ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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【定休日は毎週水曜日です。】【5月も毎週日曜日は休業します。】

金とダイヤモンド

2020-02-28 12:34:46 | 日記・エッセイ・コラム
まずは今日の写真です。





これは先週の仕入れ品の一つですが、ブラジルのミナスジェライス州ディアマンチーナ産の正八面体の武石に張り付いたダイヤモンドです。正八面体の武石そのものが大変珍しいのですが(このブログの「共生5」2019.02.01参照)、今度は金に代わって、ダイヤモンドが付いております。それもこのダイヤモンドの結晶は珍しいマクレ(マクレとはフランス語のmacleで双晶の事です。)というスピネル式双晶です。これはモース硬度10のダイヤモンドらしく傷付くことなく、クラリティが高く光っておりますし、さらにブラックライトで青く発光します。複数の意味で非常に魅力的な存在だと思います。

このディアマンチーナは様々な魅力的な鉱物を産出する稀有な産地だと思いますが、中には金とダイヤモンドが共生している礫岩も存在し、そこは太古の玄武岩が変成作用を受けたグリーンストン帯やキンバーライト溶岩の風化帯と縞状鉄鉱層などが混ざり合ってできた礫岩層による漂砂鉱床らしく、金とダイヤモンドと鉄鉱石を含んだ地球史を物語るような場所なのだろうと思います。





正八面体好きの私としては、巨大な正八面体の武石に、骸晶になった正八面体の金の結晶と正八面体のダイヤモンドの結晶が同時に張り付いている標本を探し出したいと夢見ております。
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大谷 石の華

2020-02-25 14:25:33 | 日記・エッセイ・コラム
先週末、石の仕入の為、関東方面に一泊二日で出張して参りました。その際に、以前から行ってみたかった栃木県の大谷(おおや)にも足を延ばしてきました。大谷は大谷石(おおやいし)の産地です。大谷石は、あの有名なフランクロイド・ライトが旧帝国ホテルの石材として使った石です。それは小松の滝ケ原や観音下(かながそ)と同じくグリーンタフ地域の凝灰岩で、親近感がありました。ただ、私の本当の興味は、そのような凝灰岩にあった訳ではなく、冬の季節だけに現れるという大谷資料館の「石の華」を見る事でした。店の名前と同じという事もあり、大谷石以上の関心がありました。(このブログの「石の華」2013.03.29参照)

初日に、石の仕入れを済ませ、その日の宿は宇都宮駅前のホテルにしました。(ホテルの部屋で見たニュースで、石川県で最初の新型コロナウィルスの感染者が出た事を知りました。正直、今回の出張は怖いと思っていましたが、出張先で、石川県も怖いエリアになってしまった事を知りました。)

翌日の朝、大谷観光一日乗車券を購入し、バスで大谷資料館まで行きました。




大谷は小松よりもダイナミックな凝灰岩地帯でした。そして、大谷資料館にはダイナミックな地下空間があり、ワクワクしてしまいました。私は鍾乳洞のような自然の巨大な地下空間に惹かれてしまうのですが、石切り場としての人工的な地下空間にも感動してしまいました。その中に入ると、なぜか?なつかしいような気持にもなりました。もしかすると、それはプレイステーションの「ICO」や「トリコ」のゲーム空間に似ていたからかもしれません。





そのような地下空間を順路に沿って堪能していると、最後の出口付近に「石の華」がありました。それは壁一面に張り付いておりました。拡大すると毛状結晶の集合体です。それは、解説にあった塩の結晶ではなく、恐らく、ゼオライトの一種だろうと思われます。それにしても非常に面白い存在です。私は写真を撮りまくりました。





念願の「石の華」を見た後、大谷景観公園と大谷寺(おおやじ)の大谷観音と平和観音を観光して帰りました。



宇都宮駅に戻ると、あらかじめチェックしていたお土産物コーナーで「大谷 石の華」という和菓子を購入しました。それは大谷石の石肌を模した落雁で、独特の口溶け感が楽しめます。(在庫がある限り、先着順でサービスします。)

その日は、東京駅に戻って、夕方から、私が東京に住んでいた頃からの大切な友人たちとの飲み会に出席して、北陸新幹線の終電で金沢に帰りました。充実した出張でした。

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一番貴重な石3

2020-02-20 14:34:04 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「一番貴重な石3」です。

前回は「一番」を話題にしましたので、その流れで、今日は「貴重な石」の話題にします。

「貴重な石」の「貴重な」は英語のvaluableとpreciousにあたります。

valuableは金銭的な意味で、preciousは主観的な意味で、「貴重な石」には大きく二つに分けられる事になると思います。

このブログの「一番貴重な石」(2020.02.07)では、私的には金の結晶を思い付いたと書いてしまいましたが、それはvaluable/precious両方の意味で思い付いた訳で、もう少し、厳密に考えてみましょう。

まず、金という元素鉱物の元素の価格という次元で考えてみましょう。

いつものようにWeb検索してみると、興味深いサイトが幾つか出てきました。そのグラム当たりの単価が高いランキングを見てみると、金はロジウムやプラチナよりも低く、それよりもペイン石(ペイナイトは過去に一度扱ったことがあります。)やターフェ石やダイヤモンドの方が高価で、物質的にはカリホルニウムが最も高価で、さらにそれよりも反物質がトップになるというランキングが出てきました。反物質が出てくるのは反則だと思いますが、それなら半減期が短すぎて入手不可能なアスタチン(元素番号85)等もランキングに入れて欲しいと思います。(燐灰ウラン鉱の中にはアスタチン原子が一個くらい含んでいるかもしれないという話はありますが・・・)

元素の値段はグラム単価で比較できるかもしれませんが、石(当然の事ながら岩石よりも鉱物結晶の方が価値が高い)の価値は、その色や形や他の鉱物との共生バランスなどの付加価値によって、その貴重さは変わってきます。そのサイズや重量に加えて美的な価値が加わるのです。そして、さらに主観的な意味でのプレシャスなプライスレスが付加されるのです。

preciousな石とは金銭的な価値ではありません。

誰にでも、たった一個だけの「貴重な石」があるような気がしております。そういう意味では、人間の尺度の数だけ「一番貴重な石」がある事になります。

色々考えてみると、どうも「一番貴重な石」とは何か?という問いは、あまり意味がなかったようです。終わり。

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一番貴重な石2

2020-02-14 13:29:09 | 日記・エッセイ・コラム
今日は前のブログの続き、「一番貴重な石2」とします。

さて、何から始めましょうか?

やはり「一番貴重な石」の最初の「一番」からにしましょうか。

「一番」という表現は日常会話などではよく使われる言葉ですし、NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる!」のようなTV番組でも、よく使われております。ただ、「一番」は最上級表現なので、新聞記事や広告表現などでは注意を要する言葉です。それは明確な裏付けや客観的事実に基づかない最上級表現は景品表示法で禁止されているからです。

それだけに「一番」という最上級表現には、ニュースバリューがあり、力強い広告訴求力があるのです。(やはり、二番じゃダメなんです。)

例えば、今朝も「南極で初の20度超え 史上最高気温20.75度を観測」という観測史上最高となる気温が観測されたというニュースがありました。そのような「一番」はインパクトがあり、重要なニュースといえます。気象データは客観的データの集合体のようなもので、その中には様々な「一番」が存在します。

例えば、日本の気象庁のホームページには、各地点における観測史上1位の値を使って歴代全国ランキングが出ております。(最高気温は、埼玉県 熊谷の 41.1 ℃ 2018年7月23日で、最低気温は、北海道 旭川の-41.0℃ 1902年1月25日 等々 どちらの一番もプラスとマイナスでほぼ同じ)

世界では、最高気温はアメリカ デスバレーの56.7℃ 1913年7月10日で、最低気温は、南極 ソビエトボストク駅の-89.2℃ 1983年7月21日だそうです。

気象データには他にも様々な「一番」があり、それぞれ、興味深い「一番」があります。

そうそう、気象データだけではありません。ギネスブックの存在を忘れてはなりません。

ギネスブック(ギネス世界記録)は、「世界一」を収集する書籍で、様々な「一番」が載っている興味深いものです。確かに、「一番」という話題は、仲間内での飲み会でも盛り上がる話題の一つでもあり、ビール会社が始めた事に納得します。

「一番」は様々な分野や現象に現れ、話題豊富過ぎて切りがないので、この辺で終わります。次回に続きます。

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一番貴重な石

2020-02-07 11:44:04 | 日記・エッセイ・コラム
金沢の今朝の最低気温は-3.2℃だったようです。出勤時の道路は凍結しており、ツルツルでした。今年は暖冬傾向の天候が続いておりましたが、この時期は、やはり冬らしい天気になりました。ただ、積雪は例年になく少ないようです。

さて、先日の「子ども科学電話相談」を聴いて、印象深く思った事は、岩石と鉱物の違いを、おにぎりと米粒に喩えた事だったと思います。この喩えは、非常にわかり易く、使えそうな気がしております。(例えば、翡翠という石の理解に使えます。)

一般に石というと岩石と鉱物の事を指すと思いますが、この両者の違いの認識は基本的ながらも非常に重要です。

それから、ミネラルショーなどの石のイベントでは主に鉱物・化石・隕石が展示即売されますが、それらの違いは言うまでもなく明確です。他に天然石、原石、宝石などには人工的なものもあったりして、それらの違いを知る必要性があると思います。

先日、あるお客さんから、鉱物と化石と隕石のどれが一番貴重か?という質問を受けました。

私のとっさの回答は、隕石は地球外物質なので、最も貴重ですが、太陽系内では小惑星帯には大量の隕石がありますので、それほど珍しくありませんし、鉱物も現在進行形で生成されるので枯渇しないだろうし、それらに比べると、化石は過去の生物が石になったもので、地球以外の生物はまだ未発見ですし、その存在そのものが貴重で、さらに今後は、風化などで失われてゆくものだとしたら、やはり、化石でしょうか?と答えました。

ただ、鉱物の中にはダイヤモンドのように貴重な石もありますが、地球全体や宇宙を考えると、ダイヤモンドも大量にあると考えられることから、それほど貴重な存在ではないかもしれないですね。そういう意味では、金のような貴金属の地球や宇宙全体での存在量を考えると、それらが最も貴重かもしれないですね・・・自分の好みを加えると、やはり、金の結晶が一番貴重かもしれませんね!というような話をしました。

この何が一番貴重か?という素朴な問いには、個人的な価値観も入ったりして、非常に難しい問いなのですが、色々、調べていくと、非常に面白い発見が次々と見つかる好奇心を刺激する問いのようです。

その辺の話題はまた後日にします。
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