たような感覚だといえよう。

先入観を持たずに、まっさらの白紙状態で聴くときの音楽の瑞々しさというのはたしかにある。

1日当たり1枚聴くとして4年以上かかる計算になるが、このワクワク感を推進力にしながら毎日がんばるとしようかな(笑)。

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