ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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玉滴石

2019-11-29 12:05:45 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「玉滴石」です。この玉滴石、このブログではこれまでに何度か出てきますが、タイトルとしては初登場となります。

玉滴石(ハイアライト)は水を含んだ非晶質のシリカ成分のオパールの一種で、特に粒状やぶどう状の透明感のある小さな塊が集合した外観のもののことです。

このところ、「石の華」店内にある鉱物を新しい紫外線ブラックライトで照らしてみていると、それらの中で緑色に光るものが多い事に気づきました。それらは可視光では地味にしか見えないのですが、紫外線を当てると鮮やかな緑色に蛍光して見え、その変貌ぶりが魅力的に思えます。その蛍光は、どうも、微量のウランに起因するようです。何となくウランガラスの蛍光色に似ているなーと思ったのは、その為だったようです。

今日の最初の写真はZacatecas,Mexico産の玉滴石(Hyalite)です。




この玉滴石は強蛍光性があり、100円均一ショップのマジックライトペンの紫外線でもしっかり光って見えます。

次はDiamantina,Brazil産の水晶に付着した玉滴石です。




この玉滴石も強蛍光で、肉眼的には透明感のある粒の内側から強発光しているように見えます。

次は中国 福建省 三明市 産の煙水晶・長石・満礬柘榴石ですが、部分的に玉滴石が付着しており、それが蛍光します。




今日の最後は、岐阜県恵那郡蛭川村田原産の雲母と水晶ですが、その水晶部分に玉滴石の蛍光がありました。これは新しい紫外線ブラックライトで照らしてみて、初めて、蛍光する事がわかりました。普段の肉眼では気づかない鉱物でも、それが蛍光するとわかると、何か、得をした気持ちになってしまいます。ただ、それが、微量ながらも放射性物質に起因するとなると、それはそれで、複雑な気持ちになってしまいます。




放射性物質は、身近な自然界にも遍在していますし、生命の起源に関係したという説もあったりして、それは様々な意味で、決して無視できない存在です。全地球史的な観点からも我々とは密接な関係性があるのです。


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全地球史

2019-11-25 12:20:22 | 日記・エッセイ・コラム
今朝のNHKニュースで恒星間天体であるボリソフ彗星の事を紹介しておりました。太陽系外彗星の到来!そんな時代になったのだ!!、と宇宙的なロマンを感じてしまいました。

そんな中、YouTubeで見た「地球そして生命の誕生と進化」(全地球史アトラス)完成版という動画が気に入っております。その動画では46億6700万年前の太陽系誕生が「天の川銀河が近傍の矮小銀河と衝突し、星々が爆発的に生まれるスターバーストが起きた 我々の太陽系もその中のひとつである」というナレーションから始まり、46億6000万年前の原始地球誕生、46億5000万年前のジャイアントインパクトで地球と月が誕生したとCG動画で上手く表現してありました。そして、その後のプレートテクトニクスや生命誕生と進化を地球と生命の共進化という観点から非常に上手く説明しており、さらに人類代として人類誕生と文明の構築の歴史を現代まで描き、さらにさらに、80億年後の地球の消失までの全地球史を約1時間ほどのシミュレーションCG動画で表現しています。

全地球史的な観点を持つことは、天文学、地質学、生物学、歴史学などを学際的に捉え、総合的な知の集大成として重要な事だと思います。個々の事象は、科学的な仮説に過ぎないのかもしれませんが、全地球史的な流れの中で見ると、それらには、説得力があり、ドラマチックで良質なSF映画を見ているような気持ちになりました。

その動画の最後のナレーションは「しかしここで生まれた生命は形を変え、既に他の銀河にまで進出しているだろう・・・」と締めくくってありました。そのようなSF映画を見たいものです。

ところで、鉱物には化石と違ってその年代表記がありません。どうしてでしょうか?

ある一般向けの宝石学の本を読んでいると、あきらかにその生成年代を間違えている記述がありました。残念な事です。それから、ある郷土史家の方はある石の事をあきらかに間違った年代で自説を展開しておりました。両者とも、全地球史的な観点の欠落があります。

鉱物の年代を計測する事は難しい事なのかもしれませんが、鉱物にも全地球史の中で捉え直したい、という気持ちになっております。
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光る石2

2019-11-22 11:34:57 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「光る石2」です。(過去に「光る石」2014.11.03を書いていました。)

相も変わらず、紫外線ブラックライトで遊んでいます。「石の華」店内には光る石がたくさんありますが、それらの中でも最もポピュラーな鉱物は、やはり、ルビーでしょうか。

今日の最初の写真は、マダガスカル産のルビーです。



肉眼的には写真よりももっと鮮やかに赤く発光して見えています。



ルビーと同じ酸化アルミニウムの鉱物にサファイアがありますが、同じコランダムでも、普通のサファイアは光りません。ところが、マダガスカル産のサファイアの中には光るものがあります。しかも、面白い事に、ルビーと同じように赤く変色して光るのです。どうしてでしょうか?

ルビーとサファイアの違いは、色の違いで、ルビーには微量のクロム、サファイヤには鉄とチタンが含有しているらしいのですが、本来、蛍光性のないサファイアにも光るものがあり、カラーチェンジするという事は、その蛍光性に起因する微量元素が混ざっているという事です。どうも、大半の鉱物は固溶体らしいので、宝石名のルビーもサファイアも連続して変化するコランダム固溶体の一部として捉え直した方が良いのだろうと思います。



上の写真は中国産の方解石です。



その結晶部分に紫外線を当ててみると、面白い事に、その中心部のみが赤く変化して見えました。これは、マンガンに起因する蛍光現象のような気がします。恐らく、中心部から結晶成長していく過程で、その成分が変化したのだろうと想像できます。それにしても、個々の結晶全てが同じように変化している事から、それらは同時多発的に成長した事を物語っています。その結晶成長していく様を動画で見たいという気持ちになってしまいます。

そして、もうひとつ方解石です。




上の写真は熊本県人吉市東大塚町桑木津留産の球顆流紋岩の晶洞内の石英・方解石です。

方解石部分が赤く、石英部分が白く光りました。肉眼的には写真よりもはっきり蛍光して見え、これも非常に面白く思いました。

これも球顆流紋岩の内部の晶洞の成分変化を物語っており、その結晶成長過程をしっかり記録していて、非常に興味深く思います。


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ハイパーUVライト

2019-11-15 12:31:03 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「ハイパーUVライト」です。

ハイパーUVライトとは新しい中国製のハンドタイプLEDブラックライトのことで、可視光を光学フィルターでカットし、長波紫外線(ピーク波長365nm)を強力に放射するスグレモノです。

鉱物の魅力のひとつに光る鉱物の存在がありますが、その光る鉱物を見るには紫外線ライトが必要です。私はこれまでに様々な紫外線ライトを試して来ましたが、短波と長波の紫外線を切り替えられる万能なミネラライトはそれなりに高額で、中々、手が出せず、これまで、様々なタイプの廉価なものを使用して来ました。ただ、それらには一長一短があり、それぞれ多少の不満がありました。

今回、新しいハイパーUVライトを使ってみて、光る鉱物の面白さを再発見しました。

まず、「石の華」店内にある光りそうな鉱物で試してみると、これまでよりも強力に光りました。そして、これまで光らないと思っていた鉱物が光ったり、思いもよらぬ箇所が光ったりして、何が光っているのか?訳の分からないものも存在しています。

また、それは野外でも大活躍しました。

先日、福井県の剣岳鉱山を見学してきたました。当初は、光る閃亜鉛鉱(ウルツ鉱?)の判別にと思って持って行ったのですが、現地で、ズリ捨て場の岩石を照らしてみると、色鮮やかに蛍光する鉱物が複数ありました。一見すると、ただの岩石のように見えるものも光ったりして、何が光っているのか?わからないものもあります。そこには肉眼の世界とは別の蛍光鉱物世界が存在していたのです。

それらの中には宇宙を感じるような光の世界もありました。映画「プロメテウス」に出て来るホログラフィー・スターマップのシーンを思い出します。また、ナショナルジオグラフィック「宇宙の奇石」(NHK Eテレでは「奇跡の星」)に出て来たレチュギア洞窟内のバクテリアが光るシーンも思い出します。それはそれは美しい光の世界なのです。

「百聞不如一見」

今日の写真です。









上の三つは剣岳鉱山産の鉱石



上はフランクリン鉱山産の珪亜鉛鉱



上は先日のブログ「透明ケース」で出したスペイン産の霰石

写真ではその光の世界を十分に表現できませんが、少しだけその雰囲気を感じる事ができたのではないかと思います。


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透明ケース2

2019-11-08 11:30:25 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「透明ケース2」です。先週の「透明ケース」の続きです。



上の写真は店にあった一個200円のカザフスタン産の紫水晶の中にあったものを一つだけ抜き出して、以前からあったキューブ状のアクリルケースに入れてみたものです。



どうでしょうか?何となく上手く収まっているような気がします。



このキューブ状アクリルケースは随分前にどこかで入手したもので、二つのコの字形を咬み合わせて立方体になり、気に入っておりました。今回、その中に何かの鉱物結晶を入れてみたくなり、身近にあったサイズ的に手頃な紫水晶を入れてみると、良い感じになったと思います。それは小さいながらも鉱物と透明ケースの組み合わせの妙のような感じになったような気がしております。

このキューブ状アクリルケースは、汎用性が高く、多くの鉱物標本に合うような気がしております。

次は、昨年、金沢のリュケリさんで買ったルーチカさんの水晶型クリアケースです。



これは透明なPET板を切り取って組み立てたもので、水晶の結晶模型になっている透明ケースです。





その中にそのケースに似たような両錐のファントム水晶を入れてみました。どうでしょうか?これも何となく上手く収まっているような気がしてしまいます。





両錐のファントム水晶は逆さにする逆ファントムのようになり、面白い存在です。それを透明ケースに入れると入れ子構造のように面白さが増します。

そう言えば、先日、ロシアでダイヤモンドの結晶の中にダイヤモンドの結晶が入っているものが発見されたというニュースがありましたが、その標本を板状のダイヤモンドで出来た透明ケースに入れて保管すると更なる魅力が増すような気がしております。
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